サイレントベビーにならないためには周りからの愛情が鍵!原因・特徴、周りの関わり方
「サイレントベビー」この言葉は、近年「育児放棄(ネグレクト)」などの問題が顕著になってくるに従って、徐々に私たちママにも知れ渡るようになってきました。
サイレントベビーとは、その名にある通り「静かな赤ちゃん」のことを言います。何も、性格的に静かな赤ちゃんをそう言うのではありません。お腹が空いても、おしめが濡れても泣くことなく、目線が合わず、ママやパパの呼び掛けにも積極的に応じない、そんな赤ちゃんを指します。
今回は、どのような原因でサイレントベビーになってしまうのかを明らかにし、その上で、ママやパパなど周りの大人たちの関わりの大切さをお伝えします。
サイレントベビーは人との関わりを諦めた赤ちゃん。特徴・原因
サイレントベビーは、人との関わりを諦めた赤ちゃんだと言われます。大人ならともかく、まだ人生が始まったばかりの赤ちゃんがそんな状況になるとは、なんて悲しいことでしょうか。
サイレントベビーの特徴や、どうしてそのような状態になってしまったのか、何が問題なのかについて、まずは丁寧に解説していきましょう。
サイレントベビーの特徴
以下にサイレントベビーの赤ちゃんの主な特徴を挙げてみます。そこには、赤ちゃんらしくない赤ちゃんの姿が浮かび上がってくることでしょう。
笑わない
生まれたばかりの赤ちゃんは、自分の意思で笑うことができませんが、生後3ヶ月にもなれば、ご機嫌なときに笑顔を見せるようになります。これは「社会的微笑」といって、赤ちゃんの意思によって笑顔が出てきているのです。
でも、新生児の頃にも、赤ちゃんがニヤッと笑う瞬間がありますよね。寝ているときに、突然笑いだすときもあります。実はあれば、「生理的微笑」といって、神経反射によって笑顔になっているだけなのです。
サイレントベビーの赤ちゃんは、社会的微笑が出始める生後3〜4ヶ月頃になっても、あまり笑顔を見せてくれません。ボ~ッとして無表情なことも多いです。
泣かない
お腹が空いても、オムツが濡れて気持ち悪くても、あまり泣きません。一見手のかからない親孝行な子に思われますが、赤ちゃんとしては異常ですよね。赤ちゃんは、泣くことで色々な要求を伝えています。性格を逸脱して「静か」なのは、何か問題があるように思われます。
自己主張しない
大人でいうところの「無気力」です。赤ちゃんは好奇心が旺盛な生き物です。これを触ってみたい、あっちに行ってみたい、など自分の意思が出てくるのが当たりまえです。それなのに、サイレントベビーの赤ちゃんは、生後半年を過ぎてもあまりそのような素振りを見せません。
一人になっても何も感じていない
だいたい半年を超えると、赤ちゃんはママの姿が見えなくなると、不安で泣きだすようになります。遊びに夢中になっているうちにそっと洗濯物を干しにいっても、すぐに気づかれてしまいますよね。これは、愛着行動といって、ママと赤ちゃんとの信頼関係ができてきている証拠なのです。
しかし、サイレントベビーの赤ちゃんは、お部屋に一人きりになっても動じません。お利口にママの帰りを待っているのではありません。ママがいなくなったこと自体に、特に何も感じていないのです。
その他特徴
満たされない気持ちをどこかにぶつけるようにして、異常なまでにタオルを噛んだり、ぬいぐるみに固執したりします。喃語や発話が遅れるケースもみられます。
サイレントベビーの原因
サイレントベビーの原因は何なのでしょうか?最近メディアなどでもよくとりあげられる「ネグレクト(育児放棄)」との関係が指摘されます。
長時間かつ長期間の放置
旦那さんに何度話しかけても、テレビやゲームに夢中で、生返事だったり応答がなかったりしたらどうでしょう?おそらく、あなたは話しかけるのをやめると思います。
赤ちゃんも同じです。つまり、サイレントベビーは、ママたちとの関わりを「諦めた」赤ちゃんなのです。
泣いてママを呼んでも、全然ママが来てくれない。喚くように泣いているのに、長い時間放りっぱなしにされている。こんな状態が常にあり、且つそれが長期間にも及ぶと、赤ちゃんは次第に、求めることをやめるようになります。期待をしなくなるとも言い換えることができるでしょうか?
