授乳姿勢を変えて、乳腺炎を予防
授乳姿勢をマスター!赤ちゃんもママも快適な基本の抱き方
授乳姿勢は赤ちゃんの授乳のしやすさ、授乳するママの身体が楽な体勢はもちろん乳腺炎のリスクを回避するためにも数パターンを習得しておく必要があります。授乳を出産後のママの負担とすることなく、赤ちゃんがたくさん母乳を飲めるように授乳の基本姿勢や授乳の姿勢を変えていく大切さを解説します!
授乳の姿勢どれがいい?赤ちゃんもママも快適な授乳のために
赤ちゃんが生まれて、今まで経験したこともない幸福感に包まれ間もなく、助産師さんから「お母さん、早速おっぱいあげてみましょうか?」と言われるはずです。初めての赤ちゃんを迎えたお母さんにとっては、母乳をあげるなんて未知の世界。「え?どうやってあげればいいのでしょうか?」と、思わず助産師さんに聞き返したくなりませんか?
妊娠中は無事に出産することが最大の目標となりますが、出産が終わると余韻に浸る間もなく、赤ちゃんのお世話という大仕事がお父さん・お母さん達を待っています。
実際は子供が生まれ産湯から帰ってきたあとは、助産師さんがフォローしてくれるので心配しなくても大丈夫ですが、たった3~4kgの乳飲み子とはいえ、生後数か月は授乳回数も多いことですし一日中これを抱えて授乳するのは、節々が痛みますよね!ですよね?!
授乳はお母さんだけの大仕事
どんなに育児に協力的なお父さんでも、母乳を分泌することだけは出来ません。赤ちゃんが生きていく上で必要不可欠な母乳をあげられるのは、お母さんだけです。
赤ちゃんが持って生まれる能力には驚かされることもしばしばですが、なんとこの子たち、お腹の中にいるときから母乳を飲む練習をしているのだとか。ですが、お母さん達はぶっつけ本番です!中には、授乳ひとつどのようにしたら良いものか分からなくて、戸惑ってしまうという人もいる元でしょう。
そこで今回は、赤ちゃんもお母さんも快適な【授乳の姿勢】をご紹介します!合わせて、授乳中のお母さん達の2~3割が経験する乳腺炎についても軽く触れていきますね!
現役ママに聞いた!授乳の悩みあれこれ
授乳に関する悩みをお持ちのお母さん。また、うまく授乳ができない悩みを抱えるお母さんを、そばで見守るお父さん・・・。育児とは困惑の日々の連続ですが、その皮切りともいえるのが授乳の悩みであり、赤ちゃんが生まれ、なんらかの授乳の悩みを抱えないお母さんは少なくありません。お母さん達は何かしらの悩みを抱えながら、日々の授乳を行っているのです。
実際に授乳の悩みとはどのようなものがあるのでしょうか?育児に奮闘中の現役ママ達に聞いてみました。
授乳姿勢の悩み
・首が据わっていない赤ちゃんを抱っこするだけで、肩と腰が崩壊しそう。
・どうやって授乳すればいいのか分からない。
・いつも同じ授乳姿勢を注意されたけどどういうこと?
・赤ちゃんが乳首をくわえてくれない。
・赤ちゃんの吸いが甘くて、おっぱいが張って痛い。
・授乳のたびに結構疲れる・・・。
筆者も0歳児と4歳児の現役ママなので、このような授乳の悩みは本当によく分かります。
赤ちゃんの栄養源はこの母乳ですので、しっかり飲ませてあげないと!とも思うのですが、なにかにつけて授乳はうまくいかないことも・・・。一緒に入院しているお母さん達がそつなく授乳をこなしている様子を見て「どうして私はうまく出来ないのだろう?」という気持ちになったことを覚えています。
けれども悶々とした気持ちを抱えているばかりでは、毎日の授乳タイムが憂鬱になる一方ですし、何よりもしっかりと母乳を飲めないままでは、赤ちゃんの健康問題にも関わってきます!
