猫と赤ちゃんが一緒に仲良く暮らすために…家族にできること
猫を飼っている家庭にとって、赤ちゃんが生まれたときに一緒に仲良く暮らせるのか、猫が赤ちゃんを怪我させてしまったり、病気を引き起こしたり、猫がいることで赤ちゃんに良くない影響があるのではないか…と心配は尽きません。また、猫にとっても得体の知れない赤ちゃんは基本的にはあまりお近づきになりたくない存在。
ですが、猫かヒトかの差はあれど、猫も赤ちゃんも守るべき大切な家族ですし、動物とのふれあいを通して子供の感受性を育てたり動物と触れ合いを通して免疫力も高まったりと、猫と赤ちゃんが一緒に暮らすにはメリットもたくさんあります。
そして、猫には赤ちゃんとの暮らしにメリットは…それほどないかもしれません。猫にとって、赤ちゃんとの暮らしはごはんのために乗り越える試練となるでしょう。
猫と赤ちゃん、両者の生活と猫生を守るために家族(飼い主)として、どんな点に気をつけてあげるべきかを詳しく解説していきます。
1.赤ちゃんが生まれる前に猫にも準備をしてもらう
ヒトと動物は比べられない…そういっても、猫も命には変わりなく、一度猫を迎え入れた以上、家族には猫とその猫生を守るべく猫に仕える責任があります。
赤ちゃんが生まれるのなら、赤ちゃんが生まれる前に、猫と赤ちゃんが仲良く暮らすための準備を開始しなくてはいけません。そのために知っておくべきことがあります。
猫との同居によるリスクを知る
猫と同居することには、もちろん猫に由来する病気のリスクも発生します。
健康を害してしまっては猫との生活は守れなくなります。猫に由来する病気を知り、健康管理を行っていきましょう。
猫アレルギーの発症
アレルギーは、アレルゲンに対して抗体が過剰に反応してしまう免疫反応。アレルゲンが体内に入り込み許容量を超えると発症します。
また、アレルギーは、症状は抑えられても完治することはないとされ、特に赤ちゃんが猫アレルギーとなると猫との同居は難しくなります。両親のアレルギーがそのまま赤ちゃんに引き継がれることも。もし両親のどちらかが猫アレルギーを持っているのであれば注意が必要です。
猫アレルギーの症状は、目の充血やかゆみ(アレルギー性結膜炎)くしゃみや鼻水(アレルギー性鼻炎)、のどの痛みやかゆみ、皮膚のかゆみやじんましん、喘鳴など。
猫アレルギーの原因(アレルゲン)は、猫上皮(フケ)唾液にも含まれます。特徴としては花粉の1/10サイズと花粉やハウスダスト(ダニの死骸やフン)などよりもかなり小さく、空気中に漂う時間も比にならないレベルで長いことが特徴です。
トキソプラズマ感染症
猫と一緒に暮らす上で、妊娠中最も注意すべき病気として有名なトキソプラズマ感染症。これは猫から人に感染する人獣共通感染症のひとつで、トキソプラズマ原虫とは寄生虫の仲間です。
健康なときには症状のほとんど出ない病気ですが、免疫が不安定な人や胎児にとっては命に関わることもある怖い病気。妊娠したからといって愛猫を遠ざける必要はありませんが、予防のポイントはしっかり守り、猫から人への感染を防ぐようにしましょう。
★感染ルート
トキソプラズマは猫の腸内に生息するため、猫のトイレ掃除は感染のリスクをあげます。
猫のトイレ掃除は家族に代わってもらう、猫を触ったあとはしっかり手を洗うという簡単な予防で防ぐことができます。また、排便後24時間以上経った便はさらに感染リスクをあげます。猫のトイレはこまめに片付けるようにしましょう。
トキソプラズマは土中にも存在します。というより「猫がいるところにはトキソプラズマ原虫もいる」と思って対処するべき。
直接猫を介したわけでなくても、ガーデニングや野菜、食用生肉を介して感染することも。
野菜はしっかり洗い、お肉はよく火を通して使う、ガーデニングは手袋を着用し、野菜や生肉に触れたあと、ガーデニングのあとは手を温水でしっかり洗いましょう。
★妊婦さんは病院で抗体検査をしよう
トキソプラズマ感染症は免疫力のある健常者が感染しても、症状が出ないもしくは軽度の感染症状のあと生涯にわたって保虫者となり、その後は完全排除する術はないとされています。ですが、普段なら症状もないために治療も必要ありません。しかし妊娠中は別!
