語りかけ育児の方法と効果

語りかけ育児のやり方・効果|赤ちゃんの健やかな成長のために

語りかけ育児は、1日30分お子さんとの時間を取るだけで、思春期まで親子関係に良い影響を与えるコミュニケーション重視の育児法です。気になる効果や方法、語りかける上での実践ポイント、実践ルールなどのガイドを紹介。ツイッターから今実践中のママたちの声もピックアップしてご紹介。

語りかけ育児のやり方・効果|赤ちゃんの健やかな成長のために

語りかけ育児の効果と方法…赤ちゃんの健やかな発達のために!

「語りかけ育児」という育児の実践法をご存知でしょうか?
語りかけ育児は、非常に簡単に始めることができて、まだちいさな赤ちゃんから2歳3歳、と大きくなってきたお子さんにも十分効果のある、子育て法の一つです。
語りかけ育児の方法や効果を知ることで、ママの育児知識とスキルを上げ、よりよく、より楽しい育児を目指しましょう!

語りかけ育児とは?イギリスから来た育児法

0~4歳 わが子の発達に合わせた1日30分間「語りかけ」育児の画像
出典:books.rakuten.co.jp

0~4歳 わが子の発達に合わせた1日30分間「語りかけ」育児

語りかけ育児とは、イギリスのサリー・ウォードが提唱した乳幼児向けの育児法です。毎日一定の時間、赤ちゃんや子どもと1対1で向き合い、語りかけを行うことで、良い母子関係を構築したり、お子さんの情緒的な安定を図ったりすることを目的としています。

日本では、英語で書かれた原本を翻訳したものが出版されています。語りかけ育児のバイブルとして、多くのママたちに支持されています。

語りかけ育児のメリットや効果にはどんなものがある?

ママに絵本を読んで貰いたくて持ってきた赤ちゃん

語りかけ育児の全貌をまだよく知らない段階でも、赤ちゃんへの語りかけがもたらす効果に対して良いイメージはありますよね。
たとえ赤ちゃんがまだまだ全然おしゃべりができなくても、ママは毎日赤ちゃんに色々な言葉を投げかけていることでしょう。外出すると見知らぬおばちゃんたちも、赤ちゃんににっこり笑いかけてお話をしてくれるように…!

このように、私たちは特に意識せずとも赤ちゃんに対してたくさんの語りかけを行っているのですが、改めて赤ちゃんへ語りかけることには、どのような利点や効果があるのでしょうか?

情緒が安定し、自己肯定感を育める

自己肯定感とは、簡単に言えば、自分自身に持つ自信や誇りであり、「自分はここにいていいのだ」「自分は価値のある人間だ」という認識のことです。子どもでも大人でも、この自己肯定感を持っているかどうかで、人生における姿勢や幸福度に大きな影響を及ぼします。自己肯定感がしっかりとある人は、未経験のこと、新しいことに必要以上にオドオドしたりせず、果敢にチャレンジしていく傾向があります。

年齢に応じた自己肯定感がしっかり育っている子どもは、情緒面で安定していて、他人に親切にしたり、ママから離れて色々なことに挑戦したりできると言われており、健全な心の発育にとって非常に重要な要素といえるでしょう。

ママは自分を見てくれる!語りかけ育児で自己肯定感が育まれる理由

仲良く外におでかけする姉と弟

語りかけ育児は、ママと赤ちゃんもしくは子どもが、1対1で密接な時間を過ごすことが肝になります。
日常生活では、ママも家事や子供たちのお世話に忙しく、例え毎日自宅で一緒にいたとしても、1対1で向き合う時間は実は意外なほど少ないものです。赤ちゃんや子供との遊びに付き合っていても、料理の途中であったり、洗濯機を回している途中であったりと「他のことをしながら」というシーンは多く、ついつい反応が薄くなったり、幼児期には適当な返事をして子供に怒られてしまうこともあります。

