水いぼになった時のプールマナー

水いぼでもプールはOK!本当にするべき感染対策&マナー

水いぼでもプールOK!昔はうつることを理由に保育園や幼稚園でのプールが禁止されていた水いぼ。しかし、水いぼがうつるのは浮き輪やタオルなどを一緒に使うからで同じプールの水に入っただけではうつりません。もし水いぼにかかったら気をつけることとは何か、対処法や治療法を解説します。

水いぼでもプールはOK!本当にするべき感染対策&マナー

水いぼはプールでうつる?プールNGは昔の話?

夏になり、赤ちゃんや子どものお肌にプツプツとした小さい赤いいぼを発見!
えっ!なにこれ!?とママは大慌てで病院へ!

でもちょっと待ってください!そのいぼはそんなに深刻な症状ではありません。それは「水いぼ」と言って、その名のとおり、赤ちゃんや幼児に多くみられる良性のいぼのことです。正式名称は伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)と言い、主に3歳から15歳までの子どもに多く見られる皮膚疾患ですが、1歳以下の赤ちゃんでも兄弟(姉妹)などから感染することはよくあります。
水いぼそのものができても痛みやかゆみはありません。しかし、水いぼができる子はアトピー性皮膚炎や乾燥肌などの傾向があり、肌の状態によってはかゆみや痛みを感じてしまいます。

通常大人は免疫があるので水いぼが出ることはあまりありません。ママは初めて見る水いぼに少し驚いてしまいますよね。

「良性のいぼ」で痛みもかゆみもないならならそのままでも問題ないと言いたいのですが、少し前まで「水いぼ」のある子はプールに入れず、保育園や幼稚園で「とってきて」と言われたママたちが夏になると皮膚科に駆け込むという光景がよくありました。

水いぼがあるとプールに入れないのは本当か、水いぼの原因と感染を防ぐためになにをすべきか、対処法や治療法について解説します。

新常識!?水いぼでもプールをあきらめることはない!

プールサイドで息巻くダンディな赤ちゃん

少し前までは「水いぼがあるとプールに入れない」と保育園や幼稚園で指導されることが多くありました。しかし、その現状は変わりつつあります。水いぼとプールに関して発表された学会や厚生労働省の見解をもと、水いぼがある場合にプールに入る際に本当に気を付けるべきことを見ていきましょう。

水いぼの症状とうつる原因

水いぼは直径1~3mmほどの大きさで丸く光っています。水が中に詰まっているように見えますが、真ん中がくぼんでいて潰すとはチーズのような白いかたまりが出てきます。この白いかたまりが水いぼのウイルスで感染源です

水いぼができるのは体全身ですが、特にわきの下や腕の内側やひざの内側、胸などに多くできやすい傾向があります。こういった部位は肌や衣類の摩擦でいぼが潰れやすく、中のウイルスがまわりの皮膚について増殖してしまうのです。また、汗をかきやすい部分なのでかゆくなることもあり、ついついひっかいてしまい悪化しやすいので注意が必要です。
爪が伸びているとひっかいてしまいどんどん悪化してしまいます。爪は短く丸く切ってあげてください。水いぼがかゆいようならかゆみ止めを塗ってガーゼを当ててひっかかないようにしてあげてください。

水いぼは基本的に肌が触れることによってうつる接触感染ですが、直接肌が触れなくてもタオルや衣服などから感染してしまうこともあります。暑くなって肌を出す時期になると保育園や幼稚園などの集団生活で次々に感染してしまいますがワクチンはありません。

赤ちゃんに兄姉がいる場合のお風呂の注意

兄弟(姉妹)がいる場合、家族で一緒にお風呂に入ることもあるでしょう。しかし、水いぼのウイルスは弱く、お風呂の中では感染しません。注意しなくてはいけないのはタオルやバスタオルです。
赤ちゃんが水いぼに感染してしまう原因として、保育園や幼稚園に通うお兄ちゃんやお姉ちゃんとのタオルの共用があげられます。赤ちゃんとお兄ちゃん(お姉ちゃん)のタオルは必ず分けること、お風呂に入った後はシャワーで洗い流すことを習慣づけましょう。

水いぼがある子は保育園・幼稚園でのプールがNGだった

プールに入るのが怖くて遠くから見つめる赤ちゃん

昔は水いぼのある子どもはプール禁止が一般的でした。水いぼは基本的には肌と肌が触れ合って起こる接触感染ですが、プールではビート板を胸にあて脇を挟んだりして使います。昔は今ほどビート板の衛生状態も良くなかったので、子どもたちの間で感染が広がる原因になりました。
しかし、子どもにとって熱もなく体調も悪くないのにプールに入れないということは辛いものです。水いぼの大きさや状態に関係なく保育園や幼稚園でのプールは禁止。ママたちも子どもを説得するのは大変でした。

