寒い季節、赤ちゃんの部屋の暖房は24時間つけるべき?設定温度や夜の過ごし方
体温調整がうまくできない赤ちゃん。産院では温度調整をマメにしてあげてと指導されますが、寒い季節は衣類の他にも暖房器具が必要です。夏場は熱中症が心配されるので、今や大人でも夜間のエアコンをかけて寝る人も少なくありませんが、冬場は着込めばなんとか過ごせる程度なら、赤ちゃんにどの程度防寒対策をしてあげるべきなのかがよく見えてこないのではないでしょうか?
24時間暖房をつけっぱなしにしておかなければならないのか、暖房をつけたときの空調が赤ちゃんに影響はないのか…ただでさえ空気が乾燥しがちな冬場の暖房については意外とわからないことだらけ。
今回は、赤ちゃんが過ごす部屋の暖房について、温度設定と空調管理の基本から赤ちゃんの部屋に暖房を使うときの注意点、赤ちゃんのいる部屋にはどんな暖房器具がおすすめなのかなどなど、一緒に考えてみたいと思います。
赤ちゃんの部屋の暖房・温度設定&空調管理の基本のキ!
寒い季節はもちろん赤ちゃんの部屋にも暖房をつけてあげます。
が、ただでさえ空気が乾燥する寒い季節、単純に暖房でお部屋の空気を暖め続けていては、部屋の空気は良い状態には保てません。
赤ちゃんの部屋に暖房を使うときは、特に空調管理の基本を身に付けましょう。
赤ちゃんの部屋の空調の理想は、冬場は室温20℃から23℃・湿度40%から60%
赤ちゃんにとっては室温何度の環境がベストでしょうか?
赤ちゃんが過ごす部屋の適温は20℃から28℃くらいが良いとされています。気温の低い冬場の適温は、20℃から23℃の間くらい。冬場は室温で身体が冷えてしまわないように、なるべく20℃を下回らないように工夫してあげまましょう。
また温度だけではなく、湿度にも気を遣います。冬場は特に空気が乾燥するため、何らかの湿度対策が必要です。空気が乾燥するとウイルスなども舞いやすい環境になってしまうので、加湿器をかける、濡れたバスタオルを室内に干すなどして、40%から60%を維持しましょう。
暖房の設定温度任せにしないこと!
温度設定ができるストーブなど暖房器具の場合、20℃から23℃の間に設定しておけばそれでいいのでしょうか?
答えはNoです。それは、いくら性能の高い暖房器具であっても、実際の室温や体感温度とは多少の開きがあるからです。
例えばエアコンの近くと部屋の出入り口の近くでは、同じ部屋でも温度が異なります。ですので、赤ちゃんの枕元には室温計を用意しておき、常に温度と湿度をチェックできるようにしておきましょう。
また、エアコンなどの暖房器具に近いところで寝ている赤ちゃんは、要注意。温風が顔や身体に当たって、予想以上に温もりすぎていないかチェックします。
赤ちゃんの部屋には温湿度計を設置しよう
大人と違って体温調節機能の未熟な赤ちゃんのいる部屋には温湿度計を設置してお部屋の空気の状態を目でチェックできるようにしておきましょう。
赤ちゃんがいる部屋は基本、エアコンで調整するのもあり
一時的に光熱費がかかってしまいますが、エアコンなら空気の吹き出し口や風量、温度設定を手軽に調節できるので、赤ちゃんのいる部屋は基本的にエアコンで温度調整をするのが手っ取り早くもあります。
季節の変わり目のお部屋の空調は実は油断大敵。赤ちゃんだけでなく産後のママも体力消耗の中睡眠不足が続き抵抗力が低い状態であるため、日中と夜間の気温の変化が激しいときは特に風邪を引いたりしてしまわないように、本格的な暖房器具を運転させる前からエアコンでお部屋の適温を保つようにしましょう。
- 赤ちゃん快適エアコンの使い方|夏の冷え対策&冬の乾燥対策
赤ちゃんの部屋にエアコンをつけるとなると夏は冷え、冬は乾燥が気になりますね。一年を通して冷暖房として使用するエアコンですが赤ちゃんが快適に過ごすためには設定温度はもちろんお部屋の空気管理が大切です。
空気の循環・換気、湿度をキープして快適空調を保つ!
