新生児が産まれてから1ヶ月までの赤ちゃんの体重の変化
新生児が産まれる前は無事に産まれることだけを祈りますが、産まれてくると、「きちんと成長しているのかな?」「体重は増えすぎていないかしら?」などと色々な心配事が出てきます。赤ちゃんの体重は、生後1ヶ月までにどのように増えていくのでしょうか?
ここでは、新生児が産まれてから生後1ヶ月までの体重の変化、体重が増えない場合と増えすぎた場合の対策についてご紹介します。赤ちゃんの体重が気になるお母さんはチェックして下さい。
新生児が産まれてから1週間の体重変化
新生児は産まれてから4、5日は体重が減少していきます。これは、母乳やミルクを飲む量よりも、尿として出ていく体内に入っていた羊水などの量が多いために起こる現象です。
厚生労働省が実施した平成22年度乳幼児身体発育調査によりますと、赤ちゃんの体重減少は産まれてすぐに始まり、生後2日目もしくは3日目にピークを迎え、その後、生後1週間目くらいに出生時の体重に戻っていきます。(注1)
産まれてから5日目までの平均的な体重の変化は次の通りです。体重の約5%が数日で減ってしまいますが、ちゃんと退院する頃には元通りになりますので心配しないでくださいね。
出生時 | 1日後 | 2日後 | 3日後 | 4日後 | 5日後 | |
---|---|---|---|---|---|---|
男の子(kg) | 3.00 | 2.89 | 2.84 | 2.84 | 2.88 | 2.90 |
女の子(kg) | 2.94 | 2.81 | 2.76 | 2.76 | 2.79 | 2.81 |
新生児の体重は1日当たりどのくらい増える?
産まれてから1週間が過ぎると、赤ちゃんの体重はぐんぐん増加していきます。生後30日目には産まれたときと比べて1000gほど増えますので、退院してからは単純計算で1日当たり33gほど増えることになります。
もちろん、大人に体重増減があるのと同じく、赤ちゃんもちょっとしたことでたくさん増えたり、あまり増えなかったりすることがあります。毎日コンスタントに30g増えているか?よりは、1ヶ月健診のときに1000gほど増えていれば健康に育っている!というイメージで捉えましょう。
母子手帳の成長曲線の見方
母子手帳に書かれている成長曲線のグラフは、身長の成長曲線も体重の成長曲線も下の線と上の線の間に94%の赤ちゃんが入るように記されています。
厚生労働省が提供している資料では、もっとも下の線は体重もしくは身長の値が少ない人の下位3%のラインを表し、もっとも上の線は体重もしくは身長の値が多い人の上位3%のラインを示していますので、2本の線の間に94%の赤ちゃんが入るようになっています。
2本の線の間に体重ないし身長が入っていれば問題なしと考えることができますが、元々この成長曲線は100人に6人は線から外に出るように作られています。お子さんが入っていない場合でも、きちんと食べて健康におしっこやうんちが出ているなら、特に問題視する必要はありません。(注2)
新生児体重の推移にこんな傾向がみられたら
毎日元気であれば多少平均よりずれがあっても大丈夫!・・・だと思っていても、赤ちゃんの体重があまりにも急激に増えていたり減っていると心配になります。ここでは、赤ちゃんの体重が標準以上に増えた、減ったときの対策をご紹介します。
体重が増えなさすぎるときの対策
毎日きちんと飲んでいるのに体重が増えないときは、吐き戻しの量が多すぎて体重が増えないこともありますが、しっかりと母乳やミルクを飲んで月賦で戻したりもせず身体の中に入っているように見えるのに体重が増えないこともあります。体重が増えない場合は次のような対策を試してみましょう。
時間と回数を決めて飲ませる
赤ちゃんの体重が増えないのは、赤ちゃん自身があまりお腹の空かない体質のため、泣いてお腹が空いたことを知らせてくれず、つい、母乳やミルクの回数が減ってしまうことが理由として考えられます。赤ちゃんが元気に活動しているなら特に問題はありませんが、あまりにも体重が増えないなら発育にも影響が出てしまいます。
ミルク栄養の場合は1日に6回から8回、母乳栄養の場合は1日に8回から10回、毎日時間と回数をしっかりと計ってきちんと飲ませるようにしていましょう。
夜間は3時間おきに飲ませる
新生児のうちは一度に母乳を飲む体力もついていないため、昼夜を問わずに小刻みな授乳が必要となります。夜間の授乳もお腹が空いて泣いて知らせてくれる子なら問題はありませんが、自分から「飲みたい!」とサインを送ってくれないのであれば赤ちゃんがお腹がすいていることに気付けず、お母さんもついぐっすり眠ってしまいます。
体重増加があまりにも少ない場合は、お母さんは大変ですが、夜中も3時間おきに母乳をあげるようにしてみましょう。どうしても眠たいときは、お父さんや他の人にミルクを作ってもらい、3時間おきに飲ませるように工夫してみてください。
