パタニティブルーの原因・解消法

パタニティブルーとは?新米パパを襲う産後のうつ症状

パタニティブルーを理解しよう。女性のマタニティブルーのように、男性も赤ちゃんが産まれる間近や赤ちゃんの生活が始まったばかりの頃に、戸惑いやプレッシャー、不安を覚えて精神的に不安定になることがあります。パタニティブルーの対策、解消方法を知り、夫婦で乗り越えていきましょう!

パタニティブルーとは?新米パパを襲う産後のうつ症状

パタニティブルーとは?新米パパの言動をチェック!

赤ちゃんが生まれてから3ヶ月くらいまでに起こる父親のうつ状態を「パタニティブルー」と呼びます。子供が生まれて嬉しいはずの時期に、睡眠障害、頭痛などの身体的な症状やうつなどの精神的な症状が見られる男性は少なくないのです。

深刻なパタニティブルー状態に陥ってしまうと、回復するにも時間がかかってしまいます。次のような変化が見られたら、パタニティブルーを疑ってみましょう(注1)

赤ちゃんとの生活を楽しめない

パタニティブルーの父親は、赤ちゃんが産まれる前からこれからの生活を「楽しみだ」と思えず、「不安で仕方ない」「逃避したい」などのネガティブな感情を抱きがちです。

誕生後、「可愛い」「毎日が楽しい」といったポジティブな感情に変わることもありますが、ネガティブな感情を長くひきずることもあります。

集中力の著しい低下

頭を抱える男性

赤ちゃんが生まれる前後から、集中力が著しく低下する人もいます。過度に飽きっぽくなったり、ぼんやりと過ごす時間が増えたりすることに気付いたら、パタニティブルーの疑いがあります。

眠れない、寝つきが悪い

身体は疲れて眠たいのに、ベッドに入ると眼が冴えていつまでも眠れない状態が続く男性もいます。眠りが浅く、睡眠が充分にとれていないために、集中力の低下に繋がります。

理由もなくイライラする

特に理由はないのに、イライラとして怒りっぽくなることもあります。悪意のない言葉につっかかったり、すべての人が自分に対して批判的であると考えたり、感情的・悲観的な言動が目立ちます。

パタニティブルーの原因

なぜお父さんたちはパタニティブルーになってしまうのでしょうか。パタニティブルーを引き起こす原因として、次の5つの事柄を挙げられます。

1.生活の変化

赤ちゃんの隣で朝食をとる元気のない父親

赤ちゃんが生まれると、生活リズムが大きく変わります。夜中に赤ちゃんの泣き声で目が覚めますし、父親として育児に積極的に関わるのなら、寝かしつけをしたり、お風呂に入れたりなど、帰宅後の行動も変わります。

妻が職場復帰したあとは、保育園の送迎をしたり、子供が病気になったときは会社に早退や遅刻・休暇を申請することもあるでしょう。

女性は妊娠期間中に赤ちゃんとの生活に関して心の準備をする方が多いのですが、男性は妊娠期間がないため、心の準備ができないまま赤ちゃんとの生活に突入していきやすい傾向があります。そのため、突然の変化に戸惑い、パタニティブルーになってしまうのです。

育児と仕事の両立は、男性も大変

日本ではまだまだ男性の育児参加に十分な環境が整っているとはいえません。お父さん自身が育児休暇を取得したいと思っても、職場の理解が得られなかったり、「子供のことは奥さんに任せておけばいいだろう」というような言動をとる上司もいます。

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理解のない職場で、育児と仕事の板挟みになるのは、男性も同じです。赤ちゃんが産まれたのに、父親らしいこともできず、寝不足のなか仕事をこなさなければならない。ジレンマゆえに、心のバランスを崩してしまうケースもあります。

2.妊娠・出産後の妻の変化

お腹に赤ちゃんがいると女性は母親としての自覚が徐々に芽生えてきますし、産後は「赤ちゃん優先」の考え方になるのは当然でもあります。

ですが、妻ともっとコミュニケーションを取りたいと思っている男性は、疎外感を覚えたり、家に帰っても安らぎの時間がなく、ストレスを溜めてしまうことがあります。

妻の「マタニティブルー」で逃げ場がない?

妊娠中や産後は、ホルモンバランスの変化もあり、女性は感情の起伏が激しくなりやすい時期です。そうしたイライラの矛先が1番身近な存在である旦那さんに向かってしまうこともあります。

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しかし、「出産前後にお母さんたちがマタニティブルーになる」という事実は、パタニティブルーと比べて多くの人が知っています。そのため、父親になる男性は「自分が我慢すればよいこと」と考え、なにもかもを一人で抱え込もうとするケースが見受けられます。

また、周囲におけるマタニティブルーに対する認知度の高さも、お父さんたちを苦しめる原因です。
周囲の人々の「マタニティブルーは仕方のないこと。夫として支えてあげるべき!」といった励ましは、勇気を出して相談したお父さんから逃げ場を奪います。

3.父親としての責任の重さ

責任の重さを感じる父親

赤ちゃんが産まれるということは、果たすべき責任が増えるという意味でもあります。仕事における責任、夫としての責任、そこに新たに「父親としての責任」が加わります。

父親としての責任は、赤ちゃんの世話をすることだけではありません。赤ちゃんが大人になるまで養うという経済的責任も含まれます。

現在の仕事の状況や経済状態によっては、プレッシャーを強く感じ、時には「抱えきれない」「逃げ出したい」という思いから、うつ状態になってしまうこともあるのです。

「教育費」への不安を煽るニュース

最近では、子供の教育費の増加について述べる記事やニュースが増えています。授業料や学習塾の月謝、習い事費用など、成人までに数千万円ものお金がかかると報道されることも珍しくありません。実際にかかる教育費に関しては家庭による差が大きいのですが、こうした報道は父親・母親の不安を煽ります。

