赤ちゃんと犬の同居のために
赤ちゃんと犬、仲良く同居!大切な家族として守り育てるために
赤ちゃんと犬同居生活がスタートする前に赤ちゃんの健康も犬生も守るため生活環境とわんちゃんのしつけもしっかり見直していきましょう!犬はとても賢い動物ですが残念ながら多くの飼い主が犬に正しい躾をしているとは言えません…赤ちゃんが生まれて犬を手放すことがないよう今一度犬の躾を見直して!
赤ちゃんと犬を同居させるなら知っておきたいこと
犬を飼っている家庭に赤ちゃんが生まれるとき、生まれてくる赤ちゃんと愛犬が仲良く一緒に暮らしていけるかはやはり心配ですよね。
信頼関係の愛犬とは言っても、まかり間違って犬が赤ちゃんを噛んでしまうことはないのか、わんちゃんの抜け毛の影響など犬を飼っている家特有の問題など、心配事はつきません。
しかし、元来群れを成して暮らす犬ですから、扱いさえ間違わなければ赤ちゃんを家族の一員として、そして良き友として、パパママとともに一緒に成長を見守ってくれる存在には十分なり得ます。赤ちゃんにとっても、わんちゃんとの暮らしが情緒や優しさをはぐくんで感受性豊かな人間に形成していく要素ともなる他、ついでに人間以外の動物のいる環境は赤ちゃんの体を強くもしてくれると言った嬉しいメリットが。
しっかりとしつけさえすれば、躾けることである程度人間の言うことを理解してくれるワンちゃんですが、赤ちゃんと犬が仲良く同居をしていくには、飼い主がしっかり両者の仲を取り持つ準備をしておくことは大前提となります。
けがや感染症の病気の知識も併せて、赤ちゃんを迎える前に愛犬のしつけを見直していきましょう。
赤ちゃんと犬の仲を保つ『犬』のしつけ
単純に犬の躾と言っても、子犬のときにしつけるのと成犬になってからしつけるのでは『覚えられること』や『受け入れられること』はもちろん、覚えるスピードも違います。
もともと犬を飼っていたなら、愛犬の性格傾向も踏まえたうえで『赤ちゃん』を迎える準備を整えていきましょう。特に臆病な性格のわんちゃん、我儘なわんちゃんは時間をかけて対策していくことが大切です。
しつけの基本
赤ちゃんの存在を守るためにも見直していきたい基本の躾が以下。
これができていないと『主従関係』はちょっぴり怪しいかも…。先程も案内したように成犬になってしまってからの躾には時間がかかったり限界もありますので、犬との信頼関係を軸にたっぷり時間をかけて対処していきましょう。
ほめるときと叱るとき
ほめるときは、犬にも分かり易いまでに高い声でテンション高めに褒めましょう。
叱るときは、今度はテンションを思いっきり下げてひくい声で『ダメ』と、短いフレーズで叱るのがポイント。犬がこれに従わないときは『ハウス』と声をかけ、すぐにケージに入れます。叩いたり怒鳴ったり、暴力で従わせることのないようにしましょう。
ハウス
室内でわんちゃんを飼うときにもケージを用意しておきます。ハウストレーニングは人間の指示に従わなかったときにも使う主従関係を築く基本のしつけですが、時にわんちゃんのパーソナルスペースにもなります。愛犬の安心できる場所として扱いましょう。
ケージに入れるとき
- 人間が外出するとき
- 夜寝るとき
- 人間の食事の時間
上記以外にも一日のうち1時間程度はハウスに入る時間を作ります。人間がケージに入れるときは『ハウス』と声をかけて。
トレーニングのコツ
ケージに入れているときは、かわいそうなようでもわんちゃんを見ない、話しかけない、気にしないこと。ケージから出すときは、犬がおとなしくしているとき。犬が吠えたり、さわいでいるなら出してはいけません。
決まった時間以外は自由にケージに出入りさせられるようにしておき、愛犬が自らケージに入っていったときは、遊びたくてもそっとしておきましょう。
犬の言いなりにならない
遊びたいときも『犬がそうしたいとき』に応じるのではなく、遊んでほしそうだな、とサインをキャッチしたら、そのタイミングでは軽く受け流し、あえて少しタイミングをずらして飼い主さんから『散歩に行こっか!』『遊ぼう!』と声をかけてあげましょう。
おやつはもちろん、おもちゃも飼い主が管理をします。その代わり、一度おもちゃを見せたなら遊びに誘ったサインとし、ちゃんと遊んであげましょうね!
