授乳中のカレーはなぜNG?
カレーはさっと手軽に作れる上に、作り置きもできるため育児に追われているママにとってはお助けメニューですよね。上の子がカレーが大好きだったり、カレーが好きなママにとっては授乳中でも「カレーが食べたい!」と強く感じる日もあるかもしれません。
よく「授乳中のママがカレーを食べるのはNG」という噂を耳にしますが、その理由を知っていますか?母乳の味やにおいへの影響、乳腺炎や赤ちゃんへの影響など授乳中のママが気になるカレーの疑問についてまとめました。
カレーがNGな理由その1.スパイスが母乳や赤ちゃんに影響を及ぼすことも
授乳中のママがカレーを食べるのはNGな理由としてよく取り上げられるのが「スパイス」と「動物性油脂」です。このふたつを多く摂取してしまうと母乳や赤ちゃんに影響が出る可能性があると言われています。
スパイスで母乳のにおいが変わる
カレーには様々な種類のスパイスが含まれています。欧米諸国などでは自宅に40種類から50種類ものスパイスが常備されており毎日のように料理に使われていますし日本でも料理好きなパパママがいる家庭ではそろえているかもしれませんが、どちらかというと日本人はねぎ、生姜、わさびなどの薬味は用いても、スパイスはあまり馴染みがないことの方が多いですよね。
長い時間をかけて培ってきた食文化は体質的に影響を及ぼしてしまうことがあり、授乳中のママがきついにおいを持っているスパイスを摂取した場合、母乳のにおいなどに影響が出ると考えられています。(注1)
ママが食べた食事の成分は、0.06%から1.5%程度の割合で移行するとされ、いつもと違う母乳の匂いがすると嫌がって飲まなくなる赤ちゃんも。食生活が母乳に出て、それが授乳を拒否する原因となると、必要な母乳栄養が不足し赤ちゃんはおなかがすくために恒常的に機嫌が悪くなってしまうこともあります。
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スパイスは赤ちゃんに影響する
少なくともスパイスには赤ちゃんの発育に必要な栄養があるわけではなく、むしろ刺激となります。
授乳中の人が毎日のようにたくさんカレーを食べてしまうと、母乳を通じて赤ちゃんがスパイスを多く摂り過ぎてしまい、赤ちゃんのおなかが痛くなったり、肛門の周りがただれたりするなど、体に変化が見られる可能性もあります。
赤ちゃんの胃腸の働きはまだまだ未熟。赤ちゃんにはスパイスの刺激はない方が良いかもしれません。
赤ちゃんのうんちのにおいがいつもと違う
カレーを食べたあとに母乳を飲んだ赤ちゃんがうんちをすると、いつもと違ってカレーのようなツンとしたにおいがすることがあるかもしれません。これはカレーに使用されている「クミン」というスパイスが影響していることが考えられます。
クミン自体は体への悪影響はないとされていますが、強い香りが長く残ることがあります。気になる方は市販のルウではなく、スパイスからカレーを手作りして、クミンの代わりに他のスパイスを使うといいでしょう。例えば「カルダモン」などのショウガ科のスパイスがおすすめです。
カレーがNGな理由その2.動物性油脂の摂取量が多い
パッケージに表記されている成分表示は、含まれている材料の多い順に並んでいます。カレールウの成分表示を見てみると、「動物油脂」や「食用油脂」が最初に表記されていることがわかります。その割合はなんと約40%にもなるのです。
食事からとる脂質が乳腺炎の原因となるかははっきりはしていませんが(注2)、高カロリーな食事は乳腺を詰まらせてしまう原因になるのでは?とは考えられています。
母乳の原料はお母さんの血液であることを考えると、血液の質が落ちる食事は避けたいものです。
乳腺炎とは?
乳腺炎とは乳腺が詰まって炎症することで起こります。母乳はどんどん作られるのにうまく出すことができなくなり、おっぱいの痛みや高熱を伴うこともあります。
乳腺炎になりかけたときはおっぱいにしこりや赤みがある、痛みがある、赤ちゃんが吸うと痛い、高熱が出るなどの症状があるので授乳中は注意したいですね!
