離乳食はいつから開始する?

離乳食はいつから?開始時期を見極める5つのポイント

離乳食はいつから開始するべきか、月齢だけでなく、赤ちゃんの発達段階もチェックしておくと安心です。「早く離乳食を始めるとアレルギーになりやすい」といった噂には根拠があるのかも解説。はじめての離乳食の量や硬さ、お粥や野菜などの食材を与える順番などの基本を押さえておきましょう!

離乳食はいつから?開始時期を見極める5つのポイント

離乳食はいつから始める?5つの見極めポイント

離乳食はいつから始めるべきかお悩みではありませんか?日本では、生後5~6か月が離乳食を始めるのが一般的ですが、開始に適切な時期というのは、単に月齢によるものだけでなく、赤ちゃんの成長・発育の様子にも左右されるものです。

厚生労働省も、「離乳食の開始は、生後5・6ヶ月が適当」としながらも、そのほかに月齢以外の発達目安を挙げています(注1)。離乳食開始の目安になるポイントを覚えておきましょう。

1.首がすわっていて、支えがあれば一人で座れる

いくら離乳食とはいえ、寝た状態で与えれば、上手く食道を通らない可能性もあり危険です。赤ちゃんの首がしっかり据わっており、ベビーチェア・ハイローチェアなどの赤ちゃん用イスに背中を預けて座れるかどうかは必須条件です。

2.哺乳反射が弱くなっている

哺乳反射とは、形のある物が口に触れた際に、赤ちゃんが舌で押し出す原始反射の一種です。赤ちゃんは生まれたばかりの頃は、母乳やミルクで栄養を摂取できれば良いので、誤飲や窒息から身を守るための反射だと考えられています。

哺乳反応は、他の原始反射と同じように月齢が進むにつれて弱くなり、生後4~5ヶ月頃には消失します。確かめてみたい時は、スプーンを軽く唇に押しあててみましょう。特に舌で押し出す様子がないなら、離乳食を始めても大丈夫です。

もし、すぐにスプーンを舌で押し出してしまう場合は、まだ離乳食を始めるには早いので、無理強いせず少し時間をおきましょう。

3.赤ちゃんが食べ物に興味を持ち始める

大人が何かを食べている様子をずっと見ていたり、食べているものに手を伸ばして「欲しい!」という仕草が見られるようになるのは「早く離乳食が食べたい」という赤ちゃんからのサインです。ご希望通り離乳食を食べさせてあげましょう。

4.よだれの量が増え、歯が生え始める

よだれの量が増え、歯が生え始めているというのは、赤ちゃんの口が食べ物を受け入れる準備が整ったというサインです。

赤ちゃんに初めての乳歯が生えてくるのは生後5~6か月頃です。ほとんどの場合は下の前歯が最初に生えてきますが、歯が生え始める少し前からよだれの量も増えてきます。

離乳食初期の頃は、食べ物をごっくんと飲み込む練習が基本なので、歯の有無そのものは離乳食の進み具合に影響しません。歯が生えていなくても離乳食は開始して構いません。

5.授乳リズムが整ってきている

必須事項ではありませんが、授乳間隔が整っている方が離乳食は進めやすいでしょう。お腹が空いていた方が赤ちゃんの離乳食への反応も良いですし、ママやパパも離乳食の準備がしやすいはずです。

生後5ヶ月、6ヶ月で離乳食を始めたばかりの頃は、午前中の授乳時間のうち1回を離乳食タイムするイメージで進めていけるのがベストです。

低出生体重児の離乳食はいつから始めるべき?

離乳食を食べさせるお母さんと赤ちゃん

一般的には月齢5ヶ月以降に開始する離乳食ですが、出生体重が2500g未満だった低体重児の場合は、離乳食を始める時期には少々違いがあります。

修正月齢5・6ヶ月が離乳食スタートの目安

低出生体重児の場合、本来の出産予定日を基準にした修正月齢を基準に考えるのが一般的です(注2)。例えば、1ヶ月早く生まれて低出生体重児となった赤ちゃんの場合、月齢5ヶ月でも、修正月齢では4ヶ月となります。

ただし、修正月齢はあくまで目安であり、体重の増加が十分で、食べる意欲がある場合は、早く始めることも可能です。反対に、出生体重1000g以下の超低出生体重児では、更に1~2ヶ月遅くなることもあります。

担当医や保健師などにも相談する

低出生体重児の離乳食に関しては、まずは担当医と相談し、地域の保健師なども積極的に頼りましょう。

低体重児を育てているママやパパは「少しでも早く大きくなって欲しい」という思いから、離乳食に関して焦ってしまったり、赤ちゃんが食べないと悲観的な気持ちになって、食事面での悩みやストレスを抱えてしまいがちです(注3)。