「水いぼがあるとプールに入れないので、取ってきてください」と保育園や幼稚園などで言われるのが当たり前だったので、プールの時期が近づくとママたちは皮膚科に駆け込みました。
しかし、後述しますが、水いぼをとるというのは実なかなかたいへんな治療であったため、子どもやママたちの悩みの種だったのです。

水いぼでもプールOK!学会や厚生労働省による統一見解

水いぼでプールに入るときのマナー

昔は保育園や幼稚園、水泳教室など水いぼに対しての認識がそれぞれ違い、水いぼのためにプールが禁止されてしまうことがよくありました。

そこで、日本臨床皮膚科医会・日本小児科皮膚科学会・日本皮膚科学会の統一見解(平成27年5月)として「プールの水ではうつらないので入ってもかまわない」と水いぼを理由にプールを禁止する必要がないことを保育園・幼稚園・学校の先生方にお知らせを出しました。

出典:日本臨床皮膚科医会

また、厚生労働省保育課は保育園での対応は「学校保健法に準じる」とし、保護者に不満や不安がある場合は解消するようによく話し合うことを指導し、子どもにストレスのかかるほどのプールの禁止は行き過ぎだと説明しました。

水いぼがある場合のプールの感染対策&マナー

ママと一緒にプールで遊ぶ赤ちゃん

今は水いぼでもプールOKという認識が広がりつつあります。
ただし、水いぼが大きくなってきたときはちょっとした衝撃で破れてウイルスが出てしまうこともあるので注意が必要です。また、プールの水を通しては感染しないと行っても、水着になれば肌と肌が接触するリスクが高まるのは確かです。絆創膏などを貼ってお友達に感染させないように配慮することが大切ですね。

水いぼは絆創膏や洋服で覆う

水いぼは肌にウイルスが付いて感染するので子ども同士が触れ合い感染するのはプールだけではありません。日常の集団生活の中でも感染してしまうこともあるので洋服から出てしまう水いぼは絆創膏などで覆ってまわりのお友達に感染させない配慮が必要です。

プールでは貸し借りしない

日本臨床皮膚科医会・日本小児科皮膚科学会・日本皮膚科学会は

「プールの水そのものでは水いぼは感染しませんが、浮き輪やビート版、タオルの貸し借りでは感染してしまうので貸し借りはしないように、プールの後はシャワーで肌をきれいに洗い流しましょう」

と呼びかけています。

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レジャーなど海やプールは水いぼを露出しない

水いぼはプールに入ると感染すると思っている方もたくさんいます。
レジャーでお出掛けの際には水いぼが体中にあるとまわりの目が気になるママもいますし、快く思わなかった方とのトラブルの原因になりかねません。
ラッシュガードを着せることによって水いぼが見えなくなるので水いぼを気にしている子どもが気兼ねせずのびのびと遊べます。また、水いぼが水着から出てしまう箇所は水をはじくタイプの絆創膏(防水パッチ)を貼るのもおすすめです。

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NGな園もあるが、冷静に相談すること

保育園や幼稚園はその園の方針があります。小さな子ども同士なので感染を防ぐことを第一と考えリスクコントロールのためにプールが禁止の園はいまだにあります。また他の保護者の理解を得られないこともあります。

「専門家たちが統一見解を出しているじゃない!」「他の園ではOKだった!」などと園側の対応に感情的になるのはおすすめできません。あくまで冷静に事情を説明しながら、どうすれば入れるのか相談するというスタンスでいましょう。

水いぼの治療法|各方法のメリットとデメリット

水いぼ治療のために診察を受ける赤ちゃん

水いぼをどうするかはご家庭によって考え方が違います。治療をするにしてもどの方法を選ぶかは水いぼの出ている場所や数によって、赤ちゃんなのか幼児なのかなど年齢によっても異なるでしょう。

昔は保育園や幼稚園側から「水いぼをとってきてください」と言われて皮膚科にやってくる方も多かったのですが、1個や2個ならともかく、たくさんの水いぼをとるのは実はたいへんな作業で、子どもにとっても辛い治療が多いのが難点でした。プールに入れるのなら、自然治癒を待とうというご家庭も多いでしょう。

しかし、アトピー性皮膚炎や乾燥肌で自然に治るのを待つ間にどんどん悪化してしまうなど治療が必要となるケースや目立たないほどの傷でも気にするなど子ども自身の性格にもよります。肌を露出するコスチュームなどで発表会に出演することが決まっているなどの事情があるケースも考えられるでしょう。

