哺乳瓶の消毒は正直ちょっと面倒…?でも、とても大切です
昼夜関係ない数時間おきのミルクにもれなくついてまわる作業、それは「哺乳瓶の消毒」。哺乳瓶はきれいに洗うだけではなく、そのあと薬液に浸したり、煮沸を行って消毒をします。
哺乳瓶の消毒自体が面倒だという人もいるでしょうし、哺乳瓶や乳首をきちんと消毒できたか、パパやばあちゃんがミルクをあげるときも清潔が保てているかや衛生的に保管できているかなど、哺乳瓶の消毒はちょっとした「?」がたくさん出て来る部分です。
この「哺乳瓶の消毒」はいつまでしなくてはならないのでしょうか?哺乳瓶の消毒はいつまで?というキーワードからみえてくる「哺乳瓶の消毒の大切さ」や「哺乳瓶の消毒の仕方」について解説していきます。
哺乳瓶の消毒はいつまで必要?消毒の理由と頻度
なぜ、哺乳瓶はきれいに洗ったあと消毒まで必要とされるのでしょうか?そして哺乳瓶の消毒がいつまで必要なのか、その理由についてここでしっかり確認していきましょう。
哺乳瓶の消毒は1歳まで!生後1・2ヶ月で免疫力が激減する!
生まれてすぐの赤ちゃんは、お母さんからもらった免疫力が残っていて、ウイルスや菌に対して、ある程度の抵抗力をもつとされています。ただその抵抗力はずっと保持されるものではなく、大人の抵抗力を100%とすると生後1ヶ月を過ぎた赤ちゃんは30%程度しか持ち合わせていないとされています。
この抵抗力が大人の50%くらいまでに回復するのが生後9ヶ月ごろ。赤ちゃんごとに異なる成長の違いも加味すると、やはり、生後半年から1歳前後まではしっかり消毒してあげると安心です。
また月齢に関係なく、赤ちゃんの体調や機嫌が優れない日が続くとき、外出続きで疲れているだろうとき、食中毒の季節などは気をつけてあげましょう。
哺乳瓶の消毒は毎回必要?消毒する理由は?
厚生労働省でも「乳児への哺乳と調乳に使用された全ての器具を次の使用前までに徹底的に洗浄及び滅菌することは非常に重要である(注1)」と発表しています。つまり、使い終わったら毎回洗浄消毒してね、ということですが、その理由について、しっかり確認していきましょう。
消毒する理由1 抵抗力を持たない赤ちゃんにとって菌は脅威
普通の家庭において、100%無菌の場所はないといえるくらい菌は身近にいます。例えば台所にある食器洗いのスポンジ。これも対策を何もしていないスポンジだと、さまざまな菌が1000万から100億個もいるケースがあり、もはや洗っているのか菌をつけているのかわからない状況です。手についている雑菌、また手をきれいに洗った後に拭くタオルで繁殖した雑菌など、菌はいたるところにいます。
とはいえ人間の健康は様々な菌に支えられている一面も有し、必ずしも滅菌すれば良いというものではありませんし、多くの場合大人にとっては何でもない日常的な菌です。ですが、この世に生まれたばかりの赤ちゃんにとって菌やウイルスは脅威となり、下痢など引き起こしてしまうことがあります。
身近に潜む赤ちゃんには危険な菌
- 黄色ブドウ球菌…通常、人の手などについているとされる
- カンピロバクター…主に生の鶏肉などにいるとされる
- サルモネラ菌…肉や卵などにいるとされる
- リステリア菌…生のお肉、滅菌していない牛乳やそういった原料で作られたチーズなどの乳製品などにいるとされる
- 大腸菌…トイレの後の手洗いが不十分など汚れた手を介して、ドアノブやテーブルなど家のいたる部分が汚染するとされる
消毒する理由2 きちんと洗っている哺乳瓶にも目に見えない菌が繁殖している危険がある
赤ちゃん用のスポンジは、哺乳瓶を洗う洗剤も違うことから専用に新しいものを使う方は多いでしょう。ですが、大人とスポンジを分けていれば安心というわけではありません。赤ちゃん用のスポンジだって大人用スポンジと同じように雑菌は沸きますし、哺乳瓶の底などについたミルクかすは、洗っただけではどうしても取りきれないことがあったり、キチンと洗っている哺乳瓶でも雑菌はいないわけではありません。
ミルクに含まれる栄養は雑菌たちにとっても栄養となります。目に見えないようなわずかな汚れであってもミルクかすが残っていると、多くのばい菌が増殖しやすい環境になりうることが指摘されています。
哺乳瓶の消毒をしないとどうなるの?