離乳食は、赤ちゃんが1歳を過ぎるまで続きます。焦らず、思い詰めず、1人で抱え込まないことが大切ですので、専門家の力を借りながら進めていきましょう。

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離乳食の開始時期とアレルギーの関係

離乳食を食べる赤ちゃん

「離乳食を始める時期が早すぎるとアレルギーになりやすい」という話を耳にしたことがある方もいるでしょう。親としては、離乳食を始める際の不安要素となりますが、根拠はあるのでしょうか。

離乳食の開始を遅らせても意味なし!アレルギーとの因果関係は認められない

厚生労働省は、生後5ヶ月以降の離乳食の開始によるアレルギー発症の予防効果について「明確なエビデンス(根拠)はない」と結論付けています(注4)。

また、日本小児アレルギー学会の食物アレルギーガイドラインには、離乳食の開始時期と予防効果に関して、アメリカやヨーロッパなどの研究結果も掲載されていますが、その多くは「エビデンスがない」という結論に落ち着いています。

ただし、厚生労働省の資料には、生後4ヶ月までに、4種類以上の固形物(離乳食)を赤ちゃんに摂取させた結果、摂取させなかった子供に比べて、2歳・10歳までの慢性湿疹の既往が高かったという研究についても触れています。

離乳食の開始時期は生後5ヶ月・6ヶ月が適当としていますので、むやみに遅らせるのはNGですが、反対にそれより早い離乳食に関しても控えるようにしましょう。

離乳食の開始時期を、慎重に判断するべきケース

以下のような赤ちゃんは、離乳食を始める前に、小児科に相談することも検討してください。

  • 血縁者が重度の食物アレルギーを持つ
  • 既にアレルギーの発症がある
  • アトピー性皮膚炎を発症している

必ずしも食物アレルギーを発症するとは限りませんが、症状が重くでてしまう場合もあるので、事前に主治医と相談しておけば安心できます。

はじめての離乳食はなにをどのぐらい与える?

お粥の離乳食

いざ離乳食を始めるとなれば、どれくらいあげるの?いつあげるの?母乳はどうすれば良いの?など様々な疑問が生じます。はじめての離乳食の進め方を解説します。

10倍粥を小さじ1からスタート

はじめての離乳食は、アレルギーのリスクが低く、消化にも良いお粥が定番です。お米を10倍の水で煮た「10倍粥」をすり潰して、とろとろになったものを小さじ1杯与えます。

離乳食のおかゆ作りのコツ&おいしいアレンジレシピ
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「ひとさじ=小さじ1であり、ベビースプーン1杯ではない!

離乳食のレシピに「ひとさじ」と記載されている場合は、「小さじ1」とみなします。よく誤解されやすいのですが、ベビースプーン1杯ではありません。ベビースプーンでは3~5杯分の量が適当です。

中には最初から食欲旺盛でもっと欲しがる赤ちゃんもいますが、消化できなかったり、アレルギー反応が起こる可能性もゼロではありません。どんな食べ物でも、最初は小さじ1を限度としておきましょう。

離乳食初期(5か月・6ヶ月)は滑らかなペースト状の硬さにすり潰す

離乳食をはじめたばかりの頃は、基本的には滑らかなペースト状にします。ヨーグルトぐらいの硬さ、舌触りをイメージしましょう。

10倍粥は、できたものをさらにすり鉢どなどですりつぶします。野菜は細かくカットして柔らかく茹でたものをすり潰します。繊維質が多い野菜は裏ごしが必要です。

1日1回の離乳食を1ヶ月続ける

離乳食を始めてから1ヶ月は、授乳のタイミングで1日に1回のペースで食べさせていきます。1ヵ月を過ぎたら、1日2回に増やします。

初期(5か月・6ヶ月)は母乳やミルクは欲しがるだけ与えて良い

離乳食を開始したばかりの頃は、離乳食から摂る栄養は、全体の10%程度に過ぎません。赤ちゃんにとって栄養のメインとなるのはまだ母乳やミルクです。離乳食のあとは、母乳やミルクは赤ちゃんが欲しがるだけ与えても大丈夫です。

離乳食初期(生後5か月・6ヶ月)頃は、ゴックンと飲み込む練習に過ぎません。栄養バランスも考えなくてよく、食べる量が少なくても気にする必要はありません。

離乳食を開始して1ヶ月ほど経過すると、離乳食から摂取する栄養は全体の20%ほどになります。

離乳食を始めるときのポイント

離乳食に悩むお母さん

離乳食は赤ちゃんにとって初めての食べ物です。繊細な赤ちゃんの身体にとって、優しい離乳食になるように注意するポイントをお伝えします。

味つけはせず、食材そのものの味を味わってもらうだけで大丈夫

離乳食を開始して1ヶ月程度は、10倍粥、ほうれん草や人参など野菜のペースト、豆腐や白身魚などのすりつぶしなどを単品として食べさせるだけで十分です。食べられる食材が増えてきたら、野菜を煮た際の煮汁などを使って食材を伸ばします。

