離乳食にチーズは注意点を守れば中期(7ヶ月・8カ月)からOK!
チーズは離乳食でたんぱく質を手軽に摂取できる食材として重宝しますし、味付けにも使えます!チーズは朝食のパンに乗せたり、グラタンやパスタなどに加えるとコクと旨味を足してくれる使い勝手の良い食材です。
スーパーやコンビニでも手軽に購入できるものから、高級食材として販売されているものまで一言にチーズといっても種類は様々です。どのチーズが離乳食に向いているのか、いつから食べさせられるのか、ご紹介します。
日本で販売されているチーズの種類は大きく2つ!
日本で食べられているチーズの種類は「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」に分けられます。
ナチュラルチーズ~フレッシュタイプ・ハードタイプなどがあるが離乳食にはフレッシュタイプを!
ナチュラルチーズとは、乳酸菌や凝乳酵素という生乳を固まらせる酵素を使って凝固させ、乳清(ホエー)の一部を除去したもの。また、これを熟成したものを指します。
原料となる生乳の種類(ウシやヤギなど)、使用する微生物や加工方法の違いによって、世界中で1000種以上のナチュラルチーズがありますが、フレッシュタイプ、白カビタイプ・青カビタイプ・ウォッシュタイプ・セミハードタイプ・ハードタイプに6タイプに分類することもできます。
フレッシュタイプ以外のタイプはすべて熟成させる際に衛生管理のために食塩を添加されています。
離乳食には、フレッシュタイプ(カッテージチーズやモッツァレラチーズ、クリームチーズ)の使用が望ましいでしょう。
プロセスチーズ~離乳食にはベビーチーズやスライスチーズを使用!
ナチュラルチーズの数種を加熱し、加工したものです。
加工した段階で、チーズの熟成は止まってしまいますが、加熱による殺菌作用があり、味が一定となり保存性も高くなります。
プロセスチーズの例としては、ベビーチーズ、スライスチーズ、ピザ用のシュレッドチーズが挙げられ、離乳食でも使用できます。
粉チーズとして使用されるのは、パルミジャーノ・レッジャーノ(パルメザンチーズ)というナチュラルチーズが有名ですが、商品の中には品質保持がしやすいように、他のナチュラルチーズを加工したり、プロセスチーズを主原料にした粉チーズもあります。
また、クリームチーズも、本来はナチュラルチーズのフレッシュタイプに分類されますが、やはり品質保持がしやすいように、日本では乳化という工程を得て、プロセスチーズとして販売されているのが一般的です。
チーズは加熱するべき?
ナチュラルチーズは、手作りのカッテージチーズ以外、殺菌ためにも離乳食で使う際には加熱調理を心がけましょう。
プロセスチーズは加熱処理されているので、くちどけの良いものであれば細かく刻めばそのまま与えても大丈夫です。
離乳食に向いているチーズの特徴
厚生労働省が策定した『授乳・離乳の支援ガイド』では、離乳食には塩分や脂肪分が少ないチーズであれば用いてもよいとされています(注1)。
脂質と塩分が少ないチーズと離乳食で与えられるタイミングの目安は次のようになります(注2,3,4,5)。※100gあたりの相当量。単位はg(グラム)。
初期 | 中期 | 後期 | 脂質 | 食塩 相当量 |
|
---|---|---|---|---|---|
カッテージ |
× | ○ | ○ | 4.5 | 1.0 |
モッツァレラ |
× | △ | ○ | 19.9 | 0.2 |
クリーム |
× | × | ○ | 33.0 | 0.7 |
プロセス |
× | × | ○ | 26.0 | 2.8 |
カッテージチーズ:中期(7ヶ月・8カ月)からOK
ナチュラルチーズのフレッシュチーズタイプにあたります。生乳から脂肪分を取り除いて作られるため、脂質が少なく、離乳食中期から初めて赤ちゃんに食べさせるチーズとしておすすめです。
市販品だと未開封で3ヶ月ほどの賞味期限ですが、開封すると日持ちせず、価格は1パック300円~500円とやや高めです。赤ちゃんに食べさせる分を作るだけなら、牛乳とレモン汁で手作りすると良いでしょう。
モッツァレラチーズ:後期(9カ月以降)からが安心
ナチュラルチーズのフレッシュチーズタイプにあたります。カードと呼ばれる固まった乳に熱湯を注いで作られます。
脂肪分を除いてはいないので、カッテージチーズに比べると脂質は多めです。中期でも与えてOKですが、脂質が多めで、もちもちとした食感なので、かなり小さく切らないと赤ちゃんにとっては食べづらいでしょう。
歯茎でつぶすのが上手になった、後期以降に与えた方が安心です。
クリームチーズ:後期(9カ月以降)からOK
ナチュラルチーズのフレッシュチーズタイプに分類されますが、日本ではプロセスチーズとして加工されているものも多いので、加熱せず使用できます。
食感は柔らかいですが、加熱殺菌された生乳と生クリームを乳酸菌で発酵させて作られるため、脂質は多めです。後期から与えることをおすすめします。
