待機児童問題と戦うママの知恵

待機児童問題とは 原因と保活のやり方 子供を保育園に入れるための対策を解説

「保育園に入れるか不安」という方へ。待機児童が生まれる理由と、保活で点数を上げるコツ、激戦になりやすいパターンを解説。職場や家族の巻き込み方、入れなかったときの備えまで網羅しました。

待機児童問題とは 原因と保活のやり方 子供を保育園に入れるための対策を解説

待機児童問題とは?子供を保育園に入れるには

「子育てが落ち着いたら働きたい」「働き続けたいけれど子どもも欲しい」。そう考えるとき、多くの家庭が直面するのが待機児童問題です。日本各地で課題となり、保活(保育園に入るための活動)をテーマにした本が出版されるほど身近なテーマになっています。国も「待機児童解消加速化プラン」を掲げ、厚生労働省が中心となって保育所の整備による受入児童数の拡大や、保育士の確保を進めてきました。

待機児童問題に取り組む保母さん

かつて匿名ブログに投稿された「保育園落ちた日本死ね!!!」という言葉がネットで大きな話題となり、国会でも取り上げられ、「保育園落ちたの私だ」というデモ活動にまで発展しました。多くの保護者が「我が子は大丈夫だろうか」と不安を抱えています。この記事では、待機児童問題の背景を整理しつつ、自分の子どもを待機児童にしないために、いつ・何から始める保活が有効なのかを具体的に紹介します。

※本記事で紹介する人数や割合などの統計は、記事公開当時に発表されていた数値です。状況は年々変化しているため、最新のデータや制度は厚生労働省や、お住まいの自治体の公表情報をあわせてご確認ください。

待機児童問題とは何が問題視されているのか

「申し込めば入れるものだと思っていた」という声は少なくありません。待機児童とは、保護者が保育所や学童保育などへ入所を希望しても、施設が満員で入所できず、入所待ちになっている児童のことを指します。とくに0歳児から3歳児や、4月の一斉入所ではなく年度途中での入所を希望するケースは、入所が難しいとされています。

出典:www.youtube.com

女性の社会進出が進むなかで、子どもが待機児童となり、やむを得ず育休を延長するママや、働きたくても働けないママが増えていることが社会問題となっています。これは「個人の努力不足」ではなく、需要に施設や人手が追いついていないという構造的な問題です。だからこそ、制度の仕組みを正しく知ったうえで早めに動くことが、何よりの自衛策になります。

まずは、お住まいの自治体の保育課のページを開き、待機児童数や入所の倍率が公表されていないか確認してみましょう。地域の状況を知ることが、保活の第一歩です。

保育関連施設の種類

「認可と認可外って何が違うの?」と迷う方は多いはず。保育園と幼稚園は設立の目的が異なり、対象年齢、預かり時間、教育方針、休暇の有無などに大きな違いがあります。保育園は、保護者が就労や病気などの理由で家庭での保育が難しい場合に、乳幼児の保育を担う、厚生労働省が管轄する「児童福祉施設」です。

保育園は大きく「認可保育園」と「無認可(認可外)保育園」の2種類に分けられます。

認可保育園

国が定めた認可基準(施設の広さや設備、保育者の資格・人数など)を満たした保育施設です。保育料は自治体により異なり、世帯の所得に応じた軽減があります。自治体が運営する公立と、企業やNPOが運営する私立があります。

無認可(認可外)保育園

認可保育所以外の保育施設です。設備やルールが心配と感じる人も多いですが、施設の広さや庭園など一部の基準が満たされていないだけの施設も多くあります。認可より保育料が高い反面、教育に力を入れたり、延長・夜間・24時間預かりに対応したりと融通が利く利点もあります。自治体によっては助成金が出ることもあり、東京都では認証保育所と呼びます。

ほかにも、保育園と幼稚園を合わせた「認定こども園」や、有資格者や研修を受けた個人が少人数を預かる「家庭的保育事業(保育ママ)」などがあります。幼稚園でも夕方まで預かり保育を行う施設が増えています。選択肢は思っているより幅広いので、「認可一択」と決めつけず、複数のタイプを並行して検討すると入りやすさが変わります。まずは各施設のタイプと、自宅・職場からの通いやすさを一覧に書き出してみましょう。

