「わたしってダメな母親かな?」自己嫌悪するのはこんなとき
いつも良い母親でいたいと願う人ほど、「わたしってダメな母親…」と落ち込むことが多いものです。育児書を読むと理想的な母親像が記されており、「自分は完璧からほど遠い」「やっぱりわたしはダメな母親」とさらに落ち込んでしまいます。
では、自分のことを「ダメな母親だ」と感じるのは、具体的にはどのような瞬間が多いのでしょうか?
子供が悪いわけではないのに叱りつけてしまったとき
冷静に考えたら子供に非があるわけではないのに、強く叱りつけてしまったとき。わたしはダメな母親だと強く落ち込んでしまうのではないでしょうか。
例えば、思い通りに行かずにイライラとしていたときに、子供が「ねえ、お母さん!絵本を読んで!」と話しかけたとしましょう。いつもならすぐに読んであげることができても、あまりにもイライラしていたために、「うるさい!ちょっとあっちに行って!」と、子供をどなりつけてしまうこともあるかもしれません。
子供の悲しそうな顔を見たとき、また、冷静になって自分の言った言葉を振り返ったとき、「ああ、私ってなんてダメな母親なんだろう・・・」と落ち込んでしまうのです。
子供の間違いをしつこく叱ってしまったとき
明らかに子供が悪かった場合でも、あまりにもくどくどと叱っていると、そのうち、だんだん自分自身の中で感情がエスカレートしてしまい、怒りが増幅してしまうことがあります。
例えば、子供が玄関に靴を脱ぎっぱなしの状態で、手も洗わずにダイニングに行き、お菓子を食べていたとしましょう。「靴をそろえたの?手は洗ったの?」と注意すれば済むことを、イライラしているときは、「どうして靴が脱ぎっぱなしなの?何回も注意をしても直らないなら、もう、お菓子を食べるのも止めて!」とお菓子を取りあげ、子供が泣きだすまでくどくどと言い続けます。
後になってみれば、「なんであんなことでしつこく叱ってしまったのだろう?」と自分でも不思議に思うことも少なくありません。自分のしつこさにあきれ、「わたしってなんでこんなにダメな母親なのかしら…」と落ち込んでしまうのです。
部屋が散らかっているとき
子供が小さいうちは、何をするにも時間がかかり、つい家の掃除がおろそかになってしまうことも珍しくはありません。忙しく用事をしているときには気付かなくても、夜、子供が寝た後やふとひとりになったとき等、改めて家の中を見回してみると、掃除していない部分や片付いていない部分が目立ち、「本当にダメな母親だ」と落ち込んでしまうこともあるでしょう。
部屋の汚れや整理ができていないことに気付いたときにすぐに掃除や片付けができれば良いのですが、昼間の家事や育児の疲れ、外での仕事の疲れが一気に噴き出てしまい、「片付けよう」という気持ちは湧いても、身体が思うように動かないこともあります。すると、「片付けなきゃ」という気持ちがある分、さらに自分がダメな母親だという気持ちも強くなってしまうのです。
子供の意見よりも自分の意見を通したとき
子供が幼いからと言って、すべての要求を飲む必要はありません。思い通りにいかないことを教えるのも親の役目ですし、子供が間違った考えを持っている場合には、進んで直してあげることも親の役目なのです。ですが、子供の意見よりも自分の意見を通してしまうと、後で罪悪感を覚えるという母親も少なくありません。
例えば、子供が公園に遊びに行きたいと言ったとき、どうしても手放せない用事があったり、身体が非常に疲れていて出かけることができなかったりすることもあるでしょう。子供には「今、お母さんは行くことができないから、また今度行こうね!」と言って、納得させたとしても、子供の悲しそうな顔を見ると、「子供の希望も叶えてあげられないダメな母親だ」と自己嫌悪してしまうのです。
手抜き料理を作ったとき
子供にいつも美味しい栄養バランスの取れた食事を与えたいと考えている母親にとって、手抜き料理を作ることは、「子供の健康よりも自分自身の楽さを選んだ」ということでもありますから、自分はダメな母親だと落ち込む要因にもなるのです。
