赤ちゃんも歯ブラシが必要なの?
「歯がにょきにょき生えてきた~」「上の歯と下の歯が出てきて、かわいいね」と言っているそばから、虫歯のリスクも高まってきます。「乳歯だから、どうせ生え変わるんだし、歯磨きは必要ないでしょう?」と言うわけではありません。
歯ブラシを使って正しく歯を磨くことは、歯の健康だけではなく、歯茎の健康を保つことにつながります。世の中のお父さん・お母さんたちは、毎日の生活を送る中で、意外と赤ちゃんと歯ブラシに関する悩みが多いです。一緒に、悩みを解決していきましょう。
赤ちゃんでも歯ブラシが必要。その理由は虫歯になるから
はじめにお伝えしておきますが、赤ちゃんでも歯磨きは必要です。大人と比べて、色んな食べものを食べていなくても、食べる量が少なくても、歯ブラシで歯をみがくという行為は大切なのです。なぜなら、食べもののカスや歯垢には、虫歯の原因となる「ミュータンス菌」がいるからです。
「ミルクや母乳は液体だし、虫歯になりにくいでしょう?」と言うのは、大きな勘違い。ミュータンス菌は、ミルクや母乳に含まれている糖分をエサに酸を作って、虫歯を作り出してしまうのです。赤ちゃんは唾液が多いので、虫歯になりにくいのは事実ですが、虫歯になる可能性は十分にあります。赤ちゃんのうちから歯磨きをしてあげることが、とても重要なのです。
赤ちゃんが歯ブラシを使うのはいつから?
歯が生えたら、歯磨きスタートのサインです。月齢によって、赤ちゃんの歯のケアにも違いがあります。お父さん・お母さんは、月齢に合わせたケアをしてあげてください。
0ヶ月~6ヶ月の赤ちゃんの歯ブラシケア
栄養のほとんどをミルクや母乳でとっていたり、まだ歯が生えてこない時には、歯のケアは必要ありません。けれども、口の中に歯ブラシが入ることや口回りを触られることに慣れさせておきましょう。
下の歯が生えてきたら、ガーゼケアを始めよう
歯が生えてきたら、少しずつ歯ブラシの使い方に慣れていきましょう。水分を含ませたガーゼを歯の表面にあてて、優しく拭き取ってください。歯ブラシを使う前に、ガーゼで慣れさせます。
上と下の歯が二本ずつ生えたら、本格的な歯ブラシケアのスタート
離乳食も後半になり、食べられる食材も量も増えてきたなら、歯のケアもきちんとおこないましょう。お父さん・お母さんは歯ブラシを赤ちゃんの歯と歯茎の境目にあてて、優しく動かしていきます。歯と歯の間に詰まったカスを掻き出すように、ブラシを立てて磨いてあげてください。うがいができるようになったら、歯磨き粉を使ってケアをしてみましょう。
赤ちゃんに歯ブラシを使って歯を磨くには慣れが大事
「今日から歯磨きを開始します!」というのは、大人の都合です。ある日突然、口の中に棒みたいなものが入ってきて、わちゃわちゃかき回されたら、誰だってビックリします。口の中から何とかして出そうと、赤ちゃんが必死になるのも、無理はありません。お父さん・お母さんにとっては、歯磨きをするなんて当たり前のことですが、赤ちゃんにとっては未知の世界!ですから、段階を経てゆっくり、じっくりと教えてあげましょう。
ステップ1.赤ちゃんの前で歯磨きの見本を示す
赤ちゃんは、想像以上に学習能力が高いです。大人がしていることを、真似しようとします。そこで、お父さん・お母さんが歯磨きをしている姿を見せてあげてください。そのときに、気を付けるのは楽しそうに磨くのがポイントです。しかめ面をして磨くのではなく、できるだけ楽しそうに磨いてください。「歯磨き=嫌なこと・苦しいこと」と思わせないようにしましょう。
ステップ2.ガーゼやハンカチで拭いてあげる
歯に何かが当たる感覚を覚えてもらうために、濡らしたガーゼやハンカチで歯の表面を軽く拭きましょう。これで、口の中に食べもの以外が入ってきても、違和感を覚えにくくなります。
ステップ3.歯ブラシをくわえさせる
歯磨きというよりは、歯ブラシをただ、口の中に入れさせましょう。ゴシゴシしなくても大丈夫です。そして、歯ブラシを口の中に入れることに抵抗がなくなったら、少しずつ歯の表面をなぞるように磨いてあげてください。
赤ちゃんにピッタリの歯ブラシの選び方
赤ちゃんの歯を磨く時は、赤ちゃん専用の歯ブラシを用意してください。のちのち歯磨きが嫌いにならないように、優しく優しく磨きます。そのためにも、歯ブラシ選びのポイントをおさえて赤ちゃんにピッタリな1本を選ぶことが大切です。
最初の歯ブラシはトレーニング用がいい
歯ブラシをくわえることから始まる赤ちゃんの歯ブラシデビューは、歯ブラシを口に入れるのに慣れることを目的とした歯ブラシから使い始めるのがおすすめです。赤ちゃん用品でおなじみのピジョンやコンビなどから、歯ブラシで歯を磨く感覚をつかみやすい、トレーニング用の歯ブラシが販売されています。
