赤ちゃんが反り返りをする原因

赤ちゃんの反り返りの原因~病気の兆候を見極めるポイント

赤ちゃんの反り返りは、自然な行動のケースが大半ですが、中にはママやパパの抱っこの仕方や部屋の室温に対して、不快な気持ちを抱えているゆえに起こることもあります。また、脳性麻痺や自閉症の兆候の可能性もあるため、反り返りの原因と対処法、異常な反り返りを見極めるポイントを解説します。

赤ちゃんの反り返りの原因~病気の兆候を見極めるポイント

赤ちゃんの反り返りが激しい!病気との関係は?

授乳や抱っこ、おむつ替えの時などに、赤ちゃんが背中をピーンと反らせて驚いたという方も多いでしょう。急に反り返ると、体調が悪い?何かの病気?と不安になってしまいますが、赤ちゃんの反り返りは成長過程で良く見られ、多くの場合が心配のないものです。

ただし、ごく稀に病気の兆候となっていることもあり、症状を見極めることが大切。
今回は、赤ちゃんの反り返りの原因や対処法をご紹介します。注意すべきポイントを抑え、赤ちゃんの行動を確認してみましょう。

赤ちゃんの反り返りとは?

赤ちゃんの「反り返り」は「えび反り」とも呼ばれ、頭から足先までをピーンと真っすぐ伸ばしたり、背中を反らせて後ろへ湾曲させる動きです。この反り返りは、抱っこの時や、授乳中、おむつ替えで横になっている時にも見られます。

反り返る赤ちゃん

赤ちゃんの反り返りは自然な行動

突然の行動に驚くかもしれませんが、反り返りは多くの赤ちゃんに見られるもので、ほとんどの場合、病院の受診や特別な治療は必要ありません。

ママのお腹の中で丸まっていた赤ちゃんは、体を伸ばし、姿勢を保つ筋力を徐々に身につけます。慣れるまでは力の加減が分からず、背中に力を入れ過ぎてしまいます。

反り返りは、赤ちゃんが成長する過程で見られる自然な動きなのです。

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赤ちゃんの反り返りはいつからいつまで?

赤ちゃんの反り返りは、早い子だと生後1ヶ月頃から見られ、生後3~4ヶ月に首が安定してくると、反り返りの動きが大きくなります。その後、生後6ヶ月~1歳までには徐々に減り、1歳を過ぎる頃には、ほとんどなくなります。

生まれたばかりの赤ちゃんは、自分の体を思うように動かすことができません。しかし、首や上体の筋力が備わってくると、徐々に体をコントロールできるようになります。

異常な反り返りとは?受診の目安

ごく稀ではありますが、病気の兆候として反り返りが見られることもあります。
赤ちゃんが自らの意思で反り返りをしている場合は問題ありませんが、

  • 寝ている時も無意識に反り返っている。
  • 首や腰が不自然にねじれている。

など、明らかに不自然な反り返りが見られる場合は、小児科を受診しましょう。

不快な気持ちを訴えている可能性も!赤ちゃんの反り返りの原因と対処法

不快で泣き出しそうな赤ちゃん

反り返るだけで、赤ちゃんがご機嫌なら特別な対処は必要ありません。しかし、反り返りながらグズって泣くときは、不快な気持ちを訴えている可能性もあります。赤ちゃんが不快に感じている原因を取り除くことで、反り返りが治まることも。

病気とは関係のない反り返りでも、症状が強かったり、長く続く場合には、寝返りやハイハイへの移行が遅れる恐れがあります。育児の不便さを解消するためにも、早めに対処しましょう。

ここでは、反り返りの原因と対処法を詳しくご紹介します。

抱かれ心地が悪い

抱っこの時に反り返りながらグズるのは、お世話をしている人の抱き方に問題がある可能性も。抱かれ心地が悪いと、赤ちゃんは反り返ることがあります。赤ちゃんの抱き方を見直し、その子が満足する方法を見つけてあげましょう。

抱き方を見直す

安定した抱っこは、赤ちゃんを安心させます。赤ちゃんを抱っこした時に体がねじれていませんか?頭や足が垂れ下がっていませんか?赤ちゃんの様子を見ながら、横抱き、縦抱きも変えてみましょう。縦抱きで体を密着させると安心してご機嫌になる赤ちゃんもいます。

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背中が熱い・不快に感じている

仰向けになっているときに反り返る場合は、背中が熱くないか、汗をかいていないか確認してみましょう。赤ちゃんは体温が高く、背中に熱がこもりがち。その不快感から体を動かそうとします。

熱さ・汗かき対策

汗をかく赤ちゃんがガーゼシーツに包まる

特に夏は、室温や湿度をこまめにチェックし、汗をかいたら拭き、必要があれば着替えさせるようにします。汗取りパッドや冷感素材のシーツを使うなど、背中の不快を取り除く工夫をしましょう。

自分の意思で体を動かしている

赤ちゃんは好奇心旺盛。首が座り始めると、気になるもの見たさに反り返ることがあります。また、眠たい・もっと遊びたいなど、自分の意思を伝えるために反り返ることも。自我が芽生えると、赤ちゃんは体を動かすことで気持ちを表現するようになります。

