赤ちゃんを母乳で育てたい!母乳マッサージのススメ
母乳で育てると、赤ちゃんが感染症にかかりにくくなる、ママの身体の回復が早いなど、メリットがたくさんあります。
しかし産後すぐにスムーズに母乳育児が進められる人はまれで、多くのママは、なかなか母乳育児が軌道に乗らずに苦労し、中には母乳育児を諦めてしまう人もいます。
産後なるべく早く母乳育児を軌道に乗せるためには、母乳マッサージがおすすめです。
母乳マッサージはなぜ必要?
母乳をあげ慣れていないママは、乳首が固かったり、おっぱいの血行が悪く母乳が出づらかったりします。
母乳マッサージは、こうした状態を外側からの刺激により改善し、赤ちゃんが母乳を飲みやすい状態にすることができます。
母乳がスムーズに出ないと赤ちゃんの体重に影響するから
赤ちゃんは出生時よりも2、3日後は体重が軽くなります。これは生理的減少といって必ずと言っていいほど起こります。
ママの母乳分泌量が少ない、赤ちゃんがおっぱいを飲みにくい状態になっている場合は赤ちゃんの体重が大幅に減ってしまいます。減少量が大きくなってしまうとミルクを足すよう産院から指示されます。
母乳マッサージを産前から始め、赤ちゃんが母乳を飲みやすい状態を作っておけば、より早いタイミングでの完全母乳育児を軌道に乗せることができます。
母乳がつまると体調不良を引き起こしやすくなるから
母乳がつまるとおっぱいに痛みを感じることがあります。産後すぐから4、5ヶ月くらいまでは傷みを感じやすい時期なので母乳マッサージをして、スムーズに母乳を出すことで傷みを予防できます。
母乳マッサージのやり方・目的別ケア
母乳マッサージは、自己流ではなかなか効果を実感しづらいもの。正しいやり方を覚えて、良いおっぱいを赤ちゃんに与えてあげましょう!
乳頭のつまりを解消するマッサージ
乳頭のつまりを解消するマッサージは、産前から行っておくとより効果的です。母乳は、実は赤ちゃんが生まれる前から作られています。
母乳は作られているのに、飲んでくれる赤ちゃんがまだいないので詰まってしまうことがあります。
出産が近づくと、乳頭に毛穴の角栓のようなかたまりができる人もいます。乳頭のマッサージをする前に、このかたまりを取っておきましょう。
つい爪で取ってしまいたくなりますが、乳頭に傷をつけてしまうと授乳が痛くて大変です。お風呂上りにベビーオイルをつけて優しくなでるように取り除きましょう。
乳頭がきれいになったら、いよいよマッサージを始めましょう。
乳頭のつまり解消マッサージ
1.マッサージする側の手でおっぱいを支える。
2.反対側の手の親指・人差し指・中指の指と腹を使って乳輪から乳頭をつまむ。
3.乳輪の外側から内側に向かって、さまざまな方向から圧をかける。
4.2~3を1分間ほど繰り返す。
乳頭が傷つきやすい状態を解消するマッサージ
母乳育児が軌道に乗る前の乳頭は、固くて赤ちゃんが母乳を飲みづらい場合が多くあります。赤ちゃんが母乳を飲みづらいと、ママの乳頭に負担がかかり痛くなってしまう場合もあります。
乳頭が痛くなると、授乳がつらくなるので、赤ちゃんがおっぱいを吸いやすい状態を作っておきましょう。柔らかく、よく伸びる乳頭にするのが目標です。
乳頭を柔らかくするマッサージ
1.親指・人差し指・中指で乳輪と乳頭をつまむ。
2.乳頭をさまざまな方向へ引っ張る。
3.乳頭を引っ張ったまま左右に回す。
4.2~3を1分間ほど繰り返す。
血行を良くして母乳を出しやすくするマッサージ
母乳は血液から作られているので、血行が悪いとスムーズに母乳が出ません。後に紹介するストレッチと合わせて行うとより効果的です。
母乳をたくさん出すマッサージ
1.おっぱいと反対の手でおっぱいを包み込む
2.おっぱいと同じ方の手で、おっぱいを外側から内側へと押す。(3回)
3.次におっぱいと反対の手でおっぱいを軽く持ち上げる。
4.おっぱいと同じ方の手で、おっぱいを上に持ち上げるように押す。(3回)