妊娠中の感染は胎盤を介して胎児にも悪影響を及ぼし、胎児が先天性トキソプラズマ感染症ともなると重篤な障害を残すなどのリスクをあげることもあるため、胎内感染を防ぐため投薬を中心とした治療が必要となります。
妊娠初期の胎内感染は胎児の症状の重症度が高くなり、初期であるほど胎児のリスクも高まります。妊娠中期~妊娠後期でも重篤な症状を伴うことも。
ですが、注意すべきは妊娠中に初めてトキソプラズマに感染してしまった人。すでに抗体を持っている妊婦ならとくに新たな症状を心配することはありません。病院で、抗体を持っているかどうか血液検査で調べられるので妊娠が分かったら血液検査の際に申し出るようにしましょう。
猫ひっかき病
猫ひっかき病とは、バルトネラ菌に感染した猫や犬に人が引っ掻かれたり噛み付かれたりすることによって感染する感染症で、人間が感染した場合、傷口が化膿したり発熱やリンパ腺が腫れるなどの症状を起こすことがあります。
バルトネラ菌は、それを保菌しているノミの吸血などから猫に感染しますので、定期的にノミ・ダニを駆除して猫への感染を防いだり、猫の爪を短く切っておくと、人間への感染予防となります。
猫が赤ちゃんをケガさせることがないように、適切なケアと赤ちゃんが猫を興奮させてしまわないよう、間に入って距離感をあけるなど注意が必要です。
パスツレラ症
近年発生件数が増加傾向にあるパスツレラ症です。犬猫にとっての常在菌であるパスツレラ菌を原因菌にする日和見感染症で、猫には特に症状はありませんが、ヒトが感染すると症状があらわれる場合には風邪のような症状から肺炎、傷口からの感染の場合は激痛やリンパ腺の腫れなどの症状がでることがあります。
しかし、ヒトが感染した場合にも免疫力に問題のない健常者なら、症状は現れないか軽症で済むケースがほぼ。免疫力が低下している人や糖尿病、肝障害、免疫不全などの基礎疾患を持っている人が感染すると日和見的に症状が現れます。
猫はほぼ100%このパスツレラ菌を口内に保菌していて、猫から人への感染経路としては、噛み付かれたり、引っ掻かれたりで傷口から感染するか、キスをするなど過剰なスキンシップによる経口感染が主。
感染を避けるためには、猫の爪は短く切っておくこと、もし引っ掻かれたり噛まれたりした場合には、すぐに傷口をよく洗い流し消毒をしましょう。また、過剰なスキンシップもNGです。
猫側の赤ちゃんを迎える準備も万全に
猫も家族の一員でしょうから、赤ちゃんが生まれても猫と一緒に暮らしたいと考えるのは自然なこと。飼い主であるあなたがその道を選んだならば、できるだけ猫の負担にならないようにしつつ、共同生活の準備を始めましょう。
まずは基本的な猫の性質と自分の猫の性格を再確認
猫は基本的に警戒心の強い動物なので、知らない人やものに自分から襲いかかることはあまりありません。
しかし、身に危険が迫ったときは別!いくら赤ちゃんであろうと、ヒトの子供は猫にとっての脅威になり得ます。安全なのかが良く分からない赤ちゃんに大きな声で泣き出されたりすると、怖がって攻撃的になってしまうことは十分に考えられます。
猫は言葉が通じない上に、善悪の判断を持たない生き物なので、犬にするような躾はできません。叱っても「今日の飼い主は危険だ!」と思われているだけなのがオチだったりするのです。
赤ちゃんに慣れてもらうため、猫に余計なストレスを与えず快適さを守る方法、猫は本来どのような生き物なのか、自分の猫がどういう性格かをよく観察し見極め対処していきましょう。
猫のための室内環境を考える
猫のため、そして赤ちゃんのためのふたつの環境をしっかり整えてから赤ちゃんを迎え入れる姿勢は、猫と赤ちゃん両者が暮らしていくためには欠かせません。
★猫のパーソナルスペースは守り抜く
元来猫は縄張り意識の強い動物。
猫の精神安定のためにも、もともと猫のスペースだった場所は守ってあげるように努めましょう。赤ちゃんを優先するあまり、あらゆる猫のお気に入りスペースから無理やり追い出したりしてしまうことがないように!
