「オムツなし育児」って何だろう
「オムツなし育児」とはじめて聞くと、「一体どんな生活になるんだろう!」と大きな疑問が生まれます。「オムツなし育児」とは、もともとあるおしっこやうんちの感覚に赤ちゃんが疎くなってしまわないよう、排泄を通し親子のコミュニケーションを重ねる…という育児。
「オムツなし」というフレーズが「日常的におむつを付けない育児」という壮大な勘違いを呼び起こしますが、赤ちゃんにおむつをさせない、ということではありません。
今回は、オムツなし育児とはどのような育児方法でどのようなメリットをもたらすのか、オムツなし育児の真実に迫ります!
「オムツなし育児」は誤解を招きやすいフレーズ
「オムツなし育児」は、しばしば「日常的におむつを付けない育児法」かと思われてしまいますが、オムツなしというフレーズがある以上、誤解も致し方がありませんね……。
「おむつをしないで大丈夫なの?」「家の中が大変なことになりそう!」など、なんだか大変そうなイメージばかりが連想されますが、オムツなし育児の誤解を晴らすべくここで真実を解説していきます。
「オムツなし育児」はおむつをしない育児ではありません
「オムツなし育児」は、赤ちゃんのおしっこやうんちのサインをキャッチしてトイレに連れていくなりコミュニケーションをとりましょう、というもの。日常的にはおむつを利用しているので、排泄物で部屋が汚れたい放題になるわけではありません。
「オムツなし育児」は排泄の自然な感覚を持てることをいう
赤ちゃんは生まれたときから「お腹がすいた」と泣いてはおっぱいを求めますよね。赤ちゃんは成長のため空腹を不快な感覚として認識し「泣く」動作を通してお母さんに訴え生命を維持しています。
おしっこやうんちは、ミルクほどダイレクトに生命活動に影響しませんが、空腹感覚と同じように生まれたばかりのころから「不快な感覚」としてしっかりと赤ちゃんに備わっています。
ですが、赤ちゃんによっておむつの感覚に敏感鈍感の差はありますが、紙おむつの性能がより良いものになるなかで排泄の感覚が備わっていないかのように排泄後も気にせずにいられる子も増えています。
生まれてしばらくの間は排泄サインも未熟で、サインキャッチ→次の瞬間おしっこ(うんち)!もしくは既にしていた!ということも多いのも事実なのですが「お腹がすいたサイン」と同じように、毎日おしっこやうんちのサインをキャッチしてあげることは自然な行動と言えます。
確かに紙おむつは快適です
日々進化を遂げる紙おむつ。「漏れを防ぎながら通気性を確保する」という矛盾するニーズを見事満たした紙おむつメーカーの企業努力は感涙ものです。もしかしたら、各紙おむつメーカーは育児の負担を0に近づけようとしているのかもしれません。
そんな企業努力のたまもの「現代の紙おむつ」は、赤ちゃんにとっても快適仕様。一回や二回のおしっこ程度ではビクともせず、ムレたりかぶれたりすることもほとんどありません。
ですが、その快適さについつい頼ってしまい、いつしかママも赤ちゃんもそれが当たり前になり、紙おむつがある生活に慣れてしまいます。紙おむつのある生活が当たり前になると、ただでさえ未熟な排泄サインを赤ちゃんもママも逃しがちに。実際、「おむつがパンパンや!」と慌てておむつを替えるようなことも時々あるのでは?
「オムツなし育児」はおむつ外しが目的のトイレトレーニングではありません
「オムツなし育児」は、おむつ外しを目的とした「トイレトレーニング」の一種と思われることがよくありますが、オムツなし育児はトイレトレーニングとも違います。
オムツなし育児の結果「おむつの卒業が楽!」という効果は得られるでしょうが、そもそもオムツなし育児には、おむつ外しのような「成果を得る」目的は持ちません。
オムツなし育児とトイレトレーニングとの違い
「トイレトレーニング」とは言葉からも分かるように、赤ちゃんがおむつの中で排泄するのではなく、トイレに座って排泄をする習慣作りを目的としています。
これに対し「オムツなし育児」は、ただひたすら「赤ちゃんが排泄サインを失わず、ミルクを飲むようにおしっこやうんちとも付き合っていける環境を作る」ことを目的としています。
オムツなし育児のやり方とQ&A
それでは、実際に「オムツなし育児」をどのように進めていくのか具体的なやり方についてご紹介していきます!