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待機児童問題の背景 待機児童が多い原因は…

「少子化なのに、どうして保育園が足りないの?」と疑問に思う方も多いでしょう。理由はいくつか重なっています。まず、女性の社会進出と雇用形態の変化により、共働き家庭が増えたこと。当時の統計では、25歳から44歳の結婚している女性の就業率は60%を超え、全世帯の20%以上が共働き世帯となっていました。出産を機に退職するより、働き続ける選択をする女性が増えたのです。

保育園に入園できずに公園で遊ぶ子供

もう一つの原因が核家族化です。2015年段階で児童のいる世帯の約79%が核家族世帯とされ、このうちひとり親世帯は約7%と年々増加傾向にありました。近くに祖父母がいないため子どもを預けられず、保育施設に頼らざるを得ない家庭が増えています。こうして需要が高まる一方で、施設や保育士の数が追いつかず、入りたくても入れない待機児童が生まれているのです。原因が「家庭側」ではなく「受け皿の不足」にあると理解しておくと、必要以上に自分を責めずに保活へ向かえます。

待機児童数はどのくらい?

「実際、どれくらいの子が待っているの?」という疑問もあるでしょう。当時の厚生労働省の発表によると、全国の待機児童は2010年から4年連続で減少し、2014年には21,371人まで減りました。ところが2015年には23,167人へと増加に転じています。

増加の背景には、国の対策で新制度が導入され、サービスメニューが多様化したことで「預けられそう」と考える家庭が増え、保育利用の申請者が大幅に増えたことがあります。さらに、本当は預けたいのに申請をしていない「潜在的な待機児童」がもっと多いとも指摘されてきました。数字が増えること自体が、必ずしも悪化を意味しないという点は押さえておきたいところです。最新の待機児童数は毎年公表されるので、保活を始める前に厚生労働省や自治体の直近データを確認しておきましょう。

待機児童の数は都市部に集中

待機児童が生まれる原因からも分かるように、就業率が高く核家族化が進む都市部ほど、待機児童数は多くなります。

都心の状況を確認できる展望画像

  • 1位:東京都 世田谷区 1,182人
  • 2位:千葉県 船橋市 625人
  • 3位:沖縄県 那覇市 539人
  • 4位:大分県 大分市 484人
  • 5位:宮城県 仙台市 419人

当時、2015年9月に厚生労働省から発表された順位が上記です。やはり都市部に集中している様子が分かります。生活が便利で仕事も多い都市部に子育て世帯が集まる一方、人が集まっても新しい保育施設を建てるスペースが足りず、子どもの声などの騒音への苦情で建設が進まないという悪循環が起きていました。

3位の沖縄県には、都市部とは異なる事情があります。県民所得の事情から女性の就業率が高く、長く米軍統治下に置かれた歴史から認可保育園の整備が遅れたことが要因とされ、人口比で見ると当時は全国1位でした。地域ごとに背景が違うからこそ、全国の話としてではなく、自分の自治体の事情を調べることが大切です。市区町村名と「待機児童」で検索し、地域の実情を把握しておきましょう。

都内の状況

東京都内の状況も地区によって大きく差がありました。2015年4月時点で、東京23区のうち待機児童が100人未満だったのは、墨田区(76人)、文京区(69人)、荒川区(48人)、杉並区(42人)、港区(30人)、千代田区(0人)の6地区。それ以外の地区では100人以上が待機児童として登録されていました。

待機児童が最も多かった世田谷区では、保育施設を整備しても保育士が足りず、受け入れ人数を十分に増やせないという事情を抱えていました。「箱(施設)はあっても人(保育士)が足りない」という構図です。同じ区内でも年度や園によって入りやすさは変わるため、希望エリアの最新の募集状況を役所で確認するのが近道です。

保育士の労働状況

保育士に抱えられ泣き止んだ子供

「資格を持つ人はいるのに、なぜ保育士が足りないの?」という疑問の答えは、労働環境にあります。当時、保育士資格を持ちながら保育士として働いていない「潜在保育士」は60万人以上いるとされ、その理由として労働条件の厳しさや、小さな子どもを預かる責任の重さ、自分自身の子育てとの両立の難しさが挙げられていました。

