離乳食のしらすレシピ&塩抜き
離乳食でしらすは初期から大活躍!塩抜きの方法&段階レシピ
離乳食でしらすは初期から使える栄養豊富な食材です。ちりめんじゃこ・釜揚げしらすとの違い、えびやかになどのアレルギーにはどの程度気を付けるべきか解説。塩抜きや冷凍での保存方法、しらすと栄養的に相性の良い食材を使った、初期・中期・後期のレシピを紹介します。
離乳食でしらすはいつから?アレルギーの心配はあるの?
しらすは柔らかいので、離乳食初期(6ヶ月頃)から与えられ、骨を気にせずそのまま食べられます。赤ちゃんに食べさせる魚は、刺身などで購入するのが1番面倒がありませんが、しらすなどの小魚なら安価に少量で購入できます。
また、しらすに含まれる栄養素は育ちざかりの赤ちゃんはもちろん、幼児期、学童期の子供にとっても大切なものが多いのが特徴です。離乳食期から食べ慣れておくと、子供の成長に一役買ってくれるでしょう。
「しらす」とは、イワシなどの青魚の稚魚を指す
しらすとは、主にイワシ類の稚魚(こども)のことで、体長が2~3センチまでの白い体色のものを指します。しらすとなるイワシにはマイワシ、カタクチイワシといった複数の種類がありますが、稚魚の場合は味に大差はありません。
しらすと「ちりめんじゃこ」との違いは加工後の水分量
しらすとよく似た食材にちりめんじゃこがありますが、この2つには加工方法による違いがあります。
しらすは、水揚げされたイワシの稚魚をさっとゆで上げたものを軽く乾燥したもので、水分量が70%前後のものを指します。
これに対してちりめんじゃこ(「ちりめん」と呼ばれることもある)は、機械や天日干しをして乾燥させたもので水分量は35~50%程度です。
「釜揚げしらす」とは、しらすを乾燥させす茹でただけのもの
しらすの中でも、まったく乾燥させずに茹でただけものは「釜揚げしらす」と呼ばれます。水分量は85%前後です。
しらすは離乳食初期(6ヶ月頃)から使用でき、釜揚げしらすが最もおすすめ!
しらすや釜揚げしらすは、消化の負担が少ないため、お粥や野菜・果物のペーストに慣れた後の初期後半(6ヶ月頃)から使うことができます。特に釜揚げしらすは水分量も多く柔らかいので、離乳食に使うのなら最もおすすめです。
しかし、釜揚げしらすは、春と秋のしらすの旬の時期や、鮮度が重要なため産地に近い地域でしか手に入りにくいのが難点です。あまりこだわらず、スーパーなどで見つけられない時は、「しらす」を購入しておきましょう。
離乳食はしらすの塩抜きが必須!
しらすは離乳食初期など、赤ちゃんが食べられる食品が少ない時期には、貴重なたんぱく源になります。しかし、離乳食で使う際には、塩抜きが必須です。塩抜きについては下ごしらえ方法の項で詳しく説明します。
ちなみに、ちりめんじゃこは乾燥しているため固く、歯茎がまだ成長段階の乳児期には向いていません。離乳食完了期ごろから与えるようにしましょう。
しらすによる食物アレルギーの可能性は?
