母乳育児あるあるトラブル「しこり」どう対処すべき?
母乳育児中は、時期にかかわらずできる可能性があるおっぱいのしこり。
おっぱいにしこりができると、痛みで授乳がツラくなる場合や、もしかして危険なしこりなのかも?と心配になりますよね。
そんな気になる母乳育児中のしこりについてまとめました。
おっぱいのしこり|症状と原因
おっぱいのしこり、みんなどんな症状を感じているのでしょうか?
「この症状、私だけ?」「もしかして危険な病気?」そんな不安をなくすため、症状と原因についてまとめました。
母乳育児中のしこりの症状は人によって違う
おっぱいのしこりは症状が軽いうちに対策をしておくと乳腺炎を防ぐことができます。しこりの症状と、しこりに伴う症状を知っておきましょう。
- しこりは石のように硬い場合もあれば、弾力があり柔らかい場合もある
- おっぱいの上のほうがカチカチに硬くなる
- おっぱいの上のほうが岩のような形になる
- おっぱいに痛みや熱がある
- 乳首に白いかたまりが見える
- 授乳中に痛みを感じる
先輩ママは、具体的にどんな症状を感じているのでしょうか。体験談を集めました。
しこりが痛い
ドミタス
授乳間隔を5時間あけたとき、両方のおっぱいが詰まってしまい、赤ちゃんに飲んでもらってもしこりが治りませんでした。なかなかスッキリせず、熱を持って痛いので母乳外来に行ってみます。
乳腺炎になりたくないー!
のぞ
おっぱいが急に張ってきた!しこりが板みたいな形になっていて、全然なくならない。おっぱいがたくさん作られているからなのか、赤ちゃんが吸っても吸ってもおっぱいが張っています。
しこりができるのは食生活・生活習慣・体質に原因がある
しこりの直接的な原因は、赤ちゃんが母乳を飲み残して残った母乳が乳腺にたまってしまうからです。
赤ちゃんがおっぱいを飲み残してしまうのは、授乳スタイルや赤ちゃんの吸う力だけでなく、ママの乳管が詰まりやすい状態になっていることも原因。
乳管が詰まってしまうのは、次のような原因が考えられます。
- 脂分・塩分の多い食事
- 甘いものの食べすぎ
- 不規則な生活による免疫力の低下
- ストレス
- 赤ちゃんが吸いにくい形の乳首(扁平・陥没)
痛むときは乳腺炎の可能性が大
しこりだけでなく、痛みや熱っぽさも感じるようであれば、乳腺炎になってしまっている可能性が高いです。
乳腺炎になると、しこりの部分が炎症を起こして赤くはれて激しい痛みがあります。発熱は38度を超えることが多いです。受診し、抗生剤や解熱鎮痛剤を処方してもらうと楽になります。
しこりの対処・予防法、受診の目安
母乳育児には赤ちゃんにもママにもメリットがたくさん。しこりの痛みのせいで母乳育児をあきらめざるを得ない、なんて悲しいことにならないよう、予防法・対処法をしっかり知っておきましょう。
食生活を改善しましょう!OK/NG食材
おっぱいはママが食べたものから作られるので、乳管の詰まりを和らげるには、食生活の改善がとっても大切です。
乳管が詰まりやすいかどうかは個人差があります。どれだけ甘いものや脂っこいものを食べても大丈夫、という人もいれば、ケーキを食べたら一発でアウト!という人もいます。ですから、他のママの意見を参考にしないで自分の身体とよく相談して食べ物を選びましょう。
母乳育児中は和食が基本。なかでも特におすすめの食べ物を紹介します。
母乳育児中におすすめの食べ物
・具だくさん味噌汁:栄養分と、母乳育児中に不足しがちな水分がたくさん摂れて身体も温まります。薄味を心がけて。
・焼き魚:ママが摂ったDHAは母乳に移行します。DHAをたくさん摂取したママの母乳を飲んで育った赤ちゃんは頭がよくなるという研究結果も。
・白いご飯:母乳を出すにはいつもより多めのエネルギーが必要。炭水化物はしっかり食べましょう。
・レバー:妊娠中はビタミンAの摂りすぎが心配されたレバーですが、授乳中は大丈夫。不足しがちな鉄分をしっかり補いましょう。
・卵:赤ちゃんにアレルギーの心配が無ければおすすめ。食物繊維とビタミンC以外の栄養素をバランスよく含み、忙しいママでも手っ取り早く栄養を摂取できます。
一方、次の食べ物は乳管を詰まらせやすいので母乳育児中は我慢しましょう。
母乳育児中にNGの食べ物
・こってりラーメン:ラーメンに含まれる脂が乳管を詰まらせます。また、塩分も多く母乳がおいしくなくなってしまいます。どうしても我慢できなければスープは全部残して。