国家資格でありながら、全産業の平均賃金より大きく低い水準にあると報じられ、フルタイムでも手取りが厳しいと会見で訴える現役保育士のニュースが注目を集めたこともありました。昇給が見込みにくく、早朝・延長保育のために長時間労働やシフト勤務が増え、自分の子育てとの両立が難しくなって、妊娠・出産を機に退職する人も少なくありません。辞める人が増えるほど残った職員の負担が増す、という悪循環です。

さらに、急に体調を崩す乳児や、突然走り出す子どもを同時に複数見る重責、保護者対応による精神的負担も大きいものです。園を選ぶときは、保育士の配置にゆとりがあるか、職員が長く働いているかも見学時の確認ポイントになります。見学の際に「職員の人数」や「勤続年数」をそっと質問してみましょう。

国の対策は?

こうした状況を受け、国は受け皿の確保を目指す「待機児童解消加速化プラン」を打ち出しました。当時の計画では、約40万人分の保育の受け皿確保を目標に、2段階で進められました。2013年から2015年までを緊急集中取組期間とし、緊急プロジェクトを実施しています。

これは、意欲のある自治体を強力に支援し、保育の量を増やして待機児童の解消を図るものです。2015年には子ども・子育て支援新制度をスタートさせ、その後の2年間をさらに整備を進める取組加速期間と位置づけました。

緊急プロジェクトの支援内容は5つに整理されていました。

  1. 賃貸方式や国有地も活用した保育所整備(ハコ)
  2. 保育を支える保育士の確保(ヒト)
  3. 小規模保育事業など新制度の先取り
  4. 認可を目指す認可外保育施設への支援
  5. 事業所内保育施設への支援

場所の確保が難しい都市部では国有地を活用し、費用補助で保育所を整備。潜在保育士の復帰を促す処遇改善や、認可外で働く無資格者の資格取得支援によって、場所と人材の両面を確保する内容です。

また、幼稚園に預かり保育などの保育園的な機能を持たせて即効性のある受け皿を増やし、認可外から認可へ移行する際の支援によって、施設の数と質の両方を高めようとしました。こうした制度は年々見直されているので、利用できる支援がないか自治体の窓口で最新情報を聞いてみましょう。

効果はでているのか?

効果は数字にも表れていました。保育の拡大量は2013年・2014年で21.9万人となり、整備目標の20万人を上回っています。一方で、新サービスの導入により保育を利用しやすくなった結果、保育所などへの申込者が急激に増加しました。

そのため、2014年の21,371人から2015年は23,167人へと待機児童数自体は増えたものの、受け入れ人数は着実に増加しています。横浜市や川崎市のように待機児童ゼロを実現した都市や、東京都大田区のように613人から154人へと大きく減らした都市もありました。つまり、自治体の本気度しだいで状況は大きく変わるということ。引っ越しを検討できる家庭なら、対策に積極的な自治体を選ぶのも有効な戦略です。

待機児童にならないためにできる対策

では、待機児童にならないために、どんな保活をすればよいのでしょうか。最大のコツは早めにスタートすることです。保活でやるべきことは想像以上に多く、復職後の生活スタイルを考え、その希望に合う保育園を探す作業には時間がかかります。「気づいたら申し込み期限が過ぎていた」という後悔は、早く動くだけで避けられます。

落ち葉でママと一緒に遊ぶ子供

保活でやることを、おおまかにチェックリストにまとめました。

  • 役所の保育課で入園案内・申請書類を入手し相談する
  • 自宅・職場の近くの保育園をリストアップする
  • 気になる園を見学し、雰囲気や保育士の様子を確認する
  • 自分の世帯の「点数(指数)」を試算し、窓口で確認する
  • 認可と並行して認可外・認定こども園も申し込む
  • 職場と復職時期・育休延長の可能性を共有しておく

無認可保育園では、申請の提出順で入園が決まる場合もあるので、早く動くほど有利です。地域の倍率を確認し、条件が合えば低倍率の園も候補に入れ、ゆずれない点とゆずれる点を整理して妥協できる点は妥協することも大切です。居住地域だけでなく就業地域の園も視野に入れると、出会える園が一気に増えます。応募書類だけでは伝わらない事情は、窓口で相談しながら本気度を伝えると心証につながることもあります。まずは役所への相談予約を、今週のうちに入れてしまいましょう。

