逆さバイバイと発達問題
逆さバイバイは発達に問題がある?注意をしたい子供の様子
逆さバイバイと子供の発達の関係とは?そもそも逆さバイバイとは何なのか、逆さバイバイをすると発達に問題があると判断することができるのでしょうか。逆さバイバイ以外の発達に問題がある子供によく見られる特徴や逆さバイバイをする本当の理由、逆さバイバイの直し方についても説明します。
逆さバイバイをする=発達に問題ありとは限らない!知っておきたいこと
手のひらを自分に向けてバイバイすることを「逆さバイバイ」と言います。「逆向きバイバイ」や「逆バイバイ」と言うこともあります。一般的に、手を振るときは手のひらを相手側に向けますので、自然に逆さバイバイをしてしまうと、「発達に問題のある子供なのかもしれない」と思われたり言われたりすることがあります。
本当に、逆さバイバイは発達に問題がある証拠となるのでしょうか。また、逆さバイバイをしやすい年齢や逆さバイバイをしやすい状況などがあるのでしょうか。
逆さバイバイをする理由
赤ちゃんや幼児が逆さバイバイをするのは、いくつかの理由があります。
普段手のひらを自分に向けているため
誰かがバイバイをしたとき、ちょうどその赤ちゃんが手のひらを自分に向けているときだったとしましょう。手のひらの向きを考えずに相手のしぐさを真似しようとして、手のひらを自分に向けたまま振ってしまうかもしれません。特に赤ちゃんは普段から自分の方に手のひらを向けて遊んでいますので、手を振るしぐさも、手のひらを自分に向ける方が自然になることがあります。
相手の手のひらが印象的だったため
誰かがバイバイをすると、その人の手のひらを見ることになります。手を振ってくれた人の手のひらがあまりにも印象的な場合、赤ちゃんは同じように手を振ろうとして、わざわざ手のひらを自分に向けてバイバイをするかもしれません。相手にどう見えているかではなく、自分がどう見えるかで赤ちゃんは認識しますので、手のひらを自分に向けることが自然になってしまうのです。
自分の手のひらを見るのが楽しいため
赤ちゃんは、自分の手のひらをヒラヒラさせたり、動く様子を見たりすることが大好きです。誰かにバイバイをしようとしているのではなく、ただ単に自分の手のひらを見て遊んでいるのかもしれません。
視力が良くないため
視力が良くないために、相手の手のひらがどちらを向いているのかが分からず、逆さバイバイをしてしまうということもあります。視力が良くないと、逆さバイバイだけでなく、色々な動作に問題が出てきます。早めに病院に連れていき、専門的な検査を受ける方が良いでしょう。
- 赤ちゃんの視力はいつから発達するのか、月齢ごとの成長に併せて解説します。赤ちゃんはママの顔が見えているのか、テレビやスマートフォンの赤ちゃんの視力への影響などを紹介します。
逆さバイバイをする年齢
健常児の赤ちゃんでも、逆さバイバイをすることがあります。ですが、大抵、生後10ヶ月から1歳6ヶ月になると、通常の手のひらを相手に向けたバイバイになっていきます。2歳になっても逆さバイバイを続けるときは、一度、保険センターや療育センターに相談してみるのも良いでしょう。
逆さバイバイと発達の関係
ではなぜ逆さバイバイをすると発達に問題があると言われることがあるのでしょうか。子供の特徴から探っていきましょう。
発達に問題がある子供の行動・特徴・苦手とすること
発達に問題のある子供は、急な予定変更や初めての行動・場所が苦手なことが多いです。不安になって顔を上げられなくなってしまったり、急に大声を出したり、同じ場所をくるくると不安気に回ったりすることもあるでしょう。
反対に、いつもと同じ行動をするときや慣れ親しんだ場所に行くときは、強い安心感と喜びを覚えます。決められた役目に熱心に取り組んだり、決められた工程を守って丁寧な作業をしたりすることも得意です。
空気が読めない子供の行動・特徴・苦手とすること
自分の関心があることに夢中になりすぎてしまう傾向があります。好きな分野についての話をしだすと、相手がつまらなそうにしていたり、まったく聞いていなかったりしても、話を止められなくなってしまうこともあります。そのような場合は、態度で「聞きたくない」と言う気持ちを表現するのではなく、はっきりと口に出して「話を止めて下さい」と言う必要があるでしょう。
何かに熱中しやすいという特性は、驚異的な記憶力となって表現されることもあります。電車に対する興味が強い子供が、日本のすべての車両タイプを記憶したり、駅の名前を路線ごとに暗記したりして、周囲の大人を驚かせることもあるでしょう。
逆さバイバイが発達と関係があると言われる理由
なぜ逆さバイバイは、子供の発達と関係があると言われるのでしょうか。考えられることをいくつか挙げてみましょう。
発達に問題があるときの診断と逆さバイバイ
発達の問題には、対人関係に問題が起こりやすいことと、コミュニケーションをとるのが苦手なこと、そして行動や興味に強いこだわりがあることという共通した3つの特徴があります。
中でもコミュニケーションに問題があることが多いですので、相手の行動と自分の行動を置きかえることが苦手なことが多いです。相手と同じ行動をしているつもりでも、自分の立場に置き替えて行動することが難しいですので、相手が手のひらを自分の方に見せてバイバイをすると、自分も手のひらを自分に向けてバイバイをしてしまうことになってしまうことがあります。このために、逆さバイバイが見られると、「発達に問題があるのかもしれない」と言われることがあるのです。
発達に問題があるのが判明する年齢
発達に問題がある場合、後天的な病気とは異なり先天的なものですので、生まれたときからすでに発達に問題があるものとして存在しています。障害の特徴がはっきりと分かってくるのは1歳前後であることが多いです。
一般的には、人の目をみようとしなかったり、指で指したものではなく指そのものに注目したり、同年齢の子供や他の子供に関心を見せなかったりすることから「発達に問題があるののでは?」と指摘されることが多いです。
言葉の遅れによって指摘されることもありますが、実際には言葉を発する時期が遅くとも、相手と会話することができれば特に問題はありません。発達の判断においては、言葉の早さ・遅さではなく、相手との会話が成立すること、自分の興味以外の話をしたり聞いたりすることができることの方が重要なファクターになります。
1歳6ヶ月健診で尋ねてみよう
自治体で実施する1歳6ヶ月健診(自治体によっては他の月齢で健診をすることもあります)では、子供の療育相談も実施しています。逆さバイバイが見られるときやその他、気になることがあるときは、健診の機会を利用して、積極的に専門の医師に相談してみるようにしましょう。
自分が欲しいものを自分が直接取るのではなく、お母さんの手首を持ってお母さんに取らせる「クレーン現象」などが見られる場合も、ぜひ相談してみてください。
逆さバイバイは直せる?直すべき?
