赤ちゃんの右利き・左利き、利き手はいつ決まるの?
赤ちゃんの利き手は、生まれてすぐはわかりませんが、成長とともに「右利き(左利き)っぽいなとある程度の傾向が見えてきます。
利き手が右でも左でも、普通に生活を送ることが出来ればよいですが、現代は何かと右利きが便利な世の中になっています。
「出来ればうちの子は右利きにしたい!」というお母さんも多いので、「赤ちゃんの利き手がいつ決まるのか」を中心に、利き手に関するさまざまな情報をご紹介していきます。
人類は左利きは少数派でやや不便なのは事実
「どうしても、右利きにしてあげたいの」「だって、左手は何かと不便じゃない?」とお父さん・お母さんが感じるのも無理がありません。世界中のほとんどの人は「右利き」で、左利きの人は約10%と言われているからです。
私達が日常生活で使用するモノのほとんどが「右利き用」に作られています。左利き悪いというわけではないのですが、左利きの人は、日常生活の中で「不便だなぁ」「どうしようかな」と感じる瞬間があるようです。
左利きはこんなシーンでちょっと不便
・ハサミは基本的に右利き用。
・役所にいくと、ペンが無くならないようにゴムがくっついていますが、あれも右利き用
・大学や研修所などで使われているテーブル付きの机は、右利き用
・駅の改札で手がクロスしてしまう。
・食事の時に隣の人に手がぶつかってしまう。
このように、左利きが悪いわけではありませんが、不便なのは事実です。このようなちょっとした不便さを感じさせないように、右手に矯正しようとするお父さん・お母さんが多いというわけです。
赤ちゃんの利き手はいつ決まるの?
人間に右利きが多いのは、人種や民族に限らないことなので、人間は「右利き」として生まれることが多いと推測できます。
ですから「利き手はいつ決まるのか」というよりは、利き手は生まれながらに決まっている前提で、そうした特徴が成長とともに現れてくると考えた方が良さそうです。
おそらく生まれながらに決まっているであろう利き手が行動として現れるのはいつか、月齢ごとに「赤ちゃんの手の動きや使い方」を見ていきましょう。
手づかみ食べが始まる生後半年~1歳代は両手使いのスペシャリスト
手づかみ食べが始まる生後半年~1歳代は、とにかく色んなものに興味が出てくる月齢です。赤ちゃんにとって、食べものを掴んで、そして口に運ぶのは大きな変化。色んな形のおもちゃに触れながら、手や指先の動かし方を理解していくのです。
この月齢は、「両手」を器用に使っていくのがベストです。きっと赤ちゃんは、目の前にある欲しいものに近い方の手を使うはずです。ですから、この月齢から「うちの子、左利きかもしれない」と騒ぐのは、ちょっとナンセンスです。
両手を上手に使えることが赤ちゃんの成長過程では大事なので、わざわざ右手矯正のために時間を使うことはありません。
2歳になるとどちらかの手を使うことが多くなる
両手使いのスペシャリストになった赤ちゃんですが、2歳頃になると、何となく利き手の兆候が出てきます。もちろん赤ちゃんは意識していないのですが、お父さん・お母さんなら、赤ちゃんがどちらの手をよく使っているのかが分かるはずです。
おもちゃを手に取る時、ご飯を口に運ぶとき、どこかを指さす時、クレヨンを持つ時など、ポイントで見ていくと、右手か左手のどちらかをたくさん使っていると思います。
3歳はまた両手を使うようになる
3歳は、また両手のスペシャリストに戻る傾向があります。理由はハッキリしていませんが、せっかくどちらかの手に固定されてきたのに、また両手使いに戻ってしまったのかと落胆するお父さん・お母さんが増えてしまうのも事実です。
4歳頃には、利き手がわかる・決まる
4歳というと、幼稚園の年少さん~年中さんの年齢です。この頃には、フォークやスプーンはもちろん、箸も上手に使えるようになるので、利き手がどちらなのかは分かるはずでしょう。
筆者の息子は3歳には右利きに固定されていました
