初乳はいつまで?与えるメリット
初乳の時期はいつまで?赤ちゃんに与える重要な免疫効果
初乳はいつからいつまで新生児の赤ちゃんに与えれば良いのか、時期や重要性など初乳について解説します。初乳には赤ちゃんを守るための抗体が含まれていますが、それがプレッシャーになっては大変です。初乳の出が悪いときのマッサージや母乳にいい食べ物、母乳外来などについても触れています。
初乳はいつまで赤ちゃんに与えるの?特徴と分泌される時期・初乳の出について
母乳育児をする中で、初乳の重要性についての話を耳にするかもしれません。ここでは、初乳に関することを分かりやすくご紹介します。それと合わせて、母乳分泌をよくするためのマッサージ方法や母乳のために良いとされる食事などもご紹介しています。
黄色みでとろみがある母乳が初乳
初乳とは、出産後約5日から10日以内ぐらいに出る母乳のことを指します。通常の母乳の色が白っぽい色なのに対して、初乳は黄味を帯びた色合いで少しとろみがあるところにその特徴があります。また生まれたばかりの赤ちゃんを守る免疫成分を豊富に含んでいることでも知られています。
赤ちゃんを守る免疫成分が豊富に含まれている
初乳は通常の母乳よりもビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなどの栄養価が高く、免疫グロブリンAや、免疫調整・抗ウイルス作用などの働きがあるラクトフェリンが豊富に含まれています。更には、脳の発達を助けるDHA成分も含まれています。こうした成分によって、赤ちゃんの免疫力・殺菌力向上、胎便排出促進、感染症予防、体力増強といった効果が得られます。
産後5日から10日以内に分泌される
初乳期間には特に明確なものがあるわけではありません。しかし、おおよその期間として大体出産後5日から10日以内くらいに分泌されます。
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人工ミルクにはない初乳の役割
初乳は人工ミルクに比べて、たんぱく質、IgA、ラクトフェリンがより豊富に含まれています。それによって母乳だと、赤ちゃんに必要な免疫物質をより多く赤ちゃんに与えることが可能になります。
免疫力とは?体を守るための抗体
赤ちゃんは母親のお腹の中にいる間、胎盤を通して母親の抗体「免疫グロブリンG」をもらっています。これと、初乳に含まれている抗体が、約6ヶ月程度の間、病原菌の感染から赤ちゃんをしっかり守ってくれます。
初乳が大切と言われる理由は、初乳に特に抗体が豊富に含まれ、赤ちゃんに必要な免疫力が備わるからです。
免疫力とは
身体を守る防衛機能のことを指し、体内に入ったウイルスや細菌などから自分自身の身体を守る力のことを言います。
免疫と抗体
免疫の一つに抗体があります。抗体には様々な種類があり、人によってもっている抗体は様々です。
初めて病気(例えばインフルエンザや風疹などの感染症)にかかった時、その人はまだその病気に対する抗体はないので、免疫力によって回復しようとします。
その過程の中でリンパ球から抗体が作り出され、病気が治ります。更にこの抗体はずっと体内に留まるので、次に同じウイルスに感染する確率がとても低くなるのです。
身体を守る5つの抗体
初乳に含まれる抗体には以下の5種類があり、それぞれが役割を持ち、赤ちゃんを細菌やウイルス感染から守っています。
IgG(免疫グロブリンG)
ひとの血清の免疫グロブリンの75%を占め、体中の血液、組織液に存在している抗体です。ウイルスや細菌などの病原菌と結合し、その毒素の緩和などによって生体を守る働きをします。
この抗体はひとの胎盤を通過できる唯一のものであり、赤ちゃんが自分の免疫系を確立する生後約1週間までの間、赤ちゃんを守っています。
IgA免疫グロブリンA)
この抗体は、ほ乳類及び鳥類に存在する免疫グロブリンです。主に消化管、気道、鼻腔の免疫防御効果をもちます。
分泌型の免疫グロブリンAは初乳に含有され、赤ちゃんの消化管を細菌やウイルス感染から守る働きをしています。
