赤ちゃん教育の意義と意味!忘れてはいけない大切なこと
子どもの吸収力の高さは驚嘆に値します。数字や地名、キャラクターの名前など、小さな子どもでも驚くほどの記憶力を発揮しますが、それはまだ言葉も知らない赤ちゃんの頃から始まっています。
子どもは、生まれて間もない赤ちゃんの頃から、驚くべき吸収力を持って日々のできごとに向き合っているのです。
「賢い子に育てるために、赤ちゃんの時期から教育を開始したい!」と考えるお父さんやお母さんが多いのも当然だと言えるでしょう。
ですが、本当に赤ちゃんの時代に行う『超早期教育』は意味のあるものなのでしょうか?また、実施するならどのような方法を活用することができるのでしょうか?赤ちゃんの教育について、その意味と意義を探っていきましょう。
超早期学習は赤ちゃんに良い?悪い?
まだ赤ちゃんの時期に教育を開始する『超早期教育』。意味のある大切なことだという人がいる一方で、赤ちゃんにとっては無意味、または有害だと批判する人も少なくありません。超早期教育は本当に無意味なのでしょうか?
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超早期学習の科学的な検証
早期学習に意味があるかを検証する実験は、日本だけでなく外国でも広く実施されてきました。その中でも有名な実験として、1960年代にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマン教授の『就学前計画』が挙げられます。
この実験では、経済的に恵まれない家庭の子ども(3歳~4歳)を2つのグループに分け、1つのグループには2年間の家庭教師と学校教育による早期教育を実施し、もう1つのグループには何の教育も実施しませんでした。その後、40年間にわたって被験者の生活の質や経済状況などを調査したところ、早期教育を実施していた方が有意に高年収で持ち家率が高いことが分かったのです。
この実験では幼児を対象として実施されましたが、幼児期よりも物事への吸収力が高いとされる乳児期も、同様の効果が期待できるとされています。幼少期の教育がその人の人生をより豊かで実りあるものにすることができるとヘックマン教授は結論付けています。
早期教育の賛否
もちろん、この実験だけで、幼少期の教育が大切だと断定することはできません。好奇心やチャレンジ心、挑戦する行動力を育むには幼少期の遊びが親子のスキンシップが学び以上に大切とも言えます。
ですが、幼少期に教育を受ける環境に居ることで、その後の人生に何らかの影響を与えることは事実だと言えるでしょう。また、幼少期に教育を受けておくと、その後の学びに対してのベースが作られ、勉強に対して好奇心を持ちやすくなり、学齢期に入ってからも勉強を積極的に行うことも想定できます。
一方で早期教育に否定的な人も少なくありません。『幼少期は遊ぶことが大切なのに、遊ばせないで勉強ばかりするなら偏った人間になってしまう』と考える人や、『子どもの適性を考えずに勉強させることで、子どもの可能性をつぶしてしまうのでは』と考える人もいます。
とはいうものの、幼少期に教育を受けることが、その後の人生において悪い影響を及ぼすと結論する根拠も全くありません。
早期教育のあるべき姿勢
早期教育というと『詰め込み教育』や『朝から晩まで勉強させる』ような子供に過度な期待を背負わせるマイナスイメージだけが独り歩きしてしまいがちですが、実際には、赤ちゃんや子どもにとっての1つの経験に過ぎません。
教育(=学習、勉強)もしますが、遊びや運動、お母さんやお父さんとのスキンシップの土台の上に成り立ち、遊びやスキンシップの時間は教育以上の比率で行って行きます。
赤ちゃんの可能性を絞ってしまうのではなく、赤ちゃんの可能性を高めて広げるための『早期教育』。正しく実施すれば、必ず赤ちゃんの人生を豊かなものにするのは間違いないと言えるでしょう。
脳も爆発的に成長を始める時期!赤ちゃんの好奇心を刺激するには
赤ちゃんのときは、脳も心も爆発的に成長しています。
母国語(日本の場合は日本語)においては文法的に勉強させるわけでもないのに、1年ほどで正しい母国語が話せるようになるのも、赤ちゃんの脳の成長の速さを示しています。
赤ちゃんが物事に対し興味を持ってくれるかどうかは、「赤ちゃんの好奇心」を刺激して、赤ちゃん自身が進んで学びたいという気持ちにさせることが大切となりますが、赤ちゃんの好奇心を刺激するには、どのような方法をとることができるでしょうか?
