ベビーサイン、いつから始める?ジェスチャーで親子のコミュニケーションを深めよう
赤ちゃんが生まれると、ベビーマッサージ教室やリトミック教室、母乳相談など、育児をよりよくしようという趣旨のセミナーや教室が目につくようになります。ベビーサイン(赤ちゃんサイン)もそのうちの一つ。言葉を話せない赤ちゃんとジェスチャーでコミュニケーションが取れるようになるなんて、なんだかとっても興味が湧いてくる内容ですよね。
ですが身振り手振りのコミュニケーション、これはある意味会話です。赤ちゃんは一体いつからできるようになるのでしょうか?ベビーサインのお教室に通ってみるにせよ、赤ちゃんとおうちで試してみるにせよ、まずはできる時期を知るところからですよね。
今回は、赤ちゃんがジェスチャーで意思伝達ができるようになる時期や、それができると親子でどんないい効果が生まれるのかをわかりやすく解説します。すぐに活用できそうな簡単な赤ちゃんサインもいくつかご紹介していきますね!
赤ちゃんとのコミュニケーション手段の一つ
身振り手振りでのコミュニケーションはしゃべれない赤ちゃんとのコミュニケーション手段の一つです。「一つ」というと、他に何があるのか?と思うかもしれませんね。いつも赤ちゃんのお世話をしているママはもう実感しているかもしれませんが、赤ちゃんはしゃべれなくても既にコミュニケーションを取り始めているのです。
- にっこりする
- 泣く
- ぐずる
これらはすべて、赤ちゃんが普段からやっているコミュニケーションの手段です。身振り手振りのジェスチャーも、笑ったり泣いたりするのと同じような感覚で捉えてみましょう。
ベビーサインはいつから試せるの?
サインを赤ちゃん自身が認識し、学べるようになるのは一般的に生後半年以降と言われています。もちろん教えたりママがやってみせたりしたからといって、赤ちゃんがすぐにできるようになるわけではありません。
何度もやってみせて徐々に理解していくので、赤ちゃんができるようになるのは、だいたい生後7、8ヶ月以降と見積もっておき、赤ちゃんに期待するのではなく、うまくできなくても「焦らなくても良いもの」と構えておくことが大切です。サインをやるかやらないかはその赤ちゃんにもよるので、何種類も覚える子もいれば、一つだけできるという子もいます。
ベビーサインができなければならない!は間違い
「ベビーサインを根気よく教えているのに、全くやってくれる気配がない…もしかしておかしいの?」
そんな風に思わなくても大丈夫。言葉が出る時期に大きな個人差があるのと同じように、ベビーサインを教えてもやらない子もいるんです。
本人がサインを意味のあるものだと気づいていないかもしれませんし、もしかすると理解はしていてもやろうと思っていないのかもしれません。これは個人差だと思って、寛大に受け止めましょう。
知っておきたい「赤ちゃんの言葉の発達」とベビーサインの位置づけ
ベビーサインを始める前に、赤ちゃんにとってのジャスチャーでのコミュニケーションを赤ちゃんの言葉の発達との関わりの中で理解していくともっと面白くなります。一緒に少しお勉強をしてみましょう!