赤ちゃんはお腹の中でおっぱいを飲む練習をしているけど、ママはぶっつけ本番なんだから、うまくいかないのも当たり前!と、くれぐれも思い詰めないで対処していきましょう。
授乳姿勢、4つの基本姿勢を覚えよう
さて、それでは授乳の基本姿勢からおさえていきましょう。
赤ちゃんの居心地の良さや飲みっぷり、お母さんのおっぱいの張り具合や肩や腰など体の節々の意見によって、その都度授乳姿勢は楽なように、偏らないように変えていくことがベストです。
横抱き・縦抱き・フットボール抱き・添い乳の4つの授乳姿勢を、1つ1つ確認していきましょう。
最もスタンダードな授乳姿勢!横抱き
ほとんどのお母さん達が、最初に試すのが【横抱き】の授乳姿勢です。横抱きの授乳は首の据わらない新生児からできる最もスタンダードな授乳姿勢で、お母さんが座る体勢が取れればいつでも、どこでも授乳することが出来ます。
ただ、赤ちゃんを横にした状態で母乳を飲ませるので、吐き戻しに注意が必要だと覚えておきましょう。横抱き授乳には、飲ませたいおっぱいの側の腕で赤ちゃんの頭を支える「一般的な横抱き」と、飲ませたいおっぱいとは反対の手で赤ちゃんの頭を支えて飲ませる「交差横抱き」の2つの方法があります。それぞれの横抱きの授乳方法を確認していきましょう。
一般的な横抱きでの授乳方法
一般的な横抱きで授乳してみましょう。
- 赤ちゃんを優しく抱っこし、お母さんと赤ちゃんの身体をしっかりと密着させます。
わからないからと無言で授乳するのではなく「おっぱいだよ~」と赤ちゃんに話しかけましょう。 - 飲ませたい方のおっぱいに、赤ちゃんの頭を近づけます。
- 赤ちゃんの背中が丸まらないように、飲ませたいおっぱいがある方の腕で、頭~背中をしっかりと支えてサポート。グラグラしないなら赤ちゃんも安心しておっぱいを飲んでくれます。
- 飲ませたいおっぱいとは反対側の手で、赤ちゃんの頭を支えながら、親指と人差し指で口を開き、カポッと乳首をくわえさせます。乳輪が見えなくなるくらいしっかりと!がコツ。
- 赤ちゃんがおっぱいを飲んでいる間、身体がぐらつかないようにしっかり支えていてあげましょう。
ポイントはお母さんは動かないで赤ちゃんを引き寄せる!
ポイントは、横抱きで授乳するときには、お母さんが前かがみにならないことが大切です。
また、赤ちゃんの口元に乳首を持っていくのではなく、お母さんの乳首の位置に赤ちゃんの口を引き寄せましょう。お母さんは授乳の姿勢を整えたら、そのまま姿勢をキープし、赤ちゃんを飲みやすい位置に移動してあげましょう。
赤ちゃんの口元に乳首を持って行こうとすると、どうしてもお母さんが前かがみになってしまうので、長時間の授乳で腰や首のコリを招いてしまいます。授乳は毎日の仕事なので、出来るだけお母さんの身体に負荷がかからないようにして下さい。
交差横抱きでの授乳方法
交差横抱き授乳の方法は、通常の横抱きとはお母さんの腕の位置や使い方が違ってきます。最初にご紹介した方法は、飲ませるおっぱいがある方の腕で、赤ちゃんの頭を支えますが、交差横抱きは逆で、飲ませるおっぱいではない方の腕や手の平で、赤ちゃんの頭や体を支えてあげます。
わざわざ反対の手で、頭を支える交差横抱きのメリットは、飲ませているおっぱいの側の手ならおっぱいを飲んでいる赤ちゃんの邪魔にならずに、おっぱいを調節したり支えたりができることにあります。
母乳が良く出るお母さん達が悩まされるのが「胸のしこり」ですが、交差横抱きをして、飲ませている側の手でおっぱいの固くなった部分に手を添えながら授乳をしてしこりを解消していったりします。
生後半年を過ぎると、頭部も重たくなってくるので交差横抱きも少し辛くなってきますが、吸啜のちからの弱い新生児のうちはおっぱいの詰まりを予防するために試してみても良いですね。
横抱き授乳のメリット
・首が据わっていない新生児から出来る授乳方法
・お母さんの身体と密着できるので、赤ちゃんは安心できる
・赤ちゃんと目を合わせながら、授乳ができる
・座れる姿勢が出来れば、どこでも授乳できる
・お母さんにとっても授乳しやすい
・おっぱいの張りが全体的に取れる
現役ママである筆者も、授乳中に一番おこなった授乳方法が横抱き授乳です。首が据わっていない赤ちゃんのグラグラ頭を、肘ですっぽりと包みこむことができるので、とても楽な授乳姿勢でした。
横抱き授乳をしていて一番嬉しかったのは、一生懸命母乳を飲もうとする赤ちゃんの顔がハッキリと見えるところです。つぶらな瞳で真っ直ぐと私を見て、モグモグと口を動かして母乳を飲む姿は、本当に・・・可愛くて仕方ありません!
