離乳食でパンはいつからOK?食べられるパンの種類
離乳食でパンを使えるようになると、毎日の献立のレパートリーが広がり、とても助かります。朝食はパン派というご家庭も多いでしょうから、赤ちゃんがパンを主食に食べれるようになると、離乳食や食事作りの負担が減ることもあるでしょう。
しかし、パンは小麦粉が主原料なので、やはり赤ちゃんの小麦アレルギーは心配ですし、与える際には注意を払うべきです。また、食パン、フランスパン、ロールパン、蒸しパンなど、パンには色々な種類があり、どんなパンでもいいのか悩んでしまいます。離乳食でパンはいつから、どのように使えるのでしょうか?
食パンは離乳食初期(生後6ヶ月頃)からOK
赤ちゃんに与えるパンといえば、まず食パン(角食)を思い浮かべると思いますが、離乳食初期(生後5ヶ月~6ヶ月)から、食パンは手作りや市販品を調理に使ってOKです。ただし、離乳食の基本はまずはお米なので、パンを与えるのは10倍粥に慣れてからです。離乳食を開始して、3~4週間経ってから与えた方が良いでしょう。
初期に使えるパンは食パンのみで、耳の部分は硬く、苦味もあるため、切り落としたうえで調理しましょう。
離乳食で与える食パンのかたさ目安
離乳食初期(5~6カ月) | |
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食パンを細かく刻むかすりおろしてミルクやだし汁でトロトロにする。 | |
離乳食中期(7~8ヶ月) | |
食パンの形が少しだけ残るようにする。豆腐程度の柔らかさ。 | |
離乳食後期(9~11ヶ月) | |
食パンを一口大にカットしたり、型抜きする。 | |
離乳食後期(12~18ヶ月) | |
8枚切りの食パンなら手づかみ食べも可能。 |
食パンはできるだけ主原料がシンプルなものがおすすめ
ホームベーカリーなどで自分で焼くのならともかく、スーパーで買っているパンには、口当たりを柔らかくしたり、風味を出すために、砂糖、牛乳、卵、バター、生クリームなどの様々な食品や添加物が入っています。特にパンにツヤを出すために入れることのあるに卵は0歳児のアレルギーの原因になりやすい食材なので、注意が必要です。
最も簡単かつシンプルにパンを作ろうと思えば、主原料は小麦粉、塩、酵母(イースト)、水の4つさえあれば可能です。赤ちゃんにはできるだけシンプルな原材料のパンがおすすめなので、市販品を購入する場合は、成分表をよく確認してください。
ライ麦や全粒粉使用のパンは離乳食ではNG
ライ麦や全粒粉を使った茶色い食パンもみかけますが、まだ胃腸が未熟な赤ちゃんには負担となってしまうので、避けましょう。
離乳食の順番としてはパンより先に「うどん」「そうめん」がおすすめ
シンプルな材料の食パンが手に入らない場合、お粥のあとは、パンより先にうどんやそうめんを食べさせるという方法もあります。
うどんもパンと同じく主原料は小麦粉ですが、食塩以外にはほぼ他の材料は含まれていないシンプルな食材です。もしパンを先に食べさせてアレルギーが出てしまったら、反応したのは小麦粉なのか、含まれていた乳製品類や卵なのかわからなくなる可能性があります。
お粥が食べられるのなら、パンは焦って与える必要もない食材です。アレルギー症状に注意しながら、ゆっくりと進めていきましょう。
離乳食後期(生後9ヶ月~11ヶ月)からOKなパンの種類
離乳食初期、中期から使えるパンは、食パンだけですが、生後6ヶ月以降になると与えられパンも増えてきます。
フランスパン~白い部分のみ・塩分が多いので量は少なめにする
フランスパンは、卵や牛乳を含んでおらず、小麦粉・塩・イースト・塩のみで作られますので、食パンの次におすすめなパンの種類です。卵や牛乳アレルギーの赤ちゃんには食べさせられるパンです。
食パンと同じく耳を取り除いて白い部分だけを使います。塩分は多めなので量を守って与えて下さい。
蒸しパン・ホットケーキ~無糖・ベビー用のミックス粉を使う
蒸しパンやホットケーキも後期から与えて構いません。ただし、スーパーなので売られている大人用の蒸しパンやホットケーキミックスには、砂糖や食品添加物がたくさん含まれています。
蒸しパンやホットケーキを与える時は、小麦粉や薄力粉で手作りするか、砂糖不使用で材料がシンプルなホットケーキミックスやベビー用のミックス粉などを使って調理してあげましょう。
ロールパン~量に注意すればサンドイッチなどもOK
後期から与えられますが、ロールパンには砂糖や塩分、バターやマーガリンを多く含んでいます。原料や1回に与える量に注意して下さい。
完了期頃に具を挟みサンドイッチにすると簡単なお弁当になりますので、外出時限定で使用するのも良い方法です。
離乳食には不向きなパン
絶対にダメという訳ではありませんが、消化や栄養面からあまり離乳食にはおすすめできないパンもあります。もし与える場合は、1歳過ぎ以降の離乳食完了期以降にし、赤ちゃんのお腹の具合も考えて、少量のみにした方が良いでしょう。
胚芽(ふすま)パン~食物繊維が多すぎて消化に負担がかかる
胚芽は小麦の中の一部分で、ふすまとも呼ばれています。ミネラルや食物繊維が豊富で、低GI食品としても人気です。しかし、健康に良さそうな胚芽パンですが、内蔵がまだ未熟な赤ちゃんは消化するのに負担がかかります。
クロワッサン~バターが多く、非常に高カロリー!