自分の息子の場合を思い返してみました。私は息子が1歳半ごろに左手を良く使うのが気になっていたので、意識的に右手を使わせるようにしました。左手で持っているスプーンを、何度も右手に持ち替えさせるなど、結構なスパルタだったのかもしれません。
ちなみに、現在4歳の息子は、3歳の時には利き手が固定されていました。左手を使うと注意されるという記憶が、右手を使う機会を増やしたのでしょうか。
赤ちゃんの利き手について研究している人がいました
赤ちゃんの利き手について、色々とリサーチを進めていくと、必ずある方の研究結果が出てくることに気がつきました。簡単にご紹介していきます。
アメリカの発達心理学者アーノルド・ゲゼルの利き手の研究
利き手の研究をしている人がいました。子供の発達研究の分野では、とても有名な人物であるアメリカの発達心理学者「アーノルド・ゲゼル」です。
彼は利き手について詳しく研究を進めるために、生後8週から10歳までの数十人の子供を対象にした研究を10年間もおこなってきました。さまざまな動作を子供達にさせることで、成長と利き手の関係
を調べてきたのです。その結果、以下の兆候が見られたと言います。
1歳:両手のスペシャリスト
2歳:どちらかの手を使うことが多くなる
3歳:また両手のスペシャリストに戻る。だから、パパやママが不安になる。
4歳:利き手が決まる。
赤ちゃんの利き手を左にしてしまいやすい習慣
「いつも左手ばかり使っているから、左利き決定かもしれない」「気のせいかもしれないけど、左手ばかり使っている」と不安になるお父さん・お母さんも少なくありません。
右利きが主流の世の中だからこそ、我が子も右利きになってほしいと思うのは当たり前のことです。でも、もしかしたら左手をよく使うのは、生まれつき左利きだからではなく、お父さん・お母さんがそのような環境を作り出しているのかもしれません。日常生活の中で左利きを作り出しやすい習慣をご紹介します。
習慣1.お父さん・お母さんが左手に抱っこすることが多い
自宅の中で赤ちゃんが泣くと、お父さん・お母さんは、左側に抱っこをしながら家事などをこなします。0歳と4歳の現役ママの筆者も、夕方の黄昏泣きの時には、必ず左側に抱えて右手でご飯の準備をしたり、机の上を片付けています。
実は、赤ちゃんを左側に抱っこする行動が、赤ちゃんを左利きにしやすい環境を作り上げているというわけです。私にとってはごく当たり前のことですし、この行動が左利きにしやすいなんて正直思ってもみませんでした。
そこで、左側に抱っこをしている時の赤ちゃんの行動について注意深く見てみることにしました。すると、赤ちゃんの右側の手が私のわきの下辺りにきてしまうので、どうしても右手が動かしにくくなっていたのです。
色んなものに興味津々の赤ちゃんは、左手を使って、あらゆるものを掴もうと必死に手を動かしていました。また、右手が動かしにくいので、左手で掴むしかないという感じです。
今まで抱っこしながら目の前のことをするのに夢中で、赤ちゃんの様子を全然見ていませんでしたが、よく見てみると「こんな状況では右手を動かしにくいよね~」と妙に納得してしまいます。
そこで活躍する抱っこ紐とおんぶ紐
そこで、活用していただきたいのが抱っこ紐とおんぶ紐です。普段から抱っこ紐とおんぶ紐を使う機会は多いのですが、自宅にいると装着するのが面倒で、あまり使わないということもあるはずです。
しかしながら、抱っこ紐やおんぶ紐は、お父さん・お母さんがどちらかの手で支えなくても赤ちゃんを固定することができるので、自由に右手と左手が使えるようになります。もし、それらを活用するのが面倒ならば、赤ちゃんを右側に抱っこするといいでしょう。
習慣2.食事の器が赤ちゃんから見て、右側によっている
「いつも左手でばかり握っているなぁ」と気になる親御さんもいるでしょう。しかし赤ちゃんは、意識的に右手と左手を使い分けているのではありません。
目の前にある欲しいもの(食べ物やおもちゃ)に、近い方の手を差し出しているのです。ですから、左手ですぐとれる場所にあるものは左手で、右手ですぐとれる場所にあるものは右手で掴みます。そこで、お子さんのお食事の様子をよく見てみましょう。
