離乳食にパスタはいつから、どのぐらいの量を与えていい?
離乳食にパスタをつかえるようになれば、離乳食レシピの幅が広がり、3回食となる離乳食後期(9カ月)過ぎには昼食や夕食として一品で栄養バランスがとりやすいので助かります。お粥やパンなどと同様に、炭水化物として主食になるパスタは常温で長期保存可能なので、「赤ちゃんのお粥を炊き忘れた!」という時にも、パスタがあれば乗り切れるのも嬉しいポイントです。洋風の離乳食レシピのレパートリーも増えるでしょう。
ちなみに、パスタとは小麦粉などの粉を練った麺や生地の総称であり、大きくはロングパスタとショートパスタに分類されます。
パスタのことを「スパゲッティ」と呼ぶ方もいますが、正確にはスパゲッティというのは、マカロニやペンネ、ニョッキなどと同様に、パスタの1種類を指す言葉です。
パスタは中期(7ヶ月・8カ月)から!うどんやそうめんに慣れてからがオススメ
パスタは離乳食を開始して2ヶ月ほど経過した頃、生後7~8カ月の離乳食中期から食べさせて良い食材です。
ただし、パスタは麺類の中では弾力があり、うどんやそうめんよりも柔らかくなりにくいはずです。お粥・食パンに慣れた後、まずはうどんやそうめんなどの麺類に慣れてから与えた方が良いでしょう。
パスタ調理の際には、大人用よりも茹で時間を長くとり、しっかりと柔らかくクタクタになるまで茹であげることがポイントです。離乳食の進み具合によっては、無理をせずに、後期以降(離乳食開始後4~5ヶ月後)に与えても構いません。
パスタの小麦はパンとは違うので、消化には時間が必要
パスタの主原料は小麦と水ですが、小麦と一口にいっても種類によって食感や味・栄養価には違いがあり、パスタに使われている小麦はパンなどとは異なる「デュラム」という品種の小麦です。日本で販売されている乾麺のパスタの原料表示には「デュラム小麦のセモリナ」と記載されているものが非常に多く、「セモリナ」は荒挽き粉を意味します。
デュラム小麦はたんぱく質が多い硬質小麦で、茹でても弾力やコシがあり、消化にも時間がかかります。
赤ちゃんにおすすめのパスタ麺の選び方
パスタを選ぶ時は、赤ちゃんが食べやすいようにできるだけ細めのパスタを選びます。サラダスパゲッティ用の細いパスタ麺や、茹で時間が短い早ゆでのマカロニもおすすめです。
赤ちゃん用品店などでは、離乳食専用のパスタ(ベビースパゲッティ)なども販売されています。
はじめから短くカットされていて、麺に塩分も含まれていませんので、お鍋ひとつで簡単に調理できるため離乳食作りを時短できます。
離乳食にパスタを与えるときは、小麦・卵アレルギーの2つに注意
パスタは、商品の原材料欄に表示が義務付けられている特定原材料7品目のうちの1つ、小麦が主原料の食品です。
パンやうどんで使われている小麦とは種類が違いますから、これまで小麦アレルギーが出なかったとしても、念のためパスタを初めて食べさせる時は少量からにし、赤ちゃんの様子をよく観察しましょう。
パスタに卵は入ってる?
パスタの色は、黄色みがかっているので、「卵が入っているのでは?」と考える方もいるようですが、日本で主にスパゲッティーと呼ばれる長い棒状のロングパスタには、基本的には卵は含まれていません。黄色みは小麦粉(ディラム小麦のセモリナ)の色です。
ただし、パスタには300以上の種類があり、その中には原料に卵が使われている商品もあります。特に乾麺ではない生パスタには、もちっとした食感を出すために卵が使われていることがあります。
「鶏卵」は消費者庁により成分表示が義務付けられています。卵アレルギーの赤ちゃんは、パスタ選ぶ時は原材料の表示をよく確認しましょう。
小麦アレルギーの赤ちゃんも大丈夫!お米原料の「ライスパスタ」もあり!