体表的な水いぼの治療法・対処法を紹介します。

自然治癒が1番理想的だが、時間がかかるのが難点

水いぼは必ず自然に治ります。体に害がないので放っておいても問題はないのです。しかも手間もお金も掛けなくて済みます。ただし治るまでの期間が半年から1年かかってしまうのが難点です。
かゆみが出た場合はかゆみ止めを使ったりかきむしったりしないようにガーゼなどで保護をしましょう。水いぼは跡が残りませんがかきむしった跡は残ることもあります。

皮膚科での治療例

水いぼ治療で使われるピンセット

皮膚科での代表的な治療例です。水いぼの大きさや範囲によって、どのような処置をするのかが異なるようです。

ピンセットで水いぼをつまむ

水いぼをピンセットでつまんで取る方法です。ひとつやふたつならすぐに終わりますが、数が多いと数回に分けて通わなくてはなりません。特殊なピンセットで取るので自宅でママが持っているピンセットで取るのは無理なので真似しないようにしましょう!

ピンセットでの処置は痛く、血も出ます。はじめに痛み止めのテープなどを水いぼに貼ってから処置をしますが、それでも痛がることもあり、赤ちゃんや幼児には負担になります。
水いぼがたくさんある場合は全部取らないと、残った水いぼから感染してまた増える可能性があります。またすでに感染していても潜伏期間で表面に出ていなかった水いぼがその後に出てくることもあります。水いぼの数が少ない、どうしても気になる大きないぼだけ取る場合の処置と考えましょう。

硝酸銀で水いぼを焼く

水いぼの先端に硝酸銀を付けて炎症反応を起こして焼きます。綿棒で少量付けるだけなのでほとんど傷みはないのですがピリピリすることもあり、他の皮膚に付かないように乾燥させる必要があるため、じっとしているのが難しい赤ちゃんには向いていません

焼くと一時的に皮膚が黒っぽくなりかさぶたができるのですが10日から2週間かさぶたが取れるまでに時間がかかります。短期間で治りますが週1ペースで3~4回の通院が必要なので手間がかかるうえ治るまでの見た目がよくありません。また大きないぼには効果がないこともあります。

よく用いられる薬

小児科で水いぼの診察を受ける赤ちゃん

外科的治療を紹介しましたが、薬が処方されることもあります。治療に用いられる代表的な薬を紹介します。

非ステロイド消炎剤

皮膚トラブルがあると水いぼはさらに増えてしまいますので、かゆみを抑えて皮膚を健康に保つ必要があります。かゆみや湿疹があるときは、非ステロイド消炎剤を広くつけ、湿疹を増やさないようにするのが一般的です。
水いぼはステロイドを栄養にして増えていくので、ご家庭での勝手な判断は絶対にやめましょう。

漢方薬ヨクイニン・はと麦茶

水いぼにかかった体は免疫反応でウイルスを体の外に出そうとします。漢方薬には皮膚のウイルス感染から免疫反応をサポートする作用がありため、ヨクイニンを処方する医師もいます。また、はと麦茶には漢方薬のヨクイニンが入っていて体に害がないので安心して飲ませることができます。

服用は即効性がないので数ヶ月必要ですが、簡単なうえに痛くないので手軽にはじめられます。服用したから必ず治るというわけではなく約3〜7割に効果があります。水いぼは自然に治るものなのでヨクイニンの効果で治ったのかはっきりしないこともあります。

自宅治療ではイソジンでの殺菌が有名

水いぼの治療後で機嫌が悪い赤ちゃんをあやすママ

家庭で気軽にできて痛みもない方法として知られているのがイソジンを使った治療法です。イソジンはうがい薬として広く知られていますが、イソジンにはウイルスを殺菌する作用のあるヨウ素が含まれていてイソジンを直接水いぼに塗ることにより水いぼを殺菌し治すとされています。
しかし子どもによってはヨードアレルギーを起こしてしまうことがあります。かゆみが出たりかぶれるなどの症状が出る子どもには使用できません。アレルギー反応を起こさないケースでも確実に効果があるとはいえません。効果は子どもによってかなり違います。

みんなが楽しいプール時間のために

保育園や幼稚園のプールは子どもがみんな楽しみにしています。水いぼが原因でプールに入れないのはかわいそうですよね。園によって方針が違い難しい問題ではありますが、水いぼの状態によってはラッシュガードや防水パッチなどの利用で子どもの笑顔が見られるように変わっていくといいですね。

赤ちゃんに兄姉がいる場合は、家の中での感染には特に注意しましょう。お風呂に一緒に入るのはOKですが、タオルの共用はNG。お兄ちゃん(お姉ちゃん)には赤ちゃんにうつる危険をちゃんと伝えて、どうやって対策をとるか話し合ってみましょう。