また、猫がストレスを感じたとき、すぐに逃げ込めて安全を確保できるようなパーソナルスペースがあると、猫の負担は軽減され、猫もすぐに安心を取り戻してくれます。
こうした猫のストレスコントロールができていると、猫が赤ちゃんへ攻撃してしまう可能性を下げます。
★基本の居住空間も分けた方がベター
猫と赤ちゃんが一緒に暮らすうえでは、基本的な居住空間は分けるべきかもしれません。
赤ちゃんと猫、それぞれの眠る部屋(猫はパーソナルスペース)はもちろん、猫の餌と水場、トイレの部屋も分けた方がお互いに安心して生活していけます。
赤ちゃんが猫の扱いどころか猫の嫌がることや力加減すらも分からない間、赤ちゃんと猫をずっと一緒の空間でいさせるのは猫の負担となり、赤ちゃんにも危険です。
ひたすら猫にすべてを受け止めさせるだけのやり方は、最悪、猫にとって「何をしでかしてくるかわからないヒトの子供」は常に身の安全を脅かす脅威でしかなくなってしまいます。
家猫になってもらおう
お散歩が大好きな外猫さんにはつらいですが…。
猫の寄生虫感染、その他感染症の持ち込みを未然に防いだり、けがや事故から猫の身の安全を確保するためには、完全室内猫さんになってもらうのが一番!
猫の性格にもよりますが、外に出たがり猫さんに外を忘れさせるには多少なりとも骨が折れるものの、不可能ではありません。
外に出たがり猫に外を忘れさせるには「家の中って外より楽しいにゃん♪」と思わせることが大切です。
赤ちゃんが生まれてからだと、赤ちゃんのお世話で忙しくなってしまいます。
猫にストレス少なく室内飼いに移行するためには、赤ちゃんが生まれる前に余裕をもって室内飼いにシフトしていきましょう。
★猫が喜ぶ部屋づくり
猫のストレスコントロールには、ある程度の高さを上り下りする上下運動が欠かせません。
猫のパーソナルスペースを設置する部屋はキャットルームとし、上下運動ができるように棚を設置してあげましょう。
猫が好きな設備一覧
・キャットタワー
・キャットラック
・キャットウォーク
・爪とぎ
・身体がすっぽりとはまるスペース
・外が見える窓
のみとり
外猫さんだった猫には病院でのみとり、虫下しも必要です。
駆除してもしばらくするとまた復活している、意外にしぶとい「のみ」。
マダニほど目視で確認もしにくく、シャンプーをしてあげたりなど自宅でのケアでのみを駆除しようにも限界があります。気づかないうちに再寄生もされやすいので定期的に病院のみとり薬を処方してもらいましょう。
手術を済ませておく
健康な猫の身体にメスを入れることに戸惑いを覚える人もいますが、猫は多産ゆえに飼い主の義務とも言えますし、手術は外猫さんだけじゃなく、室内飼いの家猫さんにもメリットがあります。
手術によりメス、オスそれぞれの性特有の病気を防いだり、マーキングや攻撃性、大きな声で鳴くといった(人間から見る)問題行動を抑制する効果もあります。
特に赤ちゃんと一緒に暮らすのなら、動物特有の縄張りを守りたいが故の攻撃性は抑えてあげた方が円満な関係を築きやすくなりますよね。
予防接種も完了させましょう
室内飼いの家猫さんだったらワクチンの予防接種は必要ないのでは…?と、思う人も少なくありませんが、予防接種も重要な飼い主の義務。
普段から一匹での外出がない完全な家猫さんでも、感染症にかかるリスクが低いというだけで全く可能性がないわけではなく、思わぬ脱走の瞬間に遭遇してしまう可能性もありますし、外から人間が感染症を運んできてしまうこともあります。
特に赤ちゃんが生まれたばかりの家庭では、来客が増えるとそういったリスクも高くなりますので、猫自身と赤ちゃんのため、ワクチン接種はきちんと受けさせるようにしましょう。