なんだか難しいように感じてしまう「オムツなし育児」ですが、何度も言うように目的は「赤ちゃんの排泄サインを尊重する」というものですので、実際には赤ちゃんとママがコミュニケーションの中でそれぞれのサインややり方を見つけていきます。
「オムツなし育児」ではどんなおむつをしているのですか?
「オムツなし育児」は、赤ちゃんのおしっこやうんちのサインをキャッチし、それを通してコミュニケーションを重ねていくというもので、日常的には紙おむつなり布おむつなりをつけて生活をするため、部屋の掃除や洗濯が増えるというわけではありません。
オムツなし育児が成功すると、布おむつなら洗濯が減り、紙おむつなら消費が減ります。
どうやって排泄をさせるのですか?
赤ちゃんの様子をしっかり観察して、自分の生活でできる範囲で「あっ、今おしっこ(うんち)しそう!」という排泄サインをキャッチできたら、おむつの中に排泄する前にそのタイミングでおむつを外しておまるを設置してあげたり、トイレに連れて行ってあげましょう。
赤ちゃんのおしりにおまるをセッティングしたら(トイレに連れて行ったら)、あとは排泄待ち。
お尻やおなかが冷えてもかわいそうですので時間の目安は5分程度にしておきましょう。
普段の服装は、赤ちゃんの排泄サインをキャッチしてすぐにおむつが外しやすいように、2wayオールやセパレートタイプの洋服を着せておくと便利です。
赤ちゃんの排泄サインはどうやってわかる?
「オムツなし育児」のため、毎日赤ちゃんの様子を見ているうちに、「うんちをするときはふんばる」「おしっこの前は動きが止まる」など排泄のサインがわかるようになってきます。
最初は排泄した後にしかわからなかった排泄サインも、徐々に「する前」のサインも見逃さないようになりますよ!
慣れるまでは、おしっこしたときはどんな様子だったかを意識して考えてみるようにしましょう。
「おむつを替えている最中におしっこをしちゃうことが多いかも…?」と感じるのなら、トイレに連れて行ったり、赤ちゃんのおしりにおまるを配置してトライします!
オムツなし育児に「失敗」はない
赤ちゃんが排泄サインを失わず、おっぱいやミルクと同じようにおしっこやうんちとも付き合っていけるようサポートをする「オムツなし育児」は、言い換えればただひたすら赤ちゃんの排泄サインを尊重してあげるだけの育児方法です。
至極当然ですが最初から上手くいくわけはなく、トイレが間に合わずおむつの中やトイレの外を汚してしまうこともあるでしょう。このため、忙しい生活、度重なる失敗に思うように成果が得られずともイラつかない度量は必要です。
ですが、日常的におむつはしているので、部屋の中がおしっこやうんちで汚れて大変なことに…という状態にはなりません。
そもそも、トイレトレーニングとは違いますから、赤ちゃんがおむつの中で排泄をしてもトイレに間に合わなくても、「失敗」とは言えません。むしろ思い通りになると思って取り組むのが間違いだと認識しましょう。
「オムツなし育児」では新生児から使える「おまる」が便利
とはいっても、おむつ替えのタイミングで赤ちゃんをトイレに連れて行ったり、おまるに乗せたりするのは考えるだけでハードですよね。オムツなし育児をサポートするアイテムに「ミニおまる」があります。
赤ちゃんが小さいときのおまるは、洗面器などでも代用できますが、足を突っ込んでしまったりなどの失敗もある模様…。数分間赤ちゃんのお尻をおまるの上にキープしながら受け皿を固定することを考えると、専用おまるの使用がおすすめです!
