赤ちゃんが昼夜逆転する理由
ママのお腹の中から出てきたばかりの赤ちゃんは、昼と夜の区別がついていません。私達のように体内時計があり生活リズムが決まっているわけではないので、お腹が空いたら起きて、おっぱいを飲んで満足したらまた寝るという生活になります。
新生児は1日のうちの16~20時間は寝て過ごしますが、まとめて寝るわけではなく2~3時間おきに起きて腹ごしらえをするのが普通です。さらにおっぱいを上手く吸えなかったり、満腹になる前に寝てしまったりする赤ちゃんは頻繁に起きることがあるので、母乳をあげるママは大変です。
しかし、体内時計の機能が発達するにつれて、家族の生活に合った生活ができるようになります。
いつまで昼夜逆転の生活が続くのかは個人差がありますが、家族が赤ちゃんに1日の流れを知ってもらうような生活をすることが重要なポイントになります。
月齢によって違う赤ちゃんの昼夜逆転の特徴
毎晩赤ちゃんの夜泣きで眠れない夜を過ごしていると「この生活がずっと続くのか…」と不安になる方もいるでしょう。しかし、必ず落ち着く時期が訪れるので安心してください。
生後2ヵ月までの昼夜逆転
生後2ヵ月くらいまでは体内機能が未熟なままです。まさに昼夜逆転の生活で、2~3時間おきに目を覚まし、おっぱいを飲んではまた寝るという毎日です。
「赤ちゃんは泣くのが仕事」と言われますが、この時期に昼夜逆転を治そうとするのは難しいのが現実です。お世話をする方は、赤ちゃんが眠ったときは、昼夜関係なく睡眠をとった方が良いでしょう。
生後3ヶ月~5ヶ月までの昼夜逆転
早い赤ちゃんは生後3か月を過ぎたあたりから、夜間にぐっすり寝てくれるようになります。生まれたばかりの新生児の視力は0.02ほどですが、明暗の区別はつきますし、お腹の中にいた頃から聴覚は発達しています。
朝になったらカーテンを開けて陽の光を部屋の中に入れて、夜になったら部屋を暗くして静かな生活をするという生活をしていれば、早めに昼夜逆転を改善できる可能性が高くなります。
生後6ヶ月~10ヶ月までの昼夜逆転
多くの赤ちゃんの昼夜逆転が改善されて、家族と生活リズムが一緒になる時期です。しかし、この時期になると夜泣きが始まる場合もあります。お腹が空いているわけでもないのに何故?とお世話する方は困ってしまうでしょう。
この時期の夜泣きは、起きている時間の記憶が原因であることも多いです。怖いものを見たり、新しい体験をしたり、はしゃぎすぎて興奮した日などは夜泣きをしやすくなります。しかし、脳が発達している成長の証とも言えます。
赤ちゃんが昼夜逆転して夜寝ない理由
日に日に成長しているにも関わらず、赤ちゃんが夜になってもなかなか寝てくれないのには何か理由があります。
泣く時期にもいつか終わりは来ますが、なぜ泣いているかがわかれば気分的に楽になりますし、それに合った対処法を試すことができるでしょう。
夜寝ない精神的な理由
大人にとっては些細な日常の変化でも、生まれてきて知らないことばかりの赤ちゃんにはストレスになることもあります。特に産まれたばかりの頃は、非常にデリケートです。
適応不全
狭くて暗いママのお腹の中にいた赤ちゃんは、突然外に出て環境や気温が激変した事実にうまく適応できないこともあります。私達が想像するよりも、はるかに赤ちゃんの中では大きな変化が起こっているので、精神的に不安定になるのも仕方がないのかもしれません。
気持ちが高ぶっている
好奇心旺盛な赤ちゃんは、様々なことに興味を示します。大人の話し声やテレビの音、画面などは赤ちゃんにとって非常に興味深い対象になります。寝る前にすぐそばで大人たちが話していたり、目の前でテレビがついていたりしたら興奮して眠れなくなる場合もあります。
また普段の生活とは違う出来事があると興奮することがあります。知らない人が家にいたり、旅行先では寝てくれないという話はよく聞きますが、これは気持ちが高ぶっているからです。
夜寝ない肉体的な理由
