離乳食にほうれん草を使うなら、葉と茎はいつからOK?
ほうれん草は離乳食の定番野菜です!ほうれん草は、日本各地で栽培されているのでいつでも手に入りやすく、栄養豊富な緑黄色野菜の一つです。茹でて常備しておくと、少し添えるだけで彩りがよくなるので、日々の食卓でも重宝します。
そんなほうれん草は、離乳食でも活躍させられる食材です。ただし、独特の苦味もありますので、しっかりとアク抜きしてから使うようにしましょう。
ほうれん草は葉先を裏ごしすれば初期(5か月)からOK
ほうれん草はアレルギーの心配が少なく、葉先の部分は柔らかく茹でて、水分を加えてペースト状にすることで初期(5か月・6ヶ月)から与えることが可能です。
すり鉢でのすりつぶし、裏ごしなどの処理が必要ですが、ミキサーやブレンダーを使うと1度に大量のペーストを作ることができます。
茎の部分1歳過ぎの離乳食完了期まで無理に与えない
茎の部分は繊維質が多く、消化に負担がかかるので、1歳を超えて完了期頃から与えるようにしましょう。
離乳食のほうれん草のかたさ目安
離乳食初期(5~6カ月) | |
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茹でた葉先を裏ごししてペースト状にします。 | |
離乳食中期(7~8ヶ月) | |
茹でた葉先を細かく刻みます。 | |
離乳食後期(9~11ヶ月) | |
茹でた葉先を5㎜程度に粗く刻みます | |
離乳食に使うほうれん草の下ごしらえ
栄養たっぷりなほうれん草ですが、選び方や下ゆでの方法次第ではその栄養が減ってしまうことがあります。また、しっかりと処理しないと、苦味、えぐみが気になることもあります。ほうれん草の下ごしらえのポイントをご紹介します。
美味しいほうれん草を選びたいなら「葉」と「茎」の色に注目する!
ほうれん草は、1年を通して手に入れられますが、旬は冬です。
寒さに耐えるために栄養を蓄えて甘くなり、繊維質が柔らかくなるという特徴があります。
美味しいほうれん草の特徴
- 葉がピンとしていて肉厚なものは鮮度が高い
- 全体的に緑色が濃いもの
- 根元が赤みを帯びていると甘味が強くて良い
ほうれん草は必ずお湯で茹でる!茹で時間は何分?
ほうれん草はアクが多く、茎の先に泥が残っていることもあります。
離乳食で使う際にはよく洗ってから茹でて、その後水にさらしましょう。この手順を丁寧に行うことで、アクがなくなり、赤ちゃんでも食べやすくなります。
小松菜などアクの少ない野菜はレンジ加熱もできますが、ほうれん草はたっぷりめのお湯で茹でた方が良いでしょう。
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ほうれん草の根元が長すぎるときは切り落とし、左手でほうれん草の束を持ち、右手に持った包丁を使って各根元に1~2cmの深さで十字に切り込みを入れていきます。
デザイナーさんへ、以下の写真のように切り込み部分を分かりやすくしてください。写真があまり十字に見えないので、線を追加してもOK
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ボウルに水を入れて根元を洗い、水を入れ替えて葉先も同様に洗います。
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ほうれん草を束にしたまま中央を輪ゴムで止め、鍋にたっぷりの湯を沸かしてほうれん草の葉先を持って茎の部分を30秒茹でます。
※離乳食以外で使う場合は、小さじ1程度の塩を加えてゆでると色鮮やかに仕上がります。 -
ほうれん草の茎の部分に持ちかえ、菜箸を使ってほうれん草全体を沈めて30秒~1分半ほど茹でます。※ゆですぎると栄養価が落ち、色も悪くなるので注意しましょう。
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ゆであがったら、冷水にさっと浸します。
※浸しすぎると水にビタミンCなどの栄養素が溶けてしまうので注意しましょう -
ほうれん草を取り出して絞り、3㎝程度の長さに切ります。
茹でたほうれん草は小分けにして冷凍保存する
下茹でしたほうれん草は、小分けしてラップに包む、もしくは細かく刻んだり、ペーストにして冷凍保存できます。冷凍した場合は2週間程度で使い切るようにしましょう。
凍ったほうれん草をそのまますりおろし、湯冷ましで伸ばして電子レンジ600Wで20秒加熱すれば、初期からOKのペーストが完成します。
市販の冷凍ほうれん草・カットほうれん草も使ってOK
ほうれん草は、旬の時期に収穫されたものが冷凍食品として販売されています。