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カロリーが高いミルクを飲ませる
母乳を充分な回数飲ませていても、あまり体重が増えないこともあります。著しく体重が増えないのであれば、この際母乳にこだわらずカロリーの高いミルクを併用させても良いかもしれませんね。
ただし、母乳の分泌には赤ちゃんにおっぱいを吸われることが大切です。赤ちゃんがミルクでお腹いっぱいになってしまわないように、基本的には母乳が先でミルクは後に補充します。
まずは、1日に1回から様子を見て、体重増加が少ないなら2、3回とミルク栄養の回数を増やしていくといいでしょう。
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体温を保つために部屋の温度を上げる
人間は体温維持のために多くのカロリーを使用しますが、赤ちゃんの場合も同じく、体温を維持するために多大なカロリーが消費されるため、体温を維持するためにカロリーを消耗してしまって体重が増えないというケースが考えられます。
部屋の温度が寒すぎると、体温維持のために使われるカロリーが多くなってしまいますので、部屋の温度を少し温かめに設定し、赤ちゃんが余計にカロリーを消耗してしまわないように配慮してみましょう。
体重が増えすぎるときの対策
産まれてからしばらくはおっぱいを飲む力が十分ではないため、赤ちゃんは5分10分で授乳に疲れてすぐに寝てしまいます。ですが、急激に成長していくに必要なエネルギー補給はしっかり行わなければなりません。
産まれてからしばらくは、赤ちゃんが欲しがるだけ母乳を与えても問題ないので(ただし、ミルク育児は母乳より消化負担が大きいため、授乳間隔を意識しながら調整をしていきます※後述)、普通に食欲が旺盛な程度で1ヶ月健診時に何も注意されなければ特に問題視する必要はありませんが、健診時に「体重が増えすぎていますね。食事をちょっと見直してみる方が良いかもしれません」と言われたなら、適切な対応をする必要があります。
また、あまり飲まないのに体重の増え方が激しいときや、いつもぐったりとしているのに体重が標準以上に増えるときは、赤ちゃんに何かのトラブルが起こっている可能性があります。1ヶ月健診を行う産婦人科または近くの小児科を受診してください。
飲む量を調整する・間隔をあける
特にミルクだけで栄養を与えている場合、母乳に比べて粉ミルクはカロリーが高いですから、同じ量を飲んでいても体重に反映されてしまいます。
チェックポイントとしては、まずミルクは適切な濃度で与えていますか?規定よりも濃くなってしまっているときは、規定の濃度で与えて下さい。
また、1度の授乳でたくさん飲める赤ちゃんならば1回に飲む量を調整し、授乳間隔を少し長めに空けて様子を見ます。飲み終わってもまだ欲しがるときは、規定よりも薄めたミルクを少量追加してみましょう。
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白湯や薄めた麦茶は与えてOK?
母乳だけなのに体重が増えすぎてしまう場合、お腹がすいているのに何も与えないのはちょっと可哀想です。無理に食事を我慢させるのが辛いときは、白湯やうすめた麦茶を飲ませてお腹の虫を抑えるような工夫もされていました。ただし、現在では新生児期から白湯や麦茶を与えないという考え方も主流となってきているため、医師や保健師に相談してからのほうが良いでしょう。
新生児の体重の量り方・方法とタイミング
新生児の体重は、生後1ヶ月や4ヶ月の健診のとき以外にも、まめに量って記録を残しておきたいものですが、一般家庭で首も据わらぬ赤ちゃんの体重測定とは意外と難しいものだったりします。新生児の体重の量り方について見ていきましょう。
普通の体重計で新生児の体重を量る方法
新生児用の体重計がないという家庭の方が圧倒的に多いでしょう。
新生児用の体重計がなくても、普通の体重計で簡単に赤ちゃんの体重を量る方法があります。
まず、お母さんかお父さんが赤ちゃんを抱っこして体重を量ります。そのあと赤ちゃんをベッドに寝かせ、お母さんかお父さんだけで体重を量ります。最初に量った体重から2番目に量った体重を差し引けば、赤ちゃんの体重がわかります。
小数点以下第二位まで計量できる体重計がおすすめ
家庭用の体重計はkg単位で測定されるので、量れても小数点以下第一位までしか表示されないタイプのものが一般的です。
ご家庭の体重計がこのようなざっくりタイプなら、グラム単位でチェックしたい赤ちゃんの体重管理のために、少なくとも小数第二位(10g単位)まで量れる体重計を新たに購入しても良いでしょう。
おむつや衣類の重さが気になる!