赤ちゃんは言葉を話せないうちからコミュニケーション能力を伸ばし、表情や身振り手振りで気持ちを伝えようとする能力も備えていきます。このコミュニケーション能力の集大成が発話なのです。赤ちゃんが生まれてから言葉を獲得するまでの間を「前言語コミュニケーション期」と言います。
生後すぐから
赤ちゃんは生まれてすぐから「泣く」という意思表示をしはじめます。これは本能的に備わった能力。
この頃の赤ちゃんはまだ感情もはっきりとしていませんが、気持ちいい感情と不快な感情はわかっていると言われています。「お腹が減って不快」「おむつを替えてもらって気持ちいい」「ママに抱っこされてなんだか心地いい」そんな快・不快感情を身につけて生まれてくるのです。
そして、不快なときには泣いて周りの人に伝えます。泣くとママやパパは、その原因が何かを探し対処しますよね。そのやりとりがコミュニケーションの芽生えなのです。赤ちゃんは「気持ち悪いときに泣くと、誰かが対処してくれる」ということを徐々に学んでいきます。この積み重ねがとっても大切なのです。
生後3ヶ月頃から
この世界に生まれてから、赤ちゃんの感情はどんどん分化していきます。生後1ヶ月を過ぎたくらいから徐々に徐々に世界が見えだしてくる赤ちゃんは、生後3ヶ月頃にははっきりと笑顔を見せたり、笑ったりするように。こちらも笑顔を返してあげると、赤ちゃんも嬉しそうです。
そしてあるとき赤ちゃんは、自分の意思で口から音が出ることに気づきます。ごきげんの良いときに、「あー」「うー」と可愛らしく喉を鳴らしていませんか?クーイングと呼ばれるこのおしゃべりは、発話の芽生えとなるもの。
周りの大人がこれに反応して、笑いかけたり反復したりするうちに、泣く以外にもコミュニケーションの方法があることに気づいていくのです。
生後半年
発する音のバリエーションが増えてきて、音を反復させられるようにもなります。この頃の赤ちゃんは、自分から発せられる音に興味津々!パパやママがそれを真似っこしたり、音を出すと反応してくれたりするので、面白くてたまりません。
生後8ヶ月
喃語といわれる意味のもたない発語が盛んに見られるこの時期くらいからは、身振り手振りがはじまります。
まだ意味のある単語を話せないものの、動作でなら欲求を伝えられるのです。これは赤ちゃんが言葉をしゃべる以前にもコミュニケーションをとっている証ですよね。
赤ちゃんとのやりとりを大切にすると、赤ちゃんの伝えたい意欲がどんどん高まっていきますよ!
生後10ヶ月
「伝えたい!」「ママあれしたい!」乳児期後期に入ると、赤ちゃんもずいぶんと積極的になってきます。例えば抱っこをしてほしいときには、両手を広げてママやパパのところへ近寄ってきませんか?
何かを取ってほしいときには「あーあー」と言いながら、欲しい物がある方向を指差します。こういうように、身振り手振りのコミュニケーションが上達していくのが生後10ヶ月前後です。上手に伝わると赤ちゃん側にもママ側にも、抱えるフラストレーションが少なく済むという利点があります。おそらくこのあたりの月齢が、ベビーサイン大活躍の時期になるのではないでしょうか。
1歳から
1歳くらいになると、早い子であれば意味のある単語を数語話せるようになります。「ママ」「パパ」「おっぱい」「だっこ」など自分の身近な人やしてほしいことを覚えていきます。まだ自在に舌を使って発音できる段階ではないので、聞いた音をすぐにそのまま発音できるわけではありませんが、日々の生活の中でよく聞く音や口の構造上発音しやすい音で構成された単語は、少しずつ使いこなせるようになっていきます。
言葉でのコミュニケ−ションが増えてくると、身振り手振りのコミュニケーションは少しずつ減っていく傾向にあります。
ベビーサインができるとどんな効果が期待できる?
ベビーサインは単に楽しい、面白いだけではなく、赤ちゃんの発達やママやパパの育児ストレスの軽減にも役立つことが期待できます!
