離乳食のおかゆ、赤ちゃんのためにおいしく作るコツいろいろ
離乳食のおかゆは、赤ちゃんが母乳やミルク以外で初めて口にする主食です。そして、初めて口にしたそのときから離乳食が完了して大人と同じごはんが食べられるようになる日まで、長いお付き合いが始まります。
だからこそ、無理なく取り組むことが大切です。そこで基本のおかゆの作り方から、簡単に作れるアイディア、冷凍保存のワザまで、ママにお役立ちの情報をお伝えします。その日の予定やご自身のライフスタイルに合わせて活用してください!
成長期に合わせたおかゆの作り方・基本の2パターン
離乳食のおかゆは、赤ちゃんの成長に合わせて、
- 倍がゆ(離乳食初期:5ヶ月~6ヶ月)
- 7倍がゆ(離乳食中期:7ヶ月~8ヶ月)
- 5倍がゆ(離乳食後期:9ヶ月~11ヶ月)
- 軟飯(離乳食完了期:12ヶ月~18ヶ月)
作り方には、米から炊いて作る方法、炊いたごはんを利用して作る方法、電子レンジで作る方法など、いくつかの方法がありますが、土鍋など厚手の鍋を使って米から炊くとおいしく出来上がります。まずは、その基本からお伝えします。慣れてしまえば簡単ですし、覚えておくと体調を悪くしたときなどにも重宝しますよ。
鍋で米から炊く方法
鍋で米から炊くときのいちばんのポイントは、ふきこぼれに注意することです。鍋のふたを少し開けて炊きましょう。なお分量は、作りやすい量で示しています。実際に作る米の量に合わせて水の量を調整してくださいね。
また、食べさせる量はあくまでも目安です。食欲旺盛な赤ちゃんもいれば食の細い赤ちゃんもいますから、赤ちゃんの様子を見ながら食べさせてあげましょう。
10倍がゆ(離乳食初期)
*作り方*
・米をさっと洗う。
・米1/2カップと水5カップを鍋に入れる。(米1に対して水10の割合)
・30分ほど米を水に浸してから、ふたをして強火にかける。
・沸騰したら弱火にして、ふきこぼれないようにふたをずらし、50分ほど炊く。
・火を止めたらふたをして、10分ほど蒸らす。
*アドバイス*
- 離乳食を始めるときは、10倍がゆをさらにすりつぶして1さじから。慣れてきたら、すりつぶさなくても大丈夫です。大さじ1~2を目安に食べさせてあげましょう。
- すりつぶすときは、フードプロセッサー、裏ごし器、すり鉢などを使うと便利。手早くなめらかな仕上がりになります。
7倍がゆ(離乳食中期)
*作り方*
・米をさっと洗う。
・米1/2カップと水3カップ半を鍋に入れる。(米1に対して水7の割合)
・30分ほど米を水に浸してから、ふたをして強火にかける。
・沸騰したら弱火にして、ふきこぼれないようにふたをずらし、40分ほど炊く。
・火を止めたらふたをして、10分ほど蒸らす。
*アドバイス*
- 10倍がゆより、弱火で炊く時間が10分短くなります。
- 大さじ3~5を目安に食べさせてあげましょう。
5倍がゆ(離乳食後期)
*作り方*
・米をさっと洗う。
・米1/2カップと水2カップ半を鍋に入れる。(米1に対して水5の割合)
・30分ほど米を水に浸してから、ふたをして強火にかける。
・沸騰したら弱火にして、ふきこぼれないようにふたをずらし、30~40分ほど炊く。
・火を止めたらふたをして、10分ほど蒸らす。
*アドバイス*
- 炊く時間は水分の加減を見ながら調節してください。
- 大さじ3~5を目安に食べさせてあげましょう。
軟飯(離乳食完了期)
*作り方*
・米をさっと洗う。
・米1/2カップと水1カップを鍋に入れる。(米1に対して水2の割合)
・30分ほど米を水に浸してから、ふたをして強火にかける。
・沸騰したら弱火にして、ふきこぼれないようにふたをずらし、30分ほど炊く。