★猫のワクチン接種
猫のワクチンは、猫ウイルス性鼻気管炎など猫風邪と言われる感染症を予防する目的で行います。
猫風邪だけを予防するワクチン、猫白血病ウイルス感染症や猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)なども含まれるワクチン…など種類によって防ぎたい病気に違いがありますので、獣医師さんと相談するようにしましょう。
猫ワクチンスケジュール
1回目…子猫は生まれて8週を経過すると接種可能/成猫は健康で元気なときならいつでも
2回目(追加接種)…初回接種の1ヶ月後
3回目(追加接種)…初回接種の1年後
なお、抗体獲得まで2週間かかり、3回目のあとは1年に1回、定期での追加接種が推奨されます。
ワクチン費用は病院やワクチンの種類により違いがありますが、4000~6000円程度が平均的です。
2.赤ちゃんが生まれてからの猫との暮らしのルール
赤ちゃんが生まれてからの対応も、これから猫と赤ちゃんが仲良く暮らせるかどうかの分かれ道となります!焦って引き合わせると猫が拗ねてしまい、取返しが難しくなってしまうので注意!
赤ちゃんが生まれたときに特に気を付けること
赤ちゃんが猫と対面する前に、赤ちゃんが産まれたら、少しずつ共同生活の準備を行っていきましょう。
あらかじめ赤ちゃんのニオイに慣れさせておく
猫にとって、自分のテリトリーに知らないヤツが入ってくることは大問題であり非常に大きなストレスとなります。加えて猫にとって訳が分からない存在であるヒトの赤ちゃん…突然遭遇してしまったら、相手が赤ちゃんといえど、驚きのあまり攻撃してしまう猫もいるかも?!
★赤ちゃんが産まれたら猫にも知らせる!
猫と赤ちゃんを直接会わせる前には一工夫が必要です。
まず、赤ちゃんが産まれたら、さっそく猫にその存在を知らせます。パパや、入院に付き添わない家族が赤ちゃんのにおいのついた肌着やガーゼを持って帰ってさり気なく猫のパーソナルスペース以外の行動範囲に置いておきます。
猫に少しずつ慣れさせるように、赤ちゃんのにおい、ミルクのにおいを猫に嗅がせておくことでファーストコンタクト時の拒否反応が起きにくくなります。
★退院後もいきなり面会させず慎重に
退院後も猫と赤ちゃんを無理やり面会させないようにしましょう。くれぐれも、猫を抱っこして赤ちゃんに近づけるなど無理やり接触させるような真似はしないこと。得体のしれない何かと長時間一緒にいるだけで、猫はストレスに感じてしまいます。
退院直後から赤ちゃんと猫を面会させるのではなく、まず飼い主さんとの再会を果たし猫を安心させましょう。退院後2~3日かけて赤ちゃんの気配や存在感に慣れさせ、ファーストコンタクトも初めは一日何時間と時間を決めて、少しずつお互いの存在に慣れさせていくようにします。
ファーストコンタクトのときは
猫と赤ちゃんの大切なファーストコンタクトのタイミングは、猫を刺激しないよう、赤ちゃんが寝ているときか、起きていても満腹でおむつも変えてコンディション抜群の泣いていないときを狙いましょう。
猫が警戒を解いて自分から赤ちゃんに近づくのをひたすら待ちます。
猫が「赤ちゃんは不幸を運んでくるヤツじゃないみたいだにゃん」と認識するまで、猫のペースに合わせて赤ちゃんに慣れさせてあげて。
初対面のときにうまくいかなくても、こういった接触を何回か重ねているうちに猫から赤ちゃんに近づいてくれたなら大成功!このときに猫が赤ちゃんを認めてくれるかどうかがその後の同居成功のカギになりますので、決して焦らず、猫が拗ねないように配慮しましょう。
★猫と赤ちゃんを同じ空間に放置しないこと!