うっかり。筆者は左手を使いやすい食事環境を作り上げていた
離乳食を赤ちゃんに食べさせる際には、赤ちゃんの脇にママが座るような感じになると思いますが、ここがポイントです。筆者は赤ちゃんの右隣に座りながら離乳食をあげていたため、気が付かぬうちに器が右側に寄っていたのです。
そうなると、赤ちゃんから見て左側のスペースが空いてしまうので、左手を使う頻度が確実に多くなっていました。そこで、自分が座る位置を変えてみました。
赤ちゃんの「右側」から「左側」に変えてみたのです。すると、自然と赤ちゃんが右手を動かしやすい環境が整って、右手を使う機会が多くなってきたのです。やはりある程度のスペースが無いと、赤ちゃんも手や腕を動かしにくいということが分かりました。もう、これはうっかりです。
習慣3.親が何かと左手に持たせている
手づかみ食べやスプーンやフォークに興味を持ち始めると、自然と赤ちゃんにモノを手渡す機会が多くなります。そこで、意識して欲しいのが「赤ちゃんのどちらの手に持たせてあげるか」です。
あまり意識をしないで色々と手渡していると、左手に渡していることが多い場合はあります。右利きのお父さん・お母さんが赤ちゃんの正面に座った場合、右側の手に渡してしまうことが多くなるのですが、それは赤ちゃんにとっては「左手」になるというわけです。
これらの生活習慣のように、お父さん・お母さんが赤ちゃんが「左手を使いやすい環境」を作り出していることがあります。
日々家事や仕事、子育てに奮闘していると、「細かなことは気にしていられないの!」というのが本音なのも十分に分かります。0歳と4歳の現役ママである筆者も同じ気持ちです。
でも、頭の片隅にこの情報が入っているのといないのとでは、全く違いました。以前よりも確実に、右手を意識してあげることが増えたのです。パーフェクトに右手矯正する必要など全くありません。何となく、右手を使う回数を多くしてあげるだけで、変化は見られるはずです。
赤ちゃんが左利きでも落ち込む必要はない
「うちの子左利きなのよ・・・」と落ち込む必要はありません。純粋な左利きの子は、実はそんなにいません。左手も右手も使うことが出来るという子が、圧倒的に多いのです。
右手も左手も使えるなんて、何だかお得な気分になりませんか。実際に両手使いができて便利だという人もたくさんいます。ですから、左利きが悪いわけではありません。「我が子は両手使いのスペシャリストなのね!」と思っていれば良いのです。
赤ちゃんの利き手を無理に矯正するのはやめよう
「どうして右手を使わないの?」「もう、左手ばかり使っちゃダメ」と、強制的に右手を使わせるのは、あまり良いことではありません。無理な利き手矯正は、子供の心に大きなプレッシャーを与えてしまう可能性があるのです。例えば、右手の無理な矯正には、以下のリスクが伴います。
・右手を使わなければ、パパやママに怒られるという恐怖感を覚えて委縮してしまう。
・左手を使ってしまった時に、ドキドキしてしまう。
・左手しか使えない自分は、ダメな子だと思い込んでしまう。
・コンプレックスにつながり、自信が無くなる。
・手を使うのが怖くなり、自分でご飯を食べなくなる。
このように、成長期の心の傷は意外と大きくついてしまいます。ですから、無理に子供の利き手矯正をするのは止めて下さい。怒鳴ったり、無理に直そうと強めの口調で言うのは、悪影響です。
子供の心に及ぼす影響も良く考えた上で、ごく自然なカタチで利き手を直してあげてくださいね。
赤ちゃんの利き手を気にしてあげよう
今回は、「赤ちゃんの利き手」をテーマにしてお話ししました。健康にすくすく育ってくれれば、左利きでも右利きでもどちらでもいいというお父さん・お母さんもいますが、やはり世の中は右利きが大多数。心のどこかで右利きを望んでしまいます。
赤ちゃんの利き手に関しては、環境も大きな要因のひとつですので、親であるあなたが日々の生活の中で右手をよく使う環境を作り出してあげましょう。だいたい4歳位には、利き手は決まると言われていますので、それを念頭に置いて子育てをするようにしてください。