赤ちゃんの頭の形がヘン?!歪みを予防できる時期とその方法
赤ちゃんの頭の形を見て、「後ろがぺしゃんこ」「歪んでない?」と心配になることがあります。「寝かせてばかりいると赤ちゃんの頭の形が絶壁になるよ」とも言われますが、確かに赤ちゃんの頭蓋骨は柔らかく歪みやすいのです。
赤ちゃんの頭は「形を変えられる」のがメリットでもあり、このため多少の頭の歪みは誰にでも発生します。そしてどんな人でも少しの歪みや変形が残ります。大人でも硬い板間に仰向けに寝転がると、なんだかしっくりせず左右どちらかに少しだけ傾くことがあるのはそのためです。
残念ながら中には歪みがひどいまま頭の形が固定されてしまうこともあります。できるものならなるべく頭の変形を防ぎ、赤ちゃんの頃から綺麗な形の頭を保ってあげたいもの。赤ちゃんの頭の形が歪む原因を知って、予防策や改善策を考えましょう!
赤ちゃんの頭の形が歪む原因とは?どうして歪むの?
赤ちゃんの頭の形が歪みやすいのは、産まれたばかりの赤ちゃんの頭(頭蓋骨)がとても柔らかいから。
そして、赤ちゃんの頭蓋骨が柔らかいのは狭い産道を通って産まれて来られるように、また、生まれてからの急激な成長スピードに対応できるように。赤ちゃんの頭は、柔らかくなければ健康に育つこともできないばかりか安全に生まれても来られないのです。
しかし、頭蓋骨が変形する特質は外からの刺激などの影響を受けやすいということでもあります。赤ちゃんの頭の形を変形させてしまう要因となりうるものを見ていきましょう。
長時間同じ姿勢でいるから
産まれたばかりの赤ちゃんは意識的に体を動かすことはできないため、仰向けに寝かせたら上を向いた状態のまま過ごすことになります。
あまり長時間同じ姿勢でいると、頭の一部分に集中して圧がかかるため変形の原因となり得ます。
いつも同じ場所にいるため
産まれたばかりの赤ちゃんは、まだ意識的に体を動かすことはできませんが、もともと産まれ持った性質で、光のある方や音のする方を向いてしまいます。このため、いつも同じ場所・同じ方向でずっと寝かせていると向き癖がつきやすくなって、結果頭の形が歪んでしまうこともあり得ます。
■向き癖って?
向き癖は低月齢の赤ちゃんを寝かせたとき、片側ばかりに首を傾けてしまう癖。
いったん向き癖がつくと、片側に首を傾けた状態が落ち着くので無意識に首を傾けてしまうため、頭の形の歪みの原因と言われます。
NICUや保育器にいたときの影響
産まれてから何らかの理由で、赤ちゃんがNICUや保育器に入ること自体はしばしばあります。赤ちゃんが産まれてすぐはまだまだ自発呼吸に慣れていなかったり、黄疸が強めだったり…といった関係で保育器の中で様子をしばらく観察します。
NICUや保育器に入った赤ちゃんは、器具や点滴など必要処置の関係で横向きに寝かされることがあり、期間が長くなると赤ちゃんの頭の形に影響が出ることもあります。ですが、この場合赤ちゃんのために必要な医療行為。それに赤ちゃんの頭の形は以降もずっとこのままではありません。脳が大きくなるに従って自然に頭の形が戻っていく余地は十分にあります。
授乳時の赤ちゃんの体勢がいつも同じ向き
赤ちゃんを授乳させるとき、赤ちゃんに気を使いすぎて左右のおっぱいを同じ姿勢で飲ませていませんか?
