赤ちゃんの縦抱きはいつからできる?
赤ちゃんの身体が縦になるように抱っこする「縦抱き」。縦抱きの方法をマスターしておくと、授乳後に赤ちゃんをゲップさせやすいため便利です。また、抱っこする大人も腕が疲れにくいというメリットがあります。
まずは、縦抱きを開始していいタイミング、1回の縦抱きはどのくらいの時間が理想的なのかについてご説明します。
赤ちゃんの縦抱きは生まれてからすぐでもOK
縦抱きは、特にいつから始めるのが良いとは決まってはいません。食後にゲップをさせるときは一時的に縦抱きするのが一般的ですから、生まれてからすぐに縦抱っこしても特に問題はありません。
ですが、縦抱きの姿勢でお散歩するなど、長時間、縦抱っこの姿勢のままキープできるのは、赤ちゃんの首や腰がしっかりと座ってからの方が好ましいと言えるでしょう。
赤ちゃんの縦抱きは1回当たり数十分程度が目安
縦抱きはどのくらいまでの時間なら赤ちゃんに負担をかけないか、明確な基準がありません。しかしながら、腰も首もぐらぐらしているときは、赤ちゃんの支える部分が多くなり、抱っこする大人もたいへんになります。1回あたり数分~数十分程度を目安にし、スリングなどの抱っこグッズを使わないのなら基本は横抱きしましょう。
赤ちゃんが一人で座れるようになったら、赤ちゃんの骨がしっかりと硬くなり、骨の周りの筋肉も充分に発達してきた証拠です。特に時間を制限せずに、長時間縦抱きしても問題はありません。
赤ちゃんの縦抱きの基本は首と腰を支えること
縦抱きの姿勢で赤ちゃんを抱っこするときは、首と腰を必ず支えることがポイントです。片方の手のひらで赤ちゃんの首と後頭部を支え、もう片方の手で赤ちゃんの腰からお尻を支えましょう。
赤ちゃんがもうお座りできるくらいに首や腰の骨がしっかりしてきたら、赤ちゃんの両脇を持ちあげるように縦抱きするのもOKです。
首が座っていない赤ちゃんや新生児の縦抱きのコツ
首が座っていない赤ちゃん、とくに新生児を縦抱きするときは、次の点に注意してしっかりと体全体を支えるようにしましょう。
手の平を大きく広げて赤ちゃんの後頭部をガッチリと包み込む
新生児や首すわり前の赤ちゃんを縦抱きをするときは、必ず首の後ろから後頭部にかけて手のひらで支え、首が後ろ側に倒れてしまわないようにしましょう。手を大きく広げて後頭部全体を包み込むようにすると、赤ちゃんの頭がぐらつきにくくなり、急にのけぞったりしたときも赤ちゃんの首や腰に負担がかかりにくくなります。
首すわり前の赤ちゃんは、腰回りの骨や背骨も柔らかく、きっちりと支えていないとぐらついてしまいます。かならず腰にも手を当てて、きっちりと支えてあげて下さい。
赤ちゃんがのけぞるときは縦抱き中止
縦抱っこをしているときに、赤ちゃんが急にのけぞると非常に危険です。赤ちゃん自身の力で首や腰を痛めてしまうこともありますし、なにより大人の手から滑り落ちてしまう可能性があります。
身体を急に反らしはじめたときは、無理に縦抱っこを続けるのではなく、ベッドやマットの上などに1度置いてあげましょう。機嫌が良くなってから、また抱っこするようにしてください。
外出中など、赤ちゃんをベッドやマットの上に寝かせることが難しい状況のときは、赤ちゃんを横抱きで支えるようにしましょう。
赤ちゃんが眠そうにしているときは早めに横抱きにチェンジ
赤ちゃんが縦抱きの姿勢で眠そうな様子を見せたら、様子を見つつ、横抱きでの寝かしつけに移行しましょう。
寝かしつけには時間がかかる可能性もありますし、縦抱きだと赤ちゃんを起こさないように、そのまま布団に寝かせるのがややたいへんです。
首が座らない赤ちゃんを縦抱き授乳する方法
まだ首が座らない赤ちゃんや新生児でも、工夫すれば縦抱きのまま授乳できます。
次の手順で縦抱き授乳をしてみてください。
- 椅子やソファーに少しもたれるようにして座ります。赤ちゃんがおっぱいに吸いつきやすいよう、お母さんは背中がやや反り気味になるように意識して座ってください。腰の後ろ部分にクッションを当てると楽な姿勢がとれます。