カレーがどうしても食べたいとき!インド人が授乳中にカレーを食べても大丈夫な理由
授乳中はカロリーの高い食事や、刺激の強いスパイスを控えるべきだとわかっていても、どうしてもカレーが食べたくなる日もありますよね。上の子がいる場合は、カレーをリクエストされることもあるでしょう。授乳中にカレーは絶対に食べてはいけないのでしょうか?実はそんなことはありません。たまにならカレーを食べても大丈夫なのです。
赤ちゃんへの影響や乳腺炎が心配なママは、栄養バランスや油脂、塩分量に気をつけて一工夫加えた手作りカレーにすればさらに安心です。授乳中のママにおすすめのカレーメニューをご紹介します。
インド人はなぜカレーを食べられる?食文化の違い
インド人はカレーを毎日のように食べていますが、乳腺炎や母乳に風味がついて赤ちゃんが飲まなくなる心配はないのでしょうか?
カレーやスパイス料理を食べる風習があるインドでは、ママがたくさんスパイスを食べても赤ちゃんが母乳を嫌がって飲まないことはあまりありません。それは長く続く食文化の中で、それに応じた体質が作られているため。ママのおなかの中にいる頃から、羊水の中にも微量のスパイスが含まれているため、赤ちゃん自身に抵抗力を事前に備えていると考えられています。
しかし日本人がカレーやキムチなどのスパイスたっぷりの多国籍料理や激辛料理を食べ始めたのは最近のこと。そのためスパイスが多く含まれた料理を食べたとき、母乳は赤ちゃんには合わず嫌がって飲まなくなることがあるのです。
授乳中だけどどうしてもカレーを食べたいときにはどうしたらいい?
「カレーを食べたい!」と感じるときは、実は体がカレーを自然と欲しているときなのかもしれません。ママが食べたものがすぐ影響するのでは、毎日コロコロと母乳の味が変わってしまうことともなりますが、そのようなことは少ないと言われています。
母乳も血液と同じようにある程度成分が一定に保津力を備えるため、よほど長期間食べ続けない限りは心配しすぎなくても大丈夫。
カレーが大好きすぎて食べたくてしょうがないのに我慢する日々が続けば、そちらの方がママにとってストレスの原因になってしまうかもしれません。このストレスが母乳や育児に影響してしまうこともあるので、たまには日々頑張っている自分のご褒美として食べたいものを食べる日を作ルノも悪くはないのではないでしょうか?
授乳中にカレーが食べたいときは食べる量を調整してみよう
スパイスが及ぼす母乳への影響は個人差も出るところ。あまり多く取りすぎないように気をつければ問題ありませんが、出産後に初めて食べるカレーはおっぱいや赤ちゃんにどれほど影響が出るかわからないのでドキドキするかもしれませんね。
そんなときはいつもの半分程度の量に抑え、カレーを食べたあと1、2日間は赤ちゃんの様子を見てみましょう。母乳を嫌がっていないか、赤ちゃんの体に影響がないかという点に気をつけながら、ゆっくりと食べる量の目安を見つけていきましょう。
栄養のバランスに気をつけたカレーを手作りする
赤ちゃんの栄養のために日々の食生活に気を配りたいママには、レトルトカレーやお店のカレーよりは手作りをして塩分や栄養バランスを考えたカレーなら口にするにも安心。
特にスパイスから作るカレーメニューはカロリーを抑えることができますし、思ったよりも簡単にできるので授乳中のママにはおすすめです。
授乳中におすすめ!カレーレシピのワンポイント工夫方法
授乳中は絶対にレトルトカレーを食べたらダメ!ということはありませんが、ママの体や赤ちゃんのことを考えると手作りで栄養バランスを考え、カロリーや塩分を控えた優しいカレーを食べたいもの。授乳中も安心してカレーを食べたいママに向けて、いつものカレーにちょっとした工夫を加えた授乳中のママでも安心して食べられるカレーのメニューレシピをご紹介します。
変に心配することなく、ストレスフリーでカレーを美味しくいただくためにも、ぜひ挑戦してみてください!
市販のカレールウを使うときは野菜とお水をたっぷり入れて!