オムツなし育児に適した時期
オムツなし育児をスタートする時期については、できるだけ早く始める方が良いとされていますが、生まれてすぐは授乳間隔も短く、ママも赤ちゃんも毎日を生きているだけで大変ですし、新生児期は抱っこもとても気を遣います。
新生児期のうちは、一気にあれもこれも頑張ろうとするのではなく、赤ちゃんとの生活に慣れることが何よりも大切。オムツなし育児もママが良いタイミングで開始しましょう。目安としては、授乳間隔が少し落ち着きだし、首が据わり始める2~3ヶ月頃がおすすめですが、授乳間隔も首据わりも個人差があるため無理は禁物。
それまでの間は、おむつの上で排泄させるようにする方法から始めるのもおすすめです。
新生児期~1、2ヶ月は排泄間隔が短い
新生児~生後2か月間ほどは、おしっこやうんちの間隔はごく短く排泄頻度に合わせておまるを設置するだけでも大変ですが、月齢・成長とともに少しずつ排泄間隔は安定していきます。
オムツなし育児は早めのスタートが良いとされますが、お世話の負担はその分多くなるので、くれぐれも無理はなさらずに。
1歳を過ぎると適さない
長期間おむつに頼った生活を続けていると、紙おむつの快適さが当たり前になります。
オムツなし育児は早い段階でのスタートがおすすめされる理由には、開始時期が遅いとデメリットが発生するからという面もあります。
いずれトイレトレーニングもするので、オムツなし育児が無駄になることはないでしょうが、1歳ではすでに赤ちゃんもじっとしていられない時期です。1歳ともなると、逆におむつの中でしかうんちができない子もでてくるなど、おむつに慣れた生活から排便サインを取り戻すのは至難の業かもしれません。
「オムツなし育児」で保育園でのおむつはどうしている?
保育園に通いだすとなると、今までのオムツなし育児で育んだ排泄サインが消えてしまうのでは…という心配も生まれます。オムツなし育児はトイレトレーニングではないにしろ、排泄サインを通して育んだものが0になってしまうと、やっぱり残念です。
今までオムツなし育児をしていたのなら、入園前に相談してみましょう。入園先をいくつか選べる状況または、入園を急がないのなら「オムツなし育児」に協力してもらえる園を基準に保育園探しをするのも良いですね。
「オムツなし育児」外出時のおむつはどうすればいい?
家とは環境が違う外出時。ミルクでさえ、場所が変わると飲めなくなってしまう赤ちゃんだっているくらいですから、低月齢の赤ちゃんほど外出先でのオムツなしチャレンジは大変かもしれません。
お母さんにとっても、失敗したとき慣れているなら後片付けもスムーズですが、例えばデパートのトイレで失敗した!となるとちょっと大変ですね。
外出先で排泄のサインが分かったときにすぐにトイレに連れて行ってあげるためには、あらかじめ外出先のトイレの場所や赤ちゃんスペースを把握しておくことが大切。
8ヶ月~1歳のころには、ママも赤ちゃんもオムツなし育児歴もスキルも上がっていると予想されますが、外出先では無理に実行せず、紙おむつをはかせて出かけましょう。
変わった人ね!と言われることがあってもオムツなし育児のメリットは大きい
オムツなし育児(ECトレーニング)は排泄を通した親子のコミュニケーションですが、そのネーミングが災いしてか、批判的な考えを持った人もいます。
「赤ちゃんだからおむつをしていてあたりまえ!」という人や「変わった人!」、「はやくおむつをはずしたいの?まだ早いのでやめておけば?」などと実際に言われてしまうこともあるかも…。
ですが、ネーミングのイメージと実際のやり方は結構違いますよね。
オムツなし育児にトライしてみて、ただのお世話の一環だったおむつ替えが赤ちゃんとのコミュニケーションの時間と変わっていきます。
オムツなし育児に心が折れることもあるかもしれませんが、オムツなし育児の目的はトイレの成功ではなく、あくまでも「親子のコミュニケーション」。逆に上手くいくことが珍しいので「思い通りにいかなくて当たり前」という気持ちを忘れずに、ママも赤ちゃんも笑顔でいられる「オムツなし育児」に挑戦して下さいね!