空腹感や便秘、不適当な室温などが原因で赤ちゃんが寝ないこともあります。言葉で教えてくれないので、よく様子を観察して察してあげましょう。
お腹が空いた
赤ちゃんが泣いている時に最初にトライするのがお腹を満たすことです。特に産まれたばかりの赤ちゃんはまだうまく母乳を飲むことができないので、授乳の途中で寝てしまう子も多いのですが、空腹のためにすぐ起きてしまう子もいます。
授乳の途中で寝てしまったら、もちろんそのまま寝せておいても良いのですが、「すぐ起きるんだろうな」と予想がつくときは起こしても構いません。また、普段は母乳のママも、夜寝る前のみ腹持ちの良い粉ミルクをあげるという方法もあります。
温度が快適じゃない
赤ちゃんの不快感の原因として、なかなか気付きにくいのが室温や湿度です。赤ちゃんはちょっとした温度の変化にも敏感なので、暑過ぎても寒過ぎても不快で眠れないことがあります。大人はついつい自分が寒いからといって厚着をさせたり、逆に薄着にし過ぎたりしますが、赤ちゃんの適温を保つようにしましょう。
春・秋の室温管理
エアコンを使用しなくても快適に過ごせる春・秋は自然の室温で大丈夫です。
肌着と上着の2枚にして、窓を開けて風を入れた時に寒気を感じるようならベストなどで調節します。
寝る時は薄手のタオルやガーゼ生地のお布団をかけてあげます。
夏の室温管理
気温が25度をこえる夏場はエアコンを使用します。設定温度は28度にして、冷えた空気が循環するように扇風機を使用すると大人も赤ちゃんも快適に過ごせます。
着衣は長袖の肌着のみ、または袖なしの肌着に薄手のロンパースで十分ですが、エアコンの温度設定が27度以下の場合はもう一枚プラスします。
冬の室温管理
気温が15度を下回る冬は、室温が20度以下であればエアコンを使用します。設定温度は20~22度にしますが、暖かい空気は上の方に溜まるので、ホットカーペットや床暖房を使用するのもおすすめです。
また乾燥すると菌が繁殖しやすいので湿度は50%以上を保ちます。着衣は肌着2枚と上着1枚にして、毛布などを掛けてあげます。
便秘
赤ちゃんにとってもずっと便が出ないとなればお腹が張って苦しく、泣くことで不快感を訴えます。
お腹に「の」の字を書くマッサージや綿棒の先にベビーオイルをつけて刺激をするなどの対策を行う方法もありますが、あまり便秘が続くようなら小児科を受診してみてください。
身体に不快感がある
身体のどこかが痛かったり痒かったりすれば、私達はすぐに自分で対処できますが赤ちゃんは無理です。生後間もなくは乳児湿疹が出る赤ちゃんが多いですが、その痒みが不快感に繋がる場合もあります。
また授乳後のゲップがうまく出なかったときは、ミルクが詰まって違和感が残ることもあります。なかなかゲップが出にくい子もいますが、赤ちゃんの背中が丸くなるように縦抱きにして、ゲップが出るまで背中をさすってあげましょう。
体調が悪い
話すことができない赤ちゃんは、風邪をひいたりお腹が痛かったりする不調を泣くことで知らせてくれます。夜だけでなく、昼間も泣いてばかりいる、母乳を飲む量が減る、便の色や形状がいつもと違う、顔色が悪い、体温が高いなどの症状があれば病院を受診しましょう。
生活リズムが乱れた時
ある程度生活リズムが整ってきても、朝起きる時間が普段より遅くなったり昼寝の時間が長過ぎたりすると、夜の睡眠にも影響を及ぼします。まだ完全に生活リズムが整っていない時期は、ほんの些細なことでリズムが崩れてしまう可能性があるので、できる限り毎日の生活を規則正しく過ごすと早く整います。
赤ちゃんの昼夜逆転の治し方
赤ちゃんの昼夜逆転を治すにはどうすれば良いのか?早い時期から周りの家族が対策することで、生活リズムが整いやすくなるので、ぜひ試してみましょう。
1.朝と夜の区別をはっきりつける
赤ちゃんの生活リズムを整えるためには、昼間と夜間でメリハリをつけた生活を心がけることが大切です。
朝は部屋を明るくする