えさと散歩は人間が決めた時間に
えさは人間の食事のあと、人間が決めた時間に与えます。
犬から欲しがって吠えたとしても、遊ぶとき同様に一度犬の要求をスルーし、タイミングをずらして与えるようにします。
散歩は飼い主がコースを決め、リードしてください。犬の行きたい方向を優先し、飽きるまで電柱のにおいを嗅がせるなど犬がしたいように散歩をさせると主従関係は崩れてしまいます。
高いところに載せない、マウンティングをさせない
犬にとって、位置的な高さは主従関係に結び付く要素。
テーブルはもちろん、椅子やソファなど高さのある場所に犬を乗せてはいけません!上がったときには首輪を掴み床に降ろします。抱っこをして降ろす必要はありませんが、ダックスやバセットなどの胴長で腰を痛めやすい犬種は降ろし方に気をつけましょう。
マウンティングも、犬が『自分のほうが格上』と思っている対象に取る示威行動。
犬同士なら、格下の犬に格上の犬がマウンティングするわけですが、これも『上にいるほうが強い、偉い』というアピールとなります。人間社会で暮らす犬にとってマウンティングの放置は、犬の問題行動を誘発するトラブルの元凶となります。人間との生活では飼い犬にマウンティングはさせません。
犬が人間の足などにマウンティングしてきたら、首輪を掴んで離し必ずやめさせ、家族という群れの中、飼い主の家族全員が犬よりも上の立場であることを認識させましょう。
身体のどこでも触れるようにならす
赤ちゃんが思わぬタイミングで犬に触ったときにも犬が動揺することなく、ケガをした際の処置も滞りなく行えるように、日常のケアを通して犬のおなか、耳や口、肉球や爪、お尻付近など飼い主に触れられる状態を作りましょう。飼い主はもちろん、家族が触っても大丈夫、と安心できるように体に障られることに慣らしていきます。
特に、小さな子供は犬も予期せぬタイミングで犬に手を出しますので、目を離さないことも大切ですが、犬もにある程度の免疫は持ってもらうようにします。
様々な環境に慣らす訓練をする
外の環境や他人、知らない子供…犬にだって苦手なものや怖いものはあります。そういった犬の不安要素が与えるストレスは、犬を苦しめ、矛先は人間に向かってしまうことも。何も知らないと、初めてのことや知らないものが怖いのは人間だって同じ。犬も様々な環境に慣らす訓練しましょう。
しかし中にはどうしても臆病な性格のわんちゃんも。そういった場合は、犬の苦手は何かを把握してあげて、成犬となってしまってからは特に無理をさせないことが大切です。
犬をしつける上で知っておきたい!犬ってこういう動物です
『犬は群れをなして生活する』と冒頭で触れましたが、これを軸にしっかりとしつけを見直していかないと、赤ちゃんと愛犬の間にトラブルや亀裂が生じてしまいかねません。
赤ちゃんがうまれたから、無条件に犬を手放す決断は、当然ながら犬の飼い主としてふさわしくありません。なので、正しくしつけることは犬の命を守る上でも重要。そして、動物をしつける上ではその動物はどんな習性を持つか、をしっかり抑えることが鍵となります。
犬を長年飼っている人でも見落としがちな、『”犬”ってどんな動物か?』と言った動物の性質を考え、動物の性質にあった躾をしていきましょう。
群れで行動し主従関係がある・ランク付けがある
まずは、犬には主従関係があります。
犬種にもより扱いやすさは違いますが、土佐犬のように扱いが難しい犬種を飼っているのなら、特にしつけの工夫と赤ちゃんを迎え入れた後の注意が必要です。犬種やわんちゃんの性格によっては、室外犬として飼育するべきときもあります。
『躾』は重圧をかければよいのではない
犬の躾と聞いてどんなイメージをお持ちですか?あなたが『力でねじ伏せる』イメージを持っていたら、犬に対しての考え方を見直す必要があります。
犬をしつける上で大切にしてほしいことは『ボスとの信頼関係を築く』ということ。
力でねじ伏せるようなやり方のみでは犬との信頼関係は育ちませんし、そんなやり方が極度なストレスとなり我慢上手な犬のメンタルを破壊してしまいます。病的な行動を取るようになるかもしれませんし、犬は自分を守るために『突然キレる』ような要素も作ってしまいかねません。
『犬』は、おもちゃでも無ければ奴隷でもなく、『家族の一員』として受け入れたはずです。そこを忘れずにしっかりと主従関係を築いていきましょう。チワワのような小さな愛玩犬だって、本気になってとびかかってきたら大の大人でさえ大怪我をしてしまうことも、忘れてはいけません。
ファーストコンタクト
好奇心旺盛な親しみやすい性格傾向がある犬の場合、かわいい赤ちゃんは犬にとっても可愛い存在。思わず駆け寄って顔をベロベロ舐めてしまったりすることもあり得ます。が、そこはクールに対応して犬にやめさせるべき。赤ちゃんの清潔を保つ意味でも望ましくありませんし、日常的に犬の感情は穏やかに保っておくようにしましょう。
必ず飼い主が一緒にいて、犬がおいたをしそうになったら止められる距離を保つのがベストです。かといって赤ちゃんと無理やり引きはがすのではなく、わんちゃんの目の前で授乳をしたりオムツ換えをして、小さい赤ちゃんは守ってあげる存在だということを繰り返し見せて『飼い主の家族』であることを認識させましょう。
生まれる前に赤ちゃんの存在を知らせてみよう
赤ちゃんが生まれる前、お母さんが妊娠中からわんちゃんに「赤ちゃんが生まれるよ」ということを言い聞かせておくのもいいようです。実際に大きくなっているお腹をわんちゃんに見せて、これから新しい家族が増えるのよと、教えてあげると案外理解しているかもしれませんね?