・火を止めたらふたをして、10分ほど蒸らす。
*アドバイス*
- 子ども茶碗に軽く1杯を目安に食べさせてあげましょう。
炊いたごはんを利用して作る方法
米からおかゆを作っている時間がないときや急いでいるときは、大人用に炊いたごはんを利用して作ると便利です。水加減は、次の通りです。
- 10倍がゆ…ごはん1に対して水5の割合
- 7倍がゆ…ごはん1に対して水3の割合
- 5倍がゆ…ごはん1に対して水2の割合
- 軟飯…ごはん1に対して水1の割合
*作り方*
・ごはんをざるに入れ、さっと水洗いしてねばり気を取る。
・鍋に、作りたいおかゆの分量に合わせたごはんと水を入れる。
・ふたをして強火にかける。
・沸騰したら弱火にして、ふきこぼれないようにふたをずらし、30分ほど炊く。
・火を止めてふたをして、10分ほど蒸らす。
*アドバイス*
炊く時間は水分の加減を見ながら、こげつかないように適宜調節をしてください。特に軟飯を作る際には、火にかけ過ぎると硬くなってしまいます。
便利で手軽なおかゆテクニック
特に初期のころは、赤ちゃんが食べるおかゆの量もほんの少しです。作ったおかゆを冷凍しておくと、食べる分量だけ解凍すればよいので、とても便利です。そのほか、電子レンジで作る方法、炊飯器で大人のごはんと一緒に作る方法もご紹介します。
おかゆを冷凍しておく
おかゆを冷ましてから製氷皿へ入れ、冷凍庫で凍らせます。凍ったら、製氷皿からはずして保存用の袋に入れて冷凍しておきましょう。必要なときに必要な分を取り出して使います。あらかじめ1つ分のキューブが大さじ何杯分なのかを量っておくと、使うときに便利です。
解凍は、耐熱容器に入れてラップをかけ、電子レンジで加熱すればOKです。ただし、いくら冷凍とはいえ長期保存すると味も質も落ちてしまいます。1週間以内で使い切ることを目安にしてくださいね。
大人のごはんと一緒に炊飯器で炊く
沸騰しても中身がこぼれない深さのある湯のみやマグカップ、耐熱容器を用意します。その中に、「鍋で米から炊く方法」でお伝えした離乳食の時期に合わせた米と水を入れてください。次に、大人用の米を準備し、炊飯器にセットします。その真ん中に耐熱容器を入れ、スイッチオンして普通に炊きます。こうすると、赤ちゃんのおかゆと大人のごはんを一緒に作ることができます。
電子レンジを利用して作る
大人用に炊いたごはんを利用して、電子レンジでおかゆを作ることもできます。深めの耐熱容器に「炊いたごはんを利用して作る方法」で示した分量のごはんと気持ち多めの水を入れ、ラップをします。そのまま5分~10分加熱してください。
最初はおかゆの様子を見ながら短い時間で加熱することを繰り返すと、手持ちの電子レンジに合った加熱時間を見つけることができます。離乳食初期、中期の赤ちゃんには、濡らした包丁を使ってごはんを刻んでおくと、すりつぶしが簡単になります。
味も栄養もバッチリのおすすめおかゆレシピ
味が淡白なおかゆは、アレンジも自由自在です。時には、トッピングや味つけで変化をつけてあげましょう。そうすれば赤ちゃんの味覚も発達しますし、いろいろな食材に慣れることができます。なお分量は、1回分で示しています。
離乳食初期(5ヶ月~6ヶ月)
離乳食初期は色々な食材、特に野菜を試す時期ですが、おかゆはどんな食材とも相性が良いのが特徴。おかゆばかりだと飽きてしまう赤ちゃんもいますから、野菜やシラスなどと一緒に味わってもらいましょう。
【カボチャの10倍がゆ】
- カボチャは皮をのぞいて柔らかくゆで、裏ごしする。
- 大さじ2の10倍がゆに、1を混ぜ合わせる。
*アドバイス*
カボチャは小さじ1/2~1くらいの量で、赤ちゃんの好みに合わせて混ぜ合わせてください。おかゆにほのかな甘みがついて、おいしさも栄養も満点です。