赤ちゃんに快適に過ごしてもらうためには、空調の管理も大切です。風邪などの感染症予防のためにも、換気や加湿は忘れずに行いましょう。
暖かい空気は上にたまりやすい!お部屋の空気は循環させよう
暖房をつけてお部屋の空気を暖めると、暖まった空気は天井付近に蓄積します。
これは空気や水は温度が高いと膨張し、温度が低いと収縮する性質があるため。温度が高い暖かい空気や水は少し膨張して体積当たりの重さが軽くなるので上に、温度の低い冷たい空気や水は逆に下に流れる傾向があります。
お部屋の空気が循環させずに暖房をつけると、上の空気だけ暖まるので部屋全体を暖めようとストーブなどの暖房器具の温度設定を無駄に上げたり、常時運転させてしまい、結果としてお部屋の空気をよどませてしまいがちです。とくにストーブなどの暖房器具をつけるときにはサーキュレーターやシーリングファンを回してお部屋の空気を循環させるようにしましょう。
換気をしよう
暖房器具をつけたら換気必須!密閉しっぱなしの室内の空気は、赤ちゃんに良いとは言えません。
密閉しながら暖気されている室内は徐々に空気がよどみますが、よどんだ感じはもちろん空気の汚れが原因です。
ほこりやダニの死骸やフンなどのハウスダスト、壁紙の接着剤や家具から放出されるホルムアルデヒドなども放散されていきます(経年により放散量は低下するものが多い)し、これにおうち独特の臭いもこもりがちですね。
さらに冬場、暖房器具や加湿器をつけるのならそれらによる「カビ」も空気中に充満していくために、定期的に窓を開け、新鮮な空気に入れ替えることが大切です。
換気の目安
ストーブ使用時は1時間に一回、他の暖房器具でも1、2時間に一回は数分間窓を開けて、赤ちゃんのお部屋の空気を入れ替えましょう。窓を2か所あける、換気扇を併用するなどして空気の通り道を作ることが換気のコツですよ。
暖房器具を使うなら加湿対策はマスト!
エアコンなど温風を利用して部屋を暖める暖房器具をつかうときには、必ず部屋の水分が減ってしまいます。そのような場合には加湿対策を講じなければなりません。
十分に加湿した部屋なら、ウィルスや花粉・ホコリなどが必要以上に部屋の中を浮遊するのを防ぐことができますし、喉の乾燥対策にもなりますね。鼻や喉に不調が出やすい冬場には、湿度にも気を使いましょう。ただし、お部屋の湿度を保つことは大切ですが、カビの発生原因にはなるのでお部屋の空気は循環・換気が大切です。
加湿器や加湿機能付き空気清浄機は一台あると何かと便利。高機能のものはウィルス対策ができるというものもあります。それ以外にも、洗面器にお水を張ったり、濡れたバスタオルを吊り下げておいたりするだけでもある程度の効果は得られます。リビングには、簡易的な水揚げ式のインテリア加湿グッズもかわいいですね。
寒い?暑すぎ?赤ちゃんの体感温度を知る方法
言葉が話せない赤ちゃん。寒いのか、暑いのか、はたまた適温なのか?温湿度計だけで安心するのではなく、こまめに身体をチェックして確認してあげましょう。
お腹や背中が温かいかどうかをチェック
身体が冷えてしまっているかどうかは、お腹や背中などの体幹部分を触ってチェックします。もしお腹や背中がぬるい・・・など感じたら赤ちゃんはちょっと寒いのかも?このほか、唇の血色でも大雑把にわかりますね。
体幹をチェックするときは、赤ちゃんに触れる手がつめたいと触られた本人はびっくりしてしまうのでご注意を!
汗の量をチェック
赤ちゃんは大人よりも汗腺が多くあせっかきではありますが、赤ちゃんが汗をかいているときはちょっと暑いのかも。背中が汗ばんでいたら衣類や温度の調節サインです。上の服を1枚脱がせたり、暖房の設定温度を下げて様子をみましょう。
手足の温度は冷たくても大丈夫?
赤ちゃんは身体の末端部分である手足で熱を放出させています。このため、なるべく手足は靴下や手袋をつけないほうが良いと言われていますね。手足が冷たいからと言って慌てて温めて上げる必要はありませんが、冬場室温が低く起きている赤ちゃんの手足があまりに冷たくなってしまっているときは、もう少し部屋を暖めたり靴下を履かせて防寒してあげましょう。
- 赤ちゃんに靴下、履かせる?履かせない?夏と冬の足元対策
赤ちゃんの足に靴下は履かせなくてもいいの?新陳代謝の活発な赤ちゃんの体は体温が高く足の裏で熱を発散しているため靴下を履かせない方が良いのです!では赤ちゃんの靴下はどんなときに必要なのでしょう?
