離乳食でのたんぱく質の進め方

離乳食はたんぱく質と上手に付き合う!食材別ポイントは?

離乳食にたんぱく質は必要不可欠!しかし、赤ちゃんのアレルギーや消化器官への負担が心配な方もいるでしょう。離乳食でたんぱく質はいつから、どのような順番で与えるべきか解説。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品など食材別の進め方、1食あたりのたんぱく質の摂取量目安もまとめました。

離乳食はたんぱく質と上手に付き合う!食材別ポイントは?

離乳食にたんぱく質が必要な理由

赤ちゃんにとって特に重要となる栄養素のひとつがたんぱく質です。たんぱく質は身体のもとになる栄養素で、体内に吸収されて内臓、神経、筋肉、皮膚、髪の毛、爪などを作るサポートをします。

厚生労働省によると、離乳食期のたんぱく質摂取量の基準は6~8ヶ月で6.1g/日、9~11ヶ月で17.9gとなっています(注1)。

他にも赤ちゃんは母乳やミルクからもたんぱく質をとっていますし、お米にもたんぱく質は含まれています。極端な離乳食を与えていない限り、たんぱく質不足に関しては、あまり心配はいらないでしょう。

離乳食でたんぱく質を与える際の注意点

たんぱく質は赤ちゃんにとって必要な栄養素なので不足するのはよくありません。しかし、たんぱく質の摂取は、量や与え方を守らないと赤ちゃんの身体に負担をかけてしまう恐れもあります。

アレルギー

離乳食を食べて泣き出す赤ちゃん

アレルギーの多くは、食物に含まれるたんぱく質を身体が異物として認識した際に発症します。そのため、たんぱく質が含まれる食品はアレルギー発症のリスクが高いので、慎重に与える必要があります。

離乳食で特に注意が必要なのが、鶏卵、乳製品、小麦の3大アレルゲンです。鶏卵は0歳児のアレルギー原因食物としては、62%を占めていて、次に乳製品20%、小麦7%と続きます(注2)。

離乳食では始めて与える食品は、小さじ1からスタートし、アレルギー反応がでてもすぐに小児科を受診できる時間に食べさせるのが原則です。たんぱく質豊富な食品を食べさせる際には、特にこの原則を守りましょう。

離乳食でアレルギーに要注意な食材リスト・リスクを軽減する進め方
離乳食でアレルギーに要注意な食材リスト・リスクを軽減する進め方

離乳食やたんぱく質を遅らせると、アレルギーにならない?

赤ちゃんのアレルギーが心配な場合、離乳食の開始を遅らせたり、たんぱく質食品を除去する育児法が存在するようですが、日本小児アレルギー学会では、離乳食の開始時期や特定食物の除去がアレルギー発症を妨げる根拠はないと結論付けています。

赤ちゃんが食べるのを嫌がり、離乳食が思うように進まないのは仕方のないことですから、その子のペースに応じて進めていくのは構いません。しかし、日本では離乳食の開始時期は、生後5ヶ月・6ヶ月が適当とされています(注4)。

「アレルギーが心配だから、離乳食は1歳過ぎまで与えない」「たんぱく質は与えない」という極論に走ってしまうと、赤ちゃんの成長に悪影響を与える危険性があります。

赤ちゃんの血縁者が深刻な食物アレルギーを持っている場合は、1度離乳食について小児科医に相談しましょう。0歳で食物アレルギーを発症したとしても、成長とともに耐性ができて克服できることも多いので、心配しすぎる必要はありません。

消化器官への負担

赤ちゃんの小さい身体の中には、大人と同じ臓器がありますが、十分に機能・発達しているとは言えません。たんぱく質源といえば、肉や魚、卵などが代表的ですが、これらの食品は母乳やミルクばかりを飲んできた赤ちゃんの消化器官には負担をかけます。

たんぱく質ばかりを摂りすぎると、お腹を壊して下痢などの症状が起こる可能性もありますので、1度の与えすぎには注意しましょう。

カロリーオーバー

たんぱく質豊富な食品は、カロリーも高いことが多いです。そのため、離乳食でたんぱく質食品ばかりを摂っていると、体重が急激に増加してしまう恐れがあります。

食中毒

鮮魚売り場

肉や魚を離乳食で与える際は調理法や鮮度に気を付けましょう。特に魚は、「ヒスタミン食中毒」を起こす可能性があります。

魚に含まれているたんぱく質を構成するアミノ酸の1種であるヒジスチンは、ヒスタミン産生菌によって「ヒスタミン」になります。ヒスタミンが高濃度に蓄積された魚を食べると、アレルギー症状に似た食中毒を起こす恐れがあるのです(注5)。

ヒスタミンは加熱によって分解されないため、一貫した温度管理によって食中毒を予防するしかありません。白身魚は赤身の魚に比べてヒジスチンの量が少ないので、はじめて離乳食に魚を使う場合は、刺身などの鮮度のよい魚をよく加熱して与えるのがおすすめです。

離乳食でたんぱく質はいつから与える?