例えば、左のおっぱいは横抱き、右のおっぱいを飲むときはそのままスライドさせてフットボール抱き…というように飲ませると、赤ちゃんがお乳を飲む体勢はずっと同じ側を下に向けたままになります。
あれ?なんだか赤ちゃんの頭の形が気になるな…と思ったら、授乳は左右バランスよく行ってみましょう。
分娩時の産道の通り方のせい
赤ちゃんの頭蓋骨は4狭い産道を通るためにつに分かれています。生まれてくるときは4枚の頭蓋骨が重なり、狭い産道を通るまでに頭のサイズを小さくできます。こうして赤ちゃんは無事生まれてこられるのです。
しかし、ただでさえ産道も赤ちゃんの頭のサイズもが個人差があり、赤ちゃんの頭に対して産道が少し狭すぎると分娩が長引く要因になります。赤ちゃんがなかなか出てこられないときには、吸引分娩と言って、赤ちゃんの頭にシリコンカップを装着し赤ちゃんの娩出を補助しますが、やはり頭部の変形に影響します。
ですが、これも一時的なもので成長とともに頭の形は自然に戻っていくでしょう。
多胎妊娠だった
双子赤ちゃんなどの多胎児には「向き癖」があった傾向があります。
通常は赤ちゃんひとりでも狭い子宮内…多胎児の赤ちゃんたちは単胎児よりもずっと身動きしにくい状況となります。狭い子宮を二人ないしは三人で分け合って過ごすせいで、向き癖がついたり一部に負荷がかかったりしたせいで頭が少し歪んで産まれてくることがあります。
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遺伝的要因
頭の形を気にする人は多いのですが、人種や民族によっても形の違いがあります。つまり、頭の形は遺伝的な面も有するということ。日本人の絶壁は「寝かせっぱなし」に由来するものというより、もともとの絶壁が多いようです。
■アジア人は短頭タイプ
私たち黄色人種であるアジア人は、頭部を上から見たとき耳の張り出しが大きく、後頭部が張り出さない短頭タイプが主流です。アジア人の顔が平たく横に広い印象はこのためで、自然と絶壁率も上がります。
■欧米人・アフリカ人は長頭タイプ
欧米人やアフリカ人は、頭部を上から見たとき後頭部が長く張り出した長頭タイプが主流です。前から見ると顔が小さく見える理由でもあります。
このためにアジアと欧米ではヘルメットの形が違うのだそう。欧米の細身のヘルメットにも、アジア人の頭は窮屈ですが、アジア人のヘルメットも欧米人は入らないのだそうです。こんなところに違いがでるのは興味深いですね。
赤ちゃんの頭の形の歪みの種類~どんなふうに歪む?
赤ちゃんの頭の変形は、「絶壁」だけではありません。
頭部の歪みは、赤ちゃんの頭を上から観察したときの特徴で3種類に分けます。
斜頭症
赤ちゃんの頭を上から見たとき、後頭部が左右どちらか斜めに歪んでいる状態を斜頭症と言います。ひどくなると後頭部だけでなく顔側にも影響が出たり、歪んでいない方を向いて寝難くなります。主に赤ちゃんの時の向き癖が原因となる頭の歪みですので、ママやパパがしっかり予防してあげましょう。
斜頭症は、「筋性斜頚」が原因となっていることもあります。何らかの原因で首にしこりができ、常に首を左右どちらかの方向に傾けてしまうものです。多くは出産入院中や1ヶ月健診で指摘されますが、自然に斜頸がなくなることがほとんどであるため経過観察となります。筋性斜頸の子はバスタオルやまくらで寝姿勢を補正します。
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短頭症
赤ちゃんの頭を上から見たときに鼻の先から後頭部までの感覚が短い「短頭症」は、いわゆる「絶壁」と言われる頭の形の歪みで、後頭部全体が平たい特徴があります。
成長し髪の毛が生えれば目立たなくはなりますが、男の子でも女の子でもヘアスタイルによっては、目立ってしまうのでできれば防ぎたいですよね。
首すわり前の赤ちゃんは仰向け寝が基本ですが、毎日毎日長時間仰向けで寝ているとやはり後頭部に集中して圧がかかり絶壁になりやすいとされます。しかしアジア系の人種は遺伝的な絶壁率が高く、絶壁さん全員が赤ちゃんのときに寝かせられっぱなしだったわけではありません。
長頭症
頭部を上から見たときに、後頭部が通常よりも長い状態です。頭を横に傾けて寝続けると両耳あたりに集中して圧がかかり、頭は後頭部方向に少し長くなります。NICUや保育器に長期間入っていた赤ちゃんによく見られます。
