母乳を片方しか飲まない原因
母乳を片方しか飲んでくれないのはなぜ?効果的な対処法
母乳を片方しか飲まないのはなぜ?赤ちゃんが片方のおっぱいを嫌がる原因と対処法をまとめました。片方だけでも赤ちゃんの体重が増えていることもありますが、卒乳後のママの乳房の大きさの違いが出てしまうこともあるので、改善を目指しましょう!
母乳を片方しか飲まない原因と対処法
授乳中に「赤ちゃんが片方のおっぱいしか飲んでくれない」ということがありませんか?無理やり飲ませようとしても、泣き出したり、暴れたり、時にはおっぱいを噛む赤ちゃんもいます。
片方しか飲んでくれないと、「量が足りないのでは?」と心配になりますし、実際に授乳間隔が短くなってしまう方もいます。また、片方のおっぱいばかり飲ませていると、胸の張り具合や大きさに違いが出てしまうなど、美容的なデメリットもあります。
片方の母乳しか飲まない原因ごとの対処法をご紹介します。
1.母乳の分泌量に違いがある
母乳の分泌量に左右で違いがあるのは珍しい事ではありません。また、古い母乳が乳管に詰まって、母乳の出が悪くなることもあります。気を付けたいのは、出が良いほうのおっぱいばかりで授乳をしてしまうことです。
母乳をあげる方としてはスムーズに授乳をしたいので、どうしても出が悪い方のおっぱいを自然に避けてしまいます。また赤ちゃんにしても吸っても出てこないおっぱいを嫌がるようになるのは仕方がありません。
しかし、出が悪い方のおっぱいを飲ませないことで、さらに母乳の分泌が悪くなってしまいます。できるだけ同じように両方のおっぱいを飲ませるのがベストです。
まずは自分で詰まりがないか確認
左右の分泌量に違いがあるかどうかは自身で確認できます。おっぱいマッサージをして母乳が何カ所から出ているかをチェックしてみましょう。最低5、6カ所から母乳が出てくるならば詰まりはないはずです。左右で大きく差があるようなら、出にくい方をさらにマッサージしてください。
おっぱいマッサージのやり方
1.おっぱいを片方の手で支えながら、もう一方の手の親指、人差し指、中指の3本を使って乳輪全体をつまみます。
2.乳首にティッシュなどを当てながら乳輪から乳首を圧迫するように押して母乳を出します。乳首だけをつまむのではなく乳輪全体を押すのがポイントです。痛みを伴うほど強く押さないように気を付けてください
3.指の位置をずらしながら様々な方向からマッサージします。
マッサージをする時は、乳房を温めてから行うと効果的なので、入浴時や入浴後がおすすめです。それ以外の時は蒸しタオルを当ててから行ってください。
「出が悪い方→出が良い方→出が悪い方」の順に授乳
授乳時にあえて出の悪い方のおっぱいから先に飲ませます。次に出やすい方のおっぱいを飲ませますが、時間を短めにします。再び出にくい方のおっぱいを吸わせると、赤ちゃんは「今までたくさん出てたのになんで!?」と物足りなさを感じて、頑張って吸ってくれます。
慣れるまでは赤ちゃんがグズるかもしれないので根気が必要ですが、続けていくうちに左右の母乳差がなくなります。
ただし、あまりお腹が空き過ぎて機嫌が悪くなると、出にくい方のおっぱいを吸わせる時に大変です。赤ちゃんが空腹になる頃を見計らって、催促される前に授乳タイムを設けましょう。
2.母乳が出にくくなり始めている
今は片方だけ出が悪いかもしれませんが、今後両方の出が悪くなってしまう恐れもあります。
母乳は、疲労やストレスが蓄積されたり、食生活のバランスが悪かったり、睡眠不足、冷え、貧血など様々な原因によって、分泌が減ってしまうこともあり、片方の出が悪くなったのはそうしたサインの可能性も無視できません。
体質である場合もありますが、せっかく今まで母乳を飲ませていたのですから、これからも授乳ができるように生活習慣などを見直しましょう。
マッサージで改善する
母乳の出が悪い時はマッサージで母乳の分泌を促進させる方法があります。前出の「おっぱいマッサージ」が効果的なので、入浴時などおっぱいを温めながら行ってみてください。母乳外来を受診し、プロの施術を受けるのもおすすめです。
母乳の出が良くなる食べ物をたくさん食べる
栄養不足になると母乳の生産性が低くなるので、片方からしか母乳が出なくなる可能性も考えられます。赤ちゃんのためにも栄養豊富な食生活を心がけましょう。完全母乳育児の場合、通常の食事量に比べて350キロカロリーをプラスする必要があります(注1)。
母乳の主な成分は炭水化物、たんぱく質、脂質ですが、その中でも炭水化物が不足すると母乳が出にくくなります。日本人の主食である「米」は炭水化物はもちろん水分も多く含まれているので、授乳中には最適の食べ物です。
