赤ちゃんの歯ぎしりについて

赤ちゃんが歯ぎしりする考えられる原因と治す方法

赤ちゃんがギシギシと歯ぎしりすることがあります。大人が寝ているときに歯ぎしりするのはストレス起因が多いと言われていますが、赤ちゃんの歯ぎしりは何が原因なのでしょうか。また、注意をすべき歯ぎしりについても説明します。

赤ちゃんが歯ぎしりする考えられる原因と治す方法

赤ちゃんの歯ぎしりの原因は何?月齢による意味の違い

歯ぎしりは大人だけと考えているママも多いかもしれませんが赤ちゃんも歯ぎしりをします。
赤ちゃん全体の1~2割が歯ぎしりをすると言われているので、赤ちゃんが歯ぎしりをしても特に驚くことではないですよね。
そもそも赤ちゃんの歯ぎしりの原因は何なのか、また月齢によって歯ぎしりの意味合いがどう異なるのかについて見ていきましょう。

赤ちゃんの歯ぎしりの原因

歯ぎしりする赤ちゃんとおでかけするママ

大人の歯ぎしりは、睡眠中に無意識でしてしまうものです。ですが、赤ちゃんは、日中に起きているときも寝ているときも、無意識に歯ぎしりをしてしまいます
大人が歯ぎしりをするときは、ストレスがたまっていることや歯をくいしばる癖、歯並びが悪いことなどが原因になっていることが多いです。また、虫歯や歯周病などの口内疾患があるときも、激しく歯ぎしりをしてしまうことがあります。

では、赤ちゃんの歯ぎしりにはどのような意味が込められているのでしょうか。考えられる歯ぎしりの要因を紹介します。

乳歯が生えるために歯茎がむずがゆい

乳歯が生える頃は、歯茎がむずがゆくなり、赤ちゃんは機嫌が悪くなったり、おもちゃなど固いものをガジガジとかじって不快感を和らげようとします。これは歯ぐずりと呼ばれる症状ですが、お母さんと遊んだり、何かに集中したりしているときは歯茎のむずがゆさが気になりにくいのですが、寝ているときや特に何かに夢中になっていないときは歯茎に意識が集中してしまい、つい、むずがゆさを解消しようとして歯ぎしりをしてしまいます。

歯ぐずりでイライラしている赤ちゃんをなだめる10の対策
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口の中の違和感・かみ合わせの確認

歯がまだ全部そろっていないので、歯をかみ合わせることも、赤ちゃんにとっては慣れていない動作となります。
ぎこちなく口を動かすことで、歯をかみ合わせることを練習するのです。また、歯が1本生えてくるごとにかみ合わせも変わってきますので、口の中の違和感を確かめるためにも、日常的に歯ぎしりをしてしまいます。

あごの筋肉を発達させるため

生まれたばかりの赤ちゃんは、ミルクやおっぱいなどの液体だけを体内に摂り入れて生活しているので、『噛む』という動作は必要ありません。
ですが、離乳食を体内に取り入れるようになると、『噛む』と言う動作がとても大事な役目を帯びていきます。そのため、普段はあまり行わない『噛む』と言う動作を行い、あごの筋肉を発達させるためにも歯ぎしりをするのです。

月齢による歯ぎしりの意味合いの違い

歯ぎしりしながら対面で寝る姉弟

赤ちゃんが何のために歯ぎしりをしているかは、月齢や年齢である程度推測できます。

生後3ヶ月~1歳は歯茎の痒さが原因

生後3ヶ月~1歳の赤ちゃんが歯ぎしりをしているときは、前歯が生えてくる時期なので『歯茎のむずがゆさのため』に歯ぎしりをしていると考えられます。
実際に乳歯が生え始めるのは生後6ヶ月ごろが多いのですが、歯茎のむずがゆさは、早い赤ちゃんでは3ヶ月頃から感じるようです。

赤ちゃんによっては、歯茎のむずがゆさを、歯ぎしりではなくおもちゃなどを噛むことで紛らわすこともあります。「何でも口に入れてしまうのは止めさせたい」と思うお母さんやお父さんも多いことでしょう。
ですが、赤ちゃんはおもちゃを口に入れることでむずがゆさを解消しているので、赤ちゃんの行為を止めるのではなく、飲み込んでしまう可能性のある小さなおもちゃや喉につめてしまう可能性のある細長いおもちゃは、赤ちゃんの周りに置かないようにし、こまめに洗浄して清潔なおもちゃを赤ちゃんが口に入れられるようにしてあげましょうね。