離乳食のスタートは、生後5ヶ月・6ヶ月頃が推奨されています。ただし、単に月齢だけでなく、以下の4点が開始のサインです。

  • 首のすわりがしっかりしている
  • 背中をささえると座れる
  • 食べ物に興味を示す
  • スプーンを口に入れても押し出さない

「米→野菜・果物→たんぱく質」の順に与える

米→野菜・果物→たんぱく質」の順に与える

たんぱく質を与えるのは、離乳食を開始して3週間ほど経った頃が理想です。月齢でいうと、生後5ヶ月の後半か、生後6ヶ月頃となります。

離乳食は、まずはアレルギーの心配が少なく、主食となるお粥から与えるのが基本です。その後、アクや苦みが少ないにんじんやかぼちゃ、ほうれん草、かぶなどの野菜に少しずつ慣れさせます。

ゴックンと飲み込むことに慣れてきたら、絹ごし豆腐やお湯で伸ばした白身魚などを与えていきましょう。

初めに与えるたんぱく質は何が良い?

離乳食として最初に与えるたんぱく質は、脂肪分が少なくて消化の良いタイやヒラメなどの白身魚や、赤ちゃんでも食べやすい絹ごし豆腐がおすすめです。生後7ヶ月を過ぎているのなら、ヨーグルトも手軽に与えることができるたんぱく質として人気です。

ただし、赤ちゃんそれぞれのペースがあるので焦る必要はありません。

離乳食のたんぱく質・食材別ポイント

たんぱく質を含む食材で離乳食に使えるものはたくさんありますが、それぞれの食材には注意点があります。

肉類は、「鶏→牛→豚」の順番

体内でエネルギー源となる肉類は、離乳食中期に入ってから「鶏肉→牛肉→豚肉」の順に与えていきましょう。

離乳食の肉類・早見表

初期
5・6ヶ月
中期
7・8ヶ月
後期
9~
11ヶ月
完了期
1歳~
1歳半
鶏ささみ ×
牛肉(赤身) × ×
豚肉
(もも、
ロース)
× ×
鶏・牛
豚レバー
×

※△は、食べさせても良いが、注意が必要なもの。

肉類の加工品であるハムやソーセージは添加物や塩分が多く含まれているので離乳食としては使用を控えた方が良いでしょう。

離乳食の肉はいつから与える?注意点とおすすめメニュー
離乳食の肉はいつから与える?注意点とおすすめメニュー

鶏肉

離乳食では脂肪分が少ない鶏ささみから与え始めるのがおすすめです。味も淡白なうえに、食感がパサパサして食べにくい場合もあります。慣れるまではミンチ状にしたり、片栗粉でとろみをつけると食べやすくなります。

離乳食の鶏ささみレシピ・パサつきを抑える下ごしらえ方法
離乳食の鶏ささみレシピ・パサつきを抑える下ごしらえ方法

意外に離乳食として活躍するのが鶏レバーです。鉄分補給に最適なので、歯茎でつぶせるくらい柔らかくなるまで煮てから食べさせてみてください。

牛肉

牛肉モモ

牛肉を離乳食に取り入れる場合は、脂肪を分解できるようになる離乳食中期後半~後期(9ヶ月~11ヶ月頃)から始めます。鶏肉に慣れたら次は牛肉の赤身が多い部分であるモモ肉や肩肉から取り入れてください。最初は少々固さを感じるかもしれないので、ミンチ状にすると食べやすくなります。

豚肉

豚肉も離乳食中期後半~後期から使用できます。まずは、脂肪分が少ないヒレ肉やモモ肉を使用しますが、脂身が多い場合は取り除くようにしましょう。

豚肉には成長をサポートするアミノ酸や疲労回復効果が高いビタミンB1、鉄分などが豊富に含まれているので、赤ちゃんの健康にも良い食材です。

魚類は「白身魚→赤身魚→青魚」の順番

離乳食で魚類を与える場合は、白身魚から始めて赤身魚、青魚という順番が基本になります。種類によっては、中期以降から始めた方が良い魚もあるので注意が必要です。

離乳食の魚類・早見表

初期
5・6ヶ月
中期
7・8カ月
後期
9~
11ヶ月
完了期
1歳~
1歳半
しらす
ちりめんじゃこ
かれい
ひらめ・鯛
たら
×
まぐろ
かつお・ぶり
×
鮭缶・ツナ缶 ×
さば・あじ × ×