頭の歪みは医学的には問題ない
水頭症や小頭症などの病気による奇形を指摘されている以外での赤ちゃんの頭の歪みは、医学的に問題がないものです。また、吸引分娩や保育器に長期間入っていたための頭部の変形は、成長とともに自然に整っていくとされています。
徐々に頭蓋骨は隙間がなくなり厚みも増して硬くなっていくために、対策は早い段階で行うに超したことはありませんが、冒頭でも述べたように多少の頭の歪みは誰にでもあるものなので、多少ならば気にしなくても良いでしょう。
大きくなるにつれて目立たなくなる
赤ちゃんの頭の歪みが目立ってしまう大きな理由は、髪の毛が少なく頭部の形が目に付きやすいから。
約1年間の急激に頭の成長とともに、ふさふさの髪の毛が頭全体を覆っていくため、多少の歪みであれば言われても分からないほどになるケースは多くあります。
アメリカでの絶壁治療
アメリカでは絶壁をはじめとする頭部の変形を積極的な治療の対象として考えられています。
絶壁矯正用ヘルメットをかぶせて歪んだ形を整える治療がとられます。このヘルメット矯正は入浴時以外1日23時間装着するもので、歯列矯正と同じで矯正を開始したタイミングによっても違いますが3~4か月間装着し続けるようです。
絶壁改善はお早めに!頭の形を治す魔法の方法
「あれ?赤ちゃんの頭の形、ちょっと歪んでいない?!」そう思ったら、早い段階でケアをしましょう。赤ちゃんの頭は柔らかいうちは、歪みに気づいた段階から改善に至る可能性は十分にあります。
いつまでが勝負?!頭の歪みをなくせる時期
頭の形が歪みやすい時期とは改善も比較的簡単な時期。赤ちゃんの頭の形を改善するタイミングは、早いほうが良いにこしたことはありませんが、具体的にはいつ頃までがベストなのでしょうか?
0〜3ヶ月ころ
お誕生から生後2、3ヶ月は頭の形が一番歪みやすい時期。
このころの頭蓋骨は隙間がまだ残っていて厚みも薄く、圧などの影響により歪みやすいばかりか頭を変形させてしまう要因もたくさんある時期です。
家では寝る体勢や授乳体勢がいつも同じ向きにならないように注意してあげましょう。
とは言っても中には快不快感情の強い赤ちゃんもおり、親の思っているように体勢を変えさせてくれないこともあります。あまりにも赤ちゃんが嫌そうにするのなら、無理をさせず程よく寛容になることも大切です。
同時に生後3ヶ月頃までは、頭の変形に一番効果が出やすい時期でもあるので、出来る範囲でのケアで十分に歪みの改善が期待できます。
4〜6ヶ月ころ
赤ちゃんの首もすわり、寝返りに挑戦する子も増えていきます。
赤ちゃんが意識的に首を動かしているうちに、向き癖が自然に消えていくこともあります。
生後半年ころでは歪みを緩和させるのに2〜3ヶ月かかりますが、まだ大泉門も閉まっておらず、骨自体は柔らかいので、見込みは十分にあります。
歪んでしまった頭の形は、生後半年くらいまでが勝負!といわれるのは、これ以降は次第に頭の形矯正にも時間を要するようになるだけでなく、赤ちゃんの動きも活発になって思うように矯正してあげられないためです。生後半年までを目安として早め早めのケアをするようにしましょう。
7〜12ヶ月ころ
生後7ヶ月頃から頭の強度がぐっと増し、赤ちゃん自身の動きも活発になっていきますから、歪み矯正もだんだん難しくなっていきますが、気になるのであれば、一日も早い対処をするようにしましょう。
頭の形をきれいに治す方法
タオルを挟む
昔からあるオーソドックスな改善法で、タオルを使って向き癖のついてしまった赤ちゃんの頭の形を整えます。
タオルを巻いて作った土手を向き癖とは反対の方向を向かせるように首から体にかけてセットします。絶壁や斜頭の予防のために、定期的に体勢を変えてあげ、同じようにタオルで寝姿勢を固定してあげましょう。
タオルを使った補正は、手軽でまだ寝がえりもうまくできない時期におすすめですが、手足を上手に動かせないときでもあるため、万が一の窒息の危険も考慮し矯正中はこまめに様子を見ているようにしましょう。
ドーナツ枕は効果ある?!
赤ちゃん用の枕といえば、ドーナツ枕。真ん中がくぼんだドーナツ枕の効果については賛否両論がありますが、赤ちゃんがうまくこの枕を敷いて眠ることができるならば、一定の効果が得られるのではないでしょうか?