クロワッサンには、砂糖や塩、そして大量のバターが使われています。
クロワッサンは、100gで448キロカロリー(注1)。1個あたり40gとしても、179キロカロリーで、かなり高カロリーですし、油脂で胃の調子を悪くしないか心配です。極力、離乳食期は与えない方がよいでしょう。
調理パン~味付けが濃すぎて、添加物も心配
スーパーやコンビニなどの調理してあるパンには、砂糖や塩分の他にも色々な添加物が入っています。また、薄味の離乳食に慣れている赤ちゃんにとっては、ビックリするほど味が濃いはずです。
原材料をチェック!はちみつ入りパンは赤ちゃんには与えない!
はちみつは、離乳食期には絶対に与えてはいけない食品です。はちみつにはボツリヌス菌という菌が含まれている可能性があり、腸内環境が未熟な1歳未満の赤ちゃんがはちみつを食べてしまうと、乳児ボツリヌス症を発症し、命の危険もあります(注2)。
ボツリヌス菌は加熱してもいなくなりません。はちみつは、パンの原料の中に含まれていることもありますので、原材料表示をかなあずチェックして下さい。
パンを食べさせたら、食後2時間は赤ちゃんの様子をよく観察
はじめてパンを食べさせるときは、なるべく原材料がシンプルなパンを選び、すぐに病院を受診できる時間に食べさせます。食後2時間は、皮膚や唇が赤くなる、腫れるなどの症状がないかよく観察しておきましょう。
小麦は赤ちゃんの『三大アレルゲン』の1つ
パンの主原料である小麦粉は、赤ちゃんが特にアレルギーを起こしやすい物質です。0歳の即時型アレルギーの原因食物としては第3位であり(注3)、特定原材料として製品への表示が法律によって義務付けられています(注4)。
また、市販の食パンには、牛乳やバターなどの乳製品、卵などが含まれ血ますが、鶏卵や乳製品は小麦とあわせて乳幼児の三大アレルゲンです。
パン(小麦)にアレルギー症状が出ても、2度と食べられない訳ではない
小麦や鶏卵、乳製品などは、例え食物アレルギーを発症しても、3歳までに50%、6歳までにで80~90%の子供が食べられるようになります(注5)。
赤ちゃんがアレルギーを発症したからといって、二度とそうした食品を食べられないという訳ではありませんので、悲観する必要はありません。小児科医と相談し、適切な治療を行っていきましょう。
離乳食初期のパンの調理方法&レシピ
離乳食初期に食パンを食べさせる時は、細かく切るか手でちぎったパンをミルクやだし汁で原型が残らないくらいとろとろになるまで煮込みます。
冷凍したパンを磨り下ろして使うと、すぐにとろとろになるので時短になります
食パンの白い部分はろとろで甘みがあり、赤ちゃんはよく食べてくれるかもしれませんが、初期はパンの味や食感に慣れることが目的なので7g(6枚切り食パン1/4程度)の量を限度とし、与え過ぎには注意して下さい。
【6ヶ月】かぼちゃのパン粥
離乳食初期のとろとろのパン粥にかぼちゃを混ぜた栄養満点なレシピです。かぼちゃはBカロチンをはじめビタミン、ミネラルが豊富に含まれており、免疫力を高めます。赤ちゃんにはぜひ食べてもらいたい食材です。
材料
- 食パン1/2
- かぼちゃ30g
- 調乳したミルク150cc
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かぼちゃを2㎝幅に切り、水を入れた鍋で3、4分茹でます。(竹串などで刺してすっと通ればOK)
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茹で上がったかぼちゃを裏ごしします。(かぼちゃは繊維が多いので初期は必ず裏ごしすること)
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鍋に細かく切った食パン(手でちぎったり、すりおろした食パン)、裏ごししたかぼちゃ、ミルクを入れ、中火でパンを崩すように混ぜながらとろとろになるまで煮込みます。
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食パンの原型がなくなり溶けたようになれば完成です。
離乳食中期のパンの調理方法&レシピ
離乳食中期になったら徐々に食パンの量を増やしてあげましょう。パン粥でも少し原型が残った状態で食べられるようになります。
ミルクやだし汁、ホワイトソースなどに浸してからお豆腐程度の柔らかさにし、一回あたり15g(6枚切り食パン1/2)を目安に食べさせてあげて下さい。
2回食になりますが2回ともパンという献立にせず、一回はお粥やうどんというようにし、偏らないメニューにしましょう。
【7ヶ月・8カ月】野菜入りパングラタン
エネルギー源になる食パンと体に良い野菜をたっぷりとれるパングラタンです。野菜の自然な旨味とパンとミルクの甘味で、味付けしなくても大人でも美味しく食べられる一品です。
材料
- 食パン1/2
- 玉ねぎ10g
- 人参5g
- じゃがいも10g
- 片栗粉小さじ1
- 調乳したミルク100cc
(お好みで粉チーズ、青のりを風味づけ程度に少々)
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玉ねぎ、人参、じゃがいもをみじん切りします。