IgM(免疫ブログリンM)
ひとが持つ抗体の中では最もサイズの大きな抗体になります。病気に感染した際にまず生体の防御の役割を担うのがこの免疫ブログリンMです。免疫ブログリンGとは異なり、この免疫ブログリンMはひとの胎盤を通過できません。
IgD(免疫ブログリンD)
免疫ブログリンDは抗体タンパク質の一つとして知られています。
IgE(免疫ブログリンE)
この抗体は、ほ乳類にのみ存在する糖タンパク質です。免疫グロブリンとしては最も量が少なく、喘息や花粉症などのアレルギーを起こす抗体です。免疫ブログリンEは免疫ブログリンMと同様に、ひとの胎盤を通過できません。
初乳は赤ちゃんのアレルギー体質を予防する
初乳が大切といわれるのは、今まで述べてきたように、初乳には免疫物質が豊富に含まれているので、赤ちゃんにとっても最初の予防接種のような役割を果たすからなのです。その他に、初乳には緩下作用があるため、赤ちゃんの排泄を助けます。
これによって黄疸を予防するのに役立つと言われています。また、まだ胃や腸などの消化器官が十分に成長していない赤ちゃんにとっても、初乳は消化・吸収がよくアレルギーになりにくい体作りに最適なのです。
初乳をしっかり与えたい!母乳の分泌を促すには
健康的なバランスの良い食生活を心がけ、授乳の前のマッサージを入念にすることが大切です。更に、お母さんがストレスフリーでリラックスしていて、十分な休息が取れていることも母乳分泌量に影響します。
母乳育児にはストレスが大敵
出産直後から母乳を飲ませ始めるため、お母さんは出産の疲労を癒す暇なく母乳育児に突入することになります。体の疲れ、初めての3時間おき授乳など慣れないことや疲労が溜まった状態がずっと続きます。
- どうして母乳がでないの?産後、思うようにおっぱいが出ないことで、焦ってしまうママはとても多いようです。そんなママの不安を軽くするため、母乳が出ない原因と対処法をまとめてみました。
そんな中で、赤ちゃんがなかなか母乳を飲んでくれない、母乳の出が良くない、赤ちゃんがよく泣くなどの問題に直面し、産後1、2週間は育児ブルーに陥るお母さんがほとんどです。しかし困ったことに、こうしたストレスは更に母乳の出を悪くしてしまいます。
産後1週間から2週間は人手を借りましょう。なんでも自分でやろうとするのではなく、お母さんのリラックスタイムを設けつつ、出来る範囲の育児をしましょう。
仮に母乳の出が悪くても、決して自分を責めないでください。授乳しているうちに自ずと母乳の出がよくなることもあります。忍耐が肝心です。
始めの1週間は頑張りが必要
経産婦さんでもない限り、最初から母乳が良く出るという人は多くありません。胸がパンパンに張って痛むこともありますが、辛いのは最初の1週間程度です。慣れるまで頑張りましょう!
授乳のポジショニングについて
まず赤ちゃんの口は、「アヒル口」が原則です。方法としては、赤ちゃんに大きく口を開けてもらい、乳輪全体を含ませます。授乳中のポジショニングとしては
フットボール抱き
ラグビーボールを抱えるような抱き方
縦抱き
赤ちゃんと正面に向かって授乳する抱き方
などがあります。色々な方向から吸ってもらうことが重要なので、一つのポジショニングに固執せず、色々な抱き方で授乳してみて下さい。
母乳分泌を促すマッサージ
おっぱいや乳頭・乳輪のマッサージは、授乳期からすればよいものではありません。妊娠中も安定期に入ってからは毎日するように心がけましょう。その努力次第で、出産後のおっぱいトラブルも大分軽減されます。切迫早産の場合などは、マッサージは控えます。主治医や助産師の指導の元で行ってください。
おっぱいマッサージとは
おっぱいマッサージは母乳の分泌促進を図るマッサージです。このマッサージをすることで血液の流れがよくなり母乳の出が促進されます。
おっぱいマッサージの方法
- 右手の手の平と指で、ハンドボールをつかむように指を広げて左のおっぱいを持ちます。左手の手をおっぱい上部にあてて、右側に向かって押します。この動作を4~5回繰り返します。