・焼き肉:お肉の脂が乳管を詰まらせます。焼き肉パーティーに行かなければいけなくなった場合は、タンやロースといった脂分が少ないお肉をよく焼いて脂を落として食べましょう。
・揚げ物:衣に脂分が多いので、食べるときはできるだけ衣をはがして食べましょう。
・洋菓子:生クリームに脂肪分が多く、乳管が詰まりやすいです。どうしても甘いものを食べたいときは、和菓子を少量食べるようにしましょう。
・おもち:個人差がありますが、母乳がよく出る人は特に、おもちを食べるとおっぱいが張ってしまうこともあります。
3つの母乳マッサージを習慣にして
おっぱいのしこりは、マッサージで改善できます。母乳マッサージには、次の3タイプがあります。
- 母乳の出をよくするマッサージ
- 乳首を柔らかくして赤ちゃんが吸いやすくする乳頭マッサージ
- 乳管の詰まりをなくす乳頭マッサージ
おっぱいのしこりを解消する一番の方法は、製造された母乳を残さず赤ちゃんに飲んでもらうことなので、母乳の巡りと赤ちゃんの吸いやすさを改善することが効果的です。
また、詰まってしまった乳管はマッサージで詰まりをなくすことができるので、詰まりやすい方はこまめに乳頭をマッサージすることが必要です。
これらの効果が期待できるマッサージは、次の動画で紹介されています。試してみてください。
乳頭ケアも忘れずに
マッサージを行う際に、一緒に乳頭ケアも行うとより効果的です。乳頭が傷ついていると、細菌感染して乳腺炎になってしまうリスクが上がります。
乳頭マッサージの際は、赤ちゃんがなめても大丈夫な羊脂を乳頭にしっかり塗っておきましょう。乳頭の切れやひび割れの症状が楽になります。
授乳方法を見直して
おっぱいのしこりは、赤ちゃんの飲み残しが原因なので、授乳方法を改善することで良くなっていきます。
色々な方向からまんべんなく飲ませてあげて
乳腺は様々な方向に走っているので、いつも同じ姿勢で飲ませていると、母乳が残ってしまう部分も出てきます。
乳管に母乳を残さないためには、いろいろな抱っこの仕方や方向で飲ませてあげることが効果的です。次の4種類の抱っこを順番に試してみましょう。
- 横抱っこ:一番基本的な抱っこの仕方。赤ちゃんの頭が乗っている腕と同じ方のおっぱいをあげます。
- 縦抱っこ:赤ちゃんをママの太ももにまたがらせて、縦に抱っこし、首を支えながら授乳します。
- ラグビー抱き:赤ちゃんの頭を乗せている腕とは逆のおっぱいを飲ませます。ラグビーボールを抱えるような姿勢になります。
- 交差横抱き:飲ませるおっぱいと反対側の腕で、赤ちゃんの首の後ろ側から赤ちゃんの背中を支えます。赤ちゃんを斜めに抱っこする形になります。
抱っこがツラいときは、添い乳もおすすめ。長時間おっぱいをあげていても疲れにくいので、飲み残しを防ぐことができます。ただし、赤ちゃんをつぶしてしまったり、ママが授乳中に寝てしまったりしないように注意してくださいね。
- 赤ちゃん抱っこの仕方・赤ちゃん安心&パパママは腰痛緩和
赤ちゃんが抱っこで泣き止んだり、安心して眠ったりするのはなぜでしょう?抱っこが赤ちゃんにもたらす効果、赤ちゃんが安心する抱っこの仕方や抱っこによる腰痛や腱鞘炎を緩和する抱っこのポイントを解説します。
飲み残しのないように
おっぱいが固く張っているときは、おっぱいが充分に柔らかくなるまで時間をかけて赤ちゃんに母乳を飲んでもらいましょう。片方最低でも10分間は飲ませます。しこりがある場合は、しこり部分を意識し、優しく押さえながら飲ませると楽になります。
しこりがなかなか治らない場合は、赤ちゃんに飲ませ終わった後、搾乳するのも効果的です。手絞りがうまくいかない、という人は電動搾乳機がおすすめ。家庭用のものであれば1万円台で入手できます。
低月齢のうちは頻回授乳が効果的
しこりや乳腺炎を予防するには、母乳の出がスムーズになることが第一。母乳育児を軌道に乗せる最も効果的な方法は頻回授乳です。
泣いたらおっぱいはNG!と言われることもあるかもしれませんが、低月齢のうちはそれでも大丈夫。赤ちゃんが欲しがるだけ母乳を与えてあげましょう。
- 赤ちゃんのミルク量・混合栄養や離乳食のミルク追加量目安
赤ちゃんのミルク量は足りている?おっぱいがちゃんと出ない新生児期や混合栄養や離乳開始後のミルク追加量の判断の仕方を月齢別でみる基本のミルクの目安量と授乳間隔、赤ちゃんの発育の面から解説していきます!