ネット通販や生協などでは、小麦の変わりにお米を原料とした「ライスパスタ」という商品が販売されています。小麦や卵アレルギーの赤ちゃんでも、ライスパスタなら食べられるので、試してみても良いでしょう。
1回に与えて良い量・パスタの長さは?
パスタは最初は少ない量からはじめ、赤ちゃんの成長や食べっぷりをみて、丁度良い分量まで調整していきましょう。
パスタは、塩分が含まれていますので、毎食のように食べさせるのはNG。赤ちゃんの主食はあくまでお粥が基本です。
中期(7ヶ月・8カ月)に与えるパスタの量と長さの目安
- 乾麺の状態 20g程度まで
- 茹でた状態 50g程度まで
- 1mm程度の長さで細かく刻む〜3mm程度
後期(9ヶ月・10カ月・11カ月)に与えるパスタの量と長さの目安
- 乾麺の状態 30g程度まで
- 茹でた状態 75g程度まで
- 1〜2㎝程度の長さ
完了期(1歳~1歳6カ月)に与えるパスタの量と長さの目安
- 乾麺の状態 35g程度まで
- 茹でた状態 90g程度まで
- 3〜5㎝程度の長さ
離乳食用パスタの茹で時間は標準プラス2~3分
離乳食に使うパスタは、袋などに表記されている標準時間プラス2〜3分程度長めに茹でます。または、標準時間になったら火を止めて鍋にフタをし、余熱で柔らかくなるまで待ちます。
パスタを1本すくい上げて、簡単に潰れる程度まで柔らかく茹でられたかチェックしましょう。
パスタを茹でるときには、通常は塩を入れますが、離乳食用のパスタには不要です。
離乳食パスタの上手な保存方法
乾麺のパスタは、長期保存可能ですが、ひと手間加えると離乳食作りの時短になります。
乾麺を切って保存しておけば茹で時間が短縮できる
乾麺を段階別に折って、密閉袋や瓶に入れて保存しておくと、パスタを使ったレシピが作りやすくなります。
事前に小さくしておくことで、レンジなどでも火が通りやすく、加熱時間の短縮にもなるのでおすすめです。
ただし、中期に使うパスタの長さは3mm未満なので、この時期のカットはやや大変です。1cm程度の麺が食べられる後期以降におすすめの方法です。
茹でたパスタは製氷皿などで1~2週間の冷凍保存OK
茹でたパスタは、ラップに包んでフリーザーパックに入れるか、製氷皿などの冷凍できる容器に使いやすい分量に分けて保存することもできます。
1食のパスタは少量なので、わざわざお湯でゆでるのが面倒ですが、この方法なら使いたいときに簡単に必要量を加えられます。スープなどに入れて、スープパスタなどにするにも便利です。
ただし、茹でたパスタは塩分が抜けていますので、長期間の保存には向きません。1~2週間程度で使い切るようにしましょう。
離乳食のパスタ調理にはヌードルカッターが便利!
茹でたパスタの麺を赤ちゃんに適した長さにカットしたいときは、ヌードルカッター(フードカッター)が便利です。
長いまま茹でた麺でも、食べる前に簡単に切れますし、外食の時にも麺類をカットするのに使えるので活躍します。
ステンレス製で切れ味の鋭いものは赤ちゃん用品店やキッチン用品店に、プラスチック製の持ち運びに便利なものは100円ショップなどでも販売されています。一度チェックしてみて下さい。
パスタを使った離乳食レシピ
離乳食パスタのレシピをご紹介します。
パスタは色々な食材と合うのでアレンジしやすく、麺を茹でて食材と絡めるだけなので、調理方法も簡単です。
味付けや食材を変えると違った雰囲気になり、赤ちゃんも飽きずに食べることができます。
赤ちゃんの好みのパスタを作って喜ばせてあげましょう。
おすすめのパスタソース&具材
離乳食のパスタに使いやすい具材やソースをご紹介します。
ホワイトソース|冷凍しておいた離乳食用ソースで和えるだけ
ホワイトソースは、小麦粉とバターと牛乳(豆乳や粉ミルクでもOK)で簡単に作れます。製氷皿などに入れて、冷凍保存もできるので便利です。
作って保存しておけば、パスタやマカロニなどと絡めるだけで、すぐにホワイトソースパスタが完成します。
トマト・トマトソース|離乳食初期からOKな食材だけで作れる
定番のトマトソースのパスタは、離乳食でも作りやすい料理です。トマトは初期から食べられる野菜ですし、トマトは熱を通すと酸味が抑えられ、甘味や旨味が出て美味しくなります。
トマトソースは皮を剥いて種を取り、細かく刻んだ玉ねぎと一緒に煮込むだけで作れ、冷凍も可能です。皮剥きや種を取り除くのが面倒ならば、無添加・塩不使用のトマト缶やトマトピューレを使用すると便利です。
ケチャップは味が濃く、砂糖がたっぷり入った食品です。香辛料が入っているものもあるので、完了期以降に少量あげる程度にしましょう。
ツナ|水煮缶に小松菜などをプラスして和風パスタに!