赤ちゃんの味覚は大人に比べて敏感なので、調味料で味付けをすると濃すぎる可能性があります。

また濃い味に慣れてしまうと、薄味に戻すのが難しくなりますので、離乳食期は極力薄めにした方が健康的です。

野菜スープやお出汁は毎回作ると手間がかかりますが、大量に作って冷凍しておくと便利です。

離乳食の味付けはいつから?調味料に頼らずに旨味を出す方法
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離乳食にアレルギーが出たときのため午前中に与える

何が原因でアレルギー症状が出たのかわかりやすくするために、初めての食材を離乳食として与えるときは、1回につき1種類にしておきましょう。

また、強いアレルギー反応が出てしまったときのことも考えて、病院が空いている平日の午前中に食べさせるのが基本です。

アレルギー反応は、多くの場合、原因食物を食べた2時間以内に反応が現われます。じんましんや皮膚のかゆみなど皮膚症状が最も多く、それ以外だと下痢などの消化器系の症状、呼吸器系の症状が引き起こることもあります(注6)。

離乳食でアレルギーに要注意な食材リスト・リスクを軽減する進め方
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赤ちゃんにあげてはいけない食材に注意する

赤ちゃんに絶対に食べさせてはいけない食品の代表格が「はちみつ」です。はちみつを1歳未満の赤ちゃんに与えると、乳児ボツリヌス症を発症する危険があります(注7)。

赤ちゃんにはちみつはいつからOK?乳児ボツリヌス症とは
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「離乳食を食べない」という悩みは多い!焦らず、気負わず、ゆっくりでOK

離乳食を開始すると、「離乳食を食べてくれない」という悩みを抱える方が非常に多くなり、中には育児ノイローゼのような状態になる方もいます。

しかし、大人にだって食欲のない日があるように、赤ちゃんも離乳食を食べたくない日があります。ママやパパがイライラしていると、赤ちゃんはますます離乳食が嫌いになってしまいます。

もし離乳食を嫌がる日が何日も続くようなら、離乳食をスタートさせる時期が早かったのかもしれません。一旦母乳やミルクのみの生活に戻してから、改めてスタートしてみましょう。

離乳食の初期の生後5~6か月の段階では、母乳やミルクからの栄養のみで十分です。離乳食の完了時期は、1歳半が目安ですので、これから約1年の時間があります。赤ちゃんのペースに合わせて、ゆっくり進めていきましょう。

離乳食を食べないときの対処法・ママたちの心配事Q&A
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離乳食のスタートにおすすめのメニュー

離乳食3種類

はじめての離乳食は、何から始めて良いか戸惑ってしまうこともあるでしょう。進め方の例をお伝えするので参考にしてみてください。

1週間目:10倍粥のみ

離乳食の形状は、10倍粥をペースト状にしたものです。2日目までは小さじ1杯、3~4日目は2杯、5~7日目は3杯のように赤ちゃんの様子を見ながら徐々に量を増やします。

嫌がる仕草が見られるようなら、無理に完食させなくても大丈夫です。逆に完食しても物足りないようなら、食後に母乳やミルクを与えてください。

2週間目:10倍粥+野菜

2週間目に入ったら野菜にも挑戦しましょう。カボチャやジャガイモ、カブ、ホウレン草などを柔らかく茹でてすり潰して食べさせます。野菜の種類は、アクがなく、加熱すると柔らかくなりやすいものがおすすめです。

メニューは「10倍粥のすり潰し小さじ3+1種類の野菜小さじ1」から始めてください。

3週間目:10倍粥+野菜+たんぱく質

3週目には初期でも与えることができるたんぱく質である豆腐や白身魚をプラスしても構いません。ただし、アレルギーの心配があるので、少量から始めて様子を見る必要があります。

野菜と同じく量は小さじ1杯から取り入れます。たんぱく質を増やす日は胃腸に負担がかかる可能性もあるので、他の食材をプラスするのは控えます。メニューは「10倍粥小さじ3+野菜類1~数種類小さじ1~3杯+たんぱく質1種類小さじ1杯」から始めてください。

4週間目:2回食への切り替えを意識

離乳食にも慣れてきた赤ちゃんは、上手に飲み込めるようになる時期です。毎日離乳食を完食できるようなら、1日2回に増やしても良いでしょう。午前と午後に1回ずつにしますが、大人がご飯を食べるタイミングに合わせると家事の負担が減ります。

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離乳食をいつから始めるかは赤ちゃんしだい!

赤ちゃんにはそれぞれの個性があり、離乳食を始める時期や終わる時期にも個人差があるものです。

離乳食をはじめたばかりの頃は、赤ちゃんの喰いつきが悪かったけれど、その後パクパク食べるようになることも珍しくありません。

また、離乳食は簡単なもので構いません。家事に負担を感じているお母さんは、ベビーフードなどを利用しても良いでしょう。無理せず、楽しみながら、食事をする赤ちゃんの姿を楽みましょう。