赤ちゃんの耳垢の特徴

赤ちゃんの耳垢の特徴とは?正しい耳掃除の方法を覚えよう

赤ちゃんの耳垢は、大人のものとは形状や色が異なっています。湿っている、ベタベタと油分が多い、大きなかたまりがたくさん出る、色が黒い、臭いなど、赤ちゃんの耳垢の正常と異常の境目を解説。また、赤ちゃんの耳掃除をする場合の正しい方法、耳鼻科での耳掃除の費用や頻度の目安も紹介します。

赤ちゃんの耳垢の特徴とは?正しい耳掃除の方法を覚えよう

赤ちゃんの耳垢と耳掃除の新常識!掃除をしない方が良いの?

赤ちゃんの小さな耳穴に、べたべたと耳垢らしきものが詰まっている!
でも、最近は耳掃除はしない方が良いといった話をメディア等で聞く機会もありますし、初めての赤ちゃんの耳掃除の場合、傷つけてしまわないか心配です。

結局、赤ちゃんの耳垢にはどのように対処するのがベストなのでしょうか?

赤ちゃんの耳掃除はした方がいい?しない方がいい?

赤ちゃんの耳垢の特徴

耳の中の皮脂や皮膚がはがれたもの、外部から入ってきたホコリなどが混ぜ合わさってできる『耳垢』。赤ちゃんの耳垢ならではの特徴を紹介します。

べたべたしていることが多い

赤ちゃんは皮脂分泌が活発ですので、耳垢も油分でべたべたとしています。また、赤ちゃんは大人と比べて体温が高めですので、耳の中も自然と蒸れたような状態となり、耳垢が乾燥せずに湿っているのは珍しいことではありません。

ただし、「垢」といよりも、耳から黄色い「液体」が流れてきたときは要注意。耳だれの場合、中耳炎など別の病気を発症している可能性もあります。

大きなかたまりになることが多い

新陳代謝が良く、皮脂分泌も活発な赤ちゃん。耳垢は皮脂や皮膚がはがれおちたものからできていますので、どうしても量が多く、1週間ほど放っておくだけで大きなかたまりになってしまうケースも。小さな赤ちゃんの大きな耳垢に驚いた経験を持つママやパパも多くいます。

黒いかたまりが出ることもある

赤ちゃんの耳垢を始めて掃除するときは、黒い塊状の耳垢が出てくることもあります。これは耳の中に羊水が残っているために起こる現象ですので、特に心配する必要はありません。

濃い茶色の耳垢が出ることもある

赤ちゃんの耳垢は大人と比べて皮脂が混ざっている割合が高く、耳垢も濃い黄色~濃い茶色に見えることもあります。もちろん、これも正常な耳垢ですので、特に心配する必要はありません。

耳垢が臭い=病気ではない

赤ちゃんの耳垢の臭いが強い場合でも、耳垢がかさかさした粉末か、べたべたしたものなら病気とは言えません。

赤ちゃんは一日の大半を横になって過ごしていますので、よだれやミルクなどの口から出たものが耳の中に入り、皮脂や外耳の皮膚と混ざってしまい、強烈な匂いを発する耳垢がつくられることは珍しくありません。

赤ちゃんの耳掃除をする

赤ちゃんの耳掃除をする?しない?

たかが耳垢と思うかもしれませんが、耳垢は単なる老廃物ではなく、耳の奥の鼓膜を保護する役割もあります。耳穴から鼓膜までには微細な毛しかありませんから、耳垢が多少あることで、鼓膜は外部の刺激から守られているのです。

ですが、やはり耳垢が多すぎるのも問題です。耳の聞こえが悪くなったり、鼓膜付近の器官が蒸れてしまったり、耳垢が詰まっている周辺がかゆくなってしまったりなどのトラブルに発展するリスクがあります。
耳には自浄作用があり、古くなった耳垢を自然に外に押し出す機能もあるとは言われていますが、自浄作用があまり働かず、耳垢が詰まりやすい人も存在します。

耳垢には良い面と悪い面、そして自浄作用が働きやすいケースと働きにくいケースがありますので、耳掃除に関しては、専門家である耳鼻科や小児科の医師たちの間でも、意見が分かれているのが実情です。

耳掃除賛成!の意見

耳掃除推奨派の意見としては、次のようなものがあります。

赤ちゃんに耳掃除をする方が良い理由

  • 赤ちゃんは体温が高く蒸れやすいので、耳垢がべたべたしていることが多く、古くなってもなかなか外に出ない。
  • 耳掃除をしないでおくと、耳の中に細菌がつきやすくなるリスクがある。
  • 赤ちゃんは新陳代謝が良く、老廃物もたくさん出ているので、自浄作用に任せるのではなく、大人よりも頻繁に耳掃除をすべき。
  • 赤ちゃんが耳に不快感を覚えると、耳周りをひっかいき、外傷になるリスクがある。

耳に違和感を感じて耳を触っている赤ちゃん

耳掃除反対!の意見

一方、耳掃除には反対の医師も多くいます。年に数回病院で耳掃除をすればよいのだから、自宅では耳掃除をしない方が良いと折衷案を提案する医師も少なくありません。

赤ちゃんに耳掃除をしない方が良い理由

  • 赤ちゃんは代謝が良いので、耳垢も多い分、外に押し出される耳垢も多い。
  • 赤ちゃんの動きは予測不能なので、耳掃除中に鼓膜や耳道(じどう)を傷つける可能性がある。
  • 家庭で耳掃除をすると、鼓膜や耳道を傷つける可能性があるので、病院で耳の奥までライトを照らして専門的に行うべき。
  • 耳垢を家庭で掃除をすると、反対に耳穴周辺の耳垢を奥に押し込んでしまい、逆効果になる。

