赤ちゃんの向き癖はよくない?向き癖が出る仕組みと予防法・対処法
無事出産を終え入院生活が終わると、いよいよ本格的に赤ちゃんとの暮らしがスタートします。初めての育児はわからないなりにも、ふと気になることも多くあります。
そんな中、「あれ?なんだかこの子、いつも同じ方向を向いているな…」と感じたことはあるでしょうか?それ、「向き癖」かも。
向き癖はどうして起こるのか、赤ちゃんにどのような影響があるのか、予防法や対処法、そして向き癖の原因についても探っていきましょう。
赤ちゃんの向き癖ってどんなもの?
大人の私たちでも、姿勢が右に傾きやすい、寝るときは大体左を向くのが落ち着く、といった多少の癖があります。赤ちゃんをいつも同じ側に傾いた状態にしておくと、大人と同じように「落ち着く側」ができてしまいます。これを向き癖と呼びます。
赤ちゃんが同じ方向を向く理由
首を支えるだけの筋肉が発達していないまだ首据わり前の赤ちゃんは、重い頭部を自由に動かせませんが様々な状況における快不快によって無意識的に居心地の良い方を向いてしまいます。
特に光や音を気にしてか、いつの間にかそちらの方向を向いている―――というのはよくあること。
これが毎日、長時間繰り返されることにより、いつしか片側に傾いている状態が「落ち着く状態」つまり「向き癖」となってしまうのです。
向き癖の影響
産まれたばかりのときつるんとした左右対称の形だった頭の形が、気づくと少し左右に歪んでいる…?向き癖によってか頭の形に歪みが発生すると親心としては心配になります。
向き癖はこのままにしておくと、頭の歪みがさらにひどくなるものでしょうか?
赤ちゃんは自分の落ち着く方向を無意識的に選んでしまいますが、もしそれが、左右どちらかに偏っているなら、柔らかい頭蓋骨はさらに歪んでしまうことはあり得ます。
とはいえ、低月齢の向き癖もそれによる頭蓋骨の変形も、病的なものでなければ医学的な問題はほとんどありません。すさまじい絶壁だとしても、それが脳の働きに影響を与えることはなく、見た目の問題となります。
向き癖と頭の形の関係
向き癖は「あってはいけないもの」というレベルのものではないにしろ、少なからず赤ちゃんに影響を与えます。なかでも絶壁など頭の形の変形は目に付きやすい分、赤ちゃんへの影響として最たるものと言えます。
- 赤ちゃんの頭の形が歪む7つの要因&絶壁改善はいつまで?
赤ちゃんの頭の形は、生後まもない頃は歪みやすいのです!どんな原因で、どんな風に歪んでしまうのか、いつまでなら治る可能性があるのかを解説します。併せて、絶壁や歪みを治せる時期や治し方もご紹介。
■頭や耳の形が変形する
向き癖によって片側や後頭部のみなど頭部の一部分に集中的に圧がかかると、頭の形にも影響を及ぼします。
赤ちゃんの頭を上から見たとき、あまりにも頭が斜めに変形し左右非対称である場合や著しい絶壁は、髪の毛が生えてきたとしてもヘアスタイルによってはその形が目立ってしまいます。
また、強い向き癖を放置すると、ときに耳の形にも影響することもあります。
機能に問題はないにしろ、見た目でからかわれてしまわないかと思うと、親としてはやはりできるだけ向き癖はつかないようにしてあげたいですね。
■赤ちゃんの頭の形は変わりやすい
固い大人の頭は向き癖によって頭が歪んでしまうことはありませんが、赤ちゃんの頭は違います。
赤ちゃんは産まれてくるときに狭い産道を通って無事娩出するため、また、生後数ヶ月の頭部の成長速度の早さに対応するため、赤ちゃんの頭蓋骨は柔らかく、またひと繋がりではなく4つに分かれています。
赤ちゃんは頭が柔らかいから無事に生まれてこられるし正常に成長もしていけるのですが、変形しやすい特徴は外部からの圧によっても影響を受けてしまいやすいのです。
医学的に悪いわけではない
ですが、向き癖も頭の歪みも医学的に何か影響が出るわけではありません。
特に低月齢のうちの向き癖は首が据わり、寝返りや一人座りをするようになると自然に消滅していくものですし、頭の歪みも成長に伴いある程度は自然と目立たなくなっていきます。
日本人の絶壁は向き癖によるものではなく遺伝的要素
頭の形については、言ってしまえば誰にでも多少の歪みや出っ張りはあって、むしろ完璧に美しい頭の形が珍しいほどなのではないでしょうか?