赤ちゃんにも『犬の扱い』を教えること
犬には縄張り意識がありますが、人間の赤ちゃんは縄張りなんて知りません。ですが、犬がそこまで先回って赤ちゃんを許してあげられるわけもなく、犬は飼い主の前ではただただ小さな子供の傍若無人を我慢することになります。
また、人間の子供は犬にとっては『何をしでかすか行動が全く読めない』存在でもあります。しかも突然泣くし…。
しかし、そんな犬の遠慮もつゆ知らず、赤ちゃんは成長に伴い犬に興味を示して乱暴に叩いてしまったりすることもあるでしょう。
「赤ちゃんはまだ何もわからないから」と、犬ばかりに我慢させるのではなく、赤ちゃんにも犬を大切に扱うことを教えましょう。赤ちゃんが犬に乱暴してしまったときには、ダメなことだと教え、一緒に優しく犬を撫でて、触れ方を教えてあげてください。
犬の性格もありますが、大抵の犬は本能として縄張り意識を持っています。いくら信頼できる愛犬であっても、赤ちゃんと犬を一人と一頭だけにして放置はしないように。
赤ちゃんの健康を守る!清潔の保ち方、病気を防ぐために
生まれた赤ちゃんを自宅に連れて帰ってくる前に、愛犬と赤ちゃんが仲良く暮らせる環境が出来ているか、生活環境は今一度チェックしておきましょう。
赤ちゃんが生まれる前に生活環境を整えましょう
室内犬や室外兼用で飼っているわんちゃんの場合、お散歩などのときに外の土や他の動物から感染症などをもらってくる可能性があります。家に上がるときに犬の足を拭いているから安心できるかといえば、決してそんなことはありません。
ハイハイ赤ちゃんならいざ知らず、生まれたばかりの赤ちゃんなら、まだまだそんな心配はない…と思っていても、赤ちゃんは寝返りをしだすとあっという間に行動範囲を広げていきます。そして、赤ちゃんが寝返りするようになるまでほんの数ヶ月しかありません。ほんの少しの間目を離したすきに床に落ちているおもちゃなどを口に入れてしまうようになります。
犬用ケージで愛犬のテリトリーを制限する
赤ちゃんの健康のために、そして実は犬のしつけのためにも、室内のあらゆる場所への出入りを自由にさせないことが大切。
キッチンや玄関、和室などには犬用ゲートを設け、犬が自由に立ち入っても良い部屋は1~3部屋くらいにとどめ、人間がしっかりテリトリーの制限・明示するようにしましょう。
赤ちゃんが動き回るようになると、ドッグフードなどに手をつっこんだり、口に含んでしまう事故の可能性もあります。早いうちから犬のえさの場所も見直しておきましょう。
ハイローチェアやベビーベッドを準備
愛犬が気持ち余って思わず赤ちゃんに触れてしまったり舐めてしまったりしないよう、生まれる前から飼い主が「ダメ!」と言ったら我慢ができるように躾ることは大切です。が、犬が届く位置に赤ちゃんを寝かせないこともそれ以上に大切。
赤ちゃんが生まれる前に、ハイローチェアや高さのあるベビーベッドなど、犬がさわれない高さに赤ちゃんのスペースを設置しましょう。
空気清浄機を設置する
犬と赤ちゃんの同居トラブルを減らす意味でも、室内を清潔に保つ日々の清掃は必要不可欠です。
毎日掃除機をかけて、除菌のためのアルコールジェルやスプレーは完備しておくようにしましょう。
また、いくら掃除機をかけても毛の生えた動物を室内で飼っている以上、抜け毛や目に見えないフケどうしても飛び、ダニも発生しやすい環境と言えます。
赤ちゃんへの負担を減らすために、性能の良い空気清浄機の購入を済ませておきましょう。なお、空気清浄機は加湿などの機能がないもののほうが故障が少ないそうです。
犬から人間に感染する病気を知っておく
動物と人が一緒に暮らす上で、注意しなければならないものが人獣共通の感染症で、細菌やウィルス、寄生虫などいろいろな原因があります。
まだ免疫力のついていない赤ちゃんが感染症にかかると、大人よりも重い症状が出てしまうこともあります。ここでは、犬から人間に感染する可能性のある感染症を紹介します。
サルモネラ症