体重をはかるときは赤ちゃんのおむつの重さ、肌着や洋服の重さも気になります。
赤ちゃんに入浴させるときなど赤ちゃんが裸になるタイミングで量ることもできますが、それ以外の時間に体重を量るときは、同じ肌着や洋服の重さを量って数値から差し引き、赤ちゃんだけの体重を求めるようにすると良いですよ。
体重を量る時間帯は一定にすると体重推移がわかりやすい!
赤ちゃんの体重を量るタイミングは特にいつでも構いませんが、ミルクを飲んだ直後に量るのとおしっこをたくさん出した直後に量るのではやはり差があります。
授乳やおしっこのタイミングを意識していてはきりがないので、予め体重を測定するタイミングを決めておき、いつも同じタイミングで量るようにすると良いでしょう。
ある程度、赤ちゃんの排泄量などが一定と考えられるのは、起きたばかりのとき・就寝前・お風呂に入ったあとです。毎日測定する必要はありませんが、1週間に1度ほど決まった時間帯に測定して、母子手帳などに記録をつけておきましょう。
新生児用の体重計を借りるとらくちん
出来れば新生児用の体重計でチェックしたい赤ちゃんの体重ですが、新生児用の体重計は長くても1年も利用しないもの。買うのではなくレンタルで済ませるのも一つの方法です。新生児用の体重計は、ベビーベッドや歩行器などの赤ちゃん用品をレンタルしている業者で他のベビー用品と同じようにレンタルできます。
「レンタルしても置き場に困る・・・」という方は、保健所やデパートの赤ちゃん用品売り場に設置されている新生児用体重計を利用してみてはいかが?小児科などにも設置されていますので、普段からよく行く小児科なら病気でなくても訪れて、体重計を利用させてもらうようにしましょう。
生後3ヶ月を過ぎたらカウプ指数を使って赤ちゃんの体重をチェック
新生児は1日に33gほど増えていれば、健康に成長していると見ることができます。月単位でも1000gほど増えていれば特に問題はありません。ですが、生後3ヶ月を過ぎると赤ちゃんの成長の度合いも緩やかになり、運動量が増えることで体重増加も落ち着いてきますので、1ヶ月に1000gも増えないようになっていきます。
生後3ヶ月を過ぎると、カウプ指数を使って、体重が増えすぎているのか増えなさすぎなのかをチェックすることができるようになります。カウプ指数とは、肥満かそうでないかを見るときに用いる目安の数値。カウプ指数は約5歳まで利用できますので、覚えておくと赤ちゃんや子どもの健康管理に役立ちます。
カウプ指数の計算方法と見方
カウプ指数は次のように計算します。
カウプ指数=体重(kg)÷身長(cm)2×10000
例えば、体重が4.5kgで身長が60cmの赤ちゃんなら、カウプ指数=4.5÷(60×60)×10000=12.5となりますので、カウプ指数は12.5と計算できます。(注3)
カウプ指数は次のように見ます。
肥満ORやせ | カウプ指数の数値 |
---|---|
やせ | 13未満 |
やややせ | 13以上15未満 |
普通 | 15以上183未満 |
やや肥満 | 18以上20未満 |
肥満 | 20以上 |
先程の例では、カウプ指数は12.5でしたので「やせ」に入ると分かります。「やややせ」や「やや肥満」は特に問題はないと言うことができますが、「やせ」や「肥満」に入るときは、何らかの体重管理が必要になります。保健所や小児科で相談し、赤ちゃんが健康に成長していけるように必要な対策を行っていきましょう。
新生児はミルクをしっかりと飲んで排泄できていればOK
新生児にとっては数gの変化でも大きいと思うと、つい「体重があまり増えない・・・」と悩んだり、「体重が増えすぎている。だからといって食事制限させるのもかわいそう」と困ってしまったりするものです。
もちろん、赤ちゃんの健康に配慮して、少しの変化でも敏感に反応することも大切ですが、どの赤ちゃんにも個性と個人差があり、すべての赤ちゃんが育児書や厚生労働省が提示している資料のように成長していくわけではありません。
赤ちゃんが毎日楽しく暮らせている、健康でしっかりとミルクを飲んで、おしっこやうんちが出ていれば大抵のことは問題ないのです。
赤ちゃんの体重が気になる余り、一日に何度も測定して、その度に「増えている!」「減っている!」と一喜一憂するようでは少し気にしすぎ!
お母さんが心配し過ぎてしまうと、母乳の出が悪くなったり、ノイローゼ気味になって赤ちゃんに暗い顔を見せてしまったり悪い影響もないとは言えません。標準よりも小さくても、標準より大きくても、元気にしていれば問題ないという広い心を持って、赤ちゃんと暮らしていくようにしてくださいね。
参考文献