暖めすぎはもちろんNG!SIDS(乳幼児突然死症候群)の危険性も
赤ちゃんが寒くないようにしてあげるのは最低限必要なことなのですが、反対に暖めすぎると、これはこれで問題があります。それは、SIDS(乳幼児突然死症候群)の心配。
SIDSは、禁煙・うつぶせ寝をしない・母乳育児が発症リスクを下げるポイント(※1)ですが、まだまだ解明されていないこともたくさんあり、乳児の体温過剰上昇も起因要因として指摘されています。
赤ちゃんの体温の温まりすぎが懸念される衣服の着せすぎ、湯たんぽやカイロを用いて保温したり、床暖房の上に布団を敷いて寝かせないようにしましょう。
- 乳幼児突然死症候群(SIDS)リスクから赤ちゃんを守るには
乳幼児突然死症候群(SIDS)とは赤ちゃんが睡眠時に突然呼吸が停止してしまう原因不明の病気のことで乳幼児突然死症候群の発症確率を上げるリスク要因には両親の喫煙やうつぶせ寝等が指摘されます。知らぬ間に呼吸が止まってしまう恐ろしい病気の発症リスクを下げから赤ちゃんを守るために出来ることとは?
夜は暖房なしで大丈夫?
夜間は暖房を入れるかどうかも悩みどころですよね。夜間にあまり室温が下がるのであれば、赤ちゃんのいる部屋は、夜間も暖房をつけっぱなしにした方が良いのでしょうか?
生後3ヶ月までは
生後3ヶ月まではまだ外の世界に慣れておらず、体温調整機能も未発達なので24時間暖房を利かせてある程度温度を調整してあげても良いかもしれませんね。日中のような温度設定は不要ですが、昼夜の区別なく授乳する時期でもありますので、ママが寒くて体調を崩してしまわないためにも、部屋はあまり寒くならないように管理するならトラブル回避にもなります。
生後3ヶ月からは
首が据わり、授乳間隔も少しずつ落ち着いてくるのが生後3ヶ月頃。
夜間は4、5時間くらいまとめて寝てくれる子も出てきます。引き続きある程度の室温を保つ夜間の温度調整はあるに越したことはないですが、赤ちゃんの防寒対策はきっちりと行って夜間は暖房を切っても良いかも。赤ちゃんの授乳リズムに合わせてタイマーをセットしておくと、朝方の授乳にも対応できます。
寝るときの寒さ対策
新生児の頃はおとなしく布団をかぶっていてくれた赤ちゃんも、脚の力が発達するにつれて布団を剥ぐようになります。子供はきちんと布団をかぶって寝てくれる子の方が少ないので、布団をかぶらなくても暖かく過ごせる工夫を考えます。
就寝中の防寒対策
- スリーパーを使う
- 敷きパッドを冬仕様に
- 重ね着
これらは子供の就寝時の防寒としては基本中の基本です。冬場なら毛布生地のスリーパーがとても重宝します。暖かな敷きパッドは一枚あるだけでかなり暖かく感じられる優秀アイテムです。
ただし、先にも触れたように徹底的に温めればよいというものでもありません。赤ちゃんは基本、大人より体温が高く暑がりなので、心配し過ぎて掛け布団をかけすぎたり、何重にも重ね着させてしまったりしないようにしましょう
赤ちゃんにも安心な暖房器具とあまりおすすめでない暖房器具
いろいろな暖房器具が出回っており、それぞれにメリット・デメリットがあります。赤ちゃんがいる部屋には、安全性が高く、それでいて温度調整が容易なものが適しています。
推奨はエアコン
やはり最も手軽で効率が良いのは、エアコンです。最近のエアコンはどれも高性能ですので、平均的に部屋の温度を調整することができます。設置位置が高いので赤ちゃんが触れてケガをしたり、倒して火事になったりする心配もありません。しかし便利な反面、こまめなメンテナンスが必要な機種も多いこと、暖房を入れるとかなり乾燥するところがデメリットと言えるかも。
床暖房
床暖房もエアコンと同じく、赤ちゃんにとって安全な暖房器具です。床から出る熱で部屋が暖まるので、足元から冷えるようなことはなく、床に近い場所で過ごすことの多い赤ちゃんには適しています。保育園でも床暖房はオーソドックスな暖房器具です。
安全に手足も暖かに過ごせるのが床暖房のメリットですが、就寝中は体温の過剰上昇の危険がありますから、直接床に布団を敷いて寝かせないようにしましょう。また、床暖房を入れてから部屋全体が暖まるまで時間がかかることもデメリットの一つです。補助暖房として考えると良いですね。