- 赤ちゃんをお母さんの太ももに座らせます。赤ちゃんの口が乳首に届かないときは、お母さんの太ももの上にクッションや畳んだブランケットなどを置き、赤ちゃんがおっぱいを吸いやすい高さになるように調整します。
- 授乳させている方のおっぱい側の手で、赤ちゃんの頭の後ろから首をしっかりと支えます。もう一方の手で授乳させているおっぱいの下を支え、赤ちゃんが吸いつきやすいように調整。その後、腰を支えます。
- 赤ちゃんがちゃんと吸えているか確認します。赤ちゃんが乳首にきちんと吸いつけるように首を支えることは大切ですが、赤ちゃんの頭をおっぱいに押し付けすぎないようにも注意してください。
縦抱き授乳のメリット
縦抱きでの授乳は、赤ちゃんとママの双方にメリットがあります。授乳姿勢は色々なパターンがあった方が乳腺炎や肩こりなどの防止になります。
母乳の飲み残しを防止
通常の横抱き授乳だけでなく縦抱き授乳も行うことで、おっぱい全体をまんべんなく飲むことができ、飲み残しを減らせます。
いつも同じ姿勢でおっぱいを飲ませていると、母乳が乳房に残りやすくなりますが、たまに縦抱き授乳を取り入れると、乳腺炎も起こりにくくなります。
乳首に吸い付きやすい
縦抱き授乳では、おっぱいの正面から赤ちゃんを乳首に吸いつかせます。
乳房が小さい、乳首が短いなど、授乳に難しさを覚えている人でも、縦抱きだと赤ちゃんが吸い付きやすく、母乳育児をしやすいはずです。
赤ちゃんが空気を吸い込まない
横抱き授乳は、乳首を横からくわえるため、乳首から口が離れやすいです。そのため、授乳中に何度もくわえ直すことになってしまい、母乳と一緒に余分な空気が赤ちゃんのお腹の中に入り込みやすいというデメリットがあります。
縦抱き授乳のときは、乳首を正面からくわえますから、乳首が口から離れにくく、飲みながら余分な空気がお腹に入る回数も減少します。そのため、授乳後にゲップをしなくても済んだり、吐き戻しの予防になります。
疲れにくい
縦抱き授乳は、横抱き授乳と比べるとお母さんの腕がだるくなりにくく、長時間同じ姿勢でも疲れにくいというメリットがあります。
縦抱き授乳で赤ちゃんにゲップさせるときのコツ
新生児や首すわり前の赤ちゃんを縦抱きする最も大きな理由は、ゲップを出させるためでしょう。
ゲップをさせるときに覚えておきたい5つのコツを紹介します。
1.赤ちゃんの首がお母さんの肩の高さになるように縦抱きする
赤ちゃんの首がお母さんの肩の高さになるように、赤ちゃんの首と腰を支えて縦抱きします。赤ちゃんのあごをお母さんの肩にかけるようにするのがポイントです。
赤ちゃんがのけぞりそうで怖いお母さんは、ソファーに浅く腰をかけて、お母さん自身が腰を反らせるような姿勢に座ってください。適当な高さのソファーがないときは、椅子に浅く座り、腰と椅子の背もたれの間にクッションを置いて腰が反るように調整しましょう。
2.腰から首の下まで、下から上の方向にさする
赤ちゃんの腰から首の下まで、下から上にゆっくりとさすります。赤ちゃんの身体の中に入った空気を押しだすようなイメージでゆっくりと撫でていきます。手を広げて、大きく包み込むようにゆっくりと撫で上げて下さい。
3.赤ちゃんの口と鼻がふさがれていないかチェック
最初はあごをお母さんの肩の上に出していても、赤ちゃんが徐々に頭を動かして、お母さんの肩に顔をうずめてしまうこともあります。口と鼻がふさがれていると上手にゲップができませんので、赤ちゃんの顔の様子をチェックして、しっかりと口と鼻を出しているか確認して下さい。
4.時間が長くならないように注意する
なかなかゲップが出ないこともあります。そのようなときは、途中で止めるようにしてください。あまり長く背中をさすっても、赤ちゃんは疲れてしまいますし、当然、お母さんも疲れてしまいます。5分程度続けても、ゲップが出ない場合は、中断しましょう。
5.出ないときはそのままでOK!