赤ちゃんの心を育てることが肝心
赤ちゃんの気持ちを「知りたい」「学びたい」というように持っていくためには、赤ちゃんが学ぶことで「楽しい」「嬉しい」「安心する」というポジティブな感情を持てるようにすることが必要です。赤ちゃんにとって遊びと同じように興味をくすぐられるものであり、勉強が「楽しい」「嬉しい」「安心する」ものであれば、お母さんやお父さんが勉強する素振りや準備を見せるだけで、ワクワクする気持ちを持つようになりますよね。
そのためには、赤ちゃんが機嫌の良いときを選んで勉強をするようにすること、赤ちゃんが眠たいときや違うものに興味を示しているときに勉強をさせないようにすること等、勉強に最適なタイミングを作り出すことも大切になります。
また、お母さんやお父さんが赤ちゃんと一緒に何かをする幸せに喜んでいること、お母さんやお父さんも勉強が心から好き!という気持ちを赤ちゃんの学びの時間を通じてしっかり表現することも大切です。
思う存分抱っこしてふれあう
赤ちゃんのときの学習は『先生と生徒』、『教える人と教わる人』のように一方的な語りかけでは身につきません。お母さんもお父さんも赤ちゃんも一緒に触れあうことで、赤ちゃんが感覚的に物事を習得していくのです。
全ての赤ちゃんは親子のスキンシップを必要としています。本を読み聞かせるときも、向き合うのではなく、抱っこして膝に乗せて話しかけましょう。積み木をするときも赤ちゃんの膝や手足を触れながら、一緒に取り組む…などと赤ちゃんと接しかたで愛情を表現していくことが大切です。
ほめる
大人でも叱られながら教わるより、ほめられるほうが能力を伸ばすことができる!という人がいますが、赤ちゃんにとって叱られることには大人の想像を超える「影響」強いては「怖さ」も含みます。まず、大人が『失敗は避けるべきこと』という価値観を捨てましょう。
赤ちゃんが積んだ積み木を見て、「だめだめ、こういう風にしなきゃ」と大人が手直しをしても赤ちゃんの能力は伸びません。「うわあ、上手にできたねえ」と褒めるなら、次はもっと褒められたいと思って能力が伸びていくのです。
また、褒められることで、赤ちゃんは【学び】に対して積極的な気持ちを持つようになります。「褒められる」→「嬉しい」→「勉強をすることは嬉しい、楽しい!」という風に、勉強に対するポジティブな感情を育くまれて行き、将来的に、自分から学ぶ子ども、知的好奇心を持っている子どもに成長していくことが期待できます。
話しているしぐさのときは相槌をいれてしっかり聞く
ただし、ただやみくもに褒めてもいけません。ほめられどころが良く分からないと、赤ちゃんも何に対して褒められているのか分からなくなってしまいます。また、ほめるだけでなく赤ちゃんが何かに対して反応を示しているときは、大人はしっかりと「へえ」「そうだねえ」「わあ、そういう風に思ったの?」と相づちを入れて、聞く姿勢を示しましょう。
話をするときはわかりやすいまでに話を聞く姿勢を見せ続けることで、赤ちゃんも自然と他人が話しているときは【聞く姿勢】を保つべきと知るだけでなく、【話を聞いてもらう】その要素でも自分と自分の意見が尊重されていると実感しやすくなります。
また、話を意図的に誘導しないであげましょう。クーイングや喃語を発するようになったときから、赤ちゃんが何かおしゃべりしているような素振りを見せたら、赤ちゃんの意見をまずはそのまま受け止めましょう。最初はクーイングや喃語の反芻を、赤ちゃんが何かを指しているのがわかるようになったら、それを言葉にして赤ちゃんにもわかりやすく反芻します。そうすることで、赤ちゃんは語彙を増やし、感情を表現する方法を学んでいくことができるのです。
赤ちゃんの意見が大人の意見と異なるときや、『正解』と異なる意見をしたときも、そのまま受け止め、自分の意見を自分の言葉で言えたことに対してしっかりと褒めてあげましょう。
赤ちゃん教育の実践!語り掛けのタイミング
赤ちゃんの教育は、主に、お母さんやお父さんの語りかけによって実践されます。もちろん、一方的に語りかけるのではなく、赤ちゃんとスキンシップを取りながら、赤ちゃんの調子や集中力に気を配り、赤ちゃんのペースで語りかけていくことがポイントになります。
このような語りかけは、育児のどのようなタイミングに活かせるでしょう?また、何に注意する必要があるでしょうか?
