離乳食のりんごはいつから、どの種類がおすすめ?
離乳食にりんごはすりおろしたり、小さく切ったりして初期から後期まで活躍させられる果物です。りんごは一年を通して比較的安価で手に入りやすい果物の一つですし、旬である秋になると、真っ赤に色づいたりんごがたくさんお店に並びます。
昔から「りんごが赤くなると医者が青くなる」と言われ、栄養豊富な食材でもあります。りんごは食べやすい果物の一つなので、0歳・1歳頃の離乳食期から食べ慣れておくと、赤ちゃんの生涯の健康にも役立つ食材でもあります。
りんごはいつから食べさせて良いのか、アレルギーのリスクや豊富に含まれる栄養素、おいしいりんごの選び方、相性が良い食材、そして簡単に作れる離乳食のレシピをご紹介します。
離乳食のりんごは初期は加熱して、後期以降は生で手づかみ食べOK
りんごは消化吸収されやすい果糖やぶどう糖が多く含まれるので、離乳食初期から使える食材の一つです。甘みもあり、赤ちゃんが気に入りやすい味をしていることも特徴です。
また、加熱すると柔らかくなり、更に甘みが増します。薄切りなど切り方を工夫すれば、離乳食後期には生食でき、手づかみ食べできる果物としても重宝するでしょう。
りんごにもアレルギーのリスクはあり!
離乳食初期の食材として人気のりんごですが、実はりんごは果物の中では食物アレルギーを引き起こしやすい存在です。
日本では食品衛生法にて、食物アレルギーを引き起こす可能性が高い27品目の食材について「特定原材料(義務品目)」「特定原材料に準ずるもの(推奨品目)」として、商品の原材料欄に表記を義務づけられたり、可能な限り表記するように推奨されています。
りんごはこのうち「特定原材料に準ずるもの(推奨品目)」の一つとして扱われています。
りんごなど果物のアレルギー症状は口や喉に出やすい
りんごを食べると現れるアレルギー症状の代表的なものに、のどがかゆくなる、口がひりひりするといった口腔内でのアレルギー症状があります。これはりんごを含むバラ科の食材で特徴的な症状で、他には梨、いちご、桃といった果物が挙げられます。
ただし、アレルギーの症状は人それぞれなので、口腔内の症状以外にも表れることがあります。
りんごを離乳食として初めて与える際には、赤ちゃんの様子に変化がないか十分に気を配りましょう。
離乳食に向いているりんごの品種は?
りんごは品種改良がなされ、スーパーでもたくさんの種類や名前のりんごが販売されています。
日本で作られているりんごには「ふじ」「ジョナゴールド」「つがる」「王林」「紅玉」の5種が代表的です。それぞれの特徴と離乳食との相性は次のようになります。
【ふじ】生食で味わいたいので後期以降がおすすめ
赤いりんごで、日本で一番多く生産されている品種です。大人にとっては、1番定番の品種ではないでしょうか。しかし、シャキシャキとした食感で、甘味だけでなく、ほどよい酸味がふじの魅力。そのため、離乳食初期よりは、後期以降の生食に向いています。
【ジョナゴールド】初期からOK!果汁が多い!
ゴールデンデリシャスと紅玉の交配種の赤いりんご。果汁が多めで、ふじに比べると柔らかい食感です。やや酸味がありますが、加熱調理すれば問題ありません。離乳食初期から調理可能です。
【つがる】甘味が強く、酸味は弱いので、初期のすりおろし向き!
あおりんごと、赤りんごのサンつがるがあります。ふじに次ぐ全国2位の生産量を誇ります。
ジョナゴールドよりさらに柔らかく、果汁も多め。酸味が少なく、甘みが強いので、離乳食初期に使いやすいでしょう。
【王林】甘味が強く、柔らかい青りんごの代表格!初期から加熱して使いやすい
「りんごの中の王様」という意味の黄緑色のりんごです。見た目によらず実は酸味がほとんどなく、食感も柔らかめです。
酸味があり、シャキシャキとみずみずしさのあるふじりんごが好きな人は、王林は「あまりりんごらしくない」と感じるかもしれません。
しかし、離乳食初期から使いやすい品種です。
【紅玉】加熱しても崩れないので、後期以降に!