なかなか上手に飲んでもらえないという悩みはありましたが、「もぉ~たまらない♡」と言うのが、正直な気持ちですね。
しっかり飲ませられる!縦抱き
縦抱きは、赤ちゃんの身体がそれほど大きくない生後半年くらいまでにオススメの授乳姿勢です。
赤ちゃんの身体を起こして、お母さんの太ももに上にのせ、首~頭をきちんと支えながら授乳していきます。授乳クッションなどで、赤ちゃんの口とお母さんの乳首の高さを揃えるのがポイントです。
縦抱きでの授乳方法
- 赤ちゃんの身体を起こし、頭を支えながら、お母さんの太ももに赤ちゃんの足をまたがせます。※このとき授乳クッションなどで、乳首と赤ちゃんの口の高さが同じになるように高さを調整しましょう。
- 飲ませるおっぱい側の手で、赤ちゃんの腰を支えます。
- 反対の手で、赤ちゃんの首元を支えながら、口を大きく開けたタイミングで乳首をくわえさせます。
縦抱き授乳のポイント
縦抱きの場合は、乳輪までしっかりとくわえるのかポイントとなります。ずれたら咥え直させてあげましょう。
縦抱き授乳のメリット
・赤ちゃんの吐き戻しが少ない
・おっぱいの上部と下部のしこり解消によい
・長時間授乳しても、肩がこりにくい
母乳がうまく飲めない赤ちゃんには、フットボール抱き
フットボール抱きとは、フットボール選手がボールを小脇に抱える姿に似ているところから、この名前がついたと推測できるちょっとアクロバティックな授乳方法です。
赤ちゃんを左右好きな方の小脇に抱えて、頭だけをおっぱいの方に寄せて飲ませる方法です。授乳クッションを使って、赤ちゃんの口元と乳首の高さを合わせてからくわえさせると良いでしょう。
フットボール抱きでの授乳方法
- 飲ませるおっぱい側の脇に、授乳クッションを抱えます。
- 授乳クッションの上に赤ちゃんを水平に置いて、乳首と口の高さが揃うように調節します。
- 赤ちゃんの頭だけを乳首の方に引き寄せて、口を開き乳首をくわえさせます。
フットボール抱きの授乳のメリット
・陥没乳首、乳首が短い、扁平乳首でも、比較的赤ちゃんがくわえやすい
・抱っこしなくて良いので、お母さんが楽ちん
・首が固定しやすいので、新生児の授乳にオススメ
・双子のお母さんは、一度に授乳ができる!
夜中のママの負担を軽減する!添い乳
「寝不足でどうしようもない」「夜中の授乳がしんどい」というお母さんにオススメなのが、添い乳です。お互いに起き上がる必要がないので、夜中の授乳でも楽ちんです。
とても楽な姿勢なのですが、赤ちゃんがゲップをしづらい体勢でもあります。吐き戻ししやすい子は、授乳後にきちんと起き上がってゲップをさせてあげることをオススメします。
また乳腺炎でお悩みのお母さんは、念のため乳腺が曲がってしまうため、添い乳は控えた方がよいでしょう。
- 夜泣きはいつまで続くのか、夜泣きの終わる平均年齢や月齢別赤ちゃんの夜泣きの原因、つらい夜を乗り越える夜泣き対処の基本姿勢を解説!今はつらくとも、夜泣きは成長の過程、明けない夜はありません!