イワシ類の稚魚である「しらす」そのものは、アレルギーの心配は少ない食材です。しかし、しらす漁は網を使って行われるため、えびやかにといったアレルギーを引き起こす食材が混じっている可能性があります。
しらすに混じっているえびやかには甲殻類アレルギーの原因になる
エビやカニは、食品衛生法でアレルギーを引き起こしやすく、重篤な症例の多い特定原材料の7つの中に指定されている食材です(注1)。
特定原材料7品目は、製品へのアレルギー表示が義務付けられています。しらすのパッケージを見ると、えびやかにを含む可能性、加工場所が同一であるため混入の可能性があるとして、アレルギーに関する注意喚起が記載されているものもあるはずです。
特定原材料7品目
卵・乳・小麦・落花生・えび・そば・かに
しらすの中にえびやかにを見つけたら取り除こう
ただし、エビやカニなどの甲殻類アレルギーは、7歳以上の学童期に発症しやすく、乳幼児のアレルギーの原因食品の多くは「卵」「小麦」「乳製品」によるものです(注2)。
赤血縁者に重篤な甲殻類アレルギーの人がいる場合を除いて、しらすによる甲殻類アレルギーの発症を心配しすぎる必要はありません。
しらすを離乳食で使う際には、できるだけしらす以外のものを見つけたら取り除くようにしましょう。
離乳食に使うしらすの塩抜き&保存方法
しらすは加熱済みの食材なので、大人や幼児はそのまま食べられますが、塩分が多く含まれているため離乳食に使うときには下ごしらえが必要です。
塩分カット!離乳食のしらすを塩抜きしよう
しらすにはゆでる際に塩を添加しているため、そのまま食べると赤ちゃんにとっては塩分過多な食品です。離乳食で使う際には必ず塩抜きという処理を施しましょう。
1.少量なら茶こしに入れ、熱湯をかけて湯通しする
茶こしやざるにしらすをいれ、上から熱湯をかけます。少量から行えるので、その日の離乳食に使う分を塩抜きするのには最適な方法です。
2.大量の場合は、たっぷりお湯が入った鍋で1分ゆでる
しらすをたっぷりのお湯で1分茹でて、ざるあげします。ゆでることでしっかりと塩抜きができます。
離乳食にすぐ使える状態で冷凍するために、1度に塩抜きを済ませたいときにおすすめの方法です。
しらすは冷凍可能!塩抜きしたものは早めに食べきる
しらすは劣化しやすいため、加工後2~3日中に食べきるのが望ましいのですが、冷凍保存も可能です。
購入直後・塩抜き前のしらすは1カ月程度の冷凍が可能
購入したばかりの新鮮なしらすを以下のように冷凍すれば、1か月程度の保存が可能です。
- そのままジッパー付きの保存袋に入れる
- ラップに包んで小分けする
塩抜き後のしらすは、2週間後を目安に使い切ろう
塩抜き済みのしらすは、解凍すればすぐに使えて便利ですが、塩分が低くなると鮮度は落ちやすくなります。2週間以内に使い切るようにしましょう。
- しっかり水気を切ったものを製氷機に小分けする
- ジッパー付きの保存袋に入れても冷凍保存が可能です。
しらすの塩抜きはいつまで続けるべき?
離乳食ではしらすの塩抜きが必須といっても、いつまで続けるべきか、特に味付けが本格化する離乳食後期(9カ月)以降は塩や醤油・味噌など塩分の含まれた調味料を使う機会も増えますので「しらすだけが特別なわけではないし、やらなくてもいいのでは」と思う方も増えてきます。
目安としては、1歳を過ぎたらしらすの塩抜きをやめても構いません。ただし、健康や味覚面を考えると薄味が良いに越したことはありませんから、赤ちゃんが塩抜きしても美味しく食べてくれるのなら離乳食完了期(1歳6カ月以降)まで塩抜きを続けるのが理想ではあります。
塩抜きせずそのまま使うのならご飯などに混ぜておにぎりにするなど、離乳食全体が濃い味になって塩分過多にならないように他の調味料の使用を控えるなどして献立として調整してください。
離乳色のしらすレシピ~初期・中期・後期の調理術
しらすと相性の良い離乳食期に使える食材やレシピです。後期ごろのおやきが苦手な赤ちゃんにもおすすめのパンケーキもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
栄養価アップ!しらすと組み合わせたい食材は?