「1人目はまめに消毒していたけど、2人目はそんなに神経質にならなくても大丈夫だったわよ!」といった話も良く聞きますし、そういった環境下でも多くの子どもたちが元気に大きく育っていることも事実です。
しかし、新生児や低月齢の赤ちゃんの下痢や嘔吐、発熱などの症状の中には、原因が特定できないものも多く、それらに雑菌が関与している可能性は大いに考えられます。
アメリカなどでは哺乳瓶の消毒はあまりしない、という意見もあるのですが、アメリカと日本では「湿度」が違うために菌の発生率や増殖率も異なるというひとつの要素が考えられます。
哺乳瓶の消毒をしなくても赤ちゃんは食中毒になったり日和見感染をしたりはしないかもしれないし、100万件に1件の確率かもしれなくても、抵抗力を持たない赤ちゃんにとっては脅威であることには変わりありません。その1件にならないためには、哺乳瓶の消毒がとても大切なのです。
パパやおばあちゃん・おじいちゃんにも消毒の大切さを伝えよう!
ママが毎日、一生懸命に哺乳瓶の消毒に気をつけていても、たまに預けるパパやおばあちゃんが、それを知らなかったり、実践してくれなければ、赤ちゃんの危険が消えることはありません。
「神経質になり過ぎ」「ちょっとくらい平気」という意見を言われてしまうこともありますが、おじいちゃんおばあちゃんに代わりに哺乳をしてもらうときは、そこはママもがんばって丁寧に哺乳瓶の消毒の必要性を伝えましょう。
哺乳瓶の消毒は無理そうというおじいちゃんおばあちゃんに赤ちゃんをお願いするときは、最低限、以下の点だけには注意してもらうようにお願いしましょう。
- 消毒済みの哺乳瓶を使うことをしっかり確認する
- 調乳する前や哺乳瓶を管理するときは手を良く洗う
- 調乳してから時間の経ったミルクは与えない
- ミルクの作り方のコツは?安心安全な作り方と管理方法
ミルクの作り方で重要なのが赤ちゃんの安心安全を最優先すること。初めて育児をする方の参考になる白湯や湯冷ましの作り方、ミルクの冷まし方などミルク作りの基本から外出先での便利な作り方なども紹介します。
1歳までは続けたい!哺乳瓶の消毒方法。旅先ではどうする?
ここでは、代表的な哺乳瓶の消毒方法や注意点について徹底調査しました。哺乳瓶の消毒方法選びの参考にしてくださいね。
哺乳瓶の消毒方法と注意点1―洗剤・薬液で隅々までしっかりキレイに!
専用の洗剤液や薬液に浸して消毒する方法です。薬液の中でも「次亜塩素酸ナトリウム」を使っている哺乳瓶消毒液は、ノロウイルや熱では死滅しにくいとされる枯渇菌など芽胞をつくるような菌にも有効とされています。
洗剤・薬液で消毒する方法-しっかりと指定時間以上浸すこと!
- 製品に指定された水の量との洗剤・薬剤の量を正確に測り、薬液を作ります。
- 洗った哺乳瓶などすべての部分がきちんと薬液に浸かるように漬け込みふたをします。
- 取り出すときは清潔なトングが安心ですね。
一日一回作り変える消毒液では、調乳の直前に取り出して使うことが多いです。
消毒液から取り出した哺乳瓶や乳首はそのまま使ってOKと表記されますが、赤ちゃんによっては、薬剤の臭いを嫌がりミルクを拒否するような仕草を見せる子には、哺乳瓶や乳首を流水で軽く洗ってみましょう。
洗剤・薬液で消毒するときは指定の濃度・時間を守ること!