おかずとしては身体を温める野菜を中心にしてください。根菜類や冬野菜は身体を温めてくれますし、食物繊維が豊富なので便秘予防にも役立ちます。デザートにはサツマイモを蒸したり、レンコンやごぼうの素揚げなどが簡単でおすすめです。
3.母乳の分泌量が多すぎる
出生後間もなくから生後3ヶ月くらいの赤ちゃんに多い理由です。産まれてすぐの赤ちゃんはおっぱいを吸う力が弱く、飲む量もさほど多くはありません。
それに対して、母親の母乳の出が良過ぎる場合は、片方だけでお腹が一杯になってしまうこともあります。
- 赤ちゃんが授乳中によくむせる
- 授乳していないときも、授乳時間に関する常に母乳パッドが手放せない
- 授乳後も乳房に母乳が残っている感覚がある
上記にあてはまるような場合は、母乳量が多すぎる可能性があります。
授乳前に圧抜きをする
授乳の前に搾乳をして、母乳が勢いよく出てくるのを防ぎます。乳房の張りも楽になる効果も期待できます。
ただし、圧抜きもやりすぎると母乳量をかえって増やす原因になります。あくまで乳房が張っていて、辛かったり、赤ちゃんにそのまま咥えさせるとむせてしまいそうなときに行いましょう。
圧抜きの方法
- 乳輪のまわりを少しずつ位置をずらしながら、360度軽く指で押す
- 左右の乳房を外側から内側へ軽く圧迫する
授乳の途中で満足したり、寝てしまったときは、必ず次の授乳の際に飲ませていない方のおっぱいから始めるようにしましょう。
4.片方の乳頭が吸いにくい形をしている
赤ちゃんが片方しか飲まない場合は、嫌がる方のおっぱいの形や授乳姿勢などに問題がある可能性もあります。
赤ちゃんの口の中に入る乳頭が陥没していたり(陥没乳頭)、平らになっていたり(扁平乳頭)すると、上手く吸うことができません。赤ちゃんのお口は非常に小さくて敏感なので、見た目にはそこまで大きな違いがないよう見える乳頭でも、上手く舌で巻き込むことができず、吸いにくさを感じます。
授乳体勢を変えてみる
授乳姿勢はママが母乳をあげやすい姿勢で固定されてしまうことが多いです。しかし、乳房の大きさや乳首の長さによって赤ちゃんにとって吸いやすい姿勢には違いがあります。
- 横抱き…基本の授乳姿勢どの月齢でも可。
- 縦抱き…乳房が小さい、乳首が短い場合に吸いやすい。
- ラグビー抱き…乳房が大きい場合に吸いやすい。帝王切開の出産後にも良い。
陥没乳頭や扁平乳頭など、そのままでは赤ちゃんがおっぱいを吸いにくい場合、マッサージをしたり、乳頭保護器を使用するなどの方法があります。
乳頭マッサージ
1.親指、人差し指、中指で乳頭の付け根をつまんで、左右に回したり軽く引っ張りながらマッサージします。
2.人差し指と中指で乳頭をはさんで、親指で乳頭の先端を回しながらマッサージします。
5.向き癖がついている
赤ちゃんは毎日何回も母乳を飲みますが、そのうち自分の好きな「向き」を見つけます。よく観察してみるといつも同じ方向を向いていることがありますが、気に入らない向きのままだと授乳を拒むことがあります。
嫌がる方の母乳から飲ませる
向きが気に入らないとはいえ、空腹で耐えられない時は向きがどうであれ飲んでくれるものです。そういったタイミングの時に普段は嫌がる方のおっぱいから飲ませてみると、順応性の高い赤ちゃんは徐々にその向きに慣れてくれます。
両方同じ向きで飲ませる
赤ちゃんの好みの向きがわかったら、両方とも向きを変えずに飲ませてあげます。片方のおっぱいを飲ませたら、赤ちゃんの向きはそのままにしてママが平行移動して反対のおっぱいをあげます。少々大変ですが、慣れてしまうとママの方も楽になります。
母乳を片方しか飲まないと左右のバランスが悪くなる
片方の母乳しか飲まなくても赤ちゃんにきちんと栄養が行き渡っているなら問題ありません。しかしお母さんの身体には少なからず悪影響があります。
また片方だけの授乳を続けていると、左右のおっぱいの形に差が出てきて、美容的デメリットはもちろん、左右で大きさが違うことによって、バランスが悪くなり、肩こりの原因になることがあります。
母乳を片方しか飲まないときは早めに対処しよう
赤ちゃんが片方の母乳しか飲んでくれないことは珍しい事ではありません。
ただし、「体重も増えてるし、まぁいいか」とそのまま片方だけの授乳になってしまうのは、おすすめできません。
トラブルなく卒乳を迎えるためにも、片方ばかり飲むようになってきたら、早期に適切な対処をとりましょう。左右5~10分くらいずつを目安にして両方のおっぱいから母乳を飲んでもらうのが理想ですが、嫌がる場合はもう少し短くしても構わないので、片方に偏らないようにしましょう。
参考文献