添い乳での授乳の方法
- 赤ちゃんとお母さんが向かい合って、横になります。
- そのまま赤ちゃんの口を、お母さんの乳首に持って行きくわえさせます。
- 寝たままの状態で授乳。
添い乳のメリット
・横になって出来るので、お母さんも赤ちゃんも楽ちん
・夜中の授乳に便利
・体調が悪くても、比較的授乳しやすい
・夜中の授乳でも、布団の中でできるから寒くない
ただし、授乳したまま寝落ちしてしまってママが風邪をひいたり、何より寝ぼけてうっかり赤ちゃんにのしかかってしまうことがないようにしっかり注意が必要です!
授乳姿勢のマンネリ化は乳腺炎を引き起こす?
授乳に慣れてくると、「うちの子は横抱きが好きみたい」「毎日何度もすることだから、楽に授乳したい」というように人それぞれ授乳しやすい体勢といった傾向が出てくるでしょう。
しかし、同じ姿勢ばかりで授乳していることで、乳腺炎を引き起こしてしまう可能性があります。
乳腺炎とは・・・
乳腺炎は授乳中のママ達にとって脅威でもあり、母乳育児をする女性の2~3割程が経験するとも言われています。
乳腺炎の症状
乳腺炎とはどのような症状が出るのでしょうか?
乳腺炎の症状
・ゾクゾクとした急激な寒気と高い発熱
・おっぱいの痛み(腕を動かすと、おっぱいが痛いなど)
・おっぱいのしこり
・母乳が黄緑色や黄色(通常は乳白色)
乳腺炎はクセになるとも言われます。筆者も、乳腺炎は4回ほどかかりましたが・・・本当に痛い!いっそのことおっぱいを取ってしまいたくなるような痛みと、高熱に悩まされました・・・。気をつけましょう!
乳腺炎には種類がある
ちなみに、乳腺炎には「急性うっ滞乳腺炎」と「化膿性乳腺炎」の2種類があります。
乳腺に古い母乳が溜まって、炎症を起こしたものが急性うっ滞乳腺炎です。赤ちゃんの飲みが良くないのに、母乳がたくさん出てしまうなど需要と供給のバランスがとれていないおっぱいや、授乳姿勢がマンネリ化して乳腺が詰まりやすくなっているおっぱいは、急性うっ滞乳腺炎になる可能性が高まります。
また、揚げ物・スイーツ・乳製品などのドロドロ母乳になりやすい食品の食べ過ぎによって、乳腺が詰まりやすくなることもあります。
化膿性乳腺炎は、母乳の詰まりではなく、細菌感染によって起こる乳腺炎です。
授乳姿勢に気をつけることも乳腺炎の予防になる
「右のおっぱいの出がいいから、右をあげる回数が増えてしまう」「いつも横抱きで授乳している」というお母さん。乳腺は乳首を中心に放射状に広がっているので、いつも同じ姿勢で授乳していると、通りの良い乳腺と詰まりがちな乳腺が出来て、一部分の乳腺が詰まってしまい乳腺炎を引き起こしてしまうこともあるのだとか!
なるべくならかかりたくない乳腺炎、日々の授乳姿勢で予防できるのなら、これをしない手はありません。横抱き、おっぱいの上部の詰まりを感じたら縦抱き、横の張りが強い場合はフットボール抱きなど、色んな角度から母乳を吸わせるようにすることが大切です。
- 母乳育児中にしこりができて悩んでいるママ向けに、しこりの症状にはどんなものがあるか、原因と対処法についてまとめました。詳しいマッサージの方法や、母乳外来でしこりを解消したママの体験談も紹介。
赤ちゃんもママも快適な授乳タイムを送ろう
授乳は毎日何度も行う、お母さんと赤ちゃんの共同作業です。
ママと赤ちゃんの負担を和らげる授乳姿勢として4つの基本的な授乳姿勢、横抱き・縦抱き・フットボール抱き・添い乳をご紹介してまいりましたが、乳首のかたちやおっぱいの張り具合によって、1人1人適した授乳姿勢は違います。
また、授乳中のママが気を付けなければいけない乳腺炎ですが、ママも壮絶に痛いだけでなく乳腺の詰まりによってドロドロになった母乳を飲むのは、赤ちゃんにとっても嫌なもの。いろいろな授乳方法を試してみて、出来るだけ2人に負担とならない授乳姿勢をいくつか持てると良いですね。