赤ちゃんが喉を突かないように安全プレートがついていて、安心して使える工夫もされています。最初の一本を選ぶなら、歯を上手に磨くということよりも、歯ブラシを口の中に入れるのが楽しくなるような歯ブラシがいいでしょう。
毛が柔らかい歯ブラシを選ぶ
歯ブラシを口に入れることに慣れたなら、次は当たっても痛くない柔らかい材質でできている歯ブラシを選んでください。赤ちゃんの口の中はデリケートです。少しでも痛みを感じると歯ブラシが嫌いになってしまいます。毛先がソフトにできている歯ブラシを選びましょう。
ヘッドが小さい歯ブラシを選ぶ
歯ブラシのヘッドのサイズにも注意してください。赤ちゃんが「オエっ」と歯ブラシを吐き出してしまわないように、小さめのものを選ぶことが大切です。上下左右に動かしやすい大きさの歯ブラシかどうかもチェックして下さい。
握りやすい太さの歯ブラシを選ぶ
歯ブラシは、赤ちゃんの小さな手でもしっかり握れるかどうかも大切なポイントです。握りにくい歯ブラシなら、赤ちゃんはポンと簡単に歯ブラシを捨ててしまうでしょう。歯ブラシが嫌なものと思われないように、握った感触がいい歯ブラシを選んでください。
歯磨き粉ってどうすればいいの?
「赤ちゃんの歯ブラシに歯磨き粉はつけるべきなの?」と疑問に思うお父さん・お母さんも多いです。はじめに結論から申し上げると、歯磨きをするときに、必ずしも歯磨き粉が必要というわけではありません。なぜなら、歯磨きの目的は「歯の汚れを落とすこと」だからです。歯磨き粉がなければ、歯の汚れが落ちないというわけではなく、水でも歯ブラシを使って丁寧に磨けば、きちんと汚れが落ちるのです。
歯磨き粉は2歳ごろからつける
歯磨き粉を使ったら、うがいをするべきですが、0~1歳児の赤ちゃんには難しいです。口の中に入ってきた水を飲み込まずに、吐き出せるようになるのは2歳近くになってからでしょう。しっかりと歯磨き粉をつけるのは、うがいができるようになってからで構いません。うがいができないうちは、歯ブラシの先端にほんの少しだけ付ければ良いでしょう。
最初の歯磨き粉はどんなものを選べばいいの?
歯磨き粉選びに迷ってしまうお父さん・お母さんも多いはずです。そこで、選ぶ際のポイントをまとめてみました。
- 飲んでしまっても、安心な成分で作られているもの
- フッ素が配合されていて、虫歯予防効果の高いもの
- 赤ちゃんが好きなキャラクターのもの
- イチゴやメロンなど、味がついているもの
ジェルタイプだと、赤ちゃんも口に入れやすいだけではなく泡が出にくいので、お父さん・お母さんも磨きやすいでしょう。
赤ちゃんが歯ブラシ嫌い!どうすればいいの?
赤ちゃんの中には、歯ブラシを見るだけで「イヤー!!」「んぎゃー!」と大泣きしてしまう子がいます。歩けるようになってくると、歯ブラシを見るだけでトコトコと逃げてしまう赤ちゃんも、少なくありません。毎日しなければいけないことを、赤ちゃんが嫌がるのは、お父さん・お母さんにとって大きなストレスです。深刻な育児ストレスにつながってしまう可能性もあるので、赤ちゃんの歯ブラシ嫌いは早いうちに改善していきましょう。
赤ちゃんの歯ブラシ嫌いの克服法
世の中のお父さん・お母さんたちはどのようにして、子供の歯ブラシ嫌いを克服しているのでしょうか。実際に試してみて「これはいい!使える!」と思った方法を、3つご紹介します。
1.教育テレビの歯ブラシコーナーを録画してリピート
筆者には0歳と4歳の子供がいますが、歯ブラシ練習で苦労したのは現在4歳のお兄ちゃんです。ちなみに、妹はお兄ちゃんが歯ブラシするのを見習って、何も教えなくてもスイスイ歯ブラシ練習をしています。当時1歳の息子は、歯ブラシがは怖いものと思っていたので、大泣きする彼を毎日なだめるのが大変でした。
そこで、ママ友に相談したところ、教えてもらったのがこの方法。教育テレビの歯ブラシコーナーを録画して、何度も見せる方法です。はじめはあまり期待していませんでしたが、テレビの中でお友達が一生懸命歯磨きをしている姿を見て、息子も刺激を受けて歯磨きをするようになりました。何事もお手本がいなければ、できませんもの。私は、息子に歯ブラシを持たせるのに必死で、なかなかお手本を見せていませんでした。それが、私の反省すべき点です。