ツナもパスタに良く合う食材です。
魚の良質なたんぱく質を効率よく摂れますし、骨や皮を取り除く手間もなく、調理するにも便利です。
野菜とも合わせやすく、味付けなしでもツナの旨味でとっても美味しいパスタになります。
離乳食で使うツナは、オイル漬けのものではなく、ノンオイルで塩分不使用の水煮缶を選んで下さい。
また、ツナ缶は1度開封すると傷むのが早いので、残りは使う分量に分けて冷凍しておきましょう。
そぼろ肉|野菜も加えて栄養バランスのとれたパスタが完成
ひき肉と細かく刻んだ野菜をだし汁などで風味をつければ、美味しいパスタの具になります。お肉と野菜で栄養バランスの良く、簡単に調理できるのでおすすめです。
納豆|赤ちゃんが食べ慣れている味をパスタにも!
納豆は栄養価も高く、パスタにも合う食材です。ひきわり納豆を使い、お湯をかけて粘り気を抑えてあげれば、赤ちゃんも食べやすくなります。
納豆のタレは味が濃いので、1歳までは昆布や鰹節で取ったダシをかけて食べさせてあげましょう。
野菜スープ|とろみをつけてスープパスタもおすすめ
野菜スープは、あらかじめ取ったスープでも良いですが、細かく刻んだ野菜を柔らかく煮て、そのままパスタと絡めれば野菜のスープパスタになります。
煮込んだ野菜スープは甘味がたっぷり出て美味しいので、赤ちゃんも喜んで食べてくれます。
葉もの野菜を飲み込むのが苦手な赤ちゃんには、少量の片栗粉でとろみをつけてあげると食べやすくなります。
中期(7カ月・8カ月)のレシピ~トマトや納豆など初期から食べられる食材と混ぜよう
7カ月~8カ月にかけては麺を細かくするのがやや大変ですが、トマトや鶏ひき肉、しらす納豆など、パスタと相性の良いお馴染みの食材を使用することは可能です。
大人用の麺も茹でておき、ソースを多めに作り、赤ちゃん用に先に取り分けてから調味料やスパイスで味付けしても良いでしょう!