- 指定された「薬液の濃度」「漬け込み時間」はきちんと守りましょう。濃度が薄かったり、浸す時間が少ないとすべての菌をきちんと死滅させることができません。
- 薬液を取り換えるタイミングも指定された期間を守りましょう。指定時間を過ぎると殺菌効果が急激に落ちるとされています。
- プラスチック製の哺乳瓶では薬液消毒で品質劣化が進んだり軽量メモリがわかりにくくなることがあります。
哺乳瓶の消毒方法と注意点2―レンジで簡単・便利に終わらせる!
電子レンジの高温と少量の水で高温のスチームを発生させて消毒する方法です。加熱終了後は、そのケースに入れたまま哺乳瓶などを保管できるので、とても便利です。通常、哺乳瓶2本から4本と乳首やフタなどが一度で消毒できます。
電子レンジで消毒する方法―専用容器に入れて指定時間加熱するだけ!
専用の哺乳瓶消毒ケースに、洗った哺乳瓶や乳首などを入れ、指定の時間(一般に5分前後)加熱しするだけです。
電子レンジで消毒するときは耐熱温度や電子レンジのサイズに注意
- 哺乳瓶本体だけでなく、哺乳瓶の乳首やフタなどの小物も電子レンジ対応か確認が必要です。耐熱温度的にはOKでも、電子レンジの使用がNGという場合があるので説明書や製造元に確認しましょう。
- 電子レンジ用の哺乳瓶消毒ケースは意外と大きいので、電子レンジの庫内が小さいなら入らないことがあります!自分の家の電子レンジに入るかどうかサイズ確認が必要です。
哺乳瓶の消毒方法と注意点3―伝統的な煮沸消毒でコストダウン!
最も伝統的な消毒方法が、熱湯による煮沸消毒です。大きめのお鍋とお湯があればできるので、改めて何かを購入したりする必要がなく、コスパが嬉しい方法です。
煮沸で消毒する方法―100℃(沸騰したお湯)で3分以上!
- きちんとお湯が沸騰したら(100℃=グツグツ泡がでるような状態)、火を中火にします。
- 軽く沸騰した状態を保ったお湯に、洗った哺乳瓶や乳首などを入れます。
- 沸騰したお湯で3分から5分煮沸消毒したら、OKです。
- 消毒し終わった哺乳瓶などを取り出すときは清潔なトングを使いましょう。
煮沸で消毒するときは耐熱温度や煮沸時間に気をつけて!
- きちんと沸騰したお湯で消毒することがポイント。これに似た方法で、「熱湯消毒」というものがあります。これは沸騰したお湯ではなく熱めのお湯で消毒する方法なので扱いやすいのが利点ですが、温度が下がる分消毒時間が多く温度管理の必要も生じるため、一定の温度を保ち続けること(70℃の温度を30分間など)が難しい家庭では煮沸消毒の方が安心です。
- 哺乳瓶や乳首などの耐熱温度の確認が必要です。また鍋のフチについてしまったりや長時間煮沸し続けると、ガラス製以外の哺乳瓶や乳首が変形することがあるので注意が必要です。
帰省先・旅先・災害時!哺乳瓶の消毒は?-1回使い切りタイプの薬剤が便利!
帰省先や旅先でも、哺乳瓶の消毒は必要です。また普段は電子レンジや煮沸消毒をしている場合も、災害時、電気やガスが止まってしまったときのことも考えておかなくてはなりません。
こういったときに役立つのが、1回の使用量が個別包装されているようなスティックタイプの薬剤や錠剤タイプの薬剤です。哺乳瓶専用の薬液消毒容器と合わせて持っていれば、旅先の洗面台などでも、その中に哺乳瓶や乳首を保管できるので衛生面でも安心です。
旅行や1泊程度の帰省で薬液消毒容器の持ち運びがかさばるときは、食品用密閉保存袋が便利です!