【シラスと小松菜の10倍がゆ】
- シラス小さじ1に熱湯をかけて塩抜きし、細かく刻んですりつぶす。
- コマツナをよくゆでて裏ごしし、小さじ1を用意する。
- 大さじ2の10倍がゆに、1と2をトッピングする。
*アドバイス*
おかゆの味に慣れてきたら、どうぞ。シラスは必ず塩抜きをして使います。緑の葉物野菜は栄養とともに彩りも添えてくれます。トッピングする量は、赤ちゃんの好みに合わせてくださいね。
離乳食中期(7ヶ月~8ヶ月)
中期以降、飲み込むのが上手になった赤ちゃんなら、海苔などの海藻類やササミなど脂の少ない肉類を与えることができます。ただし、はじめて与える食材は小さじ1から様子を見る必要があるので、おかゆに与えたことのない食材を1度にたくさん混ぜるのはやめましょう。
【ノリ入り7倍がゆ】
- 5cm角の焼きのりに小さじ1/2~1くらいの熱湯をかけ、スプーンなどでどろどろにする。
- 大さじ4~5の7倍がゆに1を混ぜる。
*アドバイス*
のりは、味のついていないものを選んでください。塩抜きしたシラスを細かく刻んで添えてもよいでしょう。
【トリと卵の7倍がゆ】
- ササミ肉をゆでて、10g分を細かく刻む。
- ゆで卵の黄身1/4個分をつぶし、1を混ぜる。
- だし大さじ1/2~1で、2をよくのばす。
- 大さじ4~5の7倍がゆに、3をトッピングする。
*アドバイス*
ササミ肉は、口の中でぼそぼそしないように細かく丁寧に刻んであげましょう。7ヶ月以降なら卵黄部分から試してOKですが、アレルギーの出やすい食材です。事前に症状がでないか確認してから少しずつ量を増やし、しっかり火を通したうえで使うようにしましょう。
離乳食後期(9ヶ月~11ヶ月)
9ヶ月を過ぎると使える食材も増えて、離乳食のレパートリーも広がります。野菜や卵、お肉などに味をつけてご飯にのっけて食べれば簡単でありながら栄養バランスの良い「おかゆ丼」が完成します。
【彩り洋風がゆ】
- みじん切りにしたニンジン、タマネギ、ピーマン、それぞれ小さじ1の分量を鍋に入れ、野菜スープ100mlでやわらかく煮る。
- 5倍がゆ大さじ5を1に入れ、水気がなくなるくらいまで煮る。
- 火を止めて、粉チーズ少々をふる。
*アドバイス*
卵とじにすると黄色が加わり、さらに彩りがきれいになります。ケチャップ少々の味つけもおすすめです。
【取り分けおかゆ丼】
大人用のおかずから、赤ちゃん用に取り分けて作ります。
- 鶏モモひき肉150gをフライパンで炒める。(ひき肉から脂が出るので、油は使わなくても大丈夫です。使う場合は、ほんの少量で)
- ひき肉に火が通ったら、水50mlを加える。
- ゆでて細かく刻んだホンレンソウ1/2束を2に入れる。
- 水気がなくなるまで煮たら、赤ちゃんの分として大さじ2を取り分ける。
- 醤油と砂糖少々で味つけをする。
- 5倍がゆにのせる。
*アドバイス*
赤ちゃん用には、味つけの手前で取り分けます。醤油と砂糖を大き目の器で混ぜ、その中に取り分けてラップをかけ、レンジで10秒~20秒加熱すると簡単です。大人用には、好みの味つけをしてください。
離乳食完了期(12ヶ月~18ヶ月)
完了期になれば大人と同じ調理手順で、マーボー豆腐やチャーハンが作れます。大人用に後から調味料を足すなら、一緒に作ってしまうことも可能です。
【マーボーごはん】
- ニンジン、ニラ、シイタケ、長ネギ、それぞれ大さじ1の分量をみじん切りにする。
- 豆腐30gは、食べやすい大きさに切る。
- 豚ひき肉10gと1の野菜をフライパンに油少々を熱して炒める。
- 火が通ったら水100ccと豆腐を加えて、野菜がやわらかくなるまで煮る。
