液体ミルクの国内解禁・商品化はいつ?

液体ミルクの国内解禁は近い!日本での商品化は2020年頃?

液体ミルクって知っていますか?常温保管可能で、水や火を使わずに簡単に赤ちゃんに飲ませることができる海外製の液体ミルクは、育児負担の軽減につながり、災害時にも役立つと注目が高まっています。液体ミルクのメリットやデメリット、2018年以降の日本での解禁、商品化に向けた動きを解説します。

液体ミルクの国内解禁は近い!日本での商品化は2020年頃?

「液体ミルク」を知っていますか?災害時にも活躍した海外製のミルクとは?

海外から輸入された液体ミルク

「液体ミルク」って聞いたことがありますか?
まだ日本では馴染みがないですが、海外ではすでに多くの人に愛用されており、正確には「乳児用液体ミルク」と言います。
実は液体ミルクは緊急災害用品としても注目されつつあり、阪神淡路大震災や東日本大震災の際に海外メーカーから支援物資として送られてきたという事実もあります。

乳児用液体ミルクとは、いったいどのようなものなのでしょうか?
液体ミルクのメリットやデメリット、なぜ日本で普及されないのか取り上げていきます。

※2018年3月12日、厚生労働省は乳児用液体ミルクの製造の規格基準をまとめました。これまで液体ミルクの国内販売がされなかったのは、国による安全性や衛生面の基準が定められていないため、メーカーの研究や商品開発が消極的だったためです。 早ければ2018年夏頃に法令が改正し、国内での研究開発が一気に勢いづくことが期待されます。

※2016年5月25日、自民党で「液体ミルク」に関する勉強会が行われ、フィンランド製の液体ミルクがテレビ朝日系で紹介されました。日本での流通に一歩ずつ近づいているようですね!

出典:www.youtube.com

液体ミルクとは?飲ませ方や安全性はどうなの?

液体ミルクをごくごく飲む元気な赤ちゃん

液体ミルクは、「乳児用液体ミルク」といってすぐに赤ちゃんに飲ませることが出来る状態のものが紙パックやペットボトルなどに入っています。

すぐに赤ちゃんに飲ませることが可能ということで、哺乳瓶を消毒したり、ミルクを冷ましたりなどといった手間がなく、アメリカやイギリス、フィンランドなどの欧米諸国では一般的に多くの人に重宝されています。非常に衛生的で、常温で保管が可能なように密封されています。

日本でミルクといえば缶に入っているものが一般的ですが、お腹を空かせた赤ちゃんが延々と泣き続けるあいだ、焦りながらもせっせとミルクを作った経験がある方も多いでしょう。紙パックやペットボトルで簡単に飲ませられるミルクがあったらな~と育児中に考えた方もいるかもしれませんが、海外ではもう既に商品化されて生活に馴染んでいるようです。

液体ミルクを飲ませ方!水も火も不要!?

飲ませ方といっても、液体ミルクはそのまま赤ちゃんに飲ませることが出来るという驚くほどの簡単で便利なものです。本当に簡単で、パックを開封して哺乳瓶にいれるだけで赤ちゃんにそのまま飲ませることが出来ます。寒い時期や月齢が小さくて気になる方は湯煎で温めます。沸騰させる訳ではないので、レンジ軽くチンして温めてしまうという方もいるようですね。

もしくは、ペットボトル状の液体ミルクにニップルと呼ばれる乳首を装着するだけで赤ちゃんに飲ませることができます。外出の際にはとても重宝されています。
水も火も必要なし!お腹を空かせている赤ちゃんにすぐに飲ませることが可能ですから、ミルクを作る場所の確保が難しい場面でもストレスフリーですね。

【参考】粉ミルクの作り方

1.お湯を沸かす
2.消毒した哺乳瓶に粉ミルクを計り入れ、お湯を入れて粉ミルクを溶かす
(溶けむらがないように振る)
3.人肌程度になるように冷ます(大抵は流水)
以上の工程で粉ミルクが飲める状態になりますから、手間と時間はどうしてもかかってしまいます。また、1回ごとに哺乳瓶の洗浄・消毒が必須です。

保存料や安全性はどうなってるの?

基本的に、保存料などは使用されていません。無菌パックされているので常温でも、製造から約1年間という長期保存が可能です。

しかし、日本の食品衛生法では乳児用ミルクは「粉末」しか認められておらず、このことが原因で日本では製造・販売ができていません。「液体」は雑菌が繁殖しやすいという意見もあるようです。
海外で一般的に飲まれているのですから「液体」でも大きな問題はないと思いますが、海外でも様々なメーカーによる多様な液体ミルクがありますから、保存料や安全性に関して確認する必要がありそうです。

液体ミルクのメリットは?日本で普及しない理由とは

日本に輸入されない液体ミルクについて考える保育士

飲ませ方が簡単な液体ミルクですが、この簡単さによってどんな効果・メリットが期待できるのでしょうか?一方、誰もが認める便利さながら、日本で普及しないのはなぜなのでしょう?