冷凍ほうれん草は下ごしらえ不要ですぐ使え、野菜の価格が高騰しても価格に影響しないといったメリットもあります。
離乳食でももちろん使ってOKですが、茹でてあるものでも、念のため必ずレンジや鍋で再加熱してから使うようにしてください。
離乳食のほうれん草レシピ
ほうれん草を離乳食ではどのように使うのか、食べやすさと栄養をUPさせる相性の良い食材を解説し、レシピ例をご紹介します。
ほうれん草と組み合わせたい離乳食のオススメ食材
食べやすさと栄養価の両面から、ほうれん草と組み合わせたい食材をご紹介します。初期・中期は茹でたほうれん草がメインですが、後期以降は油で炒める料理も可能です。
飲み込みにくさをとろみでカバーできる麩・芋類・ヨーグルト
葉物野菜は、裏ごししても繊維質が残ってしまいがちです。特に初期~中期にかけては赤ちゃんが飲み込みにくく感じることがあります。そのため、お粥にまぜたり、片栗粉などでとろみをつける食べ方がおすすめです。
お粥以外ではお麩(主原料は小麦粉)や芋類、中期以降であればヨーグルトなどと組み合わせると、ほうれん草のえぐみを感じにくくなり、ゴクンと飲み込みやすくなります。
鉄分やBカロテンの吸収率UPさせる肉・魚・卵
ほうれん草には鉄分が多く含まれますが、植物性食品に含まれている鉄分は吸収率が低いという欠点があります(注3)。
赤ちゃんの貧血予防のためにも、中期・後期以降は、肉・魚・卵といった動物性食品と組み合わせて鉄分の吸収率をUPさせてあげましょう。
また、ほうれん草にたっぷり含まれるβカロチンは、脂質と一緒に摂取すると体内への吸収率をUPさせることができます。後期以降は少量の油を使って調理するやはり肉・魚・卵といった脂質を含む食材と組み合わせましょう。
初期(5カ月・6ヶ月)のほうれん草レシピ
ほうれん草は生後5ヶ月、離乳食を開始して間もないころから食べられる葉物野菜です。まずは滑らかなペーストにして、赤ちゃんの反応を伺いましょう。
裏ごし不要!ほうれん草のペースト
材料
- 下茹で済みほうれん草 1束(葉先のみ)
- 湯冷まし(もしくはミネラルウォーター) 1/4カップ程度
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ゆでたほうれん草を1cm程度に刻みます。
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ミキサーにほうれん草と湯冷ましを入れて攪拌させます。ブレンダーでもOKです!
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保存袋に平らになるようにいれて、冷凍保存します。離乳食の小分けパックや製氷器でもOKです。使う時は割り、レンジや調理で再加熱しましょう。
ペーストはお粥や白身魚にのせてOK
ほうれん草のペーストは、お粥にのせても、白身魚にのせてもおいしく食べられます。 先輩ママの活用術をご紹介します。
初期から食べられる3色粥
まるち(35歳)
材料:10倍粥、ジャガイモ小1/8個、にんじん一欠片、ほうれん草1本(葉の部分)
- ジャガイモとにんじんは耐熱容器に入れ、レンジで温めて柔らかくペースト状にする
- ほうれん草は茹でて茶こしなどでペースト状にする
- お粥のうえに1と2をのせて、出来上がり飾り立てれば完成!
ほうれん草のペースト、人参ぺーストで簡単に作りました。他にもかぼちゃやさつまいものペーストを使えば、ハーフバースデーの離乳食ケーキも作れます!
中期(7カ月・8ヶ月)のほうれん草レシピ
麩は離乳食初期後半から食べられる小麦粉主原料の食材で、たんぱく質も多く含みます。乾物なので使う分だけすりおろし、細かく刻んだほうれん草と和えると自然なとろみがついて飲み込みやすくなります。
レンジで簡単!ほうれん草と麩のとろとろ煮
材料
- 下茹で済みほうれん草 5g
- 麩 3g
- だし汁 大さじ2
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ほうれん草は細かく刻みます。
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麩はすりおろします。
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耐熱容器にほうれん草、麩、だし汁を入れて電子レンジ600Wで30秒加熱します。
後期(9・10・11ヶ月)のほうれん草レシピ
葉物野菜は料理の彩りを良くしてくれます。おやきを作る際にはほうれん草を加えると美味しそうに見えますし、栄養価もアップするので一石二鳥です!