猫と赤ちゃんを同じ空間に置くときは、猫を信用しすぎて絶対に赤ちゃんを放置しないことも重要です。赤ちゃん特有の原始反射や泣き声が猫を怒らせてしまったり、猫が赤ちゃんを怪我させてしまうケースもあるので、必ず大人が間に入って危険を阻止してください。
赤ちゃんのアレルギー検査はするべき?
赤ちゃんのアレルギー検査は、早くて生後4ヶ月頃から調べることは可能です。
しかし、生後4ヶ月頃は赤ちゃんの予防接種スケジュールも過密な時期ですし、採血は0歳児には負担が大きいため、なにも問題ないなら推奨しない医師がほとんどのはずです。慢性的な鼻水やくしゃみ、目の充血など「もしかしたら猫アレルギー?」と思われる症状があらわれたときのみ小児科医やアレルギー専門医に相談し、慎重に原因を特定しましょう。
猫と赤ちゃんを守る普段のケア
猫と赤ちゃん、二人の大事な家族を守るためには、爪切りや外出の取りやめなど日頃のケアが大切です。
爪のケア
猫の爪からの感染症を防ぐため、爪は短く切っておきましょう。
膚がとても薄く繊細で傷つきやすい赤ちゃんの肌にとって、猫の爪は凶器。免疫も獲得途中の赤ちゃんので、怪我ついでに病気をもらってしまうことも十分に考えられます。
猫の爪のケアを怠たると、どうしても赤ちゃんが怪我をしてしまう可能性も上がります。猫にはかわいそうですが、猫の爪はこまめにチェックしカットするようにしましょう。
★爪切り嫌いな猫さんは
猫にとって爪は、その毛並みやひげと同じように猫として生きるために大切なもの。
爪切りを徹底的に嫌がる猫も少なくありません。本気で嫌がる猫は、ペットサロンにお願いするか、安全のためバスタオルにくるんで爪切りを行いましょう。
猫のけが防止のため、ヒトの爪きりやハサミでカットするのではなく、猫専用の爪きりを用いること。
予防接種後の感染症対策・生活の中で気をつけること
猫を感染症の原因にしないためには、爪の管理やノミのケアの他、外からの感染を防ぐことも重要です。猫と赤ちゃんの安全を守るためには、予防接種したからと安心するのではなく、以降も感染症対策は必須項目。
日ごろから気を付けられる感染予防として、主に3つの対策があります。
★外猫さんの外出のとりやめ
完全な家猫でキャットフードのみを食べている猫は、ほぼ外からの感染はありませんが、外猫さんは寄生虫や菌を含んだ土、保菌した他の動物との接触があります。
先ほどにも記述はしましたが、猫を含めた家族の健康をまもるため、外猫さんにも家猫になってもらう対策を講じましょう。
★生肉を与えない
猫を最終宿主とするトキソプラズマ原虫ですが、生肉にもトキソプラズマがいる可能性があるため、猫に生肉等を与えている場合は要注意…。トキソプラズマを完全に排出はできませんが増やさないためには猫に生肉を与えないようにしたいですね。
特に妊娠中の女性がトキソプラズマの抗体を持っていないのなら、妊娠中の感染には細心の注意を払うようにしましょう。
★定期のワクチン追加接種
基本のワクチン接種のあとも、できれば年に一回定期的にワクチンの追加接種を行い、感染症に対する抗体を維持しましょう。
赤ちゃんが大きくなってきたら、必ず「猫との接し方」を教えること
赤ちゃんは動物への接し方やコミュニケーションの取り方を知りません。それどころか、良い悪いも知りませんし、力加減すら知りません。ですので、赤ちゃんが大きくなってきて、力も付いてきた頃に力ずくで猫を抱えようとしたり、猫の嫌なことも無理やりしてしまうこともあります。
親がそういった赤ちゃんの行動を「仕方がない…」と野放しにした結果、赤ちゃんの猫に対する暴挙が繰り返されると、猫も最初は我慢できていても遅かれ早かれ赤ちゃんと猫の仲が悪くなってしまいますよ!
