赤ちゃんの吸啜反射とは?可愛い原始反射の秘密を探れ!
吸啜反射という言葉を知っていますか?初めての出産で入院中から母乳をあげるお母さん。母になった喜びを感じる赤ちゃんが母乳を吸う行動を吸啜(きゅうてつ)反射といいます。当たり前に思っていた赤ちゃんの行動や反応もにも実は意味があります。
「いつから始まりいつまで見られる行動なのか?」「吸啜反射が弱いのではないか?」との不安や、おしゃぶりのメリットやデメリットについて詳しく解説します。
「吸啜反射」「哺乳反射」「原始反射」は赤ちゃんに備わった生きていくための力
吸啜反射とは基本的には生後すぐにすべての赤ちゃんに見られる原始反射の一つで、口唇追いかけ反射(ルーティング反射・捕捉反射)と相互作用し、出生後すぐに母乳を飲み、自分で栄養を得るために必要な反射です。「吸」は吸う、「綴」はすするという意味を表します。
吸啜反射の他に唇に乳首などが触れると首を回す「探索反射」、乳首が口に入るとくわえる「捕捉反射」、母乳を飲み込む「嚥下(えんげ)反射」など一連の反射を含めて「哺乳反射」といいます。
生後すぐに見られる主な原始反射は、以下のようなものがあります。
- 赤ちゃんの手の平に大人の指などを入れると握る「把握反射」
- 音の刺激などで上肢を大きく開き抱きつこうとする「モロー反射」
- 赤ちゃんを支えながら両足で立たせるようとすると足を右左交互に出して歩くような動きをする「足踏み反射」
- うつぶせになると腕が曲がって腰が浮く格好になり、仰向けになると手足や背中が伸びた姿勢になる「緊張性迷路反射」
- 仰向けに寝ている赤ちゃんの顔を横に向けると、顔が向いたほうの手足は伸びて反対側の手足は曲がる「非対称性緊張性頸反射」
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モロー反射の消失時期や正常な反応と異常な反応、赤ちゃんの原始反射のひとつモロー反射と良く似た点頭転換との違いなどモロー反射について解説し、モロー反射対策の赤ちゃんを安心させるおくるみの巻き方も紹介。
吸啜反射は赤ちゃんが生きるために必要な反射
吸啜反射は赤ちゃんが最低限生きるために必要な反射とも言われ、自分で母乳やミルクを飲み栄養を得るために必要な生存本能です。産まれてまもない赤ちゃんが、誰にも教わっていないのに母乳やミルクを飲むことができるのは、吸啜反射があるからです。
吸啜反射によって指しゃぶりをしたり、体の柔らかい赤ちゃんは器用にも足をなめたりしますが、それにより赤ちゃんは自分の体を次第に認識していき、口や手、指の感覚が発達します。手があること、足があること、少しずつ認識して、覚えていく過程なので、無理に辞めさせたりせずに赤ちゃんの成長を見守ってあげましょう。
吸啜反射は胎児の頃から見られる
吸啜反射いつからみられるのでしょうか。
吸啜反射は生存本能なので胎児の頃から出現し、生まれた時にはすでに見られます。だいたい26週頃に出現し、32週頃には成熟しています。
妊婦健診の時に、指しゃぶりをしているかわいい胎児の姿をエコーで見たことのあるお母さんも多くいるのではないでしょうか?赤ちゃんらしい可愛い姿なのですが、ただ指しゃぶりをしているのではなく、お腹の中にいる時から吸啜反射が出現し、胎児は母乳を飲む為の練習をしているのです。
吸啜反射は生後6ヶ月頃に消失する
では吸啜反射いつまで続くのでしょうか。一般的には生後4~5ヶ月で弱まり、離乳食を始める生後6ヶ月ころに消失します。
赤ちゃんは産まれてから目まぐるしい成長と変化を遂げます。寝返りやはいはいが見ることが出来る時期が限られているように、吸啜反射も産まれてからのわずかな時期だけのものです。生後6ヶ月ごろに吸啜反射がなくなったからと心配することはありません。貴重な時間ですので是非、吸啜反射が消失してしまう前に意識して確認してみましょう。
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吸啜反射が弱いときはどうしたらいいの?
