フォローアップミルクはいつ飲むものなの?
離乳食だけでは不足する栄養を補うフォローアップミルク。離乳食を食べている赤ちゃんに不足しがちなカルシウムやDHA、鉄分などの栄養素が含まれているため、なんとなく「飲ませていると安心」というイメージがあります。
実際のところ、フォローアップミルクはいつからいつまで飲むものとして作られているのでしょうか。また、フォローアップミルクの必要性についても、解説していきます。
フォローアップミルクを飲ませるのは離乳食3回食になるときが目安
フォローアップミルクは、離乳食が朝昼晩の3回食になるときがスタートの目安です。生後5ヶ月・6ヶ月から離乳食を始めた場合、だいたい生後9か月ごろの離乳食後期が3回食になる一つの目安。この時期からフォローアップミルクを飲ませられます。
3回食になると栄養の60%以上を離乳食から摂る
離乳食後期になり、1日3回食になると、栄養の60%から70%を赤ちゃんは離乳食から摂取するようになります。母乳の場合は1日の授乳回数は5回程度、ミルク育児の場合は1日トータル500mlが目安です。
離乳食での栄養が不足するときに飲むのがフォローアップミルク
離乳食が3回になると母乳や育児用ミルクを飲む回数も量も減りますが、まだまだ上手に離乳食を食べられない子もいます。
そのため、どうしても摂取できる栄養やカロリーが減ってしまいます。その足りない分を補う目的に作られているのが、フォローアップミルクです。
フォローアップミルクには離乳食に不足しがちな栄養素が重点的に入っていますので、栄養バランスを保ちながら離乳食を進めていくことができるのです。
フォローアップミルクは通常の食事を十分に食べられるようになったら終了
フォローアップミルクは、あくまでも離乳食をフォローするための飲み物です。
離乳食で足りない栄養や食事量をカバーするのがフォローアップミルクの役割ですので、離乳食が進み、通常の食事をまんべんなく食べられるようになったらフォローアップミルクの役目は終了です。
通常の食事の段階に進んだら、今後不足する栄養素があると思われるときは、フォローアップミルクではなく食事で栄養を補うようにしてください。
フォローアップミルクをあげるメリット&デメリット
フォローアップミルクは、あくまでも離乳食期に不足する栄養を補うことが目的の食品です。
昔はフォローアップミルクといった商品はなく、赤ちゃんは離乳食を勧めながら、母乳と育児用ミルクのみでもしっかり成長できていました。そのため、育児用ミルクと違って絶対に必要な食品ではありません。
それでは、フォローアップミルクはどんな時に飲ませると良いのでしょうか。フォローアップミルクのメリットとデメリットから、我が子にとっての必要性を判断して行きましょう。
フォローアップミルクのメリット
フォローアップミルクのメリットは、離乳食期に不足しがちな栄養を補うことができる点です。以下のような赤ちゃんにとっては、フォローアップミルクに一定のメリットが見込めます。
離乳食に不足しがちな栄養素を補給できる
離乳食では、アレルギーが出ないか、消化しやすいかどうかを考慮しながら食べさせますし、赤ちゃん自身の味の好みもあります。そのため、どうしても栄養が偏ってしまいます。
例えば、離乳食後期の1回あたりの食事量は、全がゆ90g、野菜・果物30~40g、他タンパク質食材が鶏卵なら2分の1、豆腐なら45g、魚や肉なら15gが目安です。しかし、特にタンパク質食材はアレルギーのリスクが高く、少量ずつしか食べさせられなかったり、赤ちゃんが食べてくれないこともあります。
特に欠乏しやすいのが卵やレバー、マグロなどに含まれるヘム鉄で、不足すると赤ちゃんの貧血の原因にもなります。フォローアップミルクには鉄分はもちろん、離乳食に不足しがちな栄養素が重点的に入っていますので、栄養バランスを保ちながら離乳食を進めていけるというメリットがあります。
離乳食が嫌い・食べムラが多い赤ちゃんへのフォローになる
離乳食期の赤ちゃんは「噛んで食べる」という行為にまだあまり慣れていません。そのため、食事時間が長くかかったり、離乳食を食べるのを嫌がって放棄してしまう赤ちゃんも少なくありません。赤ちゃんが離乳食を食べないと、ママもイライラしたり、栄養面が心配になったりもします。
しかしながら、フォローアップミルクは粉ミルクや母乳と同じ飲み物です。「噛んで食べる」ことが苦手な赤ちゃんも抵抗感なく受け入れてくれます。赤ちゃんに必要な栄養素をスムーズに補給でき、ママの心配も軽減されるでしょう。
フォローアップミルクのデメリット
赤ちゃんに不足しがちな栄養を補えるフォローアップミルクですが、それがかえって離乳食を疎かにする原因になる可能性もあります。
食事(離乳食)が疎かになる
フォローアップミルクは、本来は離乳食で不足する栄養を補うためのものです。ですが、使い方によってはフォローアップミルクがメインとなってしまい、食事が疎かになってしまうこともあります。
赤ちゃんがフォローアップミルクを過度に気に入ってしまい、離乳食を拒否たり、離乳食をごくわずかしか食べずにフォローアップミルクを欲しがるようになるのは問題です。
結論:離乳食が順調ならフォローアップミルクは必要なし!