液体ミルクの3つのメリット

海外では一般的とされている液体ミルクとはいえ、日本では出回っていないためにまだ使用したことがない人がほとんどですね。ここでは、この液体ミルクのメリットとデメリットを見ていきましょう。

液体ミルクの3つのメリット

1.育児の負担軽減・父親の育児参加

液体ミルクのメリットはとにかく簡単であるということですね。密閉保存されているパックを開封するだけで、赤ちゃんに飲ませることが可能ですから、液体ミルクと哺乳瓶(ペットボトル型の場合はニップル)さえ手元にあれば良いのです。

液体ミルクだと、育児に不慣れなパパでも開封して飲ませるだけですから簡単に赤ちゃんにあげることが出来ます。育児参加のハードルが一気に下がり、ママの調子の悪いときや手が離せない場面でパパが代わってお世話することが可能になるのも大きなメリットとなります。

パパにとって育児参加が容易になることから、赤ちゃんの夜泣きによる不規則な生活を強いられ疲労困憊のママにとって授乳が夫婦で協力し合えることは大きな助けになります。共働き夫婦やシングルマザーなどの負担がぐっと軽減されるはずですね。

2.外出の行動制限が減る

赤ちゃんを連れて外出をするママは、粉ミルクや哺乳瓶など赤ちゃんがミルクを飲むために必要なセットを持ち歩いています。しかし、粉ミルクはお湯がないと作れないので、外出前にミルク用のお湯が確保できそうかネットで調べたり、どうしてもお湯がなさそうな場合は水筒にお湯を入れてでかけたりと、色々と努力されていることでしょう。

外出先などで粉ミルクを作る場所がないといった理由で行動範囲が限られてしまうことが多い乳児期には、この常温保存出来る液体ミルクはとても便利ですね。赤ちゃんの泣きぐずりなど人目が気になる外出先では、さっとすぐにミルクを飲ませることが出来るのはママにとっては大助かりです。

3.災害用品として利用可能

常温保管可能で水も火も必要ないことから赤ちゃんのための災害用品としても注目度が高まっています。災害が起これば、普段は母乳をあげているママであっても、ショックやストレスで母乳がでなくなるケースもあり、防災リュックの中にミルクは絶対に必要なものです。
しかし、災害時にはすぐにミルクが作れるようにライフラインが整うかは未知数。液体ミルクは赤ちゃんの命綱となるかもしれません。

災害時に哺乳瓶を洗浄・消毒を行い、衛生状態を保つのは困難を極めるでしょう。使い捨てのペットボトルなら、衛生的にも安心です。

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液体ミルクのデメリット

液体ミルクを上手に赤ちゃんに飲ませるママ

液体ミルクは厚生労働省の許可がおりないこと、まだまだ日本では認知度が低く商品化にいたっていないことが最大のデメリットでしょうか。

後述しますが、緊急災害時の需要が注目され、国内メーカーなどに製造を求める署名運動などは行われています。しかし、国内メーカーが製造を検討するところまでには至っておりません。

どうしても手に入れたい場合は、海外通販などで海外メーカー品の液体ミルクを購入することが可能です。その際は個人輸入スタイルということから送料が割高になり、到着日数もかかります。この点が、デメリットですね。

なぜ日本にはないの?日本で液体ミルクが普及しない2つの障害

液体ミルクは阪神淡路大震災や東日本大震災の際に海外メーカーから支援物資として被災者のもとへ届けられましたが、日本では一般的には流通していません。どの乳児用品国内メーカーも生産していないのが現状です。
なぜ、日本で液体ミルクが売られていないのか?という声は、阪神大震災、東日本大震災、熊本の震災後非常に多く挙がっています。

厚生労働省の許可

国内で製造出来ない理由の一つは、食品衛生法に基づき乳製品の成分や製造基準を定める厚生労働省の省令が「乳幼児用の食品を粉乳と限定しているため」です。1951年の制定当時から変わりなく、保存期間が長く常温で流通出来る粉乳が最適とされているためです。
製造・販売をすることが違法なわけではないのですが、安全性・衛生面の基準を国が定めていないため、現段階で例え開発に成功したとしても、国内メーカーはそのミルクを「乳児用ミルク」として販売することができません。