吸啜反射が弱く心配になるお母さんも多くいます。筆者が3人目の子供を出産した時、上の子供と比べると吸啜反射が弱く、産まれた赤ちゃんは上手に母乳を飲むことが出来ませんでした。
おっぱいを上手に加えることも出来なかったので、初めは助産師さんと相談しながら哺乳瓶のちくび部分に母乳やミルクを入れて少しずつ飲ませていました。成長につれ上手に飲むことが出来るようになり、その後は特に異常もなく完全母乳で育てることが出来ました。
生まれて間もない頃から上手に母乳を飲むことが出来る赤ちゃんもいれば、まだまだ上手くいかない赤ちゃんもいます。赤ちゃんは産まれて初めてのことをしているのです。お母さんも焦らずに赤ちゃんの様子を見てあげましょう。
吸綴反射の反応が極端に弱かったり、全くみられない場合もあります。その場合は病気の可能性もあるので医師の診察を受けることをお勧めします。1か月健診や3カ月の乳幼児健診、出産後に助産師さんが訪問してくれる地域にお住まいの方は、その時に吸啜反射について不安なことを相談してみましょう。
- 出生時に早産などトラブルがある
- 新生児仮死などによる低体温
- 急性ビリルビン脳症(核黄疸)
- 前頭葉または、両側大脳広範などの脳に障害
吸啜反射が弱い赤ちゃんは哺乳瓶でミルクを飲まない?
赤ちゃんの吸啜反射の異常を心配するお母さんの中に多くみられるのが「母乳は飲むのに哺乳瓶でミルクを飲んでくれない、吸啜反射が弱いのではないか」という不安の声です。
おっぱいに吸い付き、母乳を飲んでいるのであれば異常なことではありません。ミルクの温度が母乳より冷めていたり、哺乳瓶の乳首の形状が気にいらなかったりと、赤ちゃんが哺乳瓶からミルクを飲んでくれない理由はそれぞれに考えられます。諦めずに根気よく試してみたり、試行錯誤してみましょう。
吸啜反射の消失は離乳食の始めどき
吸啜反射が消失する時期は離乳食を始めるサインです。
探索反射や吸啜反射が薄れてくると、自分の意志で食べ物を噛んだり飲み込んだりする「随意(ずいい)運動」が発達するようになります。
それぞれの赤ちゃんのペースがありますが、大人がご飯を食べているのを不思議そうに見ていたり、お母さんと一緒にもぐもぐ口を動かしてみたり、よだれが増えてきたなどの離乳食を始めるサインを感じたら離乳食を始めてみましょう。
おしゃぶりは吸啜反射を利用した赤ちゃんグッズだった!
おしゃぶりは赤ちゃんの吸啜反射を利用したベビーグッズです。赤ちゃんの頃は何かを吸うという行動が不安解消・安心に繋がります。日本小児歯科学会の報告では、
- 精神的安定
- 簡単に泣き止む
- 静かになる
- スムーズな入眠
- 母親の子育てによるストレスが減る
とされています。
また、指しゃぶりと乳前歯部開咬(噛み合わせや出っ歯)について調査したところ、おしゃぶりは指しゃぶりより軽度ではあるものの、長期に渡り年齢が高くなるまで使用すると乳前歯部が開咬となりやすいという結果があります。
それではおしゃぶりのメリットとデメリットをご紹介します。
おしゃぶりのメリット
こまめに洗うことにより衛生的
指しゃぶりをする赤ちゃんを見ると、衛生面が心配になるお母さんも多いと思います。実際、赤ちゃんの手足にはホコリがたまりやすく、たくさんの雑菌があります。ハイハイをしたり、つかまり立ちや伝い歩きを始めると、いろいろなものに触れる機会も増えるので、ますます雑菌が手に着く環境になります。
指しゃぶりは体温で温かく、雑菌が繁殖しやすいのですが、おしゃぶりはそれほどでもなく、こまめに洗ってあげることで清潔は保てます。
おしゃぶりの種類は豊富ですが、ケース付きのおしゃぶりも販売されています。持ち運びにも便利ですし、衛生面でも清潔に保管することができますので、おしゃぶりの保管や持ち運びに困っているお母さんは是非検討してみてください。
ママのストレスが減る
おしゃぶりを使うことで、赤ちゃんが安心して泣き止むなど、ママの育児ストレスを軽減するグッズでもあります。寝付きの悪い赤ちゃんが、おしゃぶりを与えることで安心してぐっすり寝てくれることもあります。寝不足のお母さんには、赤ちゃんが少しでも泣き止んでくれる時間が出来る心強いアイテムです。