- 味噌、醤油、砂糖、それぞれ少々で味をつける。
- 火を止め、小さじ1の片栗粉を小さじ1の水でとき、まわしかけてとろみをつける。
- 子ども茶碗に軟飯を盛り、6をかける。
*アドバイス*
4で水が足りなくなってきたら、50~100ccを追加してください。分量を多くして、大人用を作る途中で取り分けてもよいでしょう。
【簡単チャーハン】
- タマネギのみじん切り大さじ1をさっとゆでる。
- ノンオイルのツナ大さじ1、1のタマネギ、軟飯子ども茶碗軽く1杯分を、バター少々を熱したフライパンで炒める。
*アドバイス*
ツナとバターを使うので味つけはしませんが、物足りないようでしたら、醤油少々を足してください。
赤ちゃんがおかゆを食べないとお悩みのママへ
赤ちゃんのために心をこめて作ったおかゆ。それなのに、なぜだか食べてくれないときってありますよね。急に食べなくなり「今日だけかな?」と思っていたら、次の日も食べない――そんな場面に遭遇すると、ママも心配になってしまうことでしょう。
実は、赤ちゃんがおかゆを食べなくなるのは、珍しいことではないんです。母乳やミルクをしっかり飲み、ご機嫌で過ごしているようであれば、基本的には心配しなくて大丈夫です。おかゆの代わりに、エネルギー源となるパンやうどんを与えるなどして様子を見てみましょう。とはいえ、主食のおかゆを食べないのは、気になるもの。いくつか考えられる理由を挙げてみます。
- 離乳食はそうめんで乗り切る!おいしい涼風レシピ簡単技
離乳食にもそうめんを活用しましょう!消化が良く1年中使える食材ですが食欲の落ちる夏の離乳食にも特におすすめ食材!離乳食初期から完了期まで、調理が簡単になるワザや赤ちゃんが喜ぶおすすめレシピをご紹介!
おかゆの硬さが気に入らない
ステップアップしておかゆの硬さを変えたときに、食べなくなることがあります。そのようなときは、元の硬さに戻してみましょう。それで食べるようであれば、心配はありません。ゆっくりと次の硬さに進めていってください。
好みがはっきりしてきた
脳の成長とともに、食の好みが出てくるといいます。もしかしたら、おかゆよりも、野菜などのおかずのほうが気に入っているのかもしれません。「そういう時期なんだな」ととらえ、ゆったりとかまえていると、また何かのきっかけで食べるようになることも多いようです。
- 離乳食を食べないときの対処法・ママたちの心配事Q&A
離乳食を食べない赤ちゃんに悩んでいるママに、とっておきの対処法を紹介します。離乳食は赤ちゃんにとって初めて食べるものなので抵抗があるのは当然。でもコツを知れば食べてくれるようになるかもしれませんよ。
味に飽きている
いつも同じ味で、赤ちゃんが飽きてしまったことも考えられます。先ほど紹介したおかゆのレシピを参考に、ちょっと目先を変えたおかゆを試してみてはどうでしょうか。
体調を崩している
もしも、母乳やミルクも飲まない、食欲が落ちていてぐずぐずと不機嫌という場合は、体調を崩していることも考えられます。そのようなときは、診察を受けて医師の診断を仰いでくださいね。
ママが楽できるワザも駆使しながら、おいしいおかゆを作りましょう
赤ちゃんがおかゆを食べる時期は、長い目で見ればほんのわずか。気づいたら「大人と同じごはんを食べている!」という状況になっていたと、多くのママが口にします。
ほんの少しのおかゆを毎日用意するのは、それはそれで大変です。冷凍したり、ごはんを利用したり、自分自身に負担がかからないように心がけていきましょう。時には「食べない」ということもあるかもしれませんが、それも長い目で見れば、ほんの一時のこと。どうぞ楽しみながら赤ちゃんのおかゆを作ってあげてくださいね。