市販のカレールウを使ってカレーを作るときには、中に入れる具材やレシピを工夫してみましょう。市販のカレールウには塩分や動物性の油脂が多く入っているため、授乳中のママはルウよりも具材をしっかり食べたいところです。ジャガイモやサツマイモなどの根菜類、ほうれん草などの葉物、キノコ類などバランス良く様々な食材を入れて食べると、授乳中のママに必要な栄養素もしっかり取れカロリーも抑えられるので嬉しいですね。
お肉の代わりに厚揚げを使ってみたり、たっぷりの大豆を入れてみたりしても、カロリーを押さえたりいつもよりヘルシーカレーに変身させられます。
パッケージに書いてある作り方よりも水の量を多めにするのもポイントです。通常のカレーはドロッとしている状態ですが、スープカレーくらいにルウを伸ばせば油分塩分の濃度が低くなりますよ。
ルウは辛口よりも甘口や中辛を選ぼう★
辛口はスパイスが多めに入っているため、母乳への影響を考えて甘口や中辛を選びましょう。
子どもやパパ用のカレーは別に取り分けて作ればみんな満足★
授乳中のママ用にいつもより多めの水で作ったカレーは、子どもやパパには不評…ということもあります。そんななときはママが食べる量だけ別のお鍋にうつしてお水を加えて煮込めば、簡単に子ども&パパ用と、ママ用を分けてつくることができます。この方法だとみんなおいしいカレーを食べられて満足ですね!
キーマカレーでルウの量をおさえて作る!
市販のカレールウの量を少なくしたいときには「キーマカレー」をチョイスする方法もあります。キーマカレーの作り方はひき肉やみじん切りにした野菜を炒め、少量のお水とルウを入れるだけ。
ルウはいつもの1/2から1/4の量ですみます。玉ねぎ、にんじん、ピーマンなど様々な種類の野菜やきのこ類を入れると栄養のバランスもよくなります。
お肉は下ゆですると油脂の摂取量を減らせてさらにヘルシーに★
キーマカレーには使うお肉はひき肉ですが、ひき肉を炒めるとたくさんの脂が浮いてきますよね。これも動物性油脂。おっぱいへの影響が気になるなら、あらかじめひき肉を下ゆでしておけば余分な油を落とせるのでよりヘルシーになるので試してみてはいかがでしょうか?お肉の半量を豆腐を炒った豆腐そぼろにチェンジするのも手!
スパイスから手作りしたいときは「赤缶カレー粉」がおすすめ
市販のルーに入っている動物性の油脂や食塩、添加物が気になる方は、スパイスからカレーを手作りするのもおすすめです。
エスビー食品の「赤缶カレー粉」はすでにスパイスが調合された状態になっていて、スーパーでも手軽に買えるので簡単に手作りカレーを作ることができます。
原材料はターメリック、コリアンダー、クミン、フェネグリーク、こしょう、赤唐辛子、ちんぴ、香辛料で、30数種類のスパイスとハーブが調合されています。
ルーの作り方はフライパンで薄力粉をきつね色になるまで10分前後炒めた後、「赤缶カレー粉」をよく混ぜ合わせるだけ。いつものように野菜を炒めた鍋に水とコンソメを入れて煮込み、手作りルウをよく溶かすだけで手作りカレーの完成です!ね?簡単でしょ?
スープや飲み物をつけて全体の水分量を多くしよう
カレーを食卓に並べるとき、付け合わせのメニューを工夫するのもポイントです。薄味のコンソメスープなどをサイドメニューとして一緒に食べれば、全体の水分量が多くなるため、脂質の濃度を下げることができます。お水やお茶など水分も忘れずにたくさん飲みましょう。
乳腺炎予防!飲み物はたんぽぽ茶がおすすめ★
たんぽぽ茶は血液をサラサラにしてくれる働きがあるため、乳腺炎を防止したい方はカレーと一緒にたんぽぽ茶を飲むと良いでしょう。たんぽぽ茶はたんぽぽの根を焙煎したお茶。鉄分やミネラルも豊富に含まれています。授乳中はあまり多く摂取したくないカフェインが含まれていないため、授乳中でも安心して飲むことができます。
授乳中の食生活は全体のバランスを考えて
授乳中だからといって毎食パーフェクトな食事をとることは難しいですよね。ときに甘いものを食べたくなったり、辛いものを食べたくなったりするのは体が欲している証拠。あまり我慢しすぎて質素なごはんばかり食べていると逆にストレスが溜まってしまうこともあるでしょう。
しかし1日や1週間など長いスパンで全体の栄養バランスや、油脂、塩分、糖分などの摂取量を調整することは必要です。カレーを毎日食べ続けるといった偏った食生活が続いた結果、母乳に何らかの影響が出て赤ちゃんが母乳を嫌がってしまうと少しかわいそうですよね・・・。「絶対にカレーを食べてはダメ!」と全面禁止するのではなく、手作りカレーのレシピをちょっと工夫して油脂や塩分を抑えたヘルシーカレーを作ってみるなど、心にも体にも優しい食生活を心がけたいですね。