- 右手の位置を少し下にずらし、小指側をおっぱいの外側下方(斜め下)にあてます。左手は右手の下にあて、右の肩に向かって押すようにします。この動作を4~5回繰り返します。この時、右の手の平でおっぱいをつぶさないように注意して下さい。
- 右の手の平の小指側を、おっぱいの下にそえるように置いて、おっぱいを真上にすくい上げるようにします。この動作を4~5回繰り返します。前から手の平が見えるくらいがちょうどよい位置になります。
逆側も同様に①~③のマッサージを行ってください。
乳頭・乳輪マッサージとは
乳輪・乳頭マッサージは、乳頭の伸びをよくして、授乳時の摩擦に強い乳頭へ整えます。乳頭が硬いままだと赤ちゃんが上手く吸えずに母乳が出にくくなってしまいます。
乳頭・乳輪マッサージ方法
- 普通で3秒、乳首が硬ければ5~10秒かけて少しずつ圧を加えながら、圧迫します。
- 最初はゆっくり、乳頭・乳輪部を、位置や方向を変えながら1分ぐらい圧迫します。乳首の硬い人、過敏な人は2~3分くらい十分に行うことが大切です。
- 次に、横方向と縦方向にこよりを作るような感じでもみずらします。最初はゆっくりと痛くない程度に。ある程度もみほぐされたら、十分もみます。乳首が敏感で、圧迫刺激だけでも痛い人は、まず圧迫刺激に慣れるようにしましょう。
マッサージをするタイミング
どちらのマッサージを行う場合でもタイミングとしては、妊娠中はお風呂に入っている時、授乳中は授乳の前にそれぞれ行ってください。妊娠中はマッサージをすることでお腹が張ることもありますので、16週目以降からこのマッサージをすることをおススメします。
母乳に良いとされる食べ物
母乳は、お母さんの血液から作られます。つまり、お母さんの食事が胃で消化、小腸で吸収され、血液となり乳房で母乳へと変わるので、お母さんの食事は直接的に母乳に影響を与えることになるのです。
- 母乳にいい食べ物、悪い食べ物を食材からご紹介!おっぱいの質はママの食べ物で変わります。良い母乳を出す食べ物を積極的に摂り赤ちゃんにとって質の良い母乳育児とするため食材から食事への取り入れ方までご紹介!
脂っぽいものや糖分が多いものを好んだり、水分をあまり摂らないと母乳が詰まる原因になるので気を付けましょう。
摂取した方が良いもの
・水分が多く体を温める献立
ロールキャベツ、シチュー、鍋物、具だくさんのうどん、スープなど
・和食
控えた方が良いもの
・体を冷やす生野菜
・糖質と脂質が多い洋菓子
ケーキやアイスクリームなど
・揚げ物
・乳製品
あまりにも初乳が出ない、痛すぎて辛いなら相談を
乳房が張ってしまって痛くて辛い場合は早めに診てもらいましょう。
産院
おっぱいトラブルとして乳腺炎になってしまった場合は、即産院に連絡しましょう。乳腺炎を放置してしまうとその後大変なことになってしまいます。
母乳外来
病院によっては「母乳育児支援外来」というものを用意しています。ここには例えば「母乳の出が今一つ」「母乳が出すぎて困る」「乳房が張り過ぎて痛い」「母乳が足りているか心配」「赤ちゃんが上手く飲んでくれない」などの問題が生じた時に相談に行くという感じになります。基本的には助産師による乳房のケアが主になります。
- 母乳外来とは母乳にまつわる悩みやトラブル全てをサポートする母乳育児ママの心強い味方です。母乳の悩みを抱えるママのためにある母乳外来、実際にみんなが受診している具体的ケースや費用など母乳外来について詳しく説明します。
大切なのは「初乳はいつまで」という期限ではない
初乳の量や分泌される期間は人それぞれです。他人と比べて一喜一憂せずに、自分のペースで授乳させること、新生児に大切な初乳があまり出ないからと落ち込まないことが大切です。
抗体は初乳に多く含まれるものの、その後の母乳にもある程度は含まれます。「初乳はいついつまでだから…」と焦ることなく、気を楽に、辛い時にはミルクも併用しながら取り組むのもアリなのです。