教育テレビの歯ブラシコーナーの「シュワシュワ~歯ブラシ、シュワシュワ~」という音楽に合わせて、最初は全身を動かしていた息子。慣れてくると、歯ブラシを左右に動かしていました。私が教えたわけではありません。テレビの中のお友達の姿を真似っこして、覚えてくれたようです。録画をしてその部分だけをリピートするだけで、歯ブラシの練習ができるので、とても便利です。ノリの良い音楽とお友達のお手本があるので、効果は抜群でした。
ママ友の中には教育方針として、テレビは見せないというお家もあります。でも、テレビから学ぶこともあるので、筆者はあまり神経質にならずに、時間を決めて教育テレビを見せています。
2.楽しい時間を共有。歯ブラシを一緒にしてみる
子供に歯ブラシをさせようとするのではなく、子供と一緒に歯ブラシをするようにしましょう。歯ブラシは「お父さん・お母さんとの楽しい時間」とインプットさせて、子供からしたくなるようにするのです。お気に入りの音楽をかけて、親子で同じ動きをすれば、きっと楽しい時間になるはずです。子供はお父さん・お母さんことをよく見ています。真似っこ遊びの延長線上で、歯ブラシの時間も好きになればよいですね。
3.子供が大喜び!ご褒美制度にする
「歯ブラシがちゃんと使えたら、ご褒美シールをあげるよー」と言うと、歯ブラシをぶん投げて、ご褒美シールを貼ろうとする我が子。肝心の歯ブラシを忘れているのはさておき、目標と達成がきちんとわかるのは、とてもよいことです。日に日に貯まっていくシールを見るたびに、きちんと歯ブラシを使えているんだなぁと実感することができるのは、子供にとっても嬉しいことです。
赤ちゃんが歯ブラシを好きすぎて離してくれないときの対処法
歯ブラシが大嫌いな子もいれば、いつまで経っても歯ブラシを離さないで「持っていたいのぉ~」と絶対に渡してくれない子もいます。赤ちゃんが歯ブラシを嫌いなのも困りますが、好きすぎて離してくれないのも、また困る。
ちなみに、うちの娘はこのタイプ。ずーっと歯ブラシを離さないで、右上にシャキーンと掲げたまま、歩きまわるので、危なくて仕方ありません。その姿は、まるでオリンピックの聖火ランナーのようです。さて、歯ブラシが好きすぎて離してくれない場合は、どうしたら良いのでしょうか?実際に効果を感じられた対処法は、こちらです。
対処法1.歯ブラシよりも興味があるものと交換
赤ちゃんは、色んなものに興味があります。だから、歯ブラシよりも興味のあるものを渡してあげれば、驚くほどに「ポイッ」と歯ブラシを投げ飛ばします。ただし、歯ブラシよりも興味のあるアイテムを探すのに、苦戦します。
対処法2.歌で赤ちゃんの気を引いて、いつの間にか取ってしまう
「ちょうだい」と言って、返してくれたら楽なのに、赤ちゃんにその言葉は通用しません。そこで、筆者が編み出した方法は「リズムに合わせていたら、いつのまにか歯ブラシが消えちゃった大作戦」です。
リズム性の高い歌に合わせて、赤ちゃんの注意を引いて、さっと歯ブラシを取ってしまおうという作戦です。赤ちゃんが歯ブラシを持ったまま走り回るのは非常に危険ですから、何とかしてお父さん・お母さんのところへ歯ブラシを戻してあげましょう。
手を叩かせる
「幸せなら手を叩こう!パンパン」と歌ってあげると、手を叩くときに自然とパーの形になって、するりと歯ブラシが落ちるはずです。なかなか手を叩かない赤ちゃんもいるでしょうが、何度も歌っているうちに手を叩いてくれることがあります。
無理に奪い取ってしまうと、赤ちゃんも泣いてしまいますが、手遊び歌に気をとられていると、歯ブラシが落ちたことに気がついていない赤ちゃんも多いです。筆者も実際に試している方法ですし、周りのお母さんたちや幼稚園の先生も、試しているとのことですから、是非1度お試しになってみてはいかがでしょうか。
対処法3.泣いても仕方ないと奪い取る
「ごめん、危ないから取るね!」と赤ちゃんがギャン泣きをしようとも、取ってしまうのも方法の1つです。赤ちゃんが歯ブラシを口にくわえたまま、歩き回る方が危険なので、泣くのを覚悟でお父さん・お母さんが取り上げるのも仕方ないでしょう。歯ブラシを取り上げて、赤ちゃんが泣いても、すぐに他の方法で泣き止ませる努力をすれば大丈夫です。
赤ちゃんに歯ブラシを使うのは歯が生えてきたら
赤ちゃんの歯がにょきにょきと生えてくるのは、何とも愛おしいものです。しかしながら、可愛らしさと共に、虫歯のリスクも出てきてしまいます。大人のように、自分で上手に歯を磨くことができない赤ちゃんは、お父さん・お母さんがしっかりと磨いてあげる必要があります。
ただし、はじめは歯ブラシに抵抗がある赤ちゃんも多いので、ガーゼ磨きからスタートして、徐々に歯ブラシ磨きに移行していきましょう。小さくて、可愛い赤ちゃんの歯を守ってあげるのは、お父さん・お母さんです。