もちろん、子供と一緒にジャンクな外食をすることもありますし、お友だちと一緒に栄養バランスの悪いお菓子を食べることもあるでしょう。ですが、自分が料理を作るときは完璧なものを作りたいとむきになってしまう母親も少なくないのです。
思い通りに子供が育っていないと思うとき
幼稚園の先生に、「○○ちゃん、今日はお友だちを叩いてしまいました」と言われたり、他のママ友に「○○ちゃんがおもちゃをふりまわして、うちの子が怪我したんですよ」などと言われたりしたとき。「わたしは子供をちゃんと育てることもできないダメな母親だ」と落ち込んでしまうお母さんは少なくありません。
子供と言うのは、いくら愛情と手間ひまを充分にかけて育てても、何かの原因で他人を傷つけてしまうことがあります。それは大人も同じです。ですが、「きちんと育てれば、かならず他人に優しい立派な子供に育つ」と思い込んでいるお母さんは、少しでも自分の理想通りに育っていないと、自分はダメな母親だと自己嫌悪してしまうのです。
子供に嫌な言葉をかけてしまったとき
子供を叱るときに、「そういう風にずるいところがお父さんにそっくりね」「悪いと口では言っても、心の中では全然反省していないんでしょ?」などの他人が聞いても不快な言葉を言ってしまい、後になってから、わたしはダメな母親だと後悔するお母さんもいるでしょう。
特にパパと喧嘩しているときや子供以外のことでむしゃくしゃしていることがあるときは、子供に理不尽な怒りをぶつけてしまうこともあるかもしれません。叱るときは、子供のそのときの行為のみに言及すること、そして、他の関係のないことや昔の話などを持ち出さないようにすることを忘れないようにしたいものです。
寝坊をしたとき
うっかりと朝寝坊をしてしまう、ということもあるでしょう。土曜や日曜、特に予定がない日なら良いのですが、子供が学校に行かなくてはならないときや行事等の予定がある日に朝寝坊をしてしまうと、「わたしってダメな母親・・・」と落ち込んでしまいます。
朝寝坊のせいで、子供が学校に遅れたり、子供の朝食を抜かなくてはならなかったりすることもありますから、その日一日ブルーな気分で過ごすことになるでしょう。
参観日や学校行事に参加できなかったとき
急な用事で参観日や学校行事に参加できなくなってしまったときも、自分はダメな母親だと感じる瞬間です。体調が悪くて参加できないときもありますが、それでも、やはり、「子供にかわいそうな思いをさせているのではないだろうか?」と自分を責めてしまうでしょう。
ダメな母親と毒母は違う!
親になった途端に完璧な人間になれるわけではありませんから、母親と言っても、失敗することや良くない対応を取ってしまうこともあるでしょう。失敗する度に、そして、望ましくない対応を取る度に「わたしはダメな母親だ」と責めることになりますが、そのような失敗や対応はどの母親にも何度もあることですから、失敗や間違った対応をしてしまう母親を指して「毒母」と言うのではありません。
では、「毒母」とはどのような母親なのでしょうか。毒母とダメな母親の違いについて探っていきましょう。
底辺に毒を持つ毒母
毒母とは、その字の通り、毒を持つ母親を指しています。一般的には過干渉であることが多く、子供に選択権を与えていないことが少なくありません。
一見ものわかりの良い母親であることが多い
明らかに子供を強くコントロールしている毒母もいます。ですが、「○○ちゃんの好きにしていいよ」と言う風にものわかりが良い母親に見えて、後になってから、「お母さんは、そっちの方が良いと思うよ」「○○ちゃんがちゃんと考えたら、絶対にこれは選ばないんじゃないかな」と、自分の意見や価値観を押しつける毒母も少なくありません。
他人が見ているときと見ていないときで態度を変える毒母も多く、外から見抜くのが難しいケースが多いです。
「子供のため」が口癖になっていることが多い
毒母は、過度にコントロールしていることを家族や他人に指摘されると、「わたしがしてほしいことじゃなくて、○○ちゃんに良いと思って勧めているだけ」と、子供のために敢えて言いたくないことを言っているという風に言い訳することが多いです。