おしゃぶりを使用していることで赤ちゃんの口は塞がっていますので、鼻から呼吸が出来る状態であるかは必ず確認してください。赤ちゃんは苦しくてもお母さんに伝えることが出来ません。特に風邪を引いていて鼻が詰まっている時などは気をつけましょう。必ず赤ちゃんが寝たことが確認出来たら必ずおしゃぶりを口から外してください。また、母乳やミルクを与えられない環境でも、おしゃぶりを与えて落ち着かせることができるというメリットもあります。
電車などで、赤ちゃんがぐずり出し、泣き止まない時にお母さんはどうしても人の目が気になります、そんな時にその場をしのぐお助けアイテムとして便利です。マザーズバッグに1つ用意しておくとお出かけの時に役立ちます。
おしゃぶりのデメリット
- 習慣性となりやすい
- 長期間の使用で噛み合せが悪くなる
- 「なぜ泣いているのか?」考えずに使用してしまう
- あやすのが減る
- 言葉かけが減る
- ふれあいが減る
- 発語の機会が減る
発語やことばを覚える1歳過ぎになったら、おしゃぶりのフォルダーを外して、常時使用しないようにしたり、出来るだけ言葉がけや触れ合いを大切にし、発語の機会を奪わないようにしましょう。
おしゃぶりを使用している子どもは、使用していない子どもと比較して上顎前突、開咬および乳臼歯交叉咬合の発現率が高くいものの、止めると噛み合わせの異常は改善しやすいです。しかし、乳臼歯が生え揃う2歳半、さらに3歳過ぎまで使用していると噛み合わせの異常が残ってしまうため、2歳までに止めることがよいでしょう。3歳過ぎまで使い続けている場合は情緒面の発達に不安があるので、小児科を受診しましょう。
子供の癖というものは、1度覚えると直すことが難しいものです。おしゃぶりは小さなうちに自然と辞めていくことが理想的ですが、大きくなってもまだ使用している場合は辞めさせるのが難しかったり、他のものを求めて指しゃぶりや爪を噛むことに変わってしまったりすることが考えられます。
おしゃぶりは毎日の習慣にするのではなく、いざという時のお助けアイテムの1つとして付き合っていきましょう。
吸啜反射は哺乳反射のひとつ!新生児が母乳やミルクを飲める秘密
吸啜反射は哺乳反射の一つです。哺乳反射とは生まれたばかりの手や足も満足に動かせない赤ちゃんが、自分の力で母乳やミルクから栄養を摂り生きていくために必要なものです。
野生の動物の赤ちゃんがが産まれて直ぐに立ちお母さんのおっぱいを飲む場面をテレビで見たことはありますか?産まれた瞬間から生きる為に立つということが備わっているのです。それと同じように、人間にも生きる為に母乳やミルクを飲み栄養を取ることが出来るように哺乳反射のひとつとして吸啜反射が備わっています。
哺乳反射とは母乳を吸うための一連の反射
母乳を吸う(吸啜反射)唇に乳首などが触れると首を回す(探索反射)、乳首が口に入るとくわえる(捕捉反射)、母乳を飲み込む(嚥下反射)など一連の反射を含めて「哺乳反射」といいます。
在胎児から備わった哺乳反射により赤ちゃんは生まれた時から母乳やミルクを飲むことができます。
以下の4つをまとめて哺乳反射といいます。
吸啜反射
口の中に取り込んだものを、舌で包んでしごくように動かす行動です。
探索反射
探索反射は、唇や口の周りに触って刺激を与えると、刺激された方に顔を向ける行動です。
捕捉反射
乳首が口に入るとくわえる行動です。
嚥下反射
母乳など口に入った液体を飲み込む行動です。
- 新生児の反射まとめ|反射の種類・消失時期・異常反応
新生児の反射運動には様々な種類があり、初めて子育てをされるお母さんは「これ正常なの?」など戸惑うことも多いはずです。そんなお母さんに向けて赤ちゃんの反射の種類や消失時期、異常反応について解説します。
生後6ヶ月までしか見られない吸啜反射を楽しもう
哺乳反射・原始反射について解説してきましたが、吸啜反射は赤ちゃんに生まれた時から備わった赤ちゃんが自分で栄養を取るために必要な反射です。胎児の頃から見られ、離乳食を始める生後6ヶ月頃には消失しますが、その頃には自分の意志で食べ物を噛んだり飲み込んだりする「随意運動」が発達するようになります。
吸啜反射は身体機能が発達する前に見られる赤ちゃんらしく可愛らしい行動ですので、毎日の授乳の時間に赤ちゃんの反応を良く見て吸啜反射を確認してみましょう。赤ちゃんの生命力を感じる吸啜反射はお母さんもパワーをもらるのではないでしょうか。親子の時間を大切に、赤ちゃんの成長を見守っていきましょう。