ママの体力回復も重要
ママの疲労がたまっていると、血行が悪くなり母乳が出づらくなるだけでなく、免疫力が低下して細菌感染しやすくなってしまいます。そうするとしこりが悪化して乳腺炎になってしまう可能性も。
赤ちゃんに母乳をしっかり飲んでもらっていてもしこりが長引くな、というときは早めに休むようにしましょう。赤ちゃんのお昼寝タイムに合わせて一緒に寝るのがおすすめです。
特に夕方になると一日の疲労から、母乳の出が悪くなる人も多いので、水分をしっかりとって少し仮眠できるといいですね。
おっぱいを冷やすのはOK?NG?
おっぱいが張って、熱を持って痛むときは、冷やすと楽になります。濡らして冷たくしたタオルでおっぱい全体を楽になるまで冷やしましょう。タオルを巻いた保冷剤を使ってもOKです。
ただし、授乳前に行うと、おっぱいが冷えてしまい血行が悪くなってしまいます。血行が悪くなると母乳の出が悪くなり、詰まりの原因になるので授乳が終わった後に行うようにしましょう。
こんな時は受診して!ママのおっぱいトラブル
しこりや張り・痛みがツラいのに無理をし続けると、ママの身体も疲れて結果的に母乳の出が悪くなるということになりかねません。
症状がツラいときは、無理せず受診しましょう。次のような症状が出てきた場合は病院で薬を処方してもらったり、マッサージしてもらったりするのがおすすめです。
- おっぱいが赤く腫れて痛む
- 熱が出てしまった
- しこりがかたく、授乳を続けても治らない
産婦人科や助産院の母乳外来を受診すると、自分では取り切れなかった詰まりを除去することができて楽になる場合があります。
母乳外来行ってきました
米
マッサージしてもらって、しこり大分小さくなった!おっぱいがピューピュー出た!自分で行うのとはやっぱり違う。
行ってよかった
スミレ
母乳外来に行ってきました!マッサージは痛いと聞いていたけど、全然痛くなかった。セルフマッサージではなかなかなくならなかった乳腺のしこりが、一本も残らずなくなった!
娘と一緒に行きました
ねこのプリ
おっぱいが数日前から詰まってしまい、娘に吸ってもらってもしこりが取れなかったので出産した病院の母乳外来を受診しました。マッサージでしこりがなくなりました。いろいろな方向からまんべんなく吸わせないとダメみたいです。
危険なしこりの見分け方
おっぱいのしこりといえば、「乳がん」が連想されますよね。今あるしこりが、果たして母乳育児が原因なのか、それとも悪いしこりなのか、と不安になる人もいるのではないでしょうか。
乳がんのしこりは、母乳育児中のしこりとは異なり石のような感触で、触っても動きません。また、乳がんの場合のしこりはおっぱいに痛みはありません。
また、授乳中に乳がんにかかる確率は非常に低いとされています。それでも確率はゼロではないので、不安がある人は次の対処法をおすすめします。
- 卒乳後6ヶ月を目安に乳がん検査を受診しましょう。授乳中にもマンモグラフィを受けることは可能ですが、普段よりも診断がつきにくいようです。卒乳後もしばらくは母乳の分泌が続くので、6ヶ月程度経過してからがおすすめです。
- 授乳中でも健診を受けたいという場合は、超音波健診を受けることもできます。超音波健診は、痛みや被ばくの心配は一切ありません。マンモグラフィのようにおっぱいを圧迫することがないので、母乳が出やすい人でも安心して受けることができます。
対処法を一つ一つ試し、母乳育児を楽にしていきましょう!
しこりがある間は、母乳育児がツラくなってしまうことが多いですよね。頻繁におっぱいがつまり、張り、痛んだり熱を持ったり…。母乳育児なんてやめたい!とくじけそうになることも。
でも、母乳育児中のしこりは、原因がはっきりしていて、対処法も明確。すぐに改善するのは難しいかもしれませんが、一つ一つ地道に取り組めば少しずつ楽になっていきます。赤ちゃんと一緒に、頑張りましょう!