プロセスチーズ:後期(9カ月以降)からOK、粉チーズは中期(7カ月以降)から可
粉チーズ、スライスチーズ、とけるチーズ、ベビーチーズなど、日本人に馴染み深いのがプロセスチーズです。加熱処理されているので安心して与えられますが、塩分も脂質も多めです。
粉チーズは7ヶ月・8カ月頃から風味付け程度なら使用できます。その他、スライスチーズなどは後期以降に使用しましょう。
ちなみに、スライスチーズ1枚(約18g)の塩分量は0.5g程度です(注6,7)。
赤ちゃん用のチーズは、柔らかく、塩分をカットして作られているので、おすすめです。
1回に与えて良いチーズの量
厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準2015」では、6~11ヶ月の赤ちゃんのナトリウム摂取量目安は600mg/日、食塩相当量では1.5gにあたります(注8)。
ですが、ナトリウムは、乳製品、肉や魚などにも含まれていますので、単に食塩を1.5g以上使わなければよいという問題ではありません。
チーズを1日にどの程度与えて良いかは、チーズの種類・商品、他の献立内容によっても異なります。しかし、塩分や脂質が多いため、やはり与えすぎには注意が必要でしょう。
- スライスチーズ1枚(約18g)塩分量0.5g
- 粉チーズ小さじ1(5g) 塩分量0.2~0.3g
スライスチーズは、1枚で1日の3分の1の塩分を摂取してしまいます。生後9ヶ月以降、1/3~1/2程度を使い、1歳頃までは丸ごとの使用は控えましょう。
粉チーズも、生後7ヶ月では軽く振りかける程度にとどめておきましょう(注9)。
アレルギーには注意しよう!
チーズは乳製品の一つなので、アレルギーに注意が必要な食材です。
チーズの原料となる「乳」はアレルギーの症例や重篤になる例が多い食材であるため、消費者庁によって特定原材料の一つに指定され、食品表示に表示する義務が課されています(注10)。
乳製品のアレルギーがある赤ちゃんには与えるのを控え、初めて与える際は小さじ1さじにし、数時間赤ちゃんの体調に変化がないかチェックしましょう。
チーズを離乳食に使うメリット
塩分・脂質には注意が必要ですが、チーズは栄養満点な食材です!離乳食に取り入れることで、赤ちゃんにとって次のようなメリットがあります。
チーズには栄養がたっぷり!
カルシウム
チーズは生乳を原料としているのでカルシウムがたっぷり含まれています。カルシウムは骨の発達に欠かせないので、成長の著しい赤ちゃんにとって特に大切な栄養素です。
特にプロセスチーズやモッツァレラチーズには多く含まれています。プロセスチーズ10gでコップ1/2杯の牛乳とほぼ同量の63㎎というカルシウム量です。
たんぱく質
筋肉のもととなるたんぱく質も、赤ちゃんにとって大事な栄養素です。カッテージチーズ、プロセスチーズ、モッツァレラチーズに多く含まれています。
ビタミンB12
チーズには、貧血を予防するために必要なビタミンB12が含まれています。特にプロセスチーズには多く含まれていて、10gで乳児が1日に摂りたい0.5μgの60%に相当する0.3μgを取ることができます。
旨味が調味料の代わりになる!
チーズは、熟成する過程でうまみ成分のグルタミン酸が生成されています。グルタミン酸を多く含む食品は、他にはトマトや昆布、シイタケなどが有名で、いずれも出汁として活用できる食材です。
離乳食では、調味料は初期には必要なく、離乳が進むにつれての食品の味を生かしながら、薄味で美味しく調理することが望ましいとされています。チーズは調味料の代わりに、離乳食に旨味を加えられる頼もしい食材なのです。
チーズを使った離乳食レシピ
チーズを使った離乳食のレシピをご紹介します。チーズは野菜類とも相性が良いので、ここで紹介した野菜以外に、アレンジしてももちろんOK!風味づけやトッピングなど、チーズの旨味を活かした離乳食作りをしてみてください。
離乳食中期(7か月・8ヶ月)のレシピ
生後7ヶ月頃、初めて与えるチーズとしておすすめのカッテージチーズは、牛乳とレモンで簡単に手作りできます。少量だけ使いたいときに便利な方法です。
透明な液体は乳清(ホエー)と呼ばれ、栄養たっぷりの液体なので捨てずに、大人用の料理や飲み物に加えるのがおすすめです。
手作りカッテージチーズ
材料
- 牛乳(成分無調整)1/4カップ(50cc)
- レモン汁 小さじ1
-
耐熱容器に牛乳を入れて電子レンジ600wで30秒程度(60℃になるまで)加熱し、レモン汁を混ぜ合せます。
-
2~3分程度放置すると、透明な液体と白い固体に分離していきます。
-
2の状態になったらキッチンペーパーを敷いたザルをセットした容器に流し込んで濾して絞ります。
-
レモン汁の酸味で食べにくい場合は、バナナや加熱したりんごなど食べ慣れたフルーツと混ぜてアレンジしてみてください。
離乳食後期(9カ月~11ヶ月)のレシピ
生後9ヶ月を過ぎると、プロセスチーズも食べられるようになります。
チーズに含まれていないビタミンCが豊富な芋類やお野菜と組み合わせると、栄養のバランスも彩りも良くなります。