子供を叱るときも、「あなたのためにお母さんは言っているの!」と、あくまでも子供のために叱っているというスタンスを崩しません。
子供が言い返せないことが多い
母親が毒母でない場合は、子供はある程度の年齢になると、母親の言い分がおかしいと思ったら言い返すようになります。ですが、毒母は「○○ちゃんのため」「あなたにとって一番良いことだから」といつも呪文のように唱えていますので、子供は「お母さんが勧めてくれることには間違いがない」「お母さんの言う通りにすれば失敗しない」と思い込み、母親がおかしなことを主張していたとしても、言い返すということすら思いつかないようになります。
また、毒母に接する期間が長くなると、子供は自分で考えようとはせずに、何でも母親の意見を最初に聞いてから行動しなくてはと思ってしまいます。「どちらの学校に行けばよい?」「どの会社が自分に向いているかなあ?」と、人生にとって大切な岐路も、母親の意見を参考にするのではなく、母親の意見で決定してしまうようになるのです。
子供がどうしようもできないことに対して不満を言う
毒母とは、過干渉な母親だけを指すのではありません。子供に対して言葉や態度、行為で毒を吐く母親も、間違いなく毒母です。例えば、「その顔を見ているとお父さんを見ているようで腹が立つ」とか「頭が悪いのね。誰に似たのかしら?」、「こんなこともできないの?ばかじゃないの?」と言う風に、子供が直すことができないことに対して不満を言う毒母もいます。
また、「あなたを産まなきゃ良かったのに」「育て方が悪かったのかしら」と、子供の存在そのものを否定するような発言で子供を追い詰める毒母もいます。
毒母とダメな母親の違い
毒母とダメな母親との決定的な違いは、自分を正当化するかどうかにあります。子供に対して怒鳴ってしまったりしつこくネチネチと怒ってしまったりした後に、「違う言い方があったのに・・・」と後悔するなら、普通のダメな母親です。一時的にはダメな母親でも、必ず次はもっと良い叱り方をしようと考えていますので、子供にとって悪い母親と言うことはできません。
ですが、毒母は自分が叱るのは子供の将来のためだと思いこんでいるので、間違った叱り方をした後も自分を正当化し、「わたしの叱り方が良くなかった・・・」と自分自身の叱り方を反省したりすることはありません。反省しませんので、次回、子供が同じような間違いを犯したときは、同じように怒鳴ったりしつこくネチネチと問い詰めたりします。子供は徐々に精神がむしばまれ、自己否定感が強くなってしまいます。
また、毒母とダメな母親との違いは、子供が母親の望むことをしなかったときにも顕著に見られます。例えば、母親が子供にお稽古ごととしてバレエをしてほしいと望んでいるにも関わらず、子供がスイミングを習いたいと言い出したとします。どうしてもバレエをしてほしいと思っている親は、「ちょっと見てみるだけ行ってみない?」と子供にバレエを見学させ、子供が自分から「バレエをしてみたい」と言うように誘導するかもしれません。
ですが、毒母は子供の意思を尊重するということをしないので、そのようなまわりくどい方法を取りません。「スイミングは絶対に合わないから、お稽古をしたいならバレエにしましょう!」と有無を言わさず子供を目当てのバレエ教室に連れていき、子供が「本当はしたくない」と言い出しづらい環境にしてしまうのです。
ダメな母親と自己否定しないで!母も一緒に成長しよう
子供の存在を否定したり子供に行きすぎた干渉をしたりする「毒母」は、決して良い母親ではありません。ですが、子供のことを思うあまり、つい叱りすぎたり言ってはいけないことを言ってしまったりする「ダメな母親」は、どんなに立派な母親でも何度かはなってしまうものなのです。
子供は色々なことを覚え、日々成長していきます。母親もいきなり完璧な母親にはなれないのですから、子供と一緒に成長していけばよいだけのことなのです。「わたしはダメな母親だ…」と落ち込むこともありますが、決して自分を責めすぎないようにしてくださいね。