WHOからは人口ミルク販売促進法を厳格化すべきという指導もあるようですが、日本国内における母乳代用品の販売流通に関する国際基準をほぼ法制化していないため基準にそぐわないという現状があります。

消費者庁

企業にとって商品化するメリットが薄い

例え厚生労働省の許可が下りたとしても、国内メーカーは積極的には液体ミルクを商品化したがらないという指摘も聞かれています。
液体ミルクが市場に出回っている粉ミルクよりも収益性が高いということはまずないことと、少子化による市場の縮小といった背景も相まって、国内粉ミルクメーカーは液体ミルクの開発及び流通を実現させる動機は低いとのがその理由です。

また、国内メーカーは産婦人科栄養士まで抱えて、粉ミルクの営業体制をがっちりと整えています(産後、入院中に粉ミルクのサンプルを大量にいただいた方もいるのでは?)。いますぐの海外メーカーの参入は難しいのが現状のようです。

液体ミルクの今後の普及はどうなる?今、手に入れる方法は?

インターネット通販で海外から液体ミルクを仕入れるママ

現段階で液体ミルクが日本で製造されない理由は理解していただけたかと思います。それでは、日本で液体ミルクが商品化されることはないのでしょうか?商品化を望む運動や1度、液体ミルクを試してみたいという方向けの情報を紹介します。

「液体ミルクを日本にも!」ネット上での署名活動

震災などで液体ミルクの重要性が見直されるなか、多くの方々の声が署名となって挙がってきています。海外在住の有名人が液体ミルクをブログ等で紹介したことで、一般的な注目度もますます高まり、ネット上でも署名活動も急増してきています。
以下に、主なネット上での署名サイトをご紹介します。

「液体ミルクを日本にも・署名キャンペーン」

「外出にも備蓄にも便利な乳児用液体ミルクを-日本でも販売してほしい-change-orgで署名に参加」

「署名サイトchange.org」

2018年3月、厚生労働省が液体ミルクの認可へ大きく舵を切りました。その背景には、認可を求める4万人以上の署名があったといわれています。

液体ミルクを手に入れる方法

現在の日本で液体ミルクを手に入れるためには通販サイトなどを利用して海外から購入するしか方法がありません。
いくつかの通販サイトで「アプタミル社」の液体ミルクが販売されていますね。助産師さんも推奨しているということから、個人輸入で購入する際も一般的となっています。
ただ送料等が含まれどうしても割高ですので、一度使ってみたいという方にはいいかもしれませんが、普段遣いとしては難しいのが現状です。

液体ミルクの日本販売はいつ?

2018年、厚生労働省は液体ミルクの日本解禁に向けて動きだしました。具体的な商品化・販売までは今後、どのように進むのかご紹介します。

商品化は2020年頃

早ければ2018年夏ごろに省令が改正し、国内で「乳児用ミルク」としての製造・販売が可能になる液体ミルク。しかし、実際の商品化までには約2年ほどの時間がかかる見通しであり、2020年頃の商品化というのがひとつの目安となります。

液体ミルクも粉ミルクと同様に赤ちゃんにとっては大切な栄養源です。栄養成分の維持・衛生管理などに厳格な基準が求められるため、多くの品質試験を繰り返す必要があります。

値段は粉ミルクの3割増し

液体ミルクの販売価格は粉ミルクに比べて約3割増しの見込みです。
災害時などには便利な液体ミルクですが、どの程度の需要が見込めるのかはわかりません。

粉ミルクとは全く違う生産ラインが必要になるため、値段は高めに設定せざるを得ません。大手乳業メーカーでも「液体ミルクは開発・販売しない」という決断を下す可能性もあります。

どの企業が1番先に商品化するのか、そして便利ではあるが値段が高い液体ミルクが消費者にどう受け入れるのか、注目が集まっています。

赤ちゃんの命をつなぐ可能性が広がる液体ミルク

東日本大震災では、フィンランド在住の日本人女性らが計14,000個の液体ミルクを被災地に送るという支援がなされ被災者に大変喜ばれたとされます。緊急災害時には、清潔な水が不足し、ガスもないためにお湯を沸かすことすら出来ません。
そんな災害時にも利用でき、空腹の赤ちゃんを満たすことが可能な液体ミルクには、多大な可能性が秘められています。手軽に利用出来るために、海外では広く流通しており利用されています。

国内では、液体ミルクの解禁、製造流通を望む声を署名にして集めるなどの活動が活発になりつつあります。外出時の授乳やママの育児負担軽減、パパの育児参加の推進、災害時の赤ちゃんの命をつなぐ栄養として、多くの場面でこの液体ミルクの必要性が強く求められています。
少子化とはいえ、今後の子育て支援のひとつとして液体ミルクの役割は大きいようです。