さつまいもと小松菜のチーズ焼き
材料
- さつまいも 1/5本(50g)
- 小松菜 葉先1枚(10g)
- スライスチーズ 5g (1/3枚)
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さつまいもは皮をむき、水に浸してあくを抜いてからラップに包んで電子レンジ600Wで1分加熱し、ラップの上からつぶして丸く成型します。
-
小松菜はラップに包んで電子レンジ600Wで20秒加熱し、みじん切りにします。
-
耐熱皿にさつまいも、小松菜、スライスチーズの順にのせてトースターでチーズに焼き目が付くまで(900wで5分程度)焼きます。
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焼き上がりを1口サイズに切り分けてつかみ食べ用にもできる硬さです。
ブロッコリーのクリームチーズ和え
材料
- ブロッコリー 20g
- クリームチーズ(プロセスチーズ) 1/3個(5g)
- かつおぶし ひとつまみ
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ブロッコリーはラップに包んで電子レンジ600Wで40秒加熱して赤ちゃんが食べやすいサイズにほぐします。クリームチーズは細かく刻みます。
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ブロッコリー、クリームチーズ、かつおぶしを和えます。
離乳食完了期(1歳以降)のレシピ
1歳を過ぎると摂取すべきカロリーや栄養素の量が増えるので、チーズの使用量を多少増やしても大丈夫です。
ピザトーストは使うお野菜を変えてアレンジもできますが、赤ちゃんが食べやすいように具材はあまり載せすぎないようにしましょう。
ピザトースト
材料
- 食パン(8枚切り) 1枚
- 玉ねぎ 10g
- ピーマン 1/8個(5g)
- ミニトマト 1個(15g)
- ピザ用チーズ 8g(スライスチーズ1/2枚程度)
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玉ねぎはみじん切り、ピーマンは短く千切りにしてラップに包んで電子レンジ600Wで20秒加熱します。
-
ミニトマトをみじん切りにし、1の玉ねぎとピーマンと混ぜ合わせます。
-
耳を切り落とした食パンの上に2とチーズをのせて、トースターでチーズに焼き目が付くまで(900wで5分程度)焼きます。
先輩ママがおすすめ!離乳食のチーズレシピ
【後期~完了期】チーズサンドイッチ
もえちん(30代)
材料:スライスチーズ 1枚、食パン1枚
- 耳をカットした食パンを半分に切ります。
- スライスチーズを乗せて挟み、手のひらで上からギューっと押し付けます。
- パンとチーズがぴったりくっつくので、包丁で1~1.5cm角にカットします。
ソフトタイプの食パンだとつくりやすいですが、乾燥気味のパンの場合はレンジで30秒ほど温めるとしっとりしてつぶしやすくなります。子供が手づかみでパクパク食べられて、お出かけにも持参できて便利です。
【完了期】チーズ入りカレーリゾット
モモコ(36歳)
材料:1歳から食べられるチーズ1本、1歳から食べられるカレー粉、おかゆ80g、人参、玉ねぎ、コーン、じゃがいも少々
- お鍋にみじん切りした、人参、玉ねぎ、じゃがいもを、入れて柔らかくなるまで煮る。
- 1におかゆ、カレー粉を入れて混ぜあわせます。
- 火を止めて、みじん切りにした、チーズを、入れて完成です。
1歳からOKのカレー粉などは、とっても便利です!常備しておくと、献立に迷ったときに活用できます!
チーズは幼児期にもおすすめ!
幼児期になると、牛乳が苦手でもチーズなら食べられるという子もいます。チーズにはたんぱく質やカルシウムがたっぷり含まれているので、幼児期や学童期など成長著しい子供のおやつとしてもぴったりな食材です。
市販の商品には鉄分を強化したものなどもあります。ぜひ冷蔵庫に常備して、チーズで手軽に栄養補給をさせてあげましょう!
参考文献
- 注1:授乳・離乳の支援ガイド – 厚生労働省
- 注2:文部科学省(食品データベース)乳類/(チーズ類)/ナチュラルチーズ/カテージ
- 注3:文部科学省(食品データベース)乳類/(チーズ類)/ナチュラルチーズ/モッツァレラ
- 注4:文部科学省(食品データベース)乳類/(チーズ類)/ナチュラルチーズ/クリーム
- 注5:文部科学省(食品データベース)乳類/(チーズ類)/プロセスチーズ
- 注6:雪印メグミルク 商品のご案内 スライスチーズ(5枚入り)
- 注7:森永乳業 商品紹介 クラフトスライスチーズ(7枚入り)
- 注8:厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015」乳児・小児
- 注9:雪印メグミルク 商品のご案内 粉チーズマイルド
- 注10:消費者庁 アレルギー表示について