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視線を合わせ、表情も大切
ただ大人が独り言をつぶやくだけでは、赤ちゃんにとっては意味のある語りかけになりません。
しっかりと赤ちゃんと視線を合わせ、話す内容に合わせた表情豊かな語りかけがあってはじめて、赤ちゃんの聴覚と視覚、そして気持ちに訴えるのです。
おむつ替えのときに!
おむつ替えのときは、赤ちゃんと触れ合う良い機会になります。赤ちゃんを上から見る形になりますので、自然と赤ちゃんと視線が合いやすくなるのも利点と言えます。
また、おむつを替えることで赤ちゃんはすっきりと爽やかになりますので、機嫌良くお母さんやお父さんの言葉に耳を傾けてくれるでしょう。
いないいないばあ
赤ちゃんが大好きな遊び『いないいないばあ』は、単に、ぐずっている赤ちゃんを笑わせるための遊びではありません。
大人にとっては手で顔を覆って隠していても、その手の後ろ側に顔があることは分かっていて、『いないいないばあ』は何が面白いのか解せぬもの。ですが、月齢の低い赤ちゃんにとって『顔を隠す』のは、『いなくなってしまう』と同じようなもので、「お母さん(お父さん)がいなくなった!」という驚き+「突然現れた!」という驚き・喜びや「期待したとおりにお母さん(お父さん)が出てきた!」という満足感を味わうことができる遊びなのです。
生後1ヶ月~2ヶ月頃までの月齢が低いときは、いないいないばあをしても、赤ちゃんは特別な反応を示してくれません。「いない」と「いる」の違いの何が面白いかを理解できないからです。ですが、赤ちゃんが特別な反応を示してくれなくても、いないいないばあを何度もしつづけることで前頭前野が刺激されて、いないいないばあの面白さが分かってくるようになります。
絵本
絵本の読み聞かせは、超早期教育の中でももっとも基本的な学習法です。
初めは絵本に出てくる動物や人に注目して語りかけていきますが、徐々にストーリーの面白さや登場人物の感情などに触れさせていくように心がけていきましょう。
赤ちゃんの絵本にはストーリー性はまだまだありませんが、それでも親子で物語を辿っていくようにたっぷりと読み聞かせの時間を設けることで、両親がそばにいる安心感のもと赤ちゃんは想像力や感受性を育んでいきます。
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感覚的刺激と月齢にふさわしい運動
視覚からの学習、聴覚からの学習には限度があります。体の動きを合わせることで、より効率的に赤ちゃんの脳を開発することができます。
音楽を聞かせる
音楽を聴くことも、赤ちゃんにとっては学習の1つです。赤ちゃんの手足をとって音楽に合わせて体を動かしてあげましょう。ただ単に音楽を聞くよりも、赤ちゃんの心や記憶にインパクトを与えます。
散歩に行く
外に出て実際に花や虫を見たり、空の色や風の動きに触れたりすることで、赤ちゃんの頭は多くを学んでいきます。ただぶらぶらと歩くよりは、見たこと感じたことを赤ちゃんに声に出して伝え、語りかけながら散歩をするようにしましょう。
たっぷりと遊んであげる
パパママとの遊びは赤ちゃんにとっては最高の学習となります。
パパママがいるという安心感のもと、赤ちゃんは驚きや感動といった喜びを逐一パパママに共有しながら様々なことに挑戦していけるのです。
また月齢に合わせて、無理なく体を動かしてあげると赤ちゃんの記憶力や想像力を刺激します。例えば紙を丸めたりちぎったりする作業も、赤ちゃんにとっては大事な勉強。手先を使う動きは赤ちゃんの脳を刺激しながら、紙という物質について学んでいくのです。
これはNG!赤ちゃん教育上やってはいけないこと