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生後6ヶ月~1歳半は歯に興味がでてくる

フロアマットの解体に忙しい赤ちゃん

乳歯が生えてきて、歯の感触やかみ合わせの感触を赤ちゃんが楽しむようになる時期です。特に生後8ヶ月~9ヶ月頃は、前の下の歯だけ生えた状態になりますので、その歯をギシギシとかみ合わせることが面白いのか、何度も繰り返す動作をする赤ちゃんが多くなります。
赤ちゃんにとっては興味のある動きなので、無理に止めたりせずに、唇を噛んで怪我をしないように気を付けてあげましょう。

2歳~3歳は奥歯の違和感が原因

奥歯が生えてくる時期なので、奥歯のかみ合わせを確かめるように何度も歯ぎしりをするようになります。奥歯に違和感を覚えるときも、歯ぎしりの回数は増えます。

4歳~6歳はかみ合わせや痛みが原因

早い子どもでは、大人の歯に生え換わる時期です。大人の歯が生えてくることで歯と歯のすき間が広がったり、反対にすき間がなくなってしまったりしますので、常に口内に違和感を覚える時期でもあります。
かみ合わせがしっくり来ないときや痛みを感じるときに、無意識に歯ぎしりをしてしまいます。

また、幼稚園に行く年齢になると、生活の変化や周囲の環境によってストレスを感じる子どももいます。引越しをして幼稚園や保育園に馴染めなかったり、親や先生などの厳しい注意をストレスに感じたりすることもあります。
何らかのストレス因子が重い当たる場合は、歯ぎしりについて注意をしない方がよいでしょう。注意を受けると、さらにストレスが強まり、歯ぎしりの程度が深刻化することもありますよ。

歯ぎしりの影響が心配!どのような対策を取れるか

机に何かを見つけて手に取ろうとする赤ちゃん

赤ちゃんの歯ぎしりは、乳歯が生えるむずがゆさを解消したり、かみ合わせの確認やあごの筋力を鍛えたりするなどの成長過程における正常な行動なので、特に気にする必要はありません。
ですが、骨格が変わるほど激しく歯ぎしりをしたり、歯並びに影響を与えたりするようになると、ただ見守るだけではいけませんよね。
ママが赤ちゃんのためにできる歯ぎしりの対策です。

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受け口、いわゆるしゃくれにならないか

下の歯だけ出ている状態で歯ぎしりをしつづけると、下の歯列が上の歯列より大きくなって、『受け口』と呼ばれる状態になってしまうことがあります。「大きくなってもこのままだとどうしよう」と慌てるお母さんもいらっしゃいますが、上の歯や奥歯が生えて歯がそろうようになると、ほとんどの場合、すぐに元通りのかみ合わせに戻りますので、あまり心配する必要はありません。

とは言うものの、3歳を過ぎて子どもの歯が全て生えそろったにもかかわらず、『受け口』の状態が続いている場合は、歯科医院に連れて行って、相談する方が良いでしょう。大人の歯に生え換わると、また歯並びが変わってきますが、必要ならばマウスピースなどの矯正補助器具を装着することになるかもしれません。

歯はすり減らないか

ママと一緒に遊びたくて手を握る赤ちゃん

赤ちゃんのあごの力は、大人のあごの力と比べるとまだ弱いので、歯ぎしりを続けたとしても、大人が歯ぎしりをして歯を傷めてしまうほどにはダメージを与えません
ですが、先天的にエナメル形成不全(歯の一番外側のエナメル質がもろい体質)の赤ちゃんや虫歯がある赤ちゃんの場合は、歯ぎしりによって歯が擦り減ったり歯が欠けたりすることがあります。

赤ちゃんの歯ぎしりがひどい場合は、定期的に口の中をのぞいて、歯が擦り減ったり欠けたりしていないかチェックするようにしましょう。

歯列に影響を与えないか

少々の歯ぎしりは、歯列をキレイに整えることにも結び付きますが、激しい歯ぎしりは、かみ合わせを悪くしたり、前歯が前に飛び出たり等の悪影響を及ぼすことがあります
歯ぎしりがひどいために歯列が悪くなっていると思えるときは、早めに歯科医師に相談し、夜寝るときにマウスピースを装着するなどの対策を取るようにしてください。

歯茎に影響を与えないか

歯ぎしりする赤ちゃんを心配するパパ

歯が生えていない状態で激しく歯ぎしりをすると、歯茎から血が出ることもあります。歯茎から血が出ると口の中が真っ赤に染まるのでママは驚くかもしれません。
でも歯ぎしりをする赤ちゃんにはよくあることなので特に慌てる必要はありません。上下に歯が生えてくれば、歯ぎしりをしても歯茎に直接当たることがなくなり、出血も自然と減ります。

歯茎からの出血頻度が高い場合は、歯固めを与えてみるのはいかがでしょうか。一日になんどか水洗いして、清潔さを保つようにする必要はありますが、赤ちゃん自身の歯茎の損傷を減らせられますよ。

歯ぎしりをする赤ちゃん!こんなときは注意して観察しよう

歯ぎしりをするのが自然なことと言っても、2~3歳になって乳歯が全部生えそろってからも激しく歯ぎしりをするときは、注意して観察することが必要です。

かみ合わせが悪いから歯ぎしりを続ける場合

大の字で寝ながら歯ぎしりする赤ちゃん

乳歯が全部生えそろっているのに歯ぎしりをするのは、かみ合わせがしっくりこないのかもしれません。

このような状況が見られると、かみ合わせが悪くなります!