※△は、食べさせても良いが、注意が必要なもの。

ちくわやかまぼこなどの加工品は塩分が高いうえに添加物も含まれているので、離乳食ではおすすめできません。

離乳食に使う魚はほんの少しの量なので、お刺身用の切り身を加熱して使うと便利です。

白身魚

白身魚

白身魚で離乳食に使えるのは、かれい、ひらめ、鯛、たら、鮭などです。

鮭の身は白くはありませんが、分類としては白身魚の一種になります。ただし、脂肪分がやや多いので、鯛など他の白身魚に慣れてからにしましょう。塩分も気になりますので、できるだけ無塩のものを選ぶようにしてください。

赤身魚

離乳食に使われる赤身魚にはまぐろやかつお、ぶりがあります。まぐろは様々な部位が売られていますが、脂肪分が少ない赤身の部分にしてください。

赤身魚は全般的に白身魚よりも脂肪分が多いです。また少々固めで歯ごたえもあるので、白身魚を食べ慣れた頃、離乳食後期から始めるのがおすすめです。

青魚

青魚は離乳食に使うにはなんとなく敬遠しがちですが、さばやあじなどにはDHAやEPAといった脳に良い効果がある栄養素が多く含まれています。ただし、干物は身が固いですし、非常に多くの塩分が含まれているので離乳食では使えません。

大豆食品は「豆腐→納豆・きな粉」の順番

大豆製品には骨密度を整える「大豆イソフラボン」が含まれていて、赤ちゃんの成長をサポートしてくれます。また、手軽に与えることができるので離乳食には役立ちます。豆腐は初期から与えることができますが、その他の商品は豆腐以降に与えるようにします。

離乳食の大豆食品・早見表

初期
5・6ヶ月
中期
7・8カ月
後期
9~
11ヶ月
完了期
1歳~
1歳半
豆腐
高野豆腐 ×
納豆 ×
きな粉 ×

豆腐

豆腐にも色々種類がありますが、離乳食で初めに使用するのは絹ごし豆腐が最適です。ただし、豆腐も食べさせるときは、必ず加熱してください。

離乳食用お豆腐の選びかたと保存法&最強お手軽レシピ8
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高野豆腐

豆腐に慣れたらたんぱく質を豊富に含んでいる高野豆腐もレパートリーに加えてみましょう。水で戻すのではなく、そのまますりおろしてパウダー状にすると食べやすくなります。日持ちするので、ストックしておいて困った時に使用することができて便利です。

納豆

ひきわり納豆

カルシウム、ビタミンK、鉄分が含まれている納豆は、赤ちゃんにとって貴重な栄養源となる食材です。基本的に加熱処理はしなくても食べることができますが、慣れないうちは湯通しをしましょう。そのままだと大きいので刻む必要がありますが、ひきわり納豆なら手間が省けます。

きな粉

栄養価も高くほんのり甘い味がプラスされるきな粉は、お粥などに混ぜるといつもとは違う味を楽しむことができます。様々な商品がありますが、離乳食に使うなら国産大豆を原料としたきな粉にしてください。

きな粉も日持ちする食品ですが、一度開封するとダニが発生する場合もあるので、必ず密閉して冷蔵庫に保管してください。

乳製品は、離乳食中期から!

ヨーグルト

乳製品はまずヨーグルトから与えるのが一般的です。生後7か月から砂糖などが入っていないプレーンヨーグルトを使うことができます。商品によっては離乳食完了期以降から始めた方が良いものもあるので、原材料を確認してから与えてください。

離乳食の乳製品・早見表

初期
5・6ヶ月
中期
7・8カ月
後期
9~
11ヶ月
完了期
1歳~
1歳半
プレーン
ヨーグルト
×
カッテージ
チーズ
×
粉チーズ ×
クリーム
チーズ
× ×
プロセス
チーズ
× ×

※△は、食べさせても良いが、注意が必要なもの。

ヨーグルト

無糖のプレーンヨーグルトは生後6か月から食べさせられます。酸味が苦手なら、フルーツと和えたり、さつまいものペーストなど甘味のある野菜と一緒に混ぜましょう。

あまり冷たいヨーグルトを与えるとビックリしてしまいますので、室温で慣らしてから与えてください。プレーンヨーグルトは、水切りをすれば生クリームの代用品として使えます。赤ちゃん用のケーキを作るときにもおすすめです。