おっぱいは、放っておくと外側・下向きに流れていくので、それと逆方向(内側・上向き)にマッサージするのがポイントと覚えておきましょう。
血流をよくするためには、おっぱいだけでなく周辺の筋肉もほぐしておきましょう。
合わせてしておきたい!肩甲骨まわりの血流改善ストレッチ
1.膝を高めにしてあぐらをかく
2.両手をあげてわきを伸ばす
3.型と肩甲骨を大きく回す
4.肩甲骨どうしをくっつけるようにして後ろへ手を伸ばす
母乳マッサージと同じようにおっぱいの血流を改善するストレッチもおすすめです。
母乳が出やすくなるストレッチ
1.腕を肩の高さに上げる
2.腕を上げたまま、上下にねじる(タオルを絞るイメージ)
3.腕を天井に向かって上げる
4.腕を頭に沿わせて、わきの下を伸ばす
5.両肘を汲んで後ろへ倒す
6.肩を大きく回す
7.おっぱいを上に持ち上げて揺らす(10秒)
母乳マッサージQ&A
母乳マッサージの効果をより高めるために、ポイントを押さえておきましょう。
母乳マッサージを行うタイミング
マッサージは基本的にいつ行っても問題ありませんが、乳頭のマッサージは、乳頭が柔らかくふやけている入浴後がおすすめです。乳頭に詰まったカスも取れやすくなっています。
おっぱいを出しやすくするマッサージは、授乳前やおっぱいが張っていると感じた時に行うのがよいでしょう。
母乳マッサージはいつから始める?
母乳育児を早く軌道に乗せたくて、母乳マッサージも早くやりたいと思う人も多いかもしれませんが、開始する時期に注意しましょう。
産前の母乳マッサージ
産前の母乳マッサージは、妊娠29週頃から始めましょう。ただし、お腹が張りやすい人や、医師から切迫早産の兆候があると言われている人は妊娠37週から始めてください。
産後の母乳マッサージ
産後の母乳マッサージは、産後すぐから始めることができます。おすすめは産後の入院中に助産師さんにやってもらうこと。力の強さ加減が参考になりますよ。
乳頭の詰まりをとるマッサージは、自分では痛くない程度に行う人が多いと思いますが、マッサージで詰まりを取ろうとすると実はかなり痛い場合もあります。
痛みがあるまで行うと「こんなことしていいの?」と心配になる場合もあるので、そんなときには助産師さんにアドバイスをもらうと安心できますよ。
助産師さんにしてもらったマッサージ
しんちゃんママ
出産後、なかなか母乳が出にくかったので助産師さんに乳頭マッサージをしてもらいました。
すごい力でつままれて、思わず「イターイ!」と叫んでしまいました!あまりの痛みにびっくり。でも、そのおかげで今まで出ていなかったところからもおっぱいがにじみ出ていて、乳管が開通したんだ!という感じがしました。
母乳が出たときは
母乳が出るようになれば、無理に乳頭マッサージをする必要はありません。
母乳を出すためのマッサージは、おっぱいの張り具合や、赤ちゃんの体重の増え方などを見ながら、必要に応じて続けてみてください。
母乳マッサージを行う際の注意点
産後の母乳マッサージには特に危険なことはありませんが、産前の母乳マッサージは注意が必要です。産前に母乳マッサージを行いたい場合は、正期産に入った37週からであれば心配なく行うことができますが、それ以前から行いたい人は念のため医師に確認しておくと安心です。
母乳マッサージをプロに頼んでみよう
自分で母乳マッサージをしてなかなか効果が感じづらい、やり方がよくわからない、という人はプロに頼むのもおすすめです。
プロが行う母乳マッサージとは
母乳マッサージを提供している助産院や病院があることは知っていても、実際どのようなマッサージを行っているかまでは知らないことが多いですよね。
プロとセルフ決定的な違い
プロとセルフマッサージの違いは大きく二つあります。
- 力加減
- おっぱいの構造を理解した上での施術
おっぱいにどの程度の力をかけても問題ないのかは自分ではなかなかわかりづらいですよね。でも、マッサージはどんな部位であってもある程度の力をかけないと効果がありません。プロならば効果的な力加減をよくわかっています。