そこを、あえて「赤ちゃんに向き合う」ためだけの時間を作って、我が子と目を合わせながら、彼らと向き合う時間に集中しましょう。「ママが自分だけを見てくれている」この感覚が乳幼児にはとても大切で、自己肯定感の根っこになります。子育てにおいては、子供が愛情を感じ取れるかどうかは日々の言動にかかっているといっても過言ではありません。

「自分はママから愛されている」「ママは自分の味方でいてくれる」といった安心得られると、子供は「自分は価値のある人間だ」という自己肯定感がしっかり育ち、外の世界に飛び出していけるようになるのです。

語りかけ育児により言葉の発達が早くなり、語彙が増える子も多い

上にお兄ちゃんお姉ちゃんのいる子や保育園に通う子は話し始める時期が早いと聞いたことがあるでしょう。語りかけ育児にもそのような効果があります。

もともと、語りかけ育児は、言葉の遅れが気になる子に向けて開発されたプログラムでした。
子供との対話を重視する時間を設けるなかで、子供たちはパパやママから様々な言葉を学んでいきます。

言葉の習得には、

  1. どれだけの言葉のシャワーを浴びてきたか
  2. 喋りたい気持ち

この両方が欠かせません。テレビやDVDが言葉の発達に意味がないとは言いませんが、やはり生の声で自分に向かって話しかけてくれているという実感が乳幼児には重要です。その点、語りかけ育児は、1と2の両方を満たすことができます。

思春期以降の親子関係にも語りかけ育児は効果アリ

旅行先で記念撮影する兄と弟

忙しい日々の中でも、子供としっかり向き合う姿勢は大切です。子供とのコミュニケーションタイムは、親子関係を良好にします。語りかけ育児の対象年齢は、一般的に赤ちゃんから乳幼児期の0〜4歳までとされていますが、効果はそれだけの範囲にとどまりません。

「難しい年齢」とされる思春期以降の親子関係すらも良く保つ効果があるとされる語り掛け育児。
確かにこの時期は、親と子の距離感が掴みにくく、ついお互いに心にもない発言をして、仲が悪くってしまいがち。また、子供の人付き合いも広がり、親を伴わない行動も増えていくため、あえての時間を取らないとすれ違いは増えていきます。

それも一つの成長の証であり、お子さん自身が乗り越えるべき精神的なハードルでもありますが、親子関係のこじれをみすみす放置することは良いとは言えません。

小さいうちからしっかりとした親子関係の基盤を築いておけば、思春期以降の親子関係にも良い影響をもたらします。語りかけ育児は、その基盤を築くのにぴったりな方法なのです。

語りかけ育児のやり方とより効果的にするために知っておきたいこと

では、サリー・ウォードが提唱している「語りかけ育児」の方法を学んでいきましょう。
語りかけ育児のとっかかりとして、基本のやり方から語りかけ育児のスタンスまで、ママの参考となるポイントをまとめ、簡単に解説してまいります!

語りかけ育児のやり方 実践ルール

お気に入りの帽子をかぶりママに話しかけようとする赤ちゃん

語りかけ育児の「基本のき」実践ルールを挙げてみましょう。
最初のうちは、次の点を意識して押さえれば十分。慣れてきて、ママ自身にもっと興味が湧いてきたら、ぜひサリー・ウォード氏の著書で詳しく学んでみてください!

環境を整えましょう!語りかけはゆったりと静かな空間で行うのが理想

語りかけ育児の3本柱の1つめ。

語りかけ育児には、環境設定が大切です。ママと赤ちゃん、子どもたちがゆったりと過ごすための静かな環境を用意しましょう。

音の出るものに注意!

・テレビの電源はオフ
・スマホも他の部屋に置いておくか、音が鳴らない設定に
・来客予定がない時間帯をチョイス

突然の来客など不測の事態もあるため、子供が色々な音に気を取られたり、無意味に神経を張らせることなくリラックスできる空間作りは、ちょっとだけ大変かもしれませんが、ママがイライラ意思ないことも大切です!

