育児・お世話

手のかからない赤ちゃんが心配

手のかからない赤ちゃんが心配!贅沢な悩みと言わないで!

手のかからない赤ちゃんを持つ親は、まわりから「羨ましい」と言われることが多いでしょう。しかし、あまり泣かない、人見知りしないなど「手のかからなさ」ゆえに悩むケースもあるのです。サイレントベビーや発達に問題があるなど、手のかからない子を育てている親御さんの疑問や悩みにお答えします。

手のかからない赤ちゃんを持つ親が心配なこと

手がかかる赤ちゃんの親は日々の子育てに翻弄される毎日です。周りにおとなしくて手のかからない赤ちゃんがいたら思わず「羨ましい」と思うでしょう。

しかし、実際には手のかからない赤ちゃんの親も様々な不安を抱えています。周りのママ達からは、「贅沢な悩み」と思われかねないので、誰にも言えずに悩んでいる方は意外に多いのです。

手のかからない赤ちゃんの親御さん、以下のような心配事を抱えていませんか?

まわりのママ友に相談できず、悩んでいる手のかからない赤ちゃんの親御さんに向けて、サイレントベビーや発達に問題があるケースについて、現在わかっていることや赤ちゃんへの接し方をまとめました。

手のかからない赤ちゃんはサイレントベビーなの?

最近よく耳にするようになった「サイレントベビー」という言葉ですが、ネーミングの通り静かな赤ちゃんのことを意味します。

サイレントベビーとは?

サイレントベビーは、お腹が空いても、オムツが汚れても泣いて知らせることはなく、親の呼びかけにも応じない赤ちゃんを指す言葉です。

自分の欲求を叶えてもらえなかった経験を積み重ねたゆえに、周囲との関わりを諦めたのがサイレントベビーになると言われています。

サイレントベビーは育児放棄によって引き起こされるもの

「サイレントベビー」という存在の背景には育児放棄があります。泣いて訴えてもお世話をしてもらえないので、そのうち自己主張をしなくなり諦めてしまうのです。
家事の間、少しだけ泣かせっぱなしにしてしまったといった出来事を心配する必要はありません。

手のかからない赤ちゃんでも愛情を持って接しているのであれば、サイレントベビーになる可能性はないのです。

サイレントベビーは医学用語ではない

また、そもそもサイレントベビーというのは、医学用語ではありません。小児科医の柳澤慧氏が『サイレントベビー「おとなしい子」ほど、未来は危険』(ザ・マサダ,1998年)で名付けた用語であり、医学的根拠は乏しいというのが現代の通説です。

手のかからない赤ちゃんは発達に問題があるの?

発達に問題がある場合、主に対人関係に困難を覚えることが多く、「周囲への関心の薄さ」「限定した興味対象へのこだわり」などが特徴的な症状として挙げられます。

そのため、赤ちゃんがおとなしく一人遊びばかりしていると、「もしかしたら発達に問題があるのかも」という心配が頭に浮かぶ方もいます。

発達に問題がある場合のサイン

幼児期に発達に問題がある場合のサインには以下のようなものがあります。

ただし、上記のような行動・特徴は、発達に問題がない赤ちゃんにもみられる症状であり、受け取る方の感じ方にも個人差があります。

1番身近で接しているお母さんが「あれ?」と思うことが多いようなら、まずは定期健診の時や地域の福祉センターで相談してみるのも良いでしょう。

発達に異常があるかどうか0歳での診断は困難

発達に問題がある場合の子供には、早期に療育を行うことが社会への適応力を高め、保護者の育児への不安・ストレスを軽減するためにも有効であることが知られています。

しかし発達に問題がある場合の診断というのは、専門医でも0歳では不可能です。乳児期の発達は、個人差が大きいため、3歳頃まで継続して様子を見ていくしか方法はありません。

親として心配になるのはもちろんですが、杞憂に終わる可能性も高いのです。

まずは、赤ちゃんとの時間を大切にしましょう。その中で心配なことがあればいつでも相談できるように、子育てに関する相談ができる場所を確保しておきましょう。

発達に問題があるかも?と思った時に相談するなら

子供の発達に母親はとても敏感です。個々の性格や個性はあるものの、どうしても発達面に不安や心配を抱え手しまう場合、悩んでいないで専門機関に相談しましょう。

かかりつけの小児科

小児科の先生には子供の病気だけではなく、発達に関しても相談できます。気になる点があれば相談してみましょう。もし所見があれば専門の大きな病院を紹介してもらうこともできます。