「生き物を大切に扱う気持ち」や「猫への接し方」は小さい頃からしっかり教えてあげるようにしましょう。
猫と赤ちゃんの暮らしを守る「掃除」の仕方
赤ちゃんは成長に伴い興味の対象や行動範囲がどんどん広がります。そして、自分で動き回れるようになると、猫が歩く同じ床をハイハイして移動し、ハイハイしたお手てで興味を示したものならなんでも口に入れてしまいます。
猫生と赤ちゃんの健康を守るため、日頃の掃除を徹底するようにしましょう。
掃除機がけは徹底する
まず、アレルゲンを極力室内に蓄積しないように、毎日掃除機をかけることが基本です。
猫のいたところは猫のフケを餌とするダニも発生しやすい環境ですし、体表についていたノミも多くいます。ダニの糞や死骸などのハウスダストをアレルゲンとするアレルギー発症にもつながります。
猫がいつもいるところは特に念入りに掃除機をかけて、毛やフケ、ノミなどを除去し清潔に保ちましょう。
布製品を見直す
猫の毛やゴミなどが絡まりやすい毛足の長いラグなどは、掃除のしやすいタイプや防ダニ加工を施したものに取り換えるなど、身近な布製品を見直しましょう。
特に毛糸やフェルトでできたものはダニが生息しやすいために要注意。
アルコール除菌スプレーをいつも手の届く場所に
アルコール除菌を完備して、赤ちゃんがハイハイする床、赤ちゃんが触りそうなもの、口にしそうなものはいつも除菌してあげるようにしましょう。
おじいちゃんおばあちゃんの中には「除菌除菌ていったって、菌やウイルスを滅菌することが良いとは限らない!」と言ってくる知識者もいますが、室内に動物がいる場合は別です。
過剰に神経質になる必要はないにしても、ペットがいないおうちよりは気を付けてあげたいですね。
猫のトイレの設置場所とトイレ掃除
衛生上、赤ちゃんの行動範囲に、猫のトイレはないにこしたことはありません。誤って口にしてしまたりすることもあるかもしれません。特に便には感染症の原因になるトキソプラズマなどがいる可能性もあるので、トイレは赤ちゃんの行動範囲に置かないこと。
また、猫のトイレが隔離されたスペースに設置してあるにしても、同じ居住空間にある以上、こまめなトイレ掃除を徹底しましょう。
猫の餌と水飲み場の設置場所
猫の水やえさも赤ちゃんの興味の対象。赤ちゃんにいたずらされないように猫の餌や水を隔離しておくと、食事中に赤ちゃんに手や足を引っかけたりされることもなく猫も安心です。
猫をいつも清潔に
猫自身もこまめなブラッシングやシャンプーをして、可能な範囲でノミやアレルゲンの排除に努めましょう。
ですが、猫にはそれほどシャンプーは必要ないともされ、毎日のようにシャンプーをしては被毛が痛んだり皮膚トラブルに発展してしまうことも。何より、猫自身がシャンプー嫌いの場合はかわいそうですね。
ブラッシングやシャンプーでのノミの完全排除はできないことからも、清潔を保てるペースでのシャンプーをしてあげて、普段はブラッシングによるケアでOKです。
「手放す」のではなく大切な家族との暮らしを守るために
猫と赤ちゃんが仲良く一緒に暮らすための注意すべき点をまとめてきました。
猫と一緒に暮らしてきた家庭にとって、猫も大切な家族の一員。新しく赤ちゃんを迎えるからといって、猫をどこかに手放すのではなく、家族として、猫と赤ちゃん、どちらも幸せにしてあげられるように努めたいものです。
猫と赤ちゃんが安心して幸せに暮らす道は必ずあります。猫も赤ちゃんも素直なもの同士、きっとお互いがかけがえのない存在と認識するぐらいに仲良くなれるはずです!