1日30分を目標に語りかける時間を確保しましょう

ママと語りかけ育児真っ最中の赤ちゃん

3本柱の2つ目です。
サリー・ウォードの著書の中では、最低でも1日30分の語りかけタイムを取るように推奨されていますが、今の日本の現状、たとえば核家族、共働き…といった状況の中では、パパもママもとても多忙!毎日30分以上ゆったりとした時間の確保ができるかと言えば、なかなか難しいかも知れませんね。

最低30分!(理想はもう少し…)というところですが、30分でも大丈夫。ママががんばって時間を確保しようとするその努力する姿勢に価値があります

一日の中で語りかけタイムを取り入れやすいのは、夜寝る前。
寝かしつけの時間を少し前倒しすれば、比較的負担なく時間を取っていけます。

お子さんとの1対1で語りかけましょう

3本柱の3つ目です。子供の自己肯定感をあげたり、子供の情動に寄り添ったりするために、語りかけは1対1で行うことが原則とされます。

ですが、兄弟姉妹がいるとなかなか1対1の状況は作りにくくハードルが高いですね…。特に、年の近い兄弟構成なら、小さいうちはどちらも目が離せません。
実践例としては、夫婦で協力し一人ずつ担当しているという話があります。祖父母との同居しているならぜひぜひ協力を仰ぎましょう。

難しくてもやる価値はあり!

下に赤ちゃんが生まれることでママとの関係性が変化する上の子の情緒的な安定のためにも、語り掛け育児の効果は大きい!兄弟がいると時間の確保にもハードルが上がりますが、工面するようにしましょう。

ママだけではなく、パパも語りかけ育児に挑戦!

語りかけ育児はお母さんだけにお任せするのではなく、ぜひお父さんも一緒に行いましょう。
むしろ、日頃赤ちゃんとの時間がなかなか取れないお父さんだからこそ、良い取り組みになってくれるかもしれませんね。
おやすみの日は、お父さんと赤ちゃん二人きりの時間を作って、語りかけにトライ!その間に、ママはホッと一息、リフレッシュできますね。

語りかけ育児に使う言葉

弟と兄が一緒に写る記念写真

実況:「〇〇ちゃんは手をグーパーしていますね~」

語りかけ実践中は、赤ちゃんの目線に立ってお話するようにしましょう。
たとえば、赤ちゃんが時計を見つめていたら「とけいだね」と語りかけてあげたり、手をグーパーしていたら「お~とグーパーしていますね!じゃんけんができそうです!」など赤ちゃんの動作を実況してあげるイメージです。

反復:ママもお話するね!「ままま」「あうあう」

特に赤ちゃんに語りかけるときには、赤ちゃんの出した喃語「あうあう」「あう~」ままま」などのや言葉を繰り返してあげるのも効果があります。自分の出した音とママから返ってきた音が一緒だと赤ちゃんも喜びますよ!

擬音語・擬態語:「今日ぶーぶーみたね」

ブーブーなどの擬音語・きらきらといった擬態語などは、赤ちゃんにも分かりやすく、それでいて楽しいことばです。これらを積極的に使うと楽しい会話になりますね。

短い文をゆっくりと話す:「もうすぐねんねだよ」

語りかけは、ダラダラと行いません。赤ちゃんが分かりやすいように、1文は短くゆっくりと大きめの声で話しましょう。

手軽に取り組みやすいのは、絵本の読み聞かせ

まだお話しができなくて、一人遊びもまだまだ発展途上の赤ちゃんには、どう語りかけてよいのか戸惑ってしまいます。また、おしゃべりができる年齢でも、語りかけを始めたばかりの頃は、ママも慣れていないので、どこか気構えてしまいがち。
ですが、せっかく時間をとっているのですから、方法に固執してしまって、長く続かないのはもったいない!

手軽に始められて、ママにもそれほど負担がないのは、絵本の読み聞かせです。月齢にあった絵本、子供が興味を示している本、いつも読んでいるお気に入りの絵本、何でも構いませんよ~。

著書にはおすすめ本も

ちなみに、サリー・ウォードの著書には、オススメの絵本がいくつも紹介されているので、その中から選ぶのも良いですね。
「絵本を読む」だけでなく、「絵本を使ってお話をする」ことができるようになれば、絵本がより楽しくなります。

語りかけ育児の会話は赤ちゃん主体!

