赤ちゃんがおっぱいを嫌がる原因
赤ちゃんがおっぱいを嫌がる12の原因
赤ちゃんがおっぱいを嫌がると、母親的には切ない気持ちになります。母乳が出ていないのかな?どこか悪いのかな?と心配事は尽きませんが、実は赤ちゃんがおっぱいを嫌がる原因はたくさんあります。自分の気持ちを表現することができない赤ちゃんの代わりに、ママが対処法を見つけてあげましょう。
おっぱいの状態や母乳育児の方法が原因で嫌がるケース
産まれたばかりの赤ちゃんにとって母乳は唯一の食料であり、それが欲しい一心で激しく泣くほどです。そのため、「赤ちゃんはおっぱいが大好き」と多くの人はイメージしているでしょう。
しかし、母親がおっぱいを与えようとすると、なぜか赤ちゃんが嫌がって泣くケースが時折見受けられます。
赤ちゃんがおっぱいを嫌がる原因としては非常にたくさんの原因が考えられますが、まずはお母さん側に考えられる原因をご紹介します。
1.哺乳瓶の方が飲みやすい
赤ちゃんにとって母乳を飲むのはなかなかたいへんな仕事です。特にまだ吸う力が弱い新生児や低月齢の子は乳首に吸い付くのも一苦労で、思うように母乳を飲むことができません。
一方で、哺乳瓶は乳首よりも簡単にミルクを飲めるように作られています。赤ちゃんにとって乳首を吸うのは体力も必要なので、疲れてしまう授乳よりも、哺乳瓶を好むようになります。
乳頭混乱(ニップルコンフュージョン)
乳頭混乱は、母乳とミルクの混合授乳で育てている場合によく起こる症状です。赤ちゃんが母親の乳首を吸うことを嫌がり、哺乳瓶に入れられたミルクや母乳を好むようになります。
乳頭混乱は、あくまで「おっぱいを吸う」という行為に抵抗を示しているだけなので、哺乳瓶の中身は母乳とミルクのどちらでも赤ちゃんは飲むのが特徴です。一度搾乳した母乳を哺乳瓶に入れて飲ませてみると、母乳の味が嫌で飲まないのか、乳頭混乱を起こしているのか、はっきりするでしょう。
2.乳首が吸いにくい
お母さんの乳首が「扁平乳頭」「陥没乳頭」の場合、赤ちゃんがうまくおっぱいに吸いつけない可能性が高くなります。もちろん何の問題もなくおっぱいを飲んでくれる赤ちゃんもいますが、赤ちゃんにもおっぱいを飲むのが上手な子、下手な子がいるので、母子の相性と考えるしかありません。
授乳前にマッサージをして乳首が柔らかくなると、赤ちゃんが飲みやすくなります。
ラッチ・オンとは?
「ラッチ・オン」(Latch on)とは「しっかり掴む」という意味ですが、赤ちゃんが乳首を吸おうとしている時にお母さんがうまくくわえさせてあげる方法です。
乳首が赤ちゃんの舌の上に乗るように調整したり、赤ちゃんに乳房を近付けて自分からくわえてもらうように促したり、赤ちゃんと目が合うような姿勢を意識します。
3.母乳よりもミルクを先に与えている
混合授乳の場合は、母乳とミルクの順番を考える必要があります。最初に哺乳瓶でミルクをあげてしまうと、その飲みやすさが心地良くなり、お腹もある程度満たされるため、母乳を飲むのを嫌がる可能性が高くなります。
おっぱいを嫌がって泣いてばかりの赤ちゃんやまったく受け付けない場合は、一旦哺乳瓶でミルクをあげて落ち着かせるのも1つの方法ではあります。しかし、必要な量よりも少なめにして、途中で母乳をあげたり、飲んでいる間に眠くなってウトウトしている時に哺乳瓶と乳首をすり替えるなどの対策をとりましょう。
注意しなければいけないのは、毎回ミルクを先に飲ませると癖になってしまうことです。機嫌が良い時や眠そうにしている時は先に母乳をあげるように心がけてください。
4.味が気に入らない