朝になったら部屋のカーテンを開けて朝陽で部屋を明るくします。天気が悪くて薄暗い時は電気を点けて明るくしましょう。その際には「おはよう!朝だよ!」などと声を掛けてあげると赤ちゃんも目が覚めやすいです。
体内にある「メラトニン」というホルモンは、睡眠を促す効果があります。光を感知することで体内のメラトニンは減少するので、大人も二度寝をしないためには朝日を浴びることが効果的になります。
夜は寝る環境を整え、入眠儀式などを実行
夜は部屋を暗くして、テレビを消して静かな環境を作ります。
リラックス効果のあるオルゴールやヒーリングミュージックを流すと、「この音楽がかかったら眠る時間」と赤ちゃんも認識でき、今後につながる入眠儀式となります。
ママのお悩みのひとつに赤ちゃんが寝る時間とパパが帰ってくる時間が重なって起きてしまうという問題があります。帰宅時間を知らせてくれるように頼んだり、夫婦で話し合って、対策を練りましょう。
2.昼はたくさん遊び、刺激を与える
まだ寝た状態から動けない赤ちゃんでも、絵本を目で追ったり、ママの手遊びを見ることに集中すれば疲れます。抱っこして外の景色を見せてあげるのも良いでしょう。外に出かけることができるようになったら、積極的にお散歩に出て、外の世界を見せてあげてください。
3.寝室の温度調整に気を付ける
寝る時の室温や湿度が赤ちゃんに不快感を与えていることもあります。赤ちゃんが心地よく熟睡するためには寝室の温度は20~25度、湿度は50%を目安にしてください。
また温度だけではなく寝室の環境も重要です。照明が明るいと昼夜の区別がつきにくくなりますし、テレビの音なども睡眠の妨げになるので、間取りを工夫したり、時には家族の協力も必要です。
4.お昼寝は寝室ではなくリビングでする
昼と夜では眠る場所を変えるのも効果的です。夜はベッドで眠る習慣をつけて、お昼寝はリビングにお昼寝マットなどを敷き、寝かせておきます。
更に、寝かしつけの方法を変えてみるのも良いでしょう。夜はベッドの上で背中をトントンする。昼間は抱っこ紐やおんぶ紐、スリングを使い、歩き回りながら家事をします。
ちょうどママのお腹の中にいた時のような振動が伝わるので、赤ちゃんは眠りに入りやすくなります。また昼間のうちに、育児をしながら家事も済ませることができるので一石二鳥です。
5.昼寝を短くする・途中で起こす
昼間に眠る時間が長いとどうしても夜は寝てくれない場合が多いです。必要な睡眠時間には個人差がありますが、「夜になると元気いっぱい!」という赤ちゃんの場合は、昼間の睡眠時間を減らすことも検討しましょう。
生後6ヶ月を過ぎてお昼寝が2時間以上続くなら1度起こすようにして、夕方も4時以降は昼寝をしないようにします。慣れるまでは赤ちゃんの機嫌が悪くなりぐずってしまうかもしれませんが、根気よく続けてください。
6.夜は添い寝をする
赤ちゃんはママと一緒の時が一番リラックスできる時間です。夜寝る時も、一人でベビーベッドに寝るよりも、同じベッドやお布団でママと添い寝をした方が安心してぐっすり眠ることができるでしょう。実際にベビーベッドから一緒に寝るようになって夜中に起きなくなったという声も多いです。
寝かしつける方が「早く寝かせなきゃ!」と焦っていると、赤ちゃんもなんだか落ち着かないのでなかなか寝てくれません。「眠たくなったら自然に寝るでしょ」くらいの余裕をもって添い寝をすれば、意外にすんなり眠りにつくものです。ただし、先に寝てしまって、お布団が覆いかぶさることがないように気を付けましょう。
赤ちゃんの昼夜逆転は焦らずに改善しよう!
外の世界に出てきたばかりの赤ちゃんは、すぐに新しい環境に慣れることができず、昼夜逆転しているのが普通です。しかし周りの家族が「朝になったら起きる、夜は寝る」と生活リズムを教えてあげることで、徐々に同じようなリズムで生活できるようになります。
個人差はありますが、昼夜逆転が治らなくてもイライラしたり焦ることなく、広い心で接してあげてください。いつかは改善されるので、安心してください。