パパの語りかけ育児よりもおもちゃに興味がある赤ちゃん

語りかけは、ママが主導するのではなく、あくまで赤ちゃんの心や行動に寄り添って行うことが原則となります。意外とやってしまいがちな以下の点に気を付けましょうね!

赤ちゃんへ質問をしない

「これはなあに?」「どうやって遊ぶの?」大人がよく言うことばがけですよね。語りかけでは、これら質問には大人側がその時間をリードする要素を持つためNGとしています。

子どもが話したいことを自発的に話せるように、語尾に「?」のつくお話の仕方はやめましょう。

無理に言葉を言わせない

先ほどの話ともつながりますが、語りかけでは、主体は赤ちゃん、子ども側にあります。
親心としては、赤ちゃんに早くことばを話してほしくて「これはわんわんだよ、わんわんって言ってごらん」などと言いたくなる気持ちはよくわかります。

でもそれでは、せっかくの赤ちゃん主体の語りかけの意味が半減することに…。子どもから発せられることばを待つ姿勢が大切です。

間違っていてもダメ出ししない

お子さんが間違ってことばを言っても、間違いであることを指摘しないようにしましょう。では、どのように教えてあげたらよいのでしょう?

こんなときは「そうね、〇〇ね」と言って、赤ちゃんの言わんとするものを認め、さりげなく正しいことばで返してあげます。

赤ちゃんと喃語でコミュニケーション!言葉の成長を促すには
赤ちゃんと喃語でコミュニケーション!言葉の成長を促すには
赤ちゃんの喃語は言葉としての意味は持たなくても言葉だけでなく心の発達に重要な意味を持ちます!月齢ごとの喃語発達の様子の動画を交えご説明。奇声のような喃語の理由やおしゃべりの少ない赤ちゃんへの心配も解説。

語りかけ育児を間違った早期教育にしない!

兄弟に語りかけ写真を撮るママ

近頃、早期教育が注目されると同時に、その弊害も指摘されています。
子どもの成長発達は小さいうちほど、伸びる時期やそれぞれの伸び方が個人差として現れやすい部分があるもの。早期教育の効果がよくわからなかったり、一部の見方では、早期に能力を開発させるための早期教育が、能力を伸ばすどころか精神的な負担を招いているのではとも指摘されています。

語りかけ育児は、知的能力を伸ばす早期教育ではない

早期教育が子供にとって一概に良いとは言えない部分はたくさんありますが、親の私たちが頭に入れておかなければいけないのは、語りかけ育児の主目的は能力開発ではないということです。

確かに、語り掛け育児を行った結果として、言語機能の発達が早くなるケースもあります。しかし、それは何も言葉のシャワーを浴びさせた結果とは断定できるものではありません。心の籠った語りかけにこそ、言語機能の豊かで正常な発達があることを忘れないでおきたいですね。

サリーフォード発「語りかけ育児」をやってみたママの声

語りかけ育児の体験談が気になるママ

様々な評価がありますが、語りかけをすることで効果が目に見えて実感できた方もたくさんいらっしゃいます。そして、今まさに実践中のママたちも、日本中にたくさん!

サリー・ウォードの著書は分厚いけれど、とにかく役に立ったという声があちこちに見られます。
今現在、語りかけ育児実践中のママたちの声をツイッターからピックアップしてご紹介します。あなたもこの波に乗りませんか?

赤ちゃんとの関係をはぐくむ語りかけ育児!コミュニケーションを重視して

育児法と言われれば、ママが何か特別な勉強をして、厳格で特別な方法で躾を実践するイメージもどこかにありますが、語りかけ育児は、そのイメージとは違いますよね。

語りかけは、みんなが自然とやっているコミュニケーション。すごく簡単に言えば、いつもの語り掛けをもっと深く、赤ちゃん主体のルールにのっとって行うだけのこと。
基本さえ身につければ、どんな人でも取り組みやすく、質の高いコミュニケーション方法です。

どんな親子にもコミュニケーションはとっても大切。語りかけ育児で、もっと育児に積極的になりませんか?