神経質な赤ちゃんは母乳の味の変化に敏感なので、気に入らない味の時は飲みたがらないこともあります。おっぱいはお母さんが食べるモノによって変化するので、食事の栄養が偏って、味が落ちると嫌がるようになる場合が多いです。
5.吸っても母乳が出てこない
それまでは普通におっぱいを飲んでいた赤ちゃんが急に飲まなくなった場合は、母乳の出が悪くなった可能性もあります。乳房にしこりがないか確認してみて下さい。乳管が詰まると固いしこりができて母乳の出が悪くなるので、いくら赤ちゃんが頑張って乳首を吸っても出てこず、疲れ果ててしまいます。
自分でマッサージをして解消されればよいですが、できない場合は母乳外来がある婦人科を受診してマッサージの方法を習いましょう。乳管が詰まった状態が長く続くと「乳腺炎」になる恐れもあるので、早めに対処した方が良いでしょう。
赤ちゃんに原因があり、おっぱいを嫌がるケース
母乳を嫌がるのはお母さん側の原因だけではなく、赤ちゃん自身に原因がある場合もあります。なかなかわかりづらい原因でもあるので、普段からお母さんが気を付けて観察してあげましょう。
6.哺乳力が弱い
産まれたばかりの新生児や低月齢の赤ちゃんは、まだ十分に口の筋力が発達していないので、乳首を吸いたくても上手くできないことがあります。そのため、少し吸って「もういい!」とおっぱいを拒否します。しかし、もちろん満腹にならないので、結局すぐに母乳を欲しがる様子を見せたり、不機嫌になります。
授乳回数が多くなれば徐々に口周りの筋肉が発達して哺乳力が強くなるので、上手に飲めるようになります。頻回授乳を繰り返し、気長に付き合ってあげましょう。
ただし、体重が増加しないなど、明らかに母乳(栄養)不足の場合は、ミルクを足すなどの対策を同時に行ってください。
7.口内炎
赤ちゃんに口内炎ができている場合、母乳を飲むと口内炎にしみて強い痛みを感じます。
赤ちゃんの口内炎の原因には、大人と同じものと、乳幼児がかかりやすい感染症によるものの2種類が存在します。
アフタ性口内炎
大人の口内にできる一般的な口内炎と同じで、歯や食べ物との摩擦によってできます。赤ちゃんだと、おもちゃを口にぶつけた拍子にできることもありますが、1週間ほどで自然に治ります。
ウイルス性口内炎
生後半年~3歳までにかけてなりやすい「ヘルペス性口内炎」や夏風邪と呼ばれる「ヘルパンギーナ」、また「手足口病」でも口内炎ができます。
8.歯の生えはじめ
歯が生え始めると歯茎が痒くなったり、痛くなったりと口内に違和感があり、機嫌も悪くなりがちでなかなか落ち着いて母乳を飲むことができません。歯が生え始める時期は個人差がありますが、早ければ生後3ヶ月くらいから生え始めるので、口の中をチェックしてみましょう。
9.鼻詰まり
赤ちゃんの鼻はちょっとしたことが原因で詰まってしまいます。鼻と口はつながっているので、鼻が詰まったまま母乳を飲むのは苦しいはずです。リラックスできるように鼻詰まりを解消してからゆっくり母乳をあげてください。
10.下痢や便秘をしている
赤ちゃんはお腹の調子が悪いと母乳を嫌がることがあるので、便の調子などを確認してみましょう。
下痢の場合
便が通常よりもゆるい場合は下痢をおこしている可能性があるので、脱水症状に気を付ける必要があります。おっぱいを飲まない場合は他の手段で水分補給を行って、お腹を温めるなどの対策を行います。
便秘の場合
赤ちゃんは快便なイメージがありますが、意外に便秘はよく見られる症状です。ただし、おっぱいを飲まないレベルの便秘は、お腹がパンパンに張ってしまっているはずですから、早急に対処した方がよいでしょう。