赤ちゃんの気持ちに寄り添ってあげることも、反り返りの原因を見つけるために大切なことです。

寝返りの練習をしている

赤ちゃんの成長は目覚ましく、運動機能も日に日に発達しています。生後4ヶ月頃には寝返りを始める子もおり、その練習に反り返りをすることがあります。寝返りをする時期には個人差があるものの、生後4~5ヶ月の赤ちゃんが、横になった状態で反り返ることが多い場合は、寝返りをしようと頑張っているのかもしれません。

寝返りの練習をお手伝い

赤ちゃんが寝返りしそうな時は、側で見守り、練習をお手伝いしてあげましょう。赤ちゃんの寝返りは、腰をひねることから始まり、下半身から徐々に上半身を回転させます。背中を反らせて腰をひねったら、片脚を交差させ、優しく背中や肩を押してあげるとうつ伏せになります。

もちろん、寝返りが遅いからと焦る必要はありません。赤ちゃんが嫌がる場合は無理強いしないようにしましょう。

また、うつ伏せの状態で長時間寝かせるのは危険です。うつ伏せから仰向けに戻る「寝返り返り」ができない赤ちゃんもいることから、寝返りの練習は短時間で済ませ、赤ちゃんから目を離さないようにしましょう。

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病気の兆候かも…赤ちゃんの反り返りが見られる病気

赤ちゃんの反り返りはよく見られるものですが、病気を心配するパパママはとても多いです。実際、病気の兆候で反り返りをすることもあります。

赤ちゃんの反り返りを過剰に心配する必要はありませんが、どんな症状に注意すべきか確認しておきましょう。ここでは、反り返りに隠れている病気についてご紹介します。

脳性麻痺

赤ちゃんを診察する女医

脳性麻痺とは、赤ちゃんがお腹にいる時から生後1ヶ月頃までの新生児期に脳の発達障害が起こり、運動機能などに支障をきたす病気です。どんな障害が出るかは個人差がありますが、運動発達に遅れが生じたり、知的障害が現れることもあります。

脳性麻痺は、1000人に2,5人の割合で発症します。妊娠高血圧症候群や早産・難産などが関係しますが、完全に原因が解明されているわけではありません。

多くの場合、脳性麻痺の運動障害は2歳までに生じ、体の反りが強いこと以外に以下のような症状が見られます。

脳性麻痺の子供に見られる症状

  • 体の反りが強い
  • 寝ている時も無意識に反り返る
  • 母乳やミルクの飲みが悪い
  • 成長しても首がしっかり座らない
  • 体がかたい
  • 歩き方がぎこちない
  • 片足を引きずる

脳性麻痺は、早期発見で程度を把握し、障害をコントロールしながらその子に合った育児をしていくことが大切です。気になる症状があるときは、小児専門病院や小児神経科を受診しましょう。

自閉症などの発達障害

無表情な自閉症の赤ちゃん

発達障害の一つである自閉症は、脳の機能障害が原因で起こります。主に人とのコミュニケーションに問題をきたすことが多い障害です。

自閉症の原因は特定されていませんが、約500人に1人の割合でいるとみられ、症状が軽い人も含めると約100人に1人の割合で発症しています(注1)。

一般的な赤ちゃんはママの抱っこが大好きですが、自閉症の子は、抱っこを嫌がり身を反り返して泣くことがあります。ただし、単純に抱っこが嫌いな子もいるため、自閉症の子によく見られる以下のような症状があったとしても、自己判断は禁物。まずは、乳幼児健診や保健センター、小児科などに相談してみましょう。

自閉症の子供に見られる症状

  • 反り返りが強い
  • 抱っこを嫌がり泣く
  • 目が合わない
  • あやしても反応がない
  • 一人遊びばかりしている
  • 人まねをしない
  • 頻繁にかんしゃくを起こす
  • ことばに遅れがある

自閉症の子を持つママは、何かしらの育てにくさを感じています。ママの負担を軽くするためにも、早期に適切な育児環境をつくることが大切です。自閉症の場合、発達のペースに沿ったケアが必要不可欠です。

自閉症の赤ちゃんの特徴は?0~2歳の頃の発達と所見
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破傷風

破傷風は、土の中にいる破傷風菌が傷口から入ることで発病します。感染すると、筋肉の張りや口が開きにくくなるなどの症状が現れ、顔や首、背中の筋肉がけいれんを起こすこともあり、反り返りが見られます。

破傷風の潜伏期間は3~21日で、反り返りが見られるのは症状が進んでからです。破傷風の予防接種を受けていない子が外遊びで怪我をした時などは、以下の初期症状に注意しましょう。

破傷風の子供に見られる症状

  • 口が開きにくい
  • 母乳やミルクをうまく吸えない・食事がうまくできない
  • 首筋が張る
  • 寝汗がでる・歯ぎしりをする

破傷風は、ワクチン接種により100%近くの人が抗体を獲得できるといわれており、近年の患者数は年間40名ほどにとどまっています(注2)。子供は土に触れる機会も多く、外で遊んで怪我をすることもしばしば。時期がきたら忘れずに予防接種を受けるようにしましょう。