チーズ

チーズは塩分を多く含む食品です。離乳食では初期にカッテージチーズから始めて、慣れてきたら粉チーズ、プロセスチーズと移行しましょう。ただし、塩分を考慮して、あまり多くの量を与えないようにしてください。

卵は「卵黄→卵白→卵白」の順番

卵黄

卵はアレルギーの原因になりやすい食材なので、離乳食で与える場合も慎重に扱いましょう。鶏卵のアレルゲンの多くは、卵白に含まれる「オボアルブミン」と「オボムコイド」というたんぱく質です。そのため、卵を食べさせるときは「卵黄→卵白→全卵」の順に進める必要があります。

硬くゆでた卵黄は、生後7ヶ月頃から与えて大丈夫です。それから少しずつ量を増やし、1~2ヶ後に卵白に移行します。少量ずつ食べさせて問題がないようなら、卵白もクリアです。最後にしっかり火を通した卵料理を少量ずつ与えます。

大人は生卵や半熟でも大丈夫ですが、離乳食の場合はしっかり加熱してから食べさせるようにしてください。

離乳食で卵をはじめてあげるときの卵黄・卵白の段階別ポイント
離乳食で卵をはじめてあげるときの卵黄・卵白の段階別ポイント

離乳食1食あたりのたんぱく質目安量

離乳食で与えるたんぱく質は、赤ちゃんの様子を見ながら徐々に増やしていく必要があります。厚生労働省の資料を参考に、時期別の摂取量の目安をまとめました(注6)。

離乳食初期(生後5~6か月)

初期は、食べ物を食べさせることに慣れさせる時期なので、たんぱく質は栄養的に必須ではありません。離乳食でとる栄養も、全体の10%~20%なので、お粥・野菜に慣れてきたら、豆腐や白身魚を試してみるぐらいの気持ちで良いでしょう。

離乳食中期(生後7~8ヶ月)

ペースト状の離乳食

1日2回食になり、様々な食感や味に慣れさせる時期です。たんぱく質は、魚・肉・豆腐・卵・乳製品をバランスよく与えましょう。固さの目安は舌ですり潰せる程度です。

【中期】1回1食品を使用した場合の目安量

  • 魚…10~15g 
  • 肉…10~15g
  • 豆腐…30~40g
  • 卵…卵黄1~全卵1/3
  • 乳製品…50~70g

これにプラスして、全粥(7倍粥)50~80g、野菜・果物20~30gを与えます。

離乳食後期(生後9~11ヶ月)

シラスをのせた軟飯

1日3回食になり、大人と同じ状に食事のリズムをつける時期です。固さの目安は歯茎ですり潰せる程度が目安となります。

【後期】1回1食品を使用した場合の目安量

  • 魚…15g
  • 肉…15g
  • 豆腐…45g
  • 卵…全卵1/2
  • 乳製品…80g

これにプラスして、全粥(5倍粥90g)又は軟飯80g、野菜・果物30~40gを与えます。

離乳食完了期(生後1歳~1歳6ヶ月)

ヨーグルト、軟飯

引き続き1日3回食であり、幼児食への移行も視野に入れ始める時期です。歯茎で噛める硬さを目安にしましょう。

【完了期】1回1食品を使用した場合の目安量

  • 魚…15~20g
  • 肉…15~20g
  • 豆腐…50~55g
  • 卵…全卵1/2~2/3
  • 乳製品…100g

これにプラスして、軟飯90g又はご飯80g、野菜・果物が40~50g必要です。

離乳食にたんぱく質をプラスする裏ワザ

肉・魚・豆腐・卵など、たんぱく質は、主菜となることが多いでしょう。離乳食も毎日3食となれば手間がかかるようになりますので、簡単に主菜となるたんぱく質を確保する方法をお伝えします。

乾物や缶詰を利用する

高野豆腐や麩のような乾物、きな粉は日持ちするので常にストックしておくと困った時のお助けアイテムになります。

また最近は様々な種類の缶詰がありますが、ツナ缶、鮭缶、うずらの卵などの水煮の缶詰は離乳食としても使えます。必ず原材料を確認して塩分や添加物が入っていないものを選びましょう。

冷凍保存を活用する

離乳食に使用するたんぱく質食材の多くは冷凍保存が可能です。特に肉や魚は小分けにして冷凍しておくと便利です。ただし、冷凍保存は、買ったらすぐに行うこと。また、冷凍したからと言って長期間保存できるわけではないので、離乳食にはできるだけ早めに使うようにしてください。