  • 歯が前後に飛び出るように生えている部分がある。
  • 歯と歯の間にすき間がある。
  • 生えるべき歯が生えていない(乳歯が20本未満)。
  • あごが出ていたり、反対にあごが引っ込んでいたりすることで、うまく上下の歯がかみ合わない。

歯ぎしりの頻度が高い場合

ほとんど毎晩歯ぎしりをしたり、3歳になっても日中の歯ぎしりが続いたりするときは、歯列やかみ合わせ以外に問題があるのかもしれません。
虫歯や歯周病がないか、一度歯科医師に診てもらうようにしましょう。

赤ちゃんが不機嫌でいることが多い場合

機嫌が悪くなりカーテンの後ろに隠れる赤ちゃん

日中楽しそうに歯ぎしりをしたり、おもちゃを噛んだりしているときは、正常な成長過程における歯ぎしりだと判断しましょう。
ですが、歯ぎしりをしながら不機嫌そうにしているときや、普段から機嫌が良くないことが多いときは、口腔内もしくは身体的、精神的な問題がある可能性が高いと言えます。

歯科医院に連れて行って検査をし、問題が見当たらないときは内科的検査を受け、体のどこかに不具合がないかを徹底的に調べましょう。
また、普段の生活を振り返って、赤ちゃんにストレスをかけるようなことがないのか探って見るようにしましょう。

赤ちゃんとストレス

幼稚園や保育園など、親や家族以外の人とのつながりが生まれると、子どもの世界も広がります。世界が広がることは好ましいことだと言えますが、ストレスを与える要因も増えることになりますので、家にだけいたときと比べると、お母さんやお父さんは子どものちょっとした変化に敏感に気付くようにならなくてはなりません。

幼稚園児がストレスのために暴力的な行動に出たり、円形脱毛症やチック症状、湿疹などのストレス性拒否反応が見られたりすることは少なくありませんが、幼稚園に入る前の赤ちゃんでも、ストレスのために体に異変(歯ぎしりや不機嫌等)が見られることもあります。

特に2~3歳の子どもは、お母さんやお父さんへの愛着が強く芽生えてくる時期にいます。この時期に保育園に入所したり、下の赤ちゃんが生まれてお母さんを取られたような気持ちになったり、お母さんやお父さんの病気やその他の事情のために別居生活を送らなくてはならなくなったりすると、歯ぎしりや不眠、不機嫌、異食などの特徴的な行動が見られます

赤ちゃんに不安を与えているかもしれないと思うときは、スキンシップを増やしたり、いつも以上に目をしっかりと合わせて話しかけたり、赤ちゃんのことが大好きだと言うことを積極的に言葉や態度で示したりすることが大切ですね。

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歯ぎしりは成長のあかし!気になるときは歯医者さんへ

歯ぎしりは、赤ちゃんの成長の証でもあります。歯茎がむずむずするということは、乳歯がしっかりと生える準備をしているということを意味していますし、かみ合わせの調整やあごの筋力の訓練は、ものをしっかりと食べる準備をしているということを意味しています。
ですが、歯列やかみ合わせ、歯茎、歯そのもの等に影響を与えてしまうほどひどい歯ぎしりをする場合は、すぐに歯科医師に診てもらい、専門的なアドバイスや治療を行う方が良いでしょう。

とはいえ、歯科医師の方針に納得がいかないときもあるでしょう。まだ月齢が少ないにもかかわらず毎晩マウスピースを装着するように指示されたり、日中もなるべくマウスピースを付ける方が良いと言われたり、反対に、明らかに歯が前に出てしまっているにもかかわらず、何の処置も行ってくれなかったりすることもあるかもしれません。
そのようなときは無理に納得するのではなく、他の歯科医院の門をたたき、セカンドオピニオンを求めるようにしましょうね。

乳歯はすぐに抜けてしまうものですが、一生使い続ける永久歯にも影響を与えます。また、あごの形やかみ合わせも、3歳を超えれば放っておいても自然にキレイになることは少なく、人為的に矯正しなくては治らないこともあります。
虫歯のない歯とキレイな歯並びは、赤ちゃんの一生の健康を左右するものでもありますので、「たかが歯」「受け口でもかわいい」とは思わずに、こまめに口内をチェックして、きちんと管理してあげるようにしましょう。