また、日本人の遺伝的な特徴として後頭部が平らな絶壁頭の人は多い傾向にあり、絶壁度合いがはっきりするに比例し頭の形をコンプレックスに感じがちですが、多くの場合は髪の毛で隠すとほとんどわからなくなります。
向き癖が頭の形に与える影響は多かれ少なかれあれど、向き癖や頭の形は医学的に問題のあるものでもなく、どの人にも頭の形の歪みはあるものなのです。
できれば予防してあげたい気持ちは持っていても、向き癖も頭の形も成長とともに緩和・消滅される面や遺伝的要素もあるため、なにがなんでも徹底して対策しなければならないわけではないことを頭に入れておきましょう。
産まれてすぐから意識して向き癖撲滅!向き癖対処法
一度向き癖がつくと、赤ちゃんはその角度が心地よくなり無意識的にいつも同じ側に傾いてしまうため、向き癖は予防が大切。
赤ちゃんの向き癖予防は、産まれてすぐから意識して予防してあげましょう。向き癖がつかないようにしてあげることで、頭の形を綺麗に保つメリットがあります。
もうすでに、向き癖がついてしまっている赤ちゃんも早い段階で向き癖に対処してあげますが、基本的には大きな問題はないのであまり無理強いさせないように赤ちゃん優先で対処していきましょう。
向き癖から頭の形を守りたい!月齢別向き癖との向き合い方
生後2〜3ヶ月はこまめなケアを
一番向き癖がつきやすい首すわり前の時期は、逆に向き癖が治りやすい時期でもあります。頭の形が変わってしまう前に、赤ちゃんの向き癖にアhこまめにケアをしましょう。すでに向き癖により頭の形が割ってしまっていても、早い段階に対処できると頭の歪みは半月くらいで取れるといいます。歪みが緩和されれば、自然と赤ちゃんの向く方向にも変化があるでしょう。
生後4ヶ月~半年くらいからは向き癖は自然にとれる
首がすわり、自分の意思で首を動かせられるようになっていくので、多くの場合向き癖は自然にとれていきます。
しかし反対に、頭の骨は徐々に硬くなっていきますので、これくらいの時期から向き癖でついた頭の歪みを緩和させるには、2〜3ヶ月のケア必要になります。頭の形の歪みには気付いた0段階ですぐにケアを開始しましょう。
こうやって向き癖を矯正!様々な対処法
向き癖は早く治すに越したことはありません!頭の形が歪んでしまう前に矯正できればベストです。意外と簡単な方法で向き癖をケアできますが、いずれも月齢が低いうちに取り組むようにしましょう。
寝ている方向を変える
音や光に反応して、ママの声が聞こえるほうや、部屋の明かりが出ているほうばかりを向く傾向があります。そのため、いつも同じ場所で赤ちゃんを寝かせていると、向き癖がついてしまいます。定期的に布団やベッドの位置を変えてあげましょう。それだけでもしっかりとした予防策になります。
向き難い方向にメリーやおもちゃを置く
赤ちゃんにとって、メリーは好奇心をくすぐられるおもちゃのひとつ。くるくる回って音もしっかり出るメリーは昼間の向き癖改善に最適です。
もしメリーを同じ位置に固定させているのなら、向き難い方向にお気に入りのメリーを飾ってあげましょう。赤ちゃんの興味をくすぐりながら、首を違うほうに向けるトレーニングが叶います。
タオルで体勢を固定する
首が据わっていない赤ちゃんも寝やすい体勢がありますから、一度ついた向き癖を変えるのは簡単ではありません。反対方向に向き直す筋力がまだないこともあるからです。
赤ちゃんの向き癖を矯正する一般的な方法に、向き癖がついた側と反対方向にも体を向けタオルで固定して支える方法があります。
少し大きめのタオルをたたんで、傾いて寝転がった赤ちゃんの首や体の下に敷いて、支えてあげましょう。赤ちゃんが普段しない反対方向の体勢をキープし向き癖を緩和できます。
■タオルで姿勢を固定するときの注意
ママの目の届く範囲で使うことが原則です。特に体を意識的に動かせない赤ちゃんは、何かの拍子で顔にタオルがかぶってしまって苦しくても手で払いのけることも上手にできません。事故を防ぐ意味でも、タオルで土手を作って寝かせるのは、日中だけにしておきましょう。
向き癖防止クッションを利用しましょう
向き癖防止は便利なグッズもあります。赤ちゃんの頭から肩甲骨くらいまでにかけて丸太状のクッションを挟んで寝かせることで、偏った向き癖がつくことを防止し、ついてしまった向き癖を緩和することができます。
赤ちゃんはどうして同じ方向ばかりを向くの?向き癖の仕組み
赤ちゃんにも自分の向きやすい方向があって、あっちを向いたりこっちを向いたりして心地よい方向を探しています。もし、赤ちゃんがいつも同じ方向に傾いていたら、それは向き癖となりますが、向き癖がつく理由はだいたい決まっているものです。
どうして向き癖がついたのかな?という部分にも目を向けてみると、赤ちゃんのケアに役立ちますよ!