認可保育園入所までの流れ

「結局どんな順番で進むの?」と不安な方のために、認可保育園に入るまでの流れを整理します。まず地域の保育園情報を集め、役所へ相談するところからスタートします。次に気になる園を見学して候補を選び、優先順位をつけます。入園申込と必要書類(嘆願書など)を提出すると、市区町村が内定の可否を決定します。内定後は園との面接、入園説明会への参加を経て、入園となります。

一方、認可外保育園や幼稚園、認定こども園の場合は、施設へ直接申し込み、入園の可否も施設独自の基準で決まります。窓口や締め切りが認可とは別なので、両方のスケジュールを1枚のカレンダーにまとめておくと、申込もれを防げます。母子手帳のスケジュール欄や、スマホのリマインダーに締め切りを登録しておきましょう。

待機児童になりやすいパターンを知る

認可保育園に通い待機児童を避けられた子供達

「同じように申し込んだのに、なぜあの家は入れて、うちは入れなかったの?」。その差を生むのが点数です。認可保育園の入園は「点数(指数)」で決まります。基準は自治体ごとに少し異なりますが、考え方はおおむね共通です。保育園は家庭で保育できない子どもを預かる福祉施設のため、保護者が就労していないなど保育の必要性が低いと、入園は難しくなります。両親が働いていても労働時間が短いと減点される仕組みです。

「ひとり親である」「子どもの人数が多い」など保育の必要性が高い要素は加点され、近くに祖父母が住んでいると減点される自治体もあります。この合計点が高い順に合否が決まります。

つまり、専業主婦(主夫)が「働きたいから預けたい」と思っても、申請段階で就労していないと入りにくいということです。認可外でも求職中は受入不可になる場合があり、4月入所ではなく年度途中の入園はさらに厳しい状況に置かれます。入園を希望する年齢によっても難易度は変わります。

待機児童になりやすいパターン

保活でやりがちな行動と、入りやすさにつながる行動を比べてみましょう。

待機児童になりやすいパターン入りやすくする工夫
認可1園だけに絞って申し込む認可外・認定こども園も並行して申し込む
人気園ばかり高倍率で希望する低倍率の園も候補に入れて優先順位をつける
求職中のまま4月以外に申し込む就労を決め、募集の多い4月入所をねらう
自分の点数を知らずに申し込む事前に点数を試算し役所窓口で確認する

自分がどのパターンに当てはまりそうか、一度チェックしてみてください。当てはまる項目があれば、右側の工夫を一つずつ取り入れていきましょう。

保活激戦区

人口の多い都市部は、保活の激戦区になりやすい地域です。保育園に入れるボーダーラインが「満点」という場合も珍しくありません。激戦区では「就労中」の保護者が優先されるため、「求職中」では入園がほぼ難しいという現実があります。仕事が決まっても先着順で定員に達して入れず、せっかく決まった仕事を諦めざるを得ないこともあります。激戦区に住んでいる場合は、認可外を先に確保してから認可を待つ、という二段構えが有効です。

勤務形態はパートでもフルタイムを

認可保育園の選考では、両親の就労状況が大きく影響します。当時の例では、夫婦の労働時間がともに8時間以上なら満点ですが、どちらか一方でも8時間未満だと減点となりました。点数制である以上、1点でも多く確保することが重要なので、パート勤務であってもフルタイムに近い働き方のほうが有利になりやすいのです。復職後の働き方を選べる場合は、勤務時間を点数の観点からも検討してみましょう。

1歳児入園が激戦

育児休業を取り、1歳になったら働き始めようと考えるママ・パパは多いはず。しかし1歳児クラスの入園は特に難しい状況です。理由は、保育園が0歳児で受け入れた児童の進級を優先するため、1歳児クラスの新規募集枠がかなり少なくなるからです。その少ない枠に、1年〜1年半の育休を終える家庭の応募が集中し、需要と供給のバランスが大きく崩れます。あえて0歳児クラスから預けて復職時期を早める、という選択をする家庭が多いのは、このためです。我が家の復職時期と、ねらうクラスの入りやすさをセットで考えておきましょう。