綿棒にオイルを染み込ませて肛門の周りを刺激したり、「の」の字マッサージなどの方法があります。原因が水分不足の場合もあるので下痢と同じく水分補給も行いましょう。食欲がない状態が続くようなら、小児科を受診しましょう。
11.空腹ではない
赤ちゃんだからといって毎日必ず同じ時間にお腹が空くとは限りません。いつもこの時間におっぱいをあげるからといって、眠そうにしている赤ちゃんに飲ませようとしても、拒否する可能性もあります。また、成長し、知らず知らずに一度に母乳をたくさん飲めるようになっていることもあります。
ただ単にお腹が空いていないだけでおっぱいを嫌がる場合があるということを頭に置いて、ゆっくりと授乳のタイミングをつかんで行きましょう。
12.周りの言葉が気になる
赤ちゃんだから大人の話していることなんてわかるはずないと思ったら大間違いです。赤ちゃんは何も話せなくても、言葉を覚えようとする力は常に成長しているので、周りの人の言うことを理解しようとしているのです。
例えばお母さん以外の人に、「ママは毎日あなたにおっぱいあげるのが大変なのよ」と話し掛けられると、大人は冗談のつもりで言ったとしても、赤ちゃんにとってはおっぱいを飲むのが悪いことだと思い込んでしまう可能性があります。
また、お母さん自身が授乳の際に、めんどくさそうにしていたり、不機嫌でイライラした様子を見せると、赤ちゃんはおっぱいを飲む行為が楽しくない、嫌なものと認識してしまいます。
お母さんが「美味しい?」「ゆっくり飲んでね」といった言葉をかけながら授乳をすれば、安心しておっぱいを飲めるはずです。
月齢によって違う!赤ちゃんがおっぱいを嫌がる原因
赤ちゃんがおっぱいを嫌がる原因は月齢によっても違いがありますが、それぞれの時期によく考えられる原因を紹介します。
新生児はおっぱいのあげ方が問題に!
母乳か、ミルクからしか栄養を摂れない新生児の場合は、まず赤ちゃんがおっぱいを飲みやすい姿勢を見つけることが重要なポイントです。無理に吸い付かせたりせず、赤ちゃんがリラックスできる姿勢をキープしながら授乳すると飲みやすいでしょう。
また母乳の出が良すぎて赤ちゃんが母乳を飲み込む前にどんどん口の中に入ってきてむせてしまうこともあります。縦抱きで授乳したり、赤ちゃんに飲ませる前に圧抜きするなど対策しましょう。
生後3ヶ月~8ヶ月は乳頭混乱の可能性が濃厚!
新生児期は問題なかったのに急におっぱいを拒否し始める場合は、乳頭混乱を起こしている可能性が高いです。
乳頭混乱は、
- 母乳を先に飲ませる
- 哺乳瓶の乳首(ニップル)を乳頭混乱防止用の飲みにくいものに変える
などの方法で改善できるケースも多いです。
しかし、哺乳瓶に慣れきっている赤ちゃんは、再びおっぱいを吸うようになるまでにやや時間がかかるのが難点です。
母乳は赤ちゃんの免疫力を高める働きもありますし、お母さん自身も授乳をしないと母乳量が減少してしまいます。哺乳瓶の中はミルクではなく、搾乳した母乳にすることをおすすめします。
生後9ヶ月以降は卒乳のサインかも!
離乳食が始まればおっぱいを飲ませる機会も減りますが、9カ月を過ぎ離乳食が進むと、母乳やミルクで摂取するべき栄養は全体の30%~40%と半分以下になります。
もちろん授乳は単に栄養面ではなく、精神的な意味もありますが、自分からおっぱいを欲しがらないようになる赤ちゃんもいます。離乳食が順調なら、1歳を目安にそろそろ卒乳を意識しても良いでしょう。
赤ちゃんがおっぱいを嫌がる時の対処法
赤ちゃんがおっぱいを飲んでくれない時、どんな対処法があるのか?