向き癖は、お腹の中と産まれてすぐの環境が原因となる
多胎妊娠の場合お腹の中ですでに向き癖がついてしまっているケースもありますが、多くは生後間もない頃に癖となるようです。それぞれの理由を見てみましょう。
筋性斜頚(向き癖の原因
向き癖が強い子の中には、何らかの原因で首にしこりができている筋性斜頚の赤ちゃんがいます。
赤ちゃんは首にできたしこりのせいで、常に同じ方向に首を傾けるわけですが、ほとんどは成長とともに自然消滅するため、仮に筋性斜頚と診断されても乳幼児期は特別な処置なく経過観察をします。
筋性斜頚は、出産のための入院時や生後1ヶ月の健診のときに医師から指摘・診断されることが多いようです。
光や音がする方向を向く
赤ちゃんは光や音の方に向く特性を持っています。
赤ちゃんから見て右側に電灯があれば、赤ちゃんは無意識にそちらの方を向いてしまう、ママの声がする方を向いてしまいます。音や光が毎日同じ方向から出ていると、その方向に向き癖がつきやすいといえるでしょう。
多胎妊娠など子宮内での姿勢が限られていた
子宮内は、出産日が近づけば近づくほど、狭くなっていきます。妊娠後期になると、これまでお腹の中でくるくると自由に動いていた赤ちゃんは、動くことが難しくなるほどに成長していきます。子宮の中は狭いので、決まった体勢をとるようになると、向きやすい方向ができることがあります。
外の世界に出てきたばかりで不安な赤ちゃんは、子宮内と同じ背骨をカーブさせた姿勢にさせてあげると安心して寝られることも多いのですが、子宮内で向き癖がついている場合はどちらかの側に布が当たっている状態を好みます。
双子などの多胎児は、狭い子宮内をさらに二人以上で分け合って過ごしているので、お腹の中の時点から向き癖がついていることは単胎児より多いと言います。
産まれたときに頭が歪んでいたから傾いてしまう
赤ちゃんが産まれるときは狭い産道に合わせて頭蓋骨を変形させるのですが、頭の形が少し変形しているまま平らな布団に寝かされたなら、赤ちゃんは自然と自分の頭のおさまりが良い方を向いてしまいます。それがそのまま向き癖となることも。
保育器での体勢の影響から
産まれてすぐ経過観察の必要があったり医療措置を受ける必要があるときは、NICUや保育器に入ることもあります。このなかで医療措置をするとき、点滴の管やその他の器具の関係で、赤ちゃんはやや横向きに寝かされますが、その後も一時的な向き癖がみられることも。
この場合は向き癖がつく云々の前に優先すべき理由がありますので、向き癖にはその後のケアで対応しましょう。
先天性股関節脱臼からくることも
おむつ替えのときに注意するように指導される股関節脱臼ですが、先天性の股関節脱臼は、女の子の赤ちゃんや逆子ちゃんに多く見られます。
実は、先天性股関節脱臼がある子は、脱臼している側は反対の方向に傾く傾向があります。向き癖かな?と思っていたら脱臼だったということも。気になる場合は、1ヶ月健診で医師にしっかりと確認しましょう。
首がすわらない時期に目立つ向き癖、早めのケアで頭の形を守りましょう
赤ちゃんの向き癖自体は、医学的にはほとんど問題はありません。
しかし赤ちゃんの柔らかな頭蓋骨は、向き癖の影響で簡単に形が変わってしまいます。髪の毛が生えたり頭が大きくなったりすると目立たなくなるとはいえ、成長後も絶壁などが残るとやはり見た目にコンプレックスを抱えてしまうことは多くあります。
首が据わると自然と向き癖が取れていきますが、首の据わる時期というのは一般的に3~4ヶ月。このころから頭の形を強制しようにも時間がかかるようになりますし、赤ちゃんもすでに意識的に動けるようになっているのでそれ自体が難しくなっていきます。
つまり、向き癖は発見した段階でケアしてあげるのが頭の形を守るうえでもベスト。赤ちゃんのむりにならないようにできる範囲で予防してあげるのが、最も効率的で確実なケアの方法といえるのではないでしょうか?