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鍋に切った野菜とミルクを入れ、野菜がしっかり煮えるまで煮込んだら、水でといた片栗粉を入れてとろみをつけます。
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1㎝幅に切った食パンを入れ、しみ込むように良く絡ませて完成です。お好みで粉チーズや青のりを風味付け程度に少しトッピングして下さい。
離乳食後期のパンの調理方法&レシピ
離乳食後期になり、きちんとかみかみできるようになったら、そのままの食パンも食べられるようになります。
一回あたり25g(8枚切り食パン1枚)が目安で、手づかみできるようスティック状に切ったり、小さなサンドイッチなどにして食べさせてあげます。
そのままのパンが食べられるようになったら軽くトーストしても大丈夫です。柔らかい食パンと少しカリッとした食パンというバリエーションは噛む練習にもなりますのでおすすめです。
【9カ月~】フランスパンのオニオンスープ
玉ねぎの旨味甘味が出てとっても美味しいスープです。玉ねぎは健康効果も高く加熱することで甘味がグンと増し、栄養成分も凝縮されます。長持ちするのでおうちにストックしてあることも多い食材です。いつでも気軽に作ることがでる健康スープです。
材料
- フランスパン2切れ15g程度
- 玉ねぎ35g
- 野菜スープ200cc
(お好みで青のり)
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フランスパンの耳を切ります。
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フランスパンの白い部分だけを赤ちゃんが食べやすい大きさに切ります。
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野菜スープ(野菜を煮た時の残り汁)に細かく刻んだ玉ねぎを入れます。
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玉ねぎが柔らかくなるまで7、8分程度煮込み、切ったフランスパンを入れます。
【10カ月~】黒ごまきなこフレンチトースト
黒ごまときなこの風味が香ばしいフレンチトーストです。柔らかく甘味があり赤ちゃんも美味しく食べられます。スティック状に切ってあるので手づかみ食べもしやすいです。
黒ごまは栄養価は高いですが、アレルギーが起こりやすい食品の1つです。ごまを試して大丈夫だった赤ちゃんに限り、食べさせることができます。
材料
- 食パン1枚
- ミルクまたは牛乳50cc
- 黒ごま小さじ1/2
- きなこ小さじ1/2
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食パンを小さなスティック状に切り、ミルクには擦った黒ごまときなこを入れて混ぜ合わせておきます。
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切った食パンをミルクに絡めるように浸します。
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フライパンに少々の油を敷き、浸した食パンを中火で軽く焦げ目がつく程度に焼けば完成です。
離乳食完了期のパンの調理方法&レシピ
1歳を過ぎると、食べられるパンの種類も増えてきます。蒸しパンやホットケーキに、自然な甘みのある野菜や果物を練り込めば、赤ちゃんも喜んでくれますし、栄養補給にも役立ちます!
【1歳~】りんごのホットケーキ
りんごは栄養価が高く、赤ちゃんにも是非食べて欲しい食材です。無糖のホットケーキにりんごを入れれば自然な甘味で美味しく、可愛く盛りつければ赤ちゃんも楽しく食べてくれます。ホットケーキミックスは無糖で材料がシンプルなものを選んであげて下さい。
材料
- 無糖のホットケーキミックス100g
- 無糖ヨーグルト大さじ2
- りんご40g
- ミルク(牛乳)80cc
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りんごを細かく刻みます。
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りんごを200cc程度のお水で3、4分煮ます。
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材料全てをボールに入れて混ぜ合わせます。その時あとでトッピングで飾るりんごを少し取っておいて下さい。
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混ぜ合わせた材料を小さな丸にしてフライパン弱火でじっくり火が通るまで両面焼いたら出来上がりです。
離乳食後期(9カ月以降)のパンの保存方法
パンは使いやすい量に切り、ラップに包みます。それからジップロックなどの袋に入れて冷凍しましょう。耳は冷凍前に切っておいた方が後で調理しやすいでしょう。
冷凍できる期間は1、2週間程度で、袋に冷凍した日にちを書いておくとわかりやすく、便利です。
解凍するときは電子レンジなどで温めて使いますが、凍ったままのパンであればそのまますりおろしてパン粥などにも使えます。トーストしたい時は凍ったまま焼いてOKです。
参考文献