また、自分で行うマッサージは「おっぱいのこのあたりに手を当てて、こっち方向に押して…」と、何となく感覚で行うことになりますが、プロはおっぱいの構造をよく理解しています。
おっぱいの「基底部」や、「乳腺体」などと言われてもピンときませんよね。プロはどこを刺激すれば効果的なのかをよく理解しています。
プロが行う母乳マッサージ
母乳マッサージで最も有名なのは「桶谷式」ですよね。また、産院の母乳外来でも母乳マッサージを行っている場合もあります。
プロに母乳マッサージを頼むのは、適切な方法で行ってもらえるだけでなく、母乳育児の相談ができることもメリットの一つ。少しでも不安なことがあれば相談してみましょう。
■痛くないマッサージが特徴「桶谷式」
桶谷式は、2016年8月現在、全国に300か所以上の相談室があります。マッサージは「痛くない」のが特徴で、産後すぐから卒乳までケアしてくれます。
母乳マッサージだけでなく、赤ちゃんにおいしいおっぱいを飲んでもらうための食事法や、おっぱいが張って困ったときの搾乳の仕方など、母乳育児中に直面する数々の疑問や不安にも答えてくれます。
桶谷式でおっぱいの調子が良くなった♪
まりあんぬ
ずっと悩んでたからおっぱいメンテナンスで桶谷式マッサージを体験。やっぱり母乳溜まり気味だったらしく、絞られて飛んでくる母乳が冷たかった!!!
溜まってた母乳って冷たいらしいです。久々にやわらかいおっぱいに戻りました!
痛くなかった
マダム
噂通りマッサージ痛くないし思ってたより食事制限厳しくないし、行ってみて良かった。これでおっぱいトラブルが解決するといいなぁ。
■産院で行っていれば是非受けたい「母乳外来」
母乳外来は、桶谷式と同様、おっぱいが出ない時・おっぱいが張って痛い時などにマッサージをしてくれたり、育児相談に乗ってくれたりする所です。
母乳外来は、産婦人科や助産院で受けることができます。産院によっては、退院後1週間をめどに母乳外来に来るように指示される場合もあります・。
- 母乳外来とは?母乳育児の味方「母乳外来」の費用と利用方法
母乳外来とは母乳にまつわる悩みやトラブル全てをサポートする母乳育児ママの心強い味方です。母乳の悩みを抱えるママのためにある母乳外来、実際にみんなが受診している具体的ケースや費用など母乳外来について詳しくご紹介。
退院後の母乳外来では、まず赤ちゃんの体重の増え具合を確認します。自分では母乳育児が問題なくできていると思っていても、体重が増えていないことで実はおっぱいの出が悪かった、とわかることもあります。逆に、ミルクを足していたら体重が増えすぎていた、なんていうことも。
入院中の経過を踏まえて指導してもらえるので、産院で案内があった場合は受診しましょう。
母乳外来に行ってよかった
かずみ
普通は退院したら次は1カ月健診だけど、母乳外来通ったおかげで赤ちゃんの様子も見てもらえたし、色々分からないことも聞けて良かった!赤ちゃんの体重も順調に増えてるみたいで安心しました。
■自由診療なので費用にもバラツキがある
桶谷式も母乳外来も自由診療なので、費用はさまざまです。
桶谷式の場合は、初診料が5,000円~、再診料が3,500円~、往診料が7,000円~というのが目安。おっぱいの状態によって施術内容が変わるので費用も変わってくるようです。また、どれぐらいの頻度・期間受ければよいのかもママの状態によって異なってきます。
母乳外来は、基本的に自由診療で3,000円~5,000円というところが多いです。ただし、病院によっては「乳腺炎の治療」という名目であれば保険がきく場合もあります。
いいおっぱいを飲んでもらうために頑張りましょう!
母乳育児では母乳が出ない悩みがつきもの。悩みが無い人の方が少ないぐらいなので、うまくいかなくても気に病まないようにしてくださいね。
母乳マッサージを続けて、赤ちゃんがおっぱいを飲みやすい状態を作ることができれば、後は赤ちゃんがおっぱいを飲むほどに母乳は出やすくなっていきます。母乳育児はママと赤ちゃんの共同作業です。楽しみながら頑張りましょう!