赤ちゃん教育で、絶対にしてはいけない注意点もあります。
赤ちゃんの脳の成長を萎縮させてしまいかねない『要因』の多くは親にあることも…。
夫婦喧嘩
赤ちゃんの学習効果を考えるなら、夫婦喧嘩はなるべくしないようにしましょう。
赤ちゃんの目の前で喧嘩をすると、赤ちゃんを不安にさせます。不安な気持ちは、赤ちゃんをいらいらさせたりおびえさせたり落ち着かない心境を生みだしてしまいます。
気持ちが落ち着いている子どもの方が、集中力・記憶力を伸ばしていけるもの。赤ちゃんが『余計なことにとらわれることなく安心して何かに取り組む環境』は作ってあげるものと言えます。
泣くのを放置
赤ちゃんが泣いているのを放置すると、赤ちゃんは自分の気持ちを受け止めてもらえないと感じ、自己肯定感が低くなってしまいます。
赤ちゃんが泣くたびにすぐに駆け寄ればいいというものでもありませんが(泣いている理由にもよります)、『泣く』は赤ちゃんの意見であり訴えです。
赤ちゃんが自信を持った人間に成長するためにも、基本的には赤ちゃんが泣いているときは、無視をせずしっかりと抱きしめてあげましょう。
- サイレントベビーにしないための愛情たっぷり子育て方法
サイレントベビーはネグレクトの結果生まれる赤ちゃんの姿…サイレントベビーの特徴や原因の解説を通して、ママやパパとの親子関係の大切さを再確認しましょう。サイレントベビーにしないバランス良い子育てを!
どなる
海外では『怒鳴る』ことも暴力の一端で、特に公の場面で怒鳴るなどは野蛮な行為とみなされますが、日本において『怒る(怒鳴る)』と『叱る(躾)』を混同している人は少なくありません。
ですが、子育てのつもりで怒鳴っても、子どもを怯えさせるだけで暴力同様良い結果を運ぶことはありません。
特に赤ちゃんに対して大声でどなったりすると、恐怖心だけを植え付け、恐怖心は『考える』力を停止させてしまいます。どうすればパパママが怒らないか…といった非生産的な考え方に転じて、学習効率は下がります。赤ちゃんに説明するときは、穏やかに話しかけるようにしましょう。
不規則な生活リズム
早期学習を考えているのなら、まず生活リズムを整えることが大切です。どんな勉強も、健康な体と精神の上に成り立ちますし、生活のメリハリは学びに欠かせない集中力を育みます。
生活が不規則で、十分な睡眠時間や栄養を得られないと、赤ちゃんの健康な体と心が育ちません。
起きる時間、寝る時間、お昼寝の時間、ミルクの時間、遊ぶ時間…一日のリズムが付きにくい赤ちゃんだからこそ、リズムを明確にし遊びや学びの時間の集中力を促しましょう。
期待しすぎる
そもそも、子どもは、子どもの人生を生きていくわけで、お父さんやお母さんを満足させる存在ではないのです。赤ちゃんに学習させて思うような効果が見られないときも、あからさまにがっかりしたり、子どもを叱るなどは絶対にいけません。
赤ちゃんに早期学習を考えているなら、自己の満足のためではないかどうかをまず確認し、学習の結果は絶対に期待しないようにしましょう。
これは、早期学習よりなにより一番大切なことは赤ちゃんの幸せですが、間違っても『赤ちゃんの幸せ』が『親の満足度』に比例するものではありません!
子は親の笑顔が大好きですが、親はそれに甘んじて子どもに負荷をかけないよう、愛情をかけることと期待することをはき違えることのないようしっかり考えましょう。
気楽に続ける!超早期教育で、親子で成長
学習はそれ自体が目的ではなく、子どもと関わる1つの手段だと考えることが大切です。赤ちゃんが思うような反応・効果を見せないときでも、決して苛立たず、赤ちゃんと楽しく関わっていけてはじめてその意味が成り立つもの、ということを忘れずにいてください。