ミルクかすを残さない消毒前の洗浄のポイント・保管場所
哺乳瓶の消毒方法についてみてきましたが、哺乳瓶の洗浄のポイントや保管場所・保管方法も衛生管理を行う上でとても大切です。
消毒の前に!哺乳瓶専用のスポンジの使い方
哺乳瓶の洗浄には哺乳瓶専用のスポンジや洗剤を用意するのは基本です。柄の付いたスポンジや洗剤などいろいろな種類がありますが、哺乳瓶のタイプなどにあわせて選びましょう。
プラスチック哺乳瓶用スポンジブラシ
プラスチックの哺乳瓶を使うときには、哺乳瓶の内側や外側に傷がつきにくいスポンジを使いましょう。硬いスポンジなら目に見えない小さな傷が付けてしまいミルクカスが残りやすく、結果雑菌も繁殖してしまう環境になるため、プラスチック哺乳瓶派のママは気をつけましょう!。
ガラス製哺乳瓶用ブラシ
ガラス製哺乳瓶なら、ブラシ状でゴリゴリ洗っても大丈夫。
ですが、ブラシである分ミルクかすも残りやすいかも?基本的に哺乳瓶を使ったあとすぐに洗うならスポンジタイプでも綺麗になります。
乳首ブラシ
哺乳瓶の乳首は裏返して丁寧に洗いますが、先端のカット部分にミルクかすが残りやすいこと、またあまり無理して裏返すと乳首が破けてしまうことから洗いにくい部分ですよね。不器用なママ、気になるママは乳首ブラシを使って洗いにくい乳首の奥まで清潔に洗ってあげましょう。
哺乳瓶専用スポンジもときどき消毒を!
哺乳瓶専用スポンジを使い終わったら大人用スポンジと一緒に保管しては意味がありませんよ!
洗ってしっかり水を切り乾燥して保管し、定期的に薬液消毒しましょう(哺乳瓶とは別のタイミングがおすすめ)
食物・食品添加物由来の洗剤
抵抗力の弱い赤ちゃんにとって、洗剤成分も気になります。
赤ちゃん用品を優しく清潔に洗う、植物由来・食品成分表添加物に使われているような成分の洗剤を使ってあげましょう。泡で出るタイプの洗剤もあるので使いやすいものを選んでみましょう。
清潔な保管場所の確保も重要!
せっかく滅菌した哺乳瓶も、保管場所が汚染されていては、意味がありません。それぞれの消毒方法別におすすめの保管場所・方法、注意点を解説します。
煮沸・電子レンジ消毒の場合の保管場所・方法
煮沸消毒のあと、水分が残った状態にしておくと逆に不衛生なので、消毒後はしっかりと乾かすことが大切です。乾燥が終わったら、埃や菌がつかないようフタつきの専用タッパやケースを用意して清潔に保ちましょう。
煮沸消毒も同じです。専用ケースのまま保管することができるとはされていますが、そのままといっても湿気ごと保管してしまわないように!「熱が残っているうちに水分を飛ばし、乾燥したらすぐにふたをする」など湿気がこもらない工夫をしましょう。
哺乳瓶乾燥にはコップ立てを
哺乳瓶を逆さまに干しておける哺乳瓶干しがあると衛生的で安心です。これは子どもが大きくなった後もマグや水筒を干すのにも役立ちますよ!コップ立てを買うときは哺乳瓶の口が入るサイズかどうかに注意しましょう。
洗剤・薬液消毒の場合の保管場所・方法
薬液による消毒の場合も保管場所・方法が大切です。それぞれの薬液の専用ケースが間違いありませんが、タッパーやボウルなど赤ちゃん専用に用意した清潔なものならばOKです。手を洗う際の泡や他の調理器具などを洗った洗剤などが入らないよう、タッパーなどのふたのある容器を選びましょう。
哺乳瓶の消毒!自分にあった無理のない方法をみつけよう!
哺乳瓶の消毒は毎日、毎回のことなので、自分にあった無理のない方法をみつけることが、うまく乗り切るためのコツです。哺乳瓶の消毒はしばらく続けていく必要があるので、パパやおばあちゃんにミルクをお願いするときにもわかりやすいように方法は定着させ、家族で共有すると良いですね。