ファンヒーター・ハロゲンヒーターなどのストーブ類
ファンヒーターやハロゲンヒーターなどのストーブ類は代表的な暖房器具です。器具から直接熱い熱波が送られてくるので、局所的に暖を取るには適しています。サイズの小さいストーブやハロゲンヒーターは周りはすぐに暖かくなっても、部屋全体を暖めるのは不得意。また、お子さんが万が一触ってしまったときのことを考えると、周りにガードを置くなどの対策が必要です。
危ない器具の近くには必ずガードを
ストーブ類などを使うときには、必ずゲートやガードなど何らかの対策を施しましょう。赤ちゃんのときにきちんと用意しておけば、来年再来年とお子さんが大きくなったときにも安全に使うことができます。
パネルヒーターやオイルヒーター
近年人気を集めているのがパネルヒーターやオイルヒーターです。倒しても火災などの心配がさほどなく、しかも表面を触ってもそれほど熱くないので、お子さんがいる家庭には安心ですよね。温風を使わないのでストーブのように空気の汚れにくい暖房器具です。
しかし、これだけではなかなか部屋全体を暖めるのにはパワー不足。寒い地域では歯が立ちません。逆に、寝室などの小さな部屋の暖房としては候補に挙がります。
電気カーペット、こたつはなるべく避ける
電気カーペットやこたつは部屋の温度を調整するというよりも暖を取る意味合いの方が強い器具です。よって、赤ちゃんの部屋を暖める暖房としては適していません。
電気カーペットは、高温設定では赤ちゃんには熱すぎるので低温設定で、大人がいるときのみにします。電気コードにも触らせないように注意が必要。こたつもずっとはいっていると身体が温まりすぎてしまいますので、赤ちゃんには使わないようにしましょう。
カイロや湯たんぽは低温やけどの恐れあり
カイロや湯たんぽは手元で暖を取るには適した防寒アイテムですが、低温やけどの恐れがあるために赤ちゃんには使わないようにしましょう。一見安全に思える湯たんぽも、産院では避けるように注意喚起されます。
ぶっちゃけ、赤ちゃんがいるときって電気代ってどれくらいかかる?
赤ちゃんを迎えると冬場の暖房費もいくらくらい増えるのかが気になるところですよね。
2LDKから3LDKのファミリータイプのお家に赤ちゃんがやってきた場合、冬場の電気代は月に2、3万円くらいかかってしまうご家庭が多いようです。もちろん地域の気候の差もありますが、全体的に赤ちゃんがいるなら約1万円前後は高くなると考えておくと良いでしょう。
全体的に、お風呂を焚いたり、ポットの電源をつけっぱなしにしておかなければならなかったりと、気温が低いと暖房費以外のところでこまごまと電気代はかさむようです。
暖房費自体は、寒さの厳しい地域の方が断然暖房費がかかるのかと思いきや、そこはあまり関係ないようです。新しい家の多くは気密性も高く、寒い地域に建つ家は、窓が二重、窓ガラス自体も二重・・・など部屋の温度を逃がさない構造になっているため。
暖房費は、子供が大きくなるにつれて家にいる時間が少なくなると緩和されていくので、赤ちゃんの頃は割り切って捉えておくと良いですね。
適温を保って安全に快適な環境を
寒さ暑さを口で表現できない赤ちゃんには、あらかじめ適した環境をこちらで用意してあげることが肝心です。赤ちゃんが生まれてからは電気代は例年以上にかかってしまいますが、それで赤ちゃんやママが健康に過ごせるのなら御の字ではないでしょうか?
また、赤ちゃんの安全面から使ってはいけない暖房器具も幾つかありましたが、局所的に暖まってしまう器具は基本的に赤ちゃんの暖房器具としては NGだと認識しておきましょう。
まだまだか弱い存在の赤ちゃん。一度目の冬を乗り切れば、次の年の室温調整は大人とさほど感覚の違いなく為せるようになります。初めての冬だけは、赤ちゃんのためにいろいろとこまめに工夫をしてあげてくださいね。
参考文献
- 注1:厚生労働省「乳幼児突然死症候群(SIDS)について」