1回2回逆さバイバイをしただけなら気にならないかもしれませんが、あまりにも何度も逆さバイバイをすると、「もしかしたら発達に問題があるかも…」と気になりますよね。逆さバイバイが見られるときは強制的に直す方が良いのでしょうか。また、直す方法はあるのでしょうか。
逆さバイバイを直す方法
逆さバイバイを直すいくつかの方法を紹介します。いずれの方法を利用する場合も、あせらず、子供を強く叱らないように注意して下さい。
子供の横でバイバイをして見せる
向かい合ってバイバイすると、どうしても手のひらが子供に向いてしまいます。子供の横に座り、子供の目線に合わせて、自分の手の甲を見せながらバイバイしてみましょう。何度かしているうちに、バイバイは自分に甲を向けてするものだと覚えるかもしれません。
子供の手を持って甲を子供側に向ける
子供がバイバイをしているときに、優しく子供の手のひら全体をつかみ、手の甲を子供の顔に向けてください。何度か手のひらの向きを変えているうちに、バイバイは手の甲を自分側に向けてするものだと理解していくでしょう。
お風呂の鏡を使って教える
お風呂の鏡や窓が湯気で曇ると、子供は指を使ってお絵かきを楽しみますよね。それを利用して逆さバイバイを直すこともできます。
鏡や窓にキャラクターや動物の絵を描き、「バイバイ」と言いながら手のひらで消します。次に、同じように絵を描き、子供に「バイバイと言いながら消してみようか」と手のひらで消す遊びをさせます。何度も繰り返していると、子供は「バイバイは手のひらを向こうに向けるもの」と覚えるようになるでしょう。
気になる場合は逆さバイバイを直そう
通常、逆さバイバイをしていても、1歳から3歳頃に自然に直ります。発達に問題があったとしても、徐々に観察力がついてきて自分で逆さバイバイに気付いて直すこともあります。
ですが、強制的に逆さバイバイを直したからと言って子供の発育に影響が出ると言うことはありませんので、親が気になる場合は、子供の横で正しいバイバイをして見せたり、手の向きを直接直したり、口頭で説明したりして、逆さバイバイを直す方が良いでしょう。
ただし、すぐに直らないからと言って、子供にいらついたり、強く叱ったりすることは絶対に避けて下さい。子供は「バイバイをすることが悪いこと?」と勘違いをして、知っている人やお友だちが手を振っても、手を振り返さないようになってしまうかもしれません。最悪の場合は、他人とコミュニケーションを取ること自体に恐怖を感じてしまうかもしれません。
こんな「逆さ」も
逆さになってしまうのは、バイバイのしぐさだけではありません。ピースのしぐさも反対になる幼児もいます。ただし、意図的に手のひらを自分に向けたピースをする人もいますので、あながち間違って覚えたのではないこともあります。
また、手首を曲げ、指先が下に向く形でバイバイをする赤ちゃんや子供もいます。その他にも、手のひらを真横に向けて(指先が身体の外側になるように)振る子供や、手をグーパーさせてバイバイする子供もいます。色々な形のバイバイがありますが、ほとんどの場合は周りの大人や子供のしぐさを見て、徐々に正しいバイバイができるようになっていきます。
気になるときは専門家に相談しよう
もちろん、逆さバイバイが見られたから、即、発達に問題があると診断されるわけではありません。一時的に逆さバイバイをする子供もいますし、逆さバイバイをしていなくても発達に問題があると疑われる子供もいます。
ただ、目線が合いにくい場合やコミュニケーションが取りづらい場合、幼稚園や保育園で一人遊びばかりをしている場合は、専門家に相談してみることができるでしょう。同年代の子供に溶け込むのは苦手だけれども、従兄弟や近所の子供といった慣れ親しんだ子供ならスムーズにコミュニケーションが取れると言うこともありますので、発達の問題を疑われる要素が1つ発見されたからと言って、短絡的に「発達の状態がおかしいのかもしれない」と判断してしまわないようにしましょう。