しらすにはビタミンDやビタミンB12など、カルシウム吸収や貧血予防に効果のある栄養素が含まれていますが、以下のような食材と組み合わせるとより効果的です。
ビタミンKを含む食材
しらすはカルシウムが豊富ですが、骨の形成を促す効果のあるビタミンKを含む食品を組み合わせると効果UPが期待できます。
ブロッコリー、ほうれんそう、ピーマン、納豆など
ビタミンCを含む食材
しらすにほとんどビタミンCが含まれていません。ビタミンCには免疫力UPの効果やしらすに含まれる鉄分の吸収率をUPさせる効果が期待できます。
じゃがいも、さつまいも、ブロッコリー、キャベツなど
離乳食初期(5ヶ月・6ヶ月)のしらすレシピ
しらすは初期から与えることができますが、しらすだけをペーストすると塩分が強く食べにくいので、お粥やじゃがいもやさつまいもといった主食と組み合わせてあげましょう。
しらすとじゃがいものトロトロ
材料
- しらす(塩抜き済み)5g
- じゃがいも 10g
- 昆布だし 大さじ1
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じゃがいもは皮をむいて水に浸してあくを抜き、水気を切ってラップに包んで電子レンジ600Wで30秒加熱し、すりつぶす。
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じゃがいもとしらすを潰しながら和えて、昆布だしでのばしてトロトロに仕上げます。
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昆布だしで伸ばさなければと中期頃の固さになります。
また、口大に成型し片栗粉をまぶして焼くとおやきになり後期頃の固さに仕上がります。
離乳食中期(7ヶ月・8ヶ月)のしらすレシピ
ブロッコリーは茹でても損失しないビタミンCを豊富に含みますので、しらすと積極的に組み合わせたい緑黄色野菜の1つです。
しらすとブロッコリーのだし煮
材料
- しらす(塩抜き済み)5g
- ブロッコリー15g
- だし汁 大さじ2
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ブロッコリーは細かく刻みます。
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しらすも細かく刻みます。
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小鍋に材料をすべて入れて火にかけ、沸騰したら弱火で3分煮ます。
離乳食後期(9ヶ月以降)のしらすレシピ
離乳食後期になると手づかみ食べをしたがる赤ちゃんは増えるので、おやきの生地や小さめのおにぎりを作る際にしらすを混ぜると、適度に塩味が付きますし、栄養価もアップします。
しらすパンケーキ
材料
- しらす(塩抜き済み) 15g
- 冷凍ほうれんそう 5g
- 玉ねぎ 10g
- にんじん 10g
- 小麦粉 大さじ3
- アルミ不使用のベーキングパウダー 小さじ1/4
- 牛乳(粉ミルク) 大さじ3
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冷凍ほうれんそう、玉ねぎ、にんじんはみじん切りにします。
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ナイロン袋に小麦粉とベーキングパウダーを入れ、よく振って混ぜ合わせます。
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ボウルに材料をすべて入れて混ぜ合わせます。
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フライパンにサラダ油を薄く敷いて、3を赤ちゃんの一口大に成型しながら流し込み、両面をしっかり焼きます。
赤ちゃんに嬉しい「しらす」の栄養素
文部科学省が公表している「日本食品標準成分表」では、しらすは「微乾燥品」と「半乾燥品」の2種が掲載されています。水分量から考慮し、以下で紹介するしらすの栄養素は、微乾燥品を基準としています(注3)。
牛乳とほぼ同じ!?骨を丈夫にするカルシウム
しらすは、稚魚を骨ごと食べるのでカルシウムがたくさん含まれています。その量は、しらす100gでコップ1杯(200cc)の牛乳とほぼ同量の210mgです(注4・注5)。
カルシウムの吸収を助けるビタミンD
体内にカルシウムを効果的に吸収するために必要な栄養素がビタミンDも、しらすには豊富に含まれています。その量は、大さじ1杯(5g程度)のしらすで4.6μgで、これは離乳食期の赤ちゃんに1日に必要な量の5.0μgとほぼ同量です。
貧血を予防するビタミンB12
ビタミンB12は赤血球を作る手助けをする働きがある、貧血予防に欠かせない栄養素の一つです。しらすにはこのビタミンB12もたくさん含まれています。
赤ちゃんは、生後9ヶ月過ぎから鉄欠乏性貧血のリスクが高まるので、貧血予防になる食品は積極的にとっておきましょう。
筋肉のもとになるたんぱく質
しらすは重量の約23%がたんぱく質で構成されています。筋肉のもととなるたんぱく質は成長が著しく、日々活動量が増えていく赤ちゃんにとっては欠かせない栄養素です。
脳の発達に関係するDHA
しらすは青魚であるイワシの稚魚なので、多価不飽和脂肪酸の一つであるDHAが含まれています。DHAは脳の発達や機能に関わる栄養素で、脳細胞を活性化させる働きがあります。
赤ちゃんの頃はもちろん、子供の記憶力向上や大人の認知症予防のためにも、日々の食事で積極的に摂取するのが望ましいでしょう。
離乳食でしらすは積極的に献立に取り入れよう!
しらすは柔らかいので、離乳食に使う際も、裏ごしやすりおろしが簡単です。栄養も豊富なので、日常使いする魚類、たんぱく源として活躍させられます。
しらすに含まれる栄養素は、赤ちゃんだけでなく、育ち盛りの幼児期、学童期にも重要なものが多いので、ぜひ離乳食期から使って、しらすの美味しさを伝えてあげましょう!