鶏そぼろトマトパスタ
鶏ひき肉とトマトを使った旨味たっぷりの美味しいパスタです。お肉のたんぱく質と、トマトのリコピンで栄養もしっかり摂れます。
トマトは新鮮なものを選び、皮と種は取り除いて使います。鶏ひき肉はできるだけ脂肪分が少ないむねの部分を選びましょう。鮮度が悪くなりやすいので、購入したら早めに使い、残ったら冷凍します。
材料
- パスタ 20g
- 鶏ひき肉(むね)15g
- トマト 35g
- 野菜スープ 大さじ1
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パスタを標準時間プラス2〜3分長めに、柔らかくなるまで茹でます。
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茹で上がったパスタを1〜2mm程度の長さに包丁で刻みます。
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皮を剥き、種を取ったトマトを、みじん切りにします。
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フライパン中火で、鶏ひき肉に火が通るまで炒めます。
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炒めた鶏ひき肉に、トマトとパスタも加えます。
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中火で1分程度、具材を混ぜ合わせながら炒めたら完成です。
しらす納豆パスタ
ひきわり納豆としらすを使った、簡単に調理できるパスタです。納豆のたんぱく質が豊富で、しらす干しには牛乳の5倍のカルシウムが含まれています。
しらす干しは塩分が含まれているので、必ず熱湯をかけて塩抜きしてから使いましょう。
材料
- パスタ 20g
- しらす 5g
- ひきわり納豆 5g
- だし汁 大さじ1
- 青のり ひとつまみ(お好みで)
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柔らかく茹でたパスタを、1〜2mm程度の長さに刻みます。
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しらすに熱湯をかけて塩抜きします。
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塩抜きしたしらすをみじん切りします。
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納豆に熱湯をかけ、粘り気を少し落とします。
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お皿にパスタ、しらす、納豆と盛りつけていきます。お好みで最後に青のりをひとつまみかけて下さい。
後期(9カ月以降)のレシピ~ホワイトソースやツナの和風パスタがおすすめ
後期になると赤ちゃん用の麺の長さは1〜2㎝になりますので、調理がしやすくなります。取り分けもますますしやすくなるので、家族でパスタ料理を楽しみましょう。
鮭ときのこのクリームパスタ
鮭としめじを使った、濃厚でクリーミーなクリームパスタです。鮭は良質なたんぱく質やDHAが豊富で、しめじはカルシウムの吸収を手助けするビタミンDが豊富です。
鮭はお刺身用のサーモンを使うと、骨や皮を取り除く手間が省けて便利ですが、大人用も作りたい場合はムニエル用の鮭を選び、丁寧に骨をとりましょう。しめじは繊維が多くの軸の部分は固いので、離乳食では傘の部分だけ使用します。
材料
- パスタ 25g
- 鮭 10g
- しめじ 4本(傘の部分)
- 牛乳 50mi
- だし汁 大さじ1
- 無塩バター 3g
- 小麦粉 小さじ1
- 粉チーズ 少々(お好みで)
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パスタを標準時間プラス2〜3分長めに、柔らかくなるまで茹でます。残り1分程度になった時にしめじの傘の部分も一緒に茹でます。
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茹で上がったらザルにあけて水気を切ります。
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熱湯をかけて火を通し脂を落とした鮭と、茹でたしめじを粗みじん切りします。
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フライパンにバターを溶かし、パスタ、鮭、しめじ、牛乳を入れます。
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中火で2分程度炒めたら、小麦粉でとろみをつけ、だし汁で味を整えて完成です。お皿に盛りつけ、お好みで粉チーズを風味づけ程度に振りかけます。
わかめとツナの和風パスタ
わかめとツナを使った、美味しくて簡単に調理できるパスタです。ミネラル豊富なわかめと、ツナの良質なたんぱく質を取ることができます。
乾燥わかめとツナ缶の日持ちする食材を使っているので、ストックしてあればいざという時にもすぐに作ることができます。
わかめは塩分のついているものだと塩抜きする手間がかかるので、乾燥わかめか生わかめをおすすめします。
材料
- パスタ 25g
- 乾燥わかめ(乾燥の状態で1g)
- ツナ 10g
- だし汁 大さじ1
- 無塩バター 3g
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水で戻したわかめをみじん切りにします。
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フライパンにバターを溶かし、ツナを入れ、中火で1分程度炒めます。
-
パスタとわかめも加え、さらに1分炒めていきます。
-
最後にだし汁を加え、さっと炒めたら完成です。
離乳食にパスタは便利でアレンジしやすい!
離乳食でパスタは、とても便利で調理しやすい食材です。乾麺を自宅にストックしておき、メニューに悩んだ時に使うのも良いでしょう。
味付けは赤ちゃんに合わせつつ、大人の分のパスタソースも一緒に作れば、取り分けも可能です。大人はその後、塩や調味料、スパイスで味を再調整すれば、家族全員で同じ料理を美味しく共有できます。
パスタは色々な食材に合うので、「いつものおかずにパスタを絡める」というイメージで作ってみると、レパートリーも広がっていきます。
赤ちゃんと大人が一緒に食べられる、美味しいパスタのレシピをみつけてみましょう。