赤ちゃんの耳掃除のやり方

賛否両論あるものの、やはり耳垢の詰まりを見過ごせないというパパやママは、耳掃除がしたいはずです。赤ちゃんの耳掃除をスムーズに実施するためのポイントをいくつか挙げていきますので、参考にしてください。

赤ちゃんに「じっとしていてね」と言っても、じっとしてくれるわけはありません。予想もつかないような動きをして、思わず綿棒が鼓膜の方まで伸びてしまわないように、耳掃除をする場合は、慎重に行いましょう。

耳の入り口を拭き取るだけで、外耳道には入れない

赤ちゃんの耳掃除をする時の綿棒と鼓膜の位置

赤ちゃんの耳掃除をするときは、深くまで綿棒を差し込む必要はありません。耳穴近くに出てきた耳垢を優しく取り除くだけで十分です。

外耳道の深さが分からないときは、綿棒の綿が巻かれている部分を目安にして耳掃除をしましょう。綿部分が耳の中にすっぽりと入ってしまうのは、赤ちゃんにとっては綿棒の入れ過ぎとなります。

お風呂上りが耳掃除には最適のタイミング

お風呂上がりは耳垢も柔らかくなっていますので、絶好の耳掃除のタイミングです。また、外耳道の奥の耳垢も、ふやけて耳穴近くに出てくることも多く、タオルで耳介を拭くときにさっと耳穴の入口を拭くだけで耳垢がきれいに取れることもあります。

綿棒を使って掃除する場合も、お風呂上がりは最適なタイミングと言えます。何にもしていないときに、「お耳の掃除をしますよ~」と言いながらお母さんが綿棒を持って近づいてくると、赤ちゃんもドキドキしてしまいます。

お風呂上がりのタイミングなら、赤ちゃんも少しぐったりしますので、身体を拭くついでに耳を掃除しても身構えることはありません。

耳介にたまった水はしっかりと取っておこう

お風呂からあがったときは、タオルでしっかりと耳介に溜まった水を拭いておきましょう。耳介や耳穴付近に水が残っていると、知らない間に外耳に流れ込んでしまい、耳の中が蒸れたり、細菌に感染する原因になります。お風呂上がりの1日に1回だけのタイミングで充分ですから、耳介と耳穴付近は清潔に保つようにしてください。

お風呂からあがったときは、タオルでしっかりと耳介に溜まった水を拭く

耳かきは使わない

耳かきを使うと外耳の皮膚を傷つけてしまうことがあります。外傷ができるとその部分から感染して病気にかかることもありますので、外耳の皮膚を傷つけないためにも耳かきではなく赤ちゃん用の細めの綿棒を使うようにしてください。

耳掃除は赤ちゃんが起きているときにする

「赤ちゃんが大人しく動かない時間に耳掃除…」と思うと、就寝中を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、就寝中は起きている時より赤ちゃんが予期せぬ動きをする可能性が高いです。

中には嫌がって激しく泣く赤ちゃんもいますが、起きている時に耳掃除をしても、ママやパパが気を引きながら行っていれば、赤ちゃんは割と大人しくしてくれます。もちろん、綿棒を深く入れず、痛みがないことが条件です。

初めての耳掃除は大人二人で手早く済ませましょう

1人の時は赤ちゃんの頭を片手で押さえながら声をかけ、大人二人がいる時は一人が腕で赤ちゃんの頭部を固定しながら、手早くキレイにしてあげましょう。耳掃除は1ヶ月に数回行えばいいので、初めての場合は、無理をせず、パパとママが揃っている時に実施することをおすすめします。

耳垢が乾燥しているときはベビーオイルを使用する

赤ちゃんの保湿剤を選び方は?成分チェックのポイント
赤ちゃんの保湿剤を選び方は?成分チェックのポイント

耳垢が乾燥している赤ちゃんの場合は、綿棒にごく少量のベビーオイルを含ませて耳掃除をしましょう。綿棒の先部分がしっとりとしますので、乾燥した耳垢をしっかりと吸着できます。

耳掃除が難しいときは耳鼻科を受診しよう

外耳や鼓膜を傷つけずに耳掃除をする自信がない場合や赤ちゃんが耳掃除を嫌がる場合は、耳鼻科で耳掃除をしてもらいましょう。

耳掃除は保険適応の範囲内ですので、乳幼児医療費助成制度の適応範囲です。自治体によっては初診料のみの支払いが必須なケースもありますが、それでも大きな負担にはならず、1000円あれば間に合うケースが大半です。

2~3ヶ月に一度ほど通えば充分です。赤ちゃんの耳垢の状態に「これって普通のこと?」と不安を抱えている人は、一度相談も兼ねて耳鼻科を受診してみると安心できます。

赤ちゃんの耳垢掃除は気を付けて

赤ちゃんは耳垢掃除を嫌がることが多いので、耳掃除をする時は赤ちゃんが怪我をしないように気を付けてください。ちゃんとできるか心配、不安と言う人は、かかりつけ医に相談してからにしたほうがいいでしょう。