赤ちゃんのコミュニケーション意欲を促す
先ほど確認した赤ちゃんのコミュニケーション能力の芽生えは、ママやパパとの応対に始まります。泣いたらあやしてくれたり、機嫌のいいときに遊んで楽しませてくれたり。そんなパパママとの関わりによって、赤ちゃんは積極的に自分からコミュニケーションを取ろうとするようになります。
赤ちゃんにとって、簡単なジェスチャーでのコミュニケーションはその良き手助けになり得ます。言葉はでなくても手の仕草で気持ちが伝えられたら、「伝わった!」の気持ちが大きな喜びと自信になるでしょう。
「泣いてる理由がわからない!」が減る
0歳児赤ちゃんの難しさの一つが、泣いている理由がわからないというもの。きっと何か明確な理由があって泣いているのだろうけれども、毎回すぐには的確に当てられないママもいるはず。赤ちゃんがおしゃべりできたら、すぐに不快を解決してあげられるのにな…そう思ったことがあるのは、きっとあなただけではありません。
ある程度ジェスチャーでコミュニケーションがとれるようになっていれば、自己主張が出始める生後8ヶ月から10ヶ月頃に、赤ちゃんがすんなりと欲求を伝えてくれるようになるかもしれません。
赤ちゃんも何十分とぐずぐずと泣き続けるようなことは減って、ママもそれでイライラしなくなるかもしれませんね。
つまり、赤ちゃんとのコミュニケーションが取れれば、ママも赤ちゃんもにっこりいられるのです。
家族のコミュニケーションを深められる
ママやパパとのコミュニケーションだけではありません。もしもご兄弟がいるのなら、赤ちゃんとお兄ちゃんお姉ちゃんとのコミュニケーションも可能になります。子ども同士、言葉は通じなくとも通じ合うものがあるのか、「あー」と言い合ったり「いないいないばあ」をしたりすることも。
一定のベビーサインがあれば、子ども同士でもさらに進化したコミュニケーションをとることができそうですね!「おっぱい」「おいしい」「ねんね」などの基本的なベビーサインをぜひお兄ちゃんお姉ちゃんにも教えてみてください。
言葉の発達を促す
コミュニケーションへの意欲が高まると、今度は次の段階である発話に興味を持ち始めます。身振り手振りでジェスチャーをすると発話の時期が早くなる!と、ベビーサインに熱中したママからはよくこんな感想が聞かれます。ですが、ママたちはサインを使うときに一緒に言葉がけを行いますから、結果的に浴びせた言葉のシャワーの量が多くなったことも理由の一つと考えられます。
たくさんの言葉のシャワーを浴びて耳が成熟し、そして話したい!という意思が出てきたときに赤ちゃんは話し出します。
一方で「サインに甘んじたのか、言葉の出が遅くなった」という感想を持つ人もいます。確かに赤ちゃんサインが手話のようにすべての会話を網羅していたら、そうなるかもしれません。しかし、ママたちは必ず言葉がけも大切にしているはずです。言葉の出に関しては、あとは個性の問題としか言いようがありません。早い子と遅い子では約1年の開きがありますから、焦らずに見守ってあげましょう!
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赤ちゃんとこミュニケーション!簡単なサインを使ってみよう!!
それでは、実際に赤ちゃんとジェスチャーでのコミュニケーションをとってみましょう!どれもイメージしやすいものばかりなので、ママもすぐに覚えられますよ。
おっぱい
おそらく、赤ちゃんが伝えたいと思っていることの最上位にランクインするであろう要求が「おっぱいが欲しい」ではないでしょうか?お腹が空いた、なんとなく寂しい、ママに抱っこされて安心したい…いろんなときに赤ちゃんはママのおっぱいを求めます。
ご飯の後しばらく経って、ぐずぐず泣いて理由がわからないときってありませんか?お腹は空いていないはずなのに…と思っていろいろあやしてみるものの赤ちゃんはずっとぐずぐず。結果おっぱいが足りなかっただけ、なんてことはよくあります。もしそこで赤ちゃんが「おっぱいサイン」をしてくれたなら、赤ちゃんもママもスムーズなやり取りができますよね。
「おっぱい」のサインはとっても簡単!顔の横に手を持ってきて、牛の乳搾りのように手のひらをゆっくりとグーパーさせます。
最初は「おっぱい飲みたいの?」と赤ちゃんに聞くときに、この動作を付け加えてやってみましょう。次第にその意味を理解して、ジェスチャーだけで「これをママがするとおっぱいが飲める!」と学習していきます。
オムツを替える
「オムツ」と「替える」は別のベビーサインがあてがわれていることもありますが、最初のうちは二つ一気に使うのは難しいので、「オムツ」か「替える」かどちらか気に入った方のサインを使うようにすればいいでしょう。
「オムツ」はうんちやおしっこをしたことを表現するので、両手で下腹部をパンパンと同時に叩きます。シンプルですね!