深い赤色が特徴で、ジャムやアップルパイといった皮ごと調理に向いている品種です。加熱しても形が崩れにくいという特徴があるため、初期や中期にはやや不向きです。後期や幼児食のおやつに作りに向いている品種と考えましょう。
おいしいりんごの選び方は、重さと色がポイント
見た目は皮にハリとツヤがあり、持つとずっしりと重みがあり実がよく締まっているものがおすすめです。赤いりんごの場合は、お尻の部分まで赤くなると完熟しているサインになります。
離乳食初期のりんごレシピ・すりおろして加熱で簡単に!
多くの赤ちゃんが生後5,6ヶ月頃に開始する離乳食。この頃の赤ちゃんは、食べることに興味を持ってはいるものの、消化機能は未熟な状態です。消化不良を防ぐために、どんな食材も加熱調理が原則なので、りんごも加熱調理します。
裏ごしすると食べやすくなりますが、やや面倒です。つがるやジョナゴールドといった品種は水分が多いので、すりおろしてレンジで加熱するだけでもOKです!
念を押しておきますが、りんごはアレルギーの可能性のある食材です。最初はベビースプーン1杯からスタートし、赤ちゃんの様子を注意深く観察しましょう。
5・6カ月のりんご初体験メニュー!すりおろしりんごのペースト
材料:りんご(つがる・ジョナゴールド・王林など適量)
1.りんごは皮をむいてすりおろします。
2.少量の場合は耐熱容器に入れて、ふんわりとラップをかけ電子レンジ600Wで20~30秒加熱します。
※りんご半分以上の大量の場合は、小鍋にいれて弱火で5~10分程度加熱がおすすめです。出来上がったら製氷器などに小分けし、冷凍保存がおすすめです。冷凍保存する場合は2週間を目安に使い切りましょう。
丸ごとのリンゴを触らせて赤ちゃんに「りんご」を教えてあげよう
離乳食には食材の味を知るという目的もあるので、離乳食初期は「これはりんごだよ」と声掛けをして、りんごの味を赤ちゃんに教えてあげましょう。
食べ物に興味を持ってもらうために、与える前には切る前のりんごを赤ちゃんに見せるのもおすすめです。丸いもの、色のはっきりしたものは赤ちゃんが大好きなものなので、りんごを見せると興味を持ってくれるでしょう。
離乳食中期のりんごレシピ・小さめの煮りんごに挑戦!
生後7ヶ月、8カ月にあたる離乳食中期も、赤ちゃんの消化器官はまだまだ未熟です。りんごは加熱調理しましょう。
舌を上下や前後に動かして、もぐもぐできるなってきたら、りんごはすりおろしたペースト状から、細かく刻んで加熱したものへ食感を変えていくのがおすすめです。
中期に与えられる目安量は、中玉りんご1/8個程度の30gです。
7カ月からOKの豆乳使用!ブラマンジェ風りんごソース
材料:りんご1/10個(30g)・豆乳 大さじ2・片栗粉 小さじ1
1.りんごは皮をむき、細かくみじん切りにし、耐熱皿に入れてふんわりとラップかけて電子レンジ600Wで30秒加熱します。
2.耐熱容器に豆乳と片栗粉をいれて混ぜ合わせ、ふんわりとラップをかけてから600Wで20秒加熱し、一旦取り出してから混ぜ合わせ、もう一度600Wで20秒加熱します。
3.2にとろみがついていることを確認し、器に入れかえて①のりんごをかけたら出来上がりです。
離乳食後期のりんごレシピ・蒸しパンやおやきに混ぜ込み!