特に妊娠をきっかけに妻が退職したり、産休・育休により世帯収入が減少している場合、「稼ぎが悪くなり、子供の将来をつぶしてしまわないだろうか」といった不安を持つお父さんは少なくありません。

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4.育児に対する無力感

泣く赤ちゃんを見つめて困る父親

「良い父親になろう」と意気込んでいたのに、赤ちゃんが生まれてから無力さを感じる男性もいます。上手におむつを替えられない、お風呂に入れられない、抱っこをしても赤ちゃんが泣きやんでくれない、妻を休ませようと思ったのに、結局妻に頼ってしまったなど、育児の壁にぶつかります。

実際には、女性だって育児での失敗は多くあります。また、赤ちゃんが長い間一緒にいるお母さんを特に慕うのは仕方のないことです。

「イクメン」の落とし穴

育児に積極的に関わるお父さんを「イクメン」と呼んでもてはやす風潮があります。育児に積極的に関わることは良いことですし、まだまだ日本の男性は育児に対して消極的であることも事実です。

しかし、「イクメンでないといけない」「育児に積極的に関わらなくてはいけない」といった思い込みや無理は、パタニティブルーを招きます。

夫婦二人の赤ちゃんなのですから、一緒に育てるのは当然です。しかし、男性もまた、子育てと仕事の両立は大変です。なんでも「やるよ!」と申し出るのではなく、夫婦二人にとってバランスの良い役割分担を考えましょう。

パタニティブルーはどう解消する?

「パタニティブルーなのかもしれない」と思ったら、次のような方法でパタニティブルーの解消を目指しましょう。もちろん、うつ状態が深刻なときは、病院で治療を受けるようにしてください。

夫婦で話し合おう

夫婦で話し合う

夫婦でお互いの立場に対する理解を深めるためにも、会話を大切にしましょう。疲れているときでも、気心の知れた相手との会話は、ストレス発散には効果的です。話し合うことで、心理的距離が縮まり、赤ちゃんとの新しい生活に移行していけます。

完璧なイクメンを目指しすぎない

赤ちゃんのお世話はもちろん、良い夫でいること、良い社会人でいることをすべて完璧にしようとすると、実際に育児をする前から気持ちだけで疲弊してしまいます。

世の中には、完璧なお母さんも、お父さんもおらず、初めての子供のお世話は上手くいかないことの連続なのです。まずは、自分ができることや妻が望んでいることから少しずつ実施していきましょう。

育児の楽しさ・メリットを理解する

「育児=大変」と思いこまないことも、パタニティブルーの予防になります(注2)。

子供と触れ合う喜び、信頼関係を築くこと、育児を通して妻と同じ気持ちや悩みを共有すること、仕事に対しての張り合いを得ることなど、育児には多大なメリットがあります。

また、育児を通して得た「忍耐力」、物事を管理・運営する「マネジメント能力」などは、仕事にも大いに役立てられます。子供との生活を前向きに捉えられれば、父親としての役割を過度に負担に感じることもありません。

出産準備も夫婦で一緒に行おう

もし赤ちゃんがまだ誕生していない場合、父親教室に通ったり、出産や育児に必要なものを買いそろえたり、赤ちゃんの部屋を準備したりすることで、毎日少しずつ父親としての自覚を高めていきましょう。

父親として無自覚なまま出産の日を迎えてしまうと、戸惑いや無力感からパタニティブルーになる可能性が高くなってしまいます。父親としての自覚を持って出産を迎えると、気持ちにも余裕が生まれやすくなります(注3)。

パタニティブルーのときに家族ができること

お父さんたちがパタニティブルーのときは、家族は何ができるでしょうか。

明るい話題を選び、楽しい未来を思い描こう

親子三人で肩寄せ合う

お父さんたちがパタニティブルーになるときは、お母さんたちにとっても身体的・精神的に負担の多い時期です。ですが、「わたしもしんどいの!」と言ってしまうと、お父さんのパタニティブルーが長引き、さらに深刻なうつ状態に進んでしまう可能性もあります。

お互いのストレスを軽減するためにも、食事時などには明るい話をふってみましょう。「赤ちゃんが大きくなったら、家族でこんな場所に行ってみたい」など、楽しい未来をイメージできる話題がおすすめです。

「頑張って」よりも、「ありがとう」「お疲れさま」

「子供を育てていくんだから、お仕事も頑張って!」という言葉を聞いて、素直に頑張れる方もいますが、プレッシャーを感じてパタニティブルーになってしまうお父さんもいます。

できるだけ「頑張って」という表現ではなく、「お仕事お疲れ様」「いつもありがとう」「手伝ってくれて助かった」といった言葉をかけてあげましょう。

父親になることは責任もあるが楽しみも多い

父親になると、確かに責任が増えますし、プレッシャーを感じるのは無理のないことです。

しかし、今まで経験できなかったような種類の楽しさを経験できます。子供が大きくなるにつれて、大きな喜びや嬉しい瞬間が何度も訪れることでしょう。

完璧なお父さんを目指すのではなく、子供と一緒に成長できるお父さんを目指していきましょう!