サルモネラ菌に汚染された鳥肉や魚介を食べることによる感染ルートが有名なサルモネラ症ですが、サルモネラ菌を保菌している動物との接触で感染する可能性もあります。
サルモネラ菌に感染した犬の排便には、当然ながらサルモネラ菌が存在しているので、それを触ってしまった赤ちゃんが手を口にしたりすると経口感染が起こるので、室内外の場合は、床の清掃や犬の行動範囲などに気を付けてあげる必要があります。
感染症の症状としては、下痢、腹痛、嘔吐、微熱を伴う食中毒や胃腸炎があげられます。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌は人やペットに寄生するカビの仲間で、寄生されている動物とスキンシップで人間にも感染します。人間に発症した場合、皮膚の表面に1cm程度の赤い発疹や白癬ができ、かゆみを伴います。
症状は重篤ではありませんが、一度羅患すると完治までに長期間かかることがあります。人間にこういった症状が出ている場合、犬の体表にも円形脱毛などが見られることが多いので、もしそういった症状が見られたらすぐに獣医、医師にかかりましょう。
ブルセラ症
ブルセラ症とは、ブルセラ・カニス菌という細菌による感染症で、犬に感染すると不妊などの繁殖障害をおこします。犬から人間にも感染し、人間の場合では風邪やインフルエンザのような症状があらわれます。症状として命にかかわるものになるおそれは低いとは言え、これの予防ワクチンはないため注意が必要です。
狂犬病
狂犬病は、感染・発症するとほとんどのケースで死に至る恐ろしい感染症です。
感染ルートは、狂犬病ウィルスに犯された動物に噛み付かれることで噛み傷から感染し、約2~6週間後に発症すると言われています。
現在、日本では一年に一回の狂犬病予防接種が義務付けられていて、1957年以降国内での狂犬病の発生はありません。しかし、これに油断することなく今後も、必ずワクチンの接種を行うことが大切です。
犬からの感染症を防ぐために気をつけること
犬と赤ちゃんがともに健康に暮らしていくために、気をつけなくてはいけないことをご紹介します。
節度を持ったスキンシップを
ペットを可愛がるあまり口移しで食べ物を与えたり、同じ布団で寝たりなどの過度なコミュニケーションを行うことでペットから感染症が感染ってしまうケースはあとを絶ちません。
愛犬を人間同様に可愛がりたい気持ちはわかりますが、人間と犬は違う種族ですので、食べ物は口移しで与えない、寝床は分ける、犬に触ったら手を洗うなど、節度をもって接することが人獣共通感染症を防ぐ上で大切です。
生活スペースは清潔に
ウイルスや菌、寄生虫の多くは排便や唾液などに潜むものです。
犬のトイレはすぐに片付ける、一日一回以上は掃除機をかけて犬の抜け毛やフケを掃除する他、わんちゃんもこまめにシャンプー・ブラッシングをして犬の被毛も清潔に保つなどの衛生面にはもちろん気を配るようにしましょう。
ワクチン接種はかかさずに
愛犬へのワクチンの接種で予防できる感染症も多くあります。
狂犬病のような重要なワクチンのみでなく、赤ちゃんを守る意味でも推奨されるワクチンは接種をして未然に防げる感染症はしっかり防ぎましょう。
赤ちゃんと犬は必ず仲良しになれる!
免疫力がなく、良いも悪いも知らない赤ちゃんと言葉の話せない犬が一緒に生活していくなんてできないのでは、という人もいるかもしれませんが、犬は本当に賢い生き物です。
人間が犬の性質を知り、しっかりと愛犬のしつけを行って、赤ちゃんに対しても衛生面で影響が及ばないようにある程度気を配っていれば、赤ちゃんを迎えるからといって、大切な愛犬を手放す必要はまずありません。
赤ちゃんと犬が一緒に成長していく中で、赤ちゃんと愛犬が仲良く一緒にお昼寝をしている姿、子供と赤ちゃんが外で遊ぶ二人の姿、ママに叱られて涙をこぼす子供に寄り添う姿は本当に大切な家族として実感できる瞬間でしょう。
愛犬の飼い主として、赤ちゃんの親として、両者を大切な家族として、あたたかい家庭の中で守り育てていきたいですね。