鮭入りほうれん草のじゃがいもおやき
材料
- じゃがいも 1/2個(50g)
- ほうれん草(葉先) 10g
- 生鮭 10g
- 片栗粉 小さじ1/2
- サラダ油 少々
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ほうれん草は細かく刻み、じゃがいもは皮をむいて小さく切り、水に浸してアクをぬきます。
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じゃがいもの水気を切ってラップに包み、電子レンジ600Wで1分加熱してつぶします。
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ボウルにじゃがいも、ほうれん草、鮭を入れて混ぜ合わせ、赤ちゃんの一口大に成型し、片栗粉をまぶします。
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フライパンにサラダ油を薄く敷いて、3を両面しっかり焼きます。
完了期(1歳以降)のほうれん草レシピ
完了期になれば、大人の料理からの取り分けも多くなってきます。ニラやにんにくの入った餃子は赤ちゃんには癖が強いですが、ほうれん草と鶏ひき肉に変更すれば家族みんなで楽しめます。
ほうれん草と鶏ひき肉のあっさり一口餃子
材料
- 鶏ひき肉 20g
- ほうれん草(下茹で済み) 15g
- 玉ねぎ 10g
- 塩 少々
- しゅうまいの皮 6枚
- サラダ油 少々
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ほうれん草は細かく刻み、玉ねぎはみじん切りにします。
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ボウルにほうれん草、玉ねぎ、鶏ひき肉、塩を入れて混ぜ合わせます。
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しゅうまいの皮で2のタネを包みます。
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フライパンにサラダ油を敷き、裏面に焼き目がついたら水を大さじ1/2杯加えて蓋をし、5分程度蒸し焼きにします。
ほうれん草に含まれる栄養素
ほうれん草は昔からなんとなく体に良いイメージがありますが、どんな栄養素が含まれ、どのような効能があるのか、改めてご紹介します。
緑黄色野菜の条件であり、免疫力を上げる「βカロテン」
緑黄色野菜とは、「可食部100gあたりにカロテンを600μg以上含む野菜」を指しますが、ほうれん草も緑黄色野菜に分類され、100gあたり4200μgほどのβカロテンをたっぷり含んでいます(注1)。(注1)。
βカロテンは体内に入るとビタミンAに変わります。ビタミンAには抗酸化作用や皮膚や粘膜を保護する効果があり、免疫力アップに役立ちます。
赤ちゃんの貧血予防に欠かせない「鉄分」
ほうれん草には貧血予防に欠かせない鉄分がたっぷり含まれています。ほうれん草100gに含まれる鉄分の量は、同じ重量の牛レバーの半分程度の2.0㎎です。
骨の丈夫にし、野菜のなかでは特筆すべき量の「カルシウム」
ほうれん草は、骨や歯を丈夫にするカルシウムも豊富です。カルシウムは、成長著しい赤ちゃんには欠かせない栄養素の一つです。
茹でたほうれん草100gあたりに含まれるカルシウムの量は、同じ重量の牛乳とほぼ同量の69㎎という多さです!
風邪予防や鉄分の吸収効率を上げる「ビタミンC」
ほうれん草には免疫力を高めて鉄分の吸収率をUPする働きのあるビタミンCも含まれています。ただし、ビタミンCは水に溶けやすく熱に弱いという特徴があるため、茹でてしまうと含有量が半減してしまいます(注2)。
離乳食はほうれん草で体調管理!
ほうれん草は、普段から積極的に摂りたい食材です。おひたしにしたり、炒めたりと活用方法も幅広いので、ぜひ日々の献立に加えてください。
離乳食完了期以降は、ほうれん草の茎の部分も使ってOK!甘さと栄養をたっぷり活かした調理で、赤ちゃんの体調管理に役立ててあげましょう。
ちなみに、ほうれん草と同じ青菜に、小松菜があります。小松菜も鉄分やカルシウムなどが豊富に含まれていて、栄養価が高いので、おすすめの野菜です!
参考文献