フォローアップミルクは、あくまで離乳食期に不足しがちな栄養素を補うためのものです。育児用粉ミルクや母乳の代わりにはなりません。
厚生労働省の資料(注1,注2)でも、「フォローアップミルクは母乳や育児用ミルクの代替え品ではない」「離乳食が順調に進まず、鉄不足などのリスクが高い場合に必要に応じて使用する」と説明されています。
つまり、赤ちゃんが栄養バランスの整った離乳食をしっかりと食べて、母乳や育児用ミルクもしっかり飲めているのなら、あえてフォローアップミルクを飲ませる必要はないのです。
フォローアップミルクを与える際の量とタイミング
フォローアップミルクを離乳食期に利用する場合、どの程度の量をどのタイミングで飲ませることができるでしょうか。
フォローアップミルクは月齢よりも赤ちゃんの体重で量を決定する
フォローアップミルクの容器には、赤ちゃんに飲ませる量の目安が記載されています。赤ちゃんの月齢や体重に合わせた適量が記されていますが、月齢ではなく赤ちゃんの体重でフォローアップミルクの量を決定するようにしてください。
フォローアップミルクの種類によっても適量は若干異なりますが、離乳食が1日3回になる9ヶ月~1歳のときは1日に450ml~600mlくらいが目安です。そして、食べられるものが増えてきた1歳以降は1日に400ml以下を目安にするようにしましょう。
フォローアップミルクは赤ちゃんがどの程度の食事ができているかも参考にする
体重だけでなく、どの程度の食事ができているかもフォローアップミルクの量を決めるときの参考になります。体重は少なめでも、食べられるものが多くなり、量もしっかりと食べられるようになったらフォローアップミルクの量を減らしていくこともできます。
フォローアップミルクを与えるタイミングは食後やおやつの時
離乳食の時期は、1回の食事でまとまった量を食べることを覚えさせたい時期ですので、1日3回の離乳食を食べさせた後にフォローアップミルクを飲ませるようにします。
離乳食を嫌がり、食事中に機嫌が悪くなってしまったときは、食後ではなくおやつの時間にフォローアップミルクを飲ませても構いません。
フォローアップミルクでお腹がいっぱいにならないように注意
食事が進まないときは、もしかしたら直前のおやつのタイミングで飲ませたフォローアップミルクでお腹がいっぱいになっている可能性もあります。
フォローアップミルクの容器には、おやつとして飲ませるときは「1回に200ml」と記載されていることが多いですが、赤ちゃんによっては100ml~150mlに減らす方が良いこともあります。その日の食事量や赤ちゃんの様子を見ながら、与える量を調整してあげましょう。
母乳や育児用ミルクとフォローアップミルクのバランス
母乳やミルクをどのように与えてきたかによって、フォローアップミルクの飲ませ方が少々変わってきます。フォローアップミルクの飲ませ方について見ていきましょう。
母乳育児のときのフォローアップミルクの飲ませ方
完全母乳育児をしていて、離乳食の進みも順調なら、あえてフォローアップミルクを使用する必要はありません。母乳は確かに鉄分は少ないですが、その分吸収効率が優れているともいわれています。
しかし、「卒乳に向けて、そろそろ母乳以外のものも飲ませたい」と考えている方の中には、フォローアップミルクの使用を検討している方もいるのではないでしょうか。
牛乳は1歳を過ぎてからでないと飲ませられないので、まずはフォローアップミルクに慣れさせるのは、卒乳・断乳の準備として一つの方法です。ただし、急に母乳をやめるのではなく、赤ちゃんがしっかり食事を摂れていることを確認したうえで、少しずつ授乳回数を減らすようにしてください。
中には、フォローアップミルクの味を嫌がる赤ちゃんもいますが、フォローアップミルク、母乳、牛乳はすべて味が違いますから、無理に克服させる必要もありません。無理をせず、1歳になってから牛乳を与えて様子を見ましょう。
コップやスパウト、ストローの練習をしよう
完全母乳育児を実践し、哺乳瓶をほとんど使用していなかった赤ちゃんにフォローアップミルクを飲ませたい場合は、生後9ヶ月過ぎから哺乳瓶に慣れさせるメリットは薄いので、はじめからスパウトやストロー、コップで飲めるように練習しましょう。
生後9ヶ月過ぎならスパウトやストローはすぐに覚えますし、最初は苦戦するかもしれませんがコップ飲みも短期間で慣れる子が大半です。
ミルク育児のときのフォローアップミルクの飲ませ方
繰り返しになりますが、フォローアップミルクは、育児用ミルクの代替え品ではありません。育児用ミルクは赤ちゃんの体に必要な栄養素がバランスよく含まれています。フォローアップミルクは育児用ミルクに比べて安価ですが、含まれているのは「離乳食期に不足しがちな栄養素」が主です。
そのため、育児用ミルクからフォローアップミルクにいきなり変更するのはおすすめしません。中にはフォローアップミルクを上手く吸収できず、下痢になる子もいます。
まずは、育児用粉ミルクと併用したり、ミルクがゆなどの離乳食にフォローアップミルクを活用するなど、焦らずに様子を見ながら少しずつ取り入れましょう。もちろん「フォローアップミルクは不要」と考えるのなら、「離乳食+育児用ミルク」のみで、徐々に離乳食(食事)のみで栄養を摂れるようにして構いません。
フォローアップミルクに頼りすぎないように注意しよう
フォローアップミルクがあることで、離乳食を赤ちゃんがあまり食べてくれないときも、栄養不足を過度に心配する必要がなくなります。ですが、いつまでもフォローアップミルクに頼ってしまうと、「食事だけで1日に必要な栄養を摂る」という最終的な目標になかなか到達できなくなってしまいます。
フォローアップミルクを使って赤ちゃんの栄養補給をすることは良いことですが、決して頼りすぎないようにしましょう。赤ちゃんが食事だけで栄養を摂り入れることができたと判断したときは、フォローアップミルクにもさよならを告げるようにしてください。