夕方まで預かってくれるところを探す

夕方まで預けられる無認可保育園の様子

早朝や夜の延長保育は保育園のほうが充実していますが、幼稚園でも別途費用を払えば預かり保育を行う施設があります。公立ではまだ少なめですが、私立では増えています。ただし、預かり時間が解決しても、保育料が認可より高い、入園年齢が3歳以上、お弁当が必要、といった事情で条件が合わず断念する家庭も多いのが現実です。

「子ども・子育て支援事業」の政策により「認定こども園」が増え、年齢制限や条件を緩めて受け皿を広げています。フルタイム復帰を考える家庭は、こうした認定こども園も選択肢に加えてみてください。気になる園には「何時まで預かってもらえるか」「延長料金はいくらか」を、見学や電話で具体的に確認しておくと安心です。

保育園の費用はいくら?家庭により違う実際の保育料
保育園の費用はいくら?家庭により違う実際の保育料
保育園の費用は世帯年収によっても違うケースがあります。人気のある認可保育園や最近増えている認定こども園、そして無認可保育園、気になる保育料を解説していきます。

勤務先にも理解してもらう必要がある

出産前に「1歳になったら復職します」と会社と取り決めて育休に入るママ・パパも多いでしょう。タイムリミットが迫ると焦るものですが、ここで大切なのが職場の理解です。万一子どもが待機児童になった場合、育休延長への理解を得られなければ、復職そのものが難しくなってしまいます。

また、業務に支障がないよう努めても、子どもがいる以上、毎日同じ条件で働けるとは限りません。急な発熱でのお迎えなどに対応できない職場では、長く働き続けるのが難しくなりがちです。早めに上司へ「保活の状況」と「延長の可能性」を共有し、いざというときの働き方を相談しておきましょう。「もし入れなかったら」という前提を一度言葉にしておくだけで、職場との関係はぐっと安定します。

産前産後休業・育児休業と待機児童問題

2015年4月に「子ども・子育て支援新制度」が始まり、保護者が育休を取ることへの対応は自治体によってさまざまになりました。たとえばある市では、2歳児クラスまでの子の保護者が育休を取ると、原則として出産の半年後に退園となる扱いがありました。

その後、育休を終えても確実に再入園できる保証はありません。別の市では出産2か月後に退園とし、退園児が再入園する際に大きな加点をする対応をとるところもありました。

これらは待機児童対策として行われていますが、退園した児童の枠に別の待機児童が入れる一方で、退園を求められる家庭には不安が残る面もあります。1年の育休を終えて入園申請をしても入れなければ、育休を延長せざるを得ません。延長は1歳6か月(さらに延長できる制度もあります)ですが、その間に入園できる保証はないのが実情です。募集の多い4月に合わせて育休を早めに切り上げる家庭もあります。育休は本来子育てに集中するための制度ですが、土壇場で困らないよう、自治体ごとのルールを早めに確認しておきましょう。

保活でよくある質問

保活はいつから始めればいい?

妊娠中から情報収集を始めるのが理想です。一次募集の締め切りは12月ごろに設定されることが多く、その時点ではまだ出産前というケースもあります。早く復帰したい場合は、出産前や直後でも申し込めることを覚えておくと安心です。まずは妊娠中に役所で入園案内をもらっておきましょう。

専業主婦でも認可保育園に入れる?

申請段階で就労していないと点数が低くなり、入りにくいのが一般的です。ただし求職中でも申し込める自治体は多く、入園後に一定期間内の就労を条件とする場合もあります。まずは認可外を確保して就労実績をつくると、次の認可申請で有利になりやすいです。詳細は自治体で確認してください。

点数が同じ場合はどう決まる?

点数が同じ世帯が並んだときは「優先順位」で順位づけされます。基準は自治体により異なり、所得が低い世帯を優先する、居住歴が長い世帯を優先する、などさまざまです。非公開の自治体もあるため、過去のボーダーラインや優先順位の考え方を役所で聞いておくと、見通しが立てやすくなります。

認可外に預けるのは不安。大丈夫?