後期になると食べる量も増え、歯茎が発達し歯が生えてくる赤ちゃんもいます。りんごの形状は5~7mm程度の角切りにし、生で食べさせることもできますが、できるだけ加熱処理をしましょう。
この頃は手づかみ食べに興味が出てくる時期なので、小さい角切りのりんごを加熱もしくはそのまま与え、手づかみで食べさせてもOKです。
また、後期の1回に与えるりんごの目安量は、中玉のりんご1/6個程度の40gです。果糖も多いので、りんごばかり食べて他の離乳食を食べない、欲しがらなくなることがないように、赤ちゃんが大好きだとしても毎日りんごばかりを与えないようにしましょう。
手づかみ食べ期のおやつにおすすめ!りんごの米粉蒸しパン
材料:りんご 1/8個(40g)・米粉 大さじ3・
ベーキングパウダー(アルミ不使用) 小さじ1/5 ・無脂肪乳 大さじ2と1/2
1.りんごは皮をむき、5mm程度の角切りにし、耐熱容器に入れてラップをふんわりとかけて電子レンジ600Wで30秒加熱します。
2.耐熱容器に米粉、ベーキングパウダー、無脂肪乳を入れて混ぜ合わせ、さらに①のりんごを加えて混ぜ、ふんわりとラップをかけて電子レンジ600Wで1分20秒加熱します。
3.出来上がったら取り出し、赤ちゃんがつかみやすいサイズに切り分けます。
〈アレンジ〉米粉の代わりに小麦粉、無脂肪乳の代わりに豆乳や調乳済みミルクを使ってもOKです。
4.りんごは加熱せずに生地に混ぜ合わせ、テフロン加工したフライパンに薄くサラダ油を敷いて小さめにパンケーキとして焼くのもおすすめです。
離乳食で組み合わせたい初期~後期のりんごと相性の良い食材
りんごは生後5,6ヶ月の離乳食初期から使える食材ですが、相性の良い食材も初期から使えるものが多いのが特徴です。
ただし、どんな食材も始めは小さじ1程度から試すようにし、使ったことのない食材は2種類以上同時に食べさせないように注意しましょう。
初期(生後5ヶ月・6ヶ月)は甘味のある野菜や果物がおすすめ
初期は、すりおろしりんごやりんごのペーストが基本ですが、にんじんやさつまいもなど甘味のある野菜と混ぜ合わせると味が変わり、お互いの甘さを際立たせるので飽きずに食べられます。
- にんじん
- さつまいも
- かぼちゃ
- バナナ
- 粉ミルク
中期(生後7ヶ月・8カ月)はヨーグルトなどと混ぜ合わせて!
中期以降はヨーグルトなどの乳製品も食べられます。りんごとヨーグルトを混ぜれば、お手軽なフルーツヨーグルトが完成します。りんごは小さめの角切りにし、加熱した方がヨーグルトと一緒に飲み込みやすいでしょう。
- プレーンヨーグルト
- 豆乳(飲料ではなく、調味料として使用する程度)
後期(生後9ヶ月以降)はクリームチーズとパンに塗ってもおいしい
離乳食後期は、食パンを小さめにカットし、サンドイッチやトースト風にして食べることもできます。りんごをバターと炒め煮にしたものや煮林檎をクリームチーズと一緒に混ぜて、赤ちゃん用の手作りジャムのようにパンに塗ってもおいしいです!
- クリームチーズ
- バター
- 寒天
りんごに含まれる赤ちゃんの成長にぴったりな栄養素
りんごには、高血圧を予防するカリウムや、疲れを取りやすくする有機酸など健康によい栄養素が含まれています。そんな栄養素の中でも、次にあげる2つは赤ちゃんの健康管理や成長に非常に大切です。
便秘予防に効果の高い水溶性の「食物繊維」
りんごには、ペクチンという水溶性の食物繊維が多く含まれています。離乳食を始めると便秘になる赤ちゃんも多いので、積極的にりんごを与えて便秘予防してあげましょう。
ペクチンはジャムを作る際にとろみのもととなる成分でもあります。りんごを加熱すると赤ちゃんが飲み込みやすくなりますが、このとろとろ感はペクチンによるものです。
消化吸収されやすいエネルギー源「ぶどう糖」
りんごには、果糖やぶどう糖といった消化吸収されやすい糖が含まれています。ぶどう糖は脳や赤血球が唯一栄養源としている栄養素なので、成長と脳の発達が著しい赤ちゃんに必要な栄養の一つです。
また、味覚は甘みから始まるとされているので、りんごの天然の甘みは、赤ちゃんの味覚を育てることにもつながります。
りんごの離乳食で、赤ちゃんの健やかな成長をサポート!
りんごはおいしいだけでなく、赤ちゃんの成長に必要な栄養や食感で離乳食に適した食材の一つです。
日本では果物の摂取量が減少傾向と言われていますが、厚生労働省が推進する健康づくり運動の「健康日本21」では果物を1日200g以上摂取して健康増進につなげようと掲げられています。
離乳食期からりんごで果物を食べる習慣をつけてあげることは、赤ちゃんが元気に成長するためにお勧めです。