「替える」は、チェンジのジェスチャー。軽く握った両手を顔の前まで持ってきて手首でクロスさせてから、ゆっくりと手の位置を逆にします。
「替える」の方は、もう少し大きくなってから、絵本やおもちゃを交換したいときなどに応用することができます。
食べたい
手をすぼめて口元に持って行き、そこで数回トントンと口元を突きます。そのとき、一緒に口をもぐもぐしてみましょう。何か物を食べているような素振りです。
美味しい
「おいしい」のサインは、ジェスチャーそのもの。手のひらをほっぺに当てて、離して、を数回繰り返します。
「おいしい」は形容詞なので、名詞や動詞よりも赤ちゃんが理解しにくい単語です。最初のうちは、ママが率先してリードして、一口食べたら「おいしい?」と聞きながらジェスチャーを繰り返してあげましょう。また、ママが食事をしているシーンで使ってあげると赤ちゃんも理解しやすいですね。
ねんね
ねんねのベビーサインも、よくある「寝る」のジェスチャーと同じです。両手のひらを合わせて片方の耳のところまで持って行きます。そのまま手に顔を乗せて首を少しかしげましょう。これは、手で枕を表現しているのでしょうね!
もし両手でやるのが難しそうであれば、片手でやる方法もあります。手の甲をほっぺにつけて、首をかしげるとねんねのサインです。
もっと〇〇したい!
両手をすぼめて前で指先をあわせます。そこで「もっと?」と聞きながら、指先を軽くトントンと合わせてみましょう。食事中や何か遊びを中断したときなどに使って練習すると良いでしょう。
抱っこしてほしい
抱っこのポーズは、赤ちゃんが自然と既に習得している場合も多いのでは?ママは、赤ちゃんを抱っこしようとするとき、両手を開いて下に差し出し、小さい子が抱っこされに来るのを待つような体勢になります。これが抱っこのサイン。赤ちゃんに「抱っこしようか?」と聞きながらサインを出してみてください。
おしまい
両手を左右それぞれで胸の前で立てて、そこからゆっくりと両手を合わせて行きます。カーテンが閉まるようなイメージです。「ごちそうさま」にもそっくりです。
もっと知りたいママには教室や本で深める方法も
ベビーサインに興味が出てきた方は、ぜひその興味を深化させてみては?書店には、ベビーサインに関する書籍がいくつも置いてありますし、もっと具体的でわかりやすいイラストや解説もセットされていてとてもタメになります。
また、イオンなどのスーパーマーケットや百貨店では、ベビーサインのレッスンがプログラムとして組まれていたり、単発イベントが催されていたりします。こういったものは行く手間がかかりますが、児童館やサークル感覚で参加できるので、興味を軸にして新しい仲間探しにはいい場所です。
ベビーサインで赤ちゃんとよりウィットに富んだコミュニケーションを
例を見るとわかるとおり、ベビーサインは指差しやジェスチャーと同じ部類。手話にも似ていますね。赤ちゃんとのコミュニケーション手段ですから、「ベビーサイン、勉強しなくちゃ!」とそんなに難しく気構える必要はないのです。赤ちゃんもできたらいいな!くらいの軽い気持ちで取り組んでみることが、逆に長く付き合えるコツです。
コミュニケーションの一つの手段として使えればそれでオッケー。もちろん、アレンジOKです。何気なく普段の生活でベビーサインを取り入れていると、ふとした瞬間に赤ちゃんが自然とできるようになっている姿を見ることができるかもしれません。まずは3つくらいから試してみませんか?