ドーナツ枕も首がすわる前など低月齢のうちに使いたいアイテム。大きすぎたり厚すぎたりすると逆に首に負担がかかることもあるので、赤ちゃんにぴったりフィットしているかはしっかりチェックしましょう。
ベッドやメリーの位置を変える
低月齢の赤ちゃんは意図的には首を動かせないのですが、音のする方向や光の方向を向いてしまう性質があります。ですので、寝場所を同じ位置や方向に固定していると、自然とお母さんがいる方や窓の方に向かって首を傾けっぱなしになってしまいます。
首座り前は、ベッドやお布団の向きや位置を定期的に変えてあげると、それだけで歪み予防ができます。同じ理由で、メリーの位置もときどき変えてあげてください。
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硬いベビーカーに長時間乗せすぎない
赤ちゃんのために快適な乗り心地を追求しているとはいえ、ベビーカーに毎日長時間乗せることは、あまりよろしいことではありませんね。
ベビーカーでは、ずっと同じ体勢で寝転んでいますから、長時間かつ長期間の使用は歪みの原因の一つとなりえます。
お出かけが多いご家庭でも、途中で抱っこに変えたり、ベビーカーの中での体勢を変えさせてあげたりといった工夫をしましょう。
絶壁予防にうつ伏せ寝は避けて!
かつては絶壁予防の意味を含めてうつ伏せ寝が推奨された時代もあったように、うつぶせ寝には安眠などメリットがあります。しかし、現在うつ伏せ寝は二つの危険を避けるために推奨されない姿勢となっています。
■うつぶせ寝はSIDS発症リスク要因のひとつ
うつぶせ寝はSIDS(乳幼児突然死症候群)発症のリスク要因と指摘されています。これは、あくまでもリスク要因とは発症確率をあげ得る条件であり、原因ではありません。
また、SIDSは原因不明の病気であり、うつ伏せ寝とSIDSの因果関係も解明されていませんが、「リスクを下げる」という意味で推奨されない姿勢となっています。
- 乳幼児突然死症候群(SIDS)リスクから赤ちゃんを守るには
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは赤ちゃんが睡眠時に突然呼吸停止してしまうことを指します。なぜSIDSが起こるのか、発症率を上げる要因と下げる要因から予防や対策を考え赤ちゃんをSIDSから守りましょう。
■窒息の危険
また、うつ伏せ寝は窒息の危険性も高い寝姿勢です。赤ちゃんが自分で寝がえりできない時期には、苦しくても自分の力で体勢を変えられないためにうつぶせ寝の状態で目を離すのは危険です。
運動機能の発達を促すメリットを得るためのうつ伏せは、赤ちゃんが起きているとき、かつ親の目が行き渡っているときのうち短時間で十分。うつぶせ寝を頭の歪みを防ぐ寝姿勢と認識しないようにしましょう。
授乳体勢の見直し
授乳スタイルには横抱き、縦抱き、フットボール抱き、添い乳など、様々なものがあります。
赤ちゃんにも飲みやすい体勢や好きな抱かれ方がある子もいますが、できれば毎日同じ姿勢とならないように心掛けましょう。
一回の授乳時間はかかっても20分程度ですが、毎回同じ姿勢ではやはり体勢が癖となってしまうことも。おっぱいを交代するときは赤ちゃんの姿勢も変えましょう。そうすることでママにとっても乳腺炎予防になりますから、お互いに利点があります。
母乳だけでなくミルク育児の赤ちゃんも同じように注意が必要です。
哺乳瓶を使った授乳はまっすぐ斜め上を向いて飲ませる姿勢が基本なので、どうしても毎回利き腕で哺乳瓶を持ち反対側の腕で赤ちゃんを抱えがちですが、同じ姿勢が癖にならないように少しだけ気を付けてみましょう。
頭の形の歪みはある程度予防でき、早期であれば改善できる
男女ともに、綺麗な頭の形にこしたことはなく、赤ちゃんのころは頭の形が変わりやすいことから、少しの歪みでも気になってしまうものです。
頭の形には遺伝的要素もあるため、何が何でも良い形にしようとしてなるものではありませんが、赤ちゃんの頃の向き癖による歪みは、形が決まってしまう前にしっかり予防してあげたいですね。
頭の形を改善するには、半年以降は長期戦となります。完璧は目指さずとも、できるだけ良い形になったらいいなという躍起にならない程度の心持ちで、ケアしてあげましょう。