お母さんとして出来ることをぜひ試してみて下さい。
授乳姿勢を変える
赤ちゃんにしっかりおっぱいを飲んでほしい時は、授乳時の姿勢も重要ポイントです。ただし、いつも同じ姿勢で授乳していると乳腺炎の原因になってしまうので、いくつかパターンを用意しておくのがおすすめです。
横抱き
背もたれがあるソファーや椅子に座って、母乳をあげる方の腕に赤ちゃんを抱き、逆の手でしっかりと赤ちゃんを包み込んで引き寄せます。赤ちゃんの鼻と乳首が一緒の高さになるようにして、口を開けたら乳首をくわえさせてあげます。赤ちゃんを乗せるためにクッションを下に置くと楽になります。
縦抱き
背もたれとの間にクッションなどを入れて前かがみにならないように座り、母乳をあげる方の太ももに赤ちゃんを座らせるように抱きます。赤ちゃんの鼻と乳首を同じ位置にすると、くわえる際に上を向いて顎が上がるので飲みやすくなります。首が座っていない赤ちゃんの場合は、しっかりと抱きかかえてください。
添い乳
赤ちゃんと向かい合わせで横向きに寝て、下側の乳房に赤ちゃんを引き寄せます。横向きになっている赤ちゃんの下にある腕を踏んでしまわないように、身体の下にクッションを挟むと安全です。反対のおっぱいをあげる時はうつ伏せになるように身体を倒して乳首をくわえさせてあげましょう。
お母さんにとっては楽な姿勢である添い乳は人気がありますが、赤ちゃんにとってはゲップが出にくくなる姿勢でもあるので、授乳が終わったら縦抱きにして背中をさすってあげる必要があります。
ラグビー抱き
お母さんのお腹と赤ちゃんのお腹が向き合うようにして、母乳をあげる方のおっぱいの脇に赤ちゃんを寝かせ、同じ方の手を赤ちゃんの背中に回して肘で頭を支えます。赤ちゃんをおっぱいに寄せて乳首をくわえさせますが、赤ちゃんが見上げるとお母さんと目が合うような姿勢を保つことがポイントです。
搾乳して哺乳瓶で飲ませる
おっぱいを嫌がって飲まないけれど、哺乳瓶を嫌がらない場合は、搾乳した母乳を哺乳瓶に入れて飲ませる方法があります。
搾乳は除菌などにも気を使う必要がありますが、飲んでくれないという悩みは解消できます。乳頭混乱を起こしている場合、改善には時間がかかりますから、一時的にこうした対処法が必要となる可能性はあります。
母乳の味を変える
母乳はお母さん食べ物によって味が変わります。母乳は血液からできていますが、例えば高カロリーな食べ物ばかり食べていると血液と同じく母乳もドロドロになって飲みづらくなります。疲れた時は甘いモノを欲しますが、食べ過ぎは要注意です。
おいしい母乳を作るために必要なのは、栄養バランスのとれた食事です。ご飯、汁物、主食、副菜といった和定食がおすすめです。特に消化が良く水分も多い米、魚類、副菜では豆類や海藻類も積極的に摂りたい食材です。
無理に飲ませようとするのは厳禁!
どうしても母乳を飲んでほしい!という気持ちから、ついつい嫌がる赤ちゃんに無理強いしてしまうお母さんもいますが、これは確実に逆効果です。
母乳を飲まないのは赤ちゃんにとって「飲みにくい!」「おいしくない!」という気持ちの表れなので、自己主張の証だと思って受け入れてあげましょう。
赤ちゃんがおっぱいを嫌がっても冷静な対応を!
お母さんにとって赤ちゃんにおっぱいを嫌がられるのはショックな出来事です。しかし、赤ちゃんも理由があって飲まないので、その原因を察してあげることが大切です。
赤ちゃんが嫌がる原因を推測し、適切な対処法を試みてください。焦らずゆっくり赤ちゃんと向き合って、授乳時間を楽しく過ごしましょう。