サイレントベビーは、和製英語です。日本で起こる育児放棄の結果の一つとして使われ始めたのです。
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生理的欲求が満たされない
低月齢の赤ちゃんは、おっぱいが欲しい、オムツが濡れている、眠たい、この3つが大きな欲求となっています。お腹が空いたのにおっぱいやミルクをもらえない、オムツを1日に1度しか変えてもらえない…などの状況が続くと、欲求が満たされないことに慣れていきます。その結果、赤ちゃんが何も求めないようになるのです。
サイレントベビーは、ママやパパと赤ちゃんとの信頼関係の問題
サイレントベビーの多くは、育児放棄などの結果として表れます。ママやパパなど周りの大人からのケアが十分に受けられなかったのが原因と考えられています。その意味で、サイレントベビーは、赤ちゃんとパパママ始め周りの大人との信頼関係の問題ともまとめることができます。
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赤ちゃんは不安だらけ
窮屈で、でも温かくて守られたお腹での生活を終えると、赤ちゃんは外の世界で生きていかなければなりません。私たちには想像もつきませんが、それはそれは不安なことなのだそう。
そんな産まれたばかりの赤ちゃんが、唯一わかるのがママの存在です。お腹の中で聞いていた声の持ち主が、今抱っこしてくれている人だというのを知っているんですね。
お腹の中で聞いていた声を聞くと、赤ちゃんは安心します。そして、そんな人が温かい手で抱きしめてくれて、自分の空腹を満たしてくれる…そうです、ママは特別な存在なのです。
親子関係、家族関係の重要性
ママだけではなく、パパとの関係、つまりは家族関係も大切です。社会的にみても、家族はその人の最も核となる単位。ママは生物的に最も近しい人ですが、お世話をしてくれる人という意味で、パパとの関係も大切です。もちろん、お兄ちゃんやお姉ちゃん、おじいちゃん、おばあちゃんも同じです。
泣くとパパやママが自分の不快を取り除いてくれる、この繰り返しで、赤ちゃんの中に、親子の絆や家族との絆が築かれていくのです。
サイレントベビーの赤ちゃんは、こう言った絆を誰とも築けなかった赤ちゃんと言えるかもしれません。
サイレントベビーのその後
サイレントベビーの赤ちゃんは、予後どのような問題を抱えていくのでしょうか?一概には言えませんが、成長の過程でも、心の発達に何らかの問題が起きる可能性が指摘されています。
自分が自分であることに自信を持てなかったり(自己肯定感が低い)、親から見放される不安が強くて、気を引くような異常行動ばかりを起こしたりする場合もあります。
治るかどうかについても、これは親や周りの大人との関わり次第というしかありません。
サイレントベビーにしないための正しい関わり方
ここまで見てきたように、赤ちゃんは無視をされ続けると、欲求を出すのを諦めることがわかりました。では、どのように赤ちゃんと関わっていけばよいのでしょうか。右も左もわからない新米ママたちには、サイレントベビーは少々気がかりな怖い問題かもしれませんね。きちんと関わっているつもりでも、我が子は大丈夫なの?と自分を省みて思うかもしれません。赤ちゃんへの接し方、その塩梅、今までのネットの記事ではわかりにくかったところまで、しっかり説明します。
ママと赤ちゃんとのやりとりや愛情ある関わりが基本
何度も言いますが、サイレントベビーは、極端な育児怠惰や関わり不足の結果として起こります。サイレントベビーの存在は、私たちに、ママと赤ちゃんとのやりとりや愛情あふれる関わりがどれほどに大切なことなのかを教えてくれます。
毎日のやりとりを大切にしましょう。空腹や眠気、おしめが濡れたなど、不快な気持ちを取り除くのを繰り替えていけば、信頼関係が生まれていきます。
サイレントベビーを恐れて何が何でも駆けつけるのは間違い
最近は、「泣いたらすぐに駆けつければ、サイレントベビーにはならない」「スマホが原因の一つになっている」「ベビーカーを使いすぎるとサイレントベビーになる」などの誇張された情報や間違った情報がネット上に溢れています。もちろん正確な情報もありますが、なかにはママたちの不安を過度に煽るような情報も多く見受けられます。我が子がサイレントベビーにしたくはない!そういった思いからさらに育児に神経質になってしまっては、赤ちゃんと自身のメンタルに良くない影響を与えかねません。
もちろん、赤ちゃんの呼びかけにはしっかりと応じてあげなければいけません。四六時中赤ちゃんの呼びかけを無視してスマホを優先したり、泣いているのにベビーカーにずっと乗せたままにしたりというのは、褒められたことではありません。
自分を追いつめすぎないバランス育児をしよう
しかし、何が何でも即座に駆けつけなければならないというのは、間違いです。狭い住宅事情からか、日本の子育ての特徴として赤ちゃんはなるべく泣かせないようにしなければならない、と無意識のうちに思ってしまいがちな風潮にありますが、このような強迫観念になりかねない育児の価値観は捨てて良いものです。ママがトイレをする間くらい、洗い物のキリがつく間くらい、泣かせていたって大丈夫。
最も大事なのは、お腹がすいたとき具合の悪いときおむつが気持ち悪いとき、「周りの大人が守ってくれる」と赤ちゃん本人がわかるための実績を積み重ねていくことです。少しくらい泣かせておいたとしても、そのあとちゃんとおしめを変えておっぱいやミルクをあげたり、抱っこしたりすれば、そこに大きな問題は生まれることはありません。
それに、赤ちゃんは、泣くと心肺機能も鍛えられるんですよ。
保育園に預けるのは不安?認可外保育園でときどき起きる事故と『放置』
保育園に預けると、先生たちの手が足りずに、小さい赤ちゃんはサイレントベビーになってしまうのではないかという心配を、ネットではよく目にします。
本当にそんなことがあるのでしょうか?