認可外でも、面積や園庭など一部の基準が満たないだけで、保育の質が高い園は多くあります。教育や延長保育に強い園もあり、自治体の助成が出ることも。見学して保育士の様子や子どもの表情、安全管理を自分の目で確かめれば、過度に不安がる必要はありません。複数園を比べて選びましょう。

待機児童になったときのための準備

認可保育園に申し込んだものの「不承諾」となり、待機児童になってしまったら――。そんなときに慌てないための備えを紹介します。「落ちてから考える」のではなく、「落ちたときのプランB」を先に用意しておくことが、心の余裕につながります。

待機児童にならないため自ら調べる赤ちゃん

無認可保育園、託児所等のピックアップ

まず、認可以外の選択肢を先に調べておきます。無認可保育園や認証保育園の選考は自治体ではなく事業者自身が行うため、先着順など独自の基準で入園が決まります。「認可がダメだったら、すぐここに申し込む」という候補を持っておくだけで、いざというとき動きが速くなります。

認可に入れるまでの数か月、子どもを預けられる施設として、経済状況や生活スタイルに合うかを検討しておきましょう。無認可や認証に入園して復職していれば、就労実績が点数の加点となり、認可へ入りやすくなる場合があります。

このように、待機児童になったときに無認可へ預けておくことが、認可入園の可能性を高めてくれます。待機児童になってから慌てて探すのではなく、認可と同時並行で候補をピックアップしておきましょう。見学や空き状況の確認は、申込前の今のうちに済ませておくのがおすすめです。

待機児童数0を達成した川崎市&横浜市

「対策しても無理なのでは」と感じるかもしれませんが、実際に成果を出した自治体があります。通勤に便利な地域として大規模マンションの建設が続き、利用申請者が毎年1,000人以上増え続けていたにもかかわらず、川崎市は2015年に待機児童数ゼロを達成しました。どんな取り組みが効いたのでしょうか。

保育所に入れないため自宅で就寝中の赤ちゃん

保育園の新設&リニューアル、横浜市との連携

まず取り組んだのが、マンションの建設状況も見ながら進めた「保育園の新設&リニューアル」です。人口増加に合わせて認可保育園の受入人数を増やし、認可の定員を過去最大の2万2,869人まで拡大しました。

次に「川崎認定保育園の保育料補助」です。それまで一律5,000円だった補助金を、2014年に所得に応じて最大2万円まで拡大。「認可より高い」と敬遠されがちだった川崎認定保育園への入所を後押ししました。さらに、隣接する横浜市と連携協定を結び、「横浜保育室」と「川崎認定保育園」の相互利用を可能にしました。

横浜市も2013年に待機児童ゼロを達成しています。両市の施設を相互利用する場合、保育料の軽減補助を受けられるようにしました。加えて、通常は秋に行う保育園の説明会を7月に前倒しし、区の担当職員を増やして相談体制を強化。保護者のニーズに合った園とのマッチングを進めました。こうした事例は、自治体選びの参考になります。引っ越しを検討できるなら、対策に積極的な自治体かどうかを比較してみましょう。

残る問題は「保留児童」

ただし、待機児童ゼロになっても、すべての保護者が満足しているわけではありません。川崎市に転居したからといって希望どおりに入れるとは限らず、認定保育園に入れなかった子どもが2,231人いました。

これらの子どもは「保留児童」と呼ばれ、一時保育や川崎認定保育園を利用しています。また、入所できず育休を延長している家庭は、待機児童の定義から外れてカウントされません。「ゼロ」という数字の裏には、こうした見えにくい実態があるのです。数字だけを鵜呑みにせず、実際の入りやすさは口コミや役所の窓口で確かめることが大切です。

とはいえ、2013年に県内ワーストの438人だった待機児童を、2年でゼロにした事実は注目に値します。自治体の本気度しだいで状況は変えられる、という希望でもあります。

社会全体で子育てをする環境づくりを

働くためには預けなければならない。けれど、大切な我が子を預ける保育園は、できるだけ良い環境を選びたい。その一方で「入れただけマシ」と、選んでいられない現実もあります。

働くために預けるのか、預けるために働くのか分からない――そんな声が出るほど、保活は多くの家庭にとって切実な問題です。だからこそ、家庭の努力だけに頼るのではなく、待機児童や保留児童の問題を早期に解決し、社会全体で子育てを支える環境づくりが求められています。

保護者にできるのは、制度を正しく知り、早めに動き、家族や職場を巻き込みながら複数の選択肢を準備しておくことです。情報は年々変わるので、最後はかならずお住まいの自治体の窓口で最新の状況を確認しましょう。子どもと家族の暮らしに合った場所で、安心して通える保育園に出会えることを願っています。