ゲップが上手に出なかったときは、無理にゲップをさせる必要はありません。おっぱいを飲むときに余計な空気が入らなかったのかもしれませんし、お母さんが気づかない程度の小さなゲップがすでに出ている場合もあります。
ゲップが出ていないとしても、それによって吐いてしまったり、赤ちゃんの気分が悪くなったりすることは稀なことと言えます。5分間ゲップをさせる努力をしたら、横向きに寝かせたり、タオルなどで少し頭を高くして、そのまま寝かせて構いません。次の授乳の機会に、ゲップがまとめて出ることもあります。
赤ちゃんの縦抱きを安全に行うポイント
縦抱きは、慣れると横抱きよりも簡単な抱っこ方法です。首がすわると、横抱きにする機会が大幅に減り、赤ちゃんが縦抱きを好きになることも増えてきます。縦抱きはお母さんやお父さんの腕に負担をかけにくいので、長時間疲れずに抱っこできます。
とはいえ、危険性がないわけではありません。赤ちゃんの身体に負担をかけないために、縦抱きのポイントをいくつか紹介します。
赤ちゃんを縦抱きするときは必ず両手で支える
赤ちゃんの首や腰がしっかりとしてくると、赤ちゃんのお尻の下だけを手のひらで支える姿勢の縦抱っこをする方も増えてきます。
しかし、この姿勢で縦抱きをすると、急に赤ちゃんがのけぞったときや身体がぐらついたときに、しっかりと支えることができず、赤ちゃんが転落する危険性があります。
赤ちゃんの首や腰がしっかりとしてきても、必ず縦抱きするときは両手でするようにしてください。
荷物を持っているときや外出中など、どうしても片手で縦抱きしなくてはいけないときは、縦抱き用の抱っこひもを使用しましょう。
赤ちゃんの機嫌が悪いときは縦抱きしない
赤ちゃんが嫌がるときは、無理に縦抱きしないようにしてください。赤ちゃんも、その日そのときの気分があります。「今は横向きに抱っこしてほしい」「まだおねんねしていたいの」と思っているときに縦抱っこをすると、急にのけぞったり手足をバタバタと動かしてしまったりしますので、転落する危険性が出てきます。
赤ちゃんを縦抱きするときの縦抱き用抱っこひもの選び方ポイント
現代では、新生児から縦抱き可能な抱っこひもが増えてきました。種類が豊富にありますので、どれを選んで良いか悩む方も多いでしょう。
縦抱き用の抱っこひもを選ぶときのポイントを紹介します。
一人でも簡単に装着できる
買い物や近所に散歩に行くときなど、お母さんやお父さんが一人で抱っこひもを装着しなくてはならないケースは多くあります。抱っこひもを選ぶときは、かならず一人でも簡単に装着できるものを選んでください。
抱っこひもの構造が複雑だと、ついいい加減に装着してしまい、途中で紐が緩んだり、赤ちゃんが落ちそうになったりと危険です。
赤ちゃんの首をホールドできる
新生児の首をしっかりとホールドできるものを選ぶようにしましょう。首周りのスペースが横に広く取られている抱っこひもは、赤ちゃんの首がぐらついてしまう可能性が高いです。
長時間の使用を考えている場合は腰ベルトがある
長時間縦抱っこするシチュエーションを想定している場合は、腰ベルトがあるタイプのものを選んでください。腰ベルトがあるだけで、お母さんやお父さんの身体にかかる負担が大きく軽減されます。
赤ちゃんを縦抱きできるとお母さんが楽になる
縦抱きを上手にするコツをつかむと、お母さんも赤ちゃんの抱っこが楽になりますし、長時間抱っこしても腕が疲れにくくなります。
また、縦抱きできる抱っこひもを使えば、お母さんやお父さんの行動範囲も広がります。ぜひ縦抱きのコツを掴んで縦抱きマスターになってください。