確かに、昨今、無認可の保育園での無念な事故が報道で幾度か取り上げられています。防げたであろう事故に、私たちは深く心を痛めてしまいます。我が子を守らなくては…という感情が働くのは、当然と言えます。
認可保育園は保育体勢の基準を満たしている
ですが、冷静に考えてみましょう。
行政からの補助を受けない無認可保育園や託児所ならば、意図して劣悪ではなくても、人手不足から全員に目が行き届かない状況も発生し得るだろうと考えられるわけですが、認可保育園を始め行政の管轄にある施設は、先生の数や保育体制など、すべて基準を満たすように義務付けられています。
特に0歳児クラスは、赤ちゃん3人に対して保育士1人以上と定められており、実際の保育の現場では、1人が3人の赤ちゃんを見るというわけではなく、何人もの保育士でクラスの赤ちゃん全体を見るようになっています。
ですので、「担当の先生の手が空かないから、この子はずっと放置されている」という状況は、ほぼないに等しいと考えてよいと思います。そのため保育園に通うことがサイレントベビーの原因になるという因果関係は指摘できないでしょう。
上の子に手がかかる。二人目のサイレントベビーの可能性は
どんな家庭でも、二人目以降の赤ちゃんというのは、長子よりも手がかけられないものです。それはもう、ママがお世話しなければならない子どもの数が、単純に一人増えたのですから、物理的に難しいことなのです。
兄弟の子育ては、上の子がまだ小さかったり、少し年が離れていても下の子に焼きもちを焼いたり赤ちゃん返りをしたりして、下の子のお世話が思うように上手くいかないときも少なくありませんよね。赤ちゃんが泣いてもしばらく泣かせっぱなしになってしまう…このままだとサイレントベビーになってしまうのでは?こんな心配も発生してしまうかもしれません。
心配しなくても大丈夫!
「二人目以降の子はそんなに泣かずに穏やかに育っていってくれた」などと子育ての先輩たちが口を揃えて言うように、下の子はママが大して悩むこともなく成長していってくれる傾向にあるようです。
それは、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいることで赤ちゃん自身も安心感を感じられ、すぐ近くに成長のお手本があったために、なんでもすんなり上手にできたというのもあるでしょう。また、ママの方も要領を得ているので、いちいちネット検索せずとも経験値で臨機応変に乗り切れるというのもあるでしょうね。
ママはそのまま赤ちゃんを何時間も泣かせっぱなしですか?おっぱいもオムツもほおっておいてそのまま何もしないなんてことがあるでしょうか?
きっとそうではないですよね。お兄ちゃんお姉ちゃんのお世話の間、家事の間、少しだけ泣かせっぱなしにしてしまっても、そのあとは必ず赤ちゃんの元に行って、抱き上げているはずです。
下のお子さんは、にっこり笑っていませんか?言葉が通じないながらも、兄弟で見つめ合って笑っていませんか?下の子も不自由なく生きていけるくらいに毎日お世話をするのですから、『サイレントベビーにならないかしら?』などと過度に心配しなくても大丈夫なのです。
サイレントベビーについて、正しい認識を。日々の関わりを大切にすれば大丈夫
サイレントベビーについては、ママの不安を加速させるような間違った情報もたくさん流れています。本来、育児放棄の結果として明るみになった経緯を無視して、お世話不足や愛情不足でそうなってしまうと思われる節があります。
赤ちゃんとのやりとりや愛情が大切なのは、もはや言及するまでもありません。そして、ほとんどのママたちは、それをわかって日々奮闘しています。
大丈夫、あなたは毎日赤ちゃんを目の前にして頑張っています。赤ちゃんは、泣くのが仕事です。ママの育て方に不満があって泣いているのではありません。どうぞ自信を持って、赤ちゃんとしっかり関わっていきましょうね。サイレントベビーの存在を通して、きっとあなたは、赤ちゃんと周りの大人との関わりの重要性を再確認できたはずです。