自治体のこども課

お住まいの地域の自治体によって「こども課」「子供福祉課」「子育て支援センター」など名前は異なりますが、自治体には必ず保健師さんがいます。診断できるわけではありませんが、子どもに関しての知識は豊富ですし、子育ての経験がある方がほとんどなので安心して相談できます。

また近隣の専門機関を紹介してくれたり、お住まいの地域で行われている支援についても教えてくれます。

自治体で行われている定期健診では発育状況を調ベてくれます。最初に記入する問診票には質問欄があるはずなので、気になる所を書いておくと個別で対応してくれるでしょう。

専門機関

支援センターや療育機関には公的機関から民間機関、NPO法人など様々な種類があります。直接電話で問い合わせたり、ホームページ内に問い合わせメールがあれば利用してみてください。

手のかからない赤ちゃんは親に興味がないの?

赤ちゃんは生後6ヶ月頃から、いつも一緒にいる人とそれ以外の人との区別がついて、人見知り、時にはパパ相手にすら人見知りをする「パパ見知り」が起こることがあります。

しかし、まったく人見知りをせず、誰が相手でもニコニコしている赤ちゃんのママは、「親との区別がついてないのかな…」「愛情不足?」と心配になってしまうことがあります。

生まれ持った性格が社交的

赤ちゃんには、生まれ持った性格があります。「人見知りをしない」というのは、発達に問題がある場合の所見の1つではありますが、人見知りをしない子そのものは珍しくありません。

ママとそれ以外の人の区別がついていても、いつもいない人との触れ合いを楽しいと感じられる赤ちゃんもいます。

また、泣くことだけが人見知りの表現ではありません。他の人に大人しく抱っこされていても、ママを目で追っているなどの様子があるのなら、それは人見知りの一種だと考えられます。

一緒に遊ぶ時間を積極的に作ろう

誰が相手でもニコニコしている。気性が穏やか。いつも機嫌が良い。まさに『手のかからがない赤ちゃん』ですが、だからと言って親子の触れ合いがないのは寂しいものです。「構ってよ!」という態度が赤ちゃんから見られなくても、ママやパパから積極的に遊ぶ時間を作ってあげましょう。

家の中で一緒に遊ぶのはもちろん、家事などから離れて赤ちゃんだけに集中できるように、子育てサロンに通ったり、ベビースイミングや幼児教室などの習い事をはじめるのもおすすめです。

手のかからない赤ちゃんは「いい子症候群」になりやすい?

手のかからない赤ちゃんは、そのまま手のかからない子供に成長することも珍しくありません。しかし、親としての言動には注意が必要です。

「あなたは赤ちゃんの頃から手がかからなくて、本当に助かった」という発言が、いつしか子供を縛ってしまうこともあるのです。

赤ちゃんのときは単に気質の問題だったのだとしても、いつしか「親が喜ぶから」「親に好かれたいから」という理由で、本当の気持ちを抑えて、子供がいい子を演じるようになるのは問題です。

いい子症候群になる原因

「いい子症候群」の子供は、場合によっては大人になってからも人の顔色をうかがう、自分に自身がないなどの症状に悩まされることもあります。以下のような言動は避けましょう。

子供を評価する

親はついつい子供に対して自分の期待を押し付けてしまうことがあります。「かけっこで一番になって欲しい」「テストで100点を取って欲しい」など、親にとって好ましいと思うことは、子供にとって同じように望ましいかというと、そうではない場合もあります。

親の期待に応えることができたら喜ばれて、そうでなかったら失望されるのは、子供にとって親から評価されているようなものです。あからさまに言葉に出さなくても、子供は親の表情や声のトーンから敏感に気持ちを読み取ります。

こんな子になって欲しいと望むのは決して悪い事ではありません。しかしその思いとは違う方向に進んでも子供の自主的な行動として受け止めてあげると、子どもの才能を伸ばすことにもつながります。

子供の話をよく聞かない

例えば子供が困ったことを相談してきた場合、親としては心配になるのが当然です。しかし感情的になって話が終わらないうちに子供を叱ったり、早く解決したい気持ちばかりが先走り、見当違いな助言をしてしまうことがあります。

せっかく子供が親を頼って相談をしてくれたのに最後まで話を聞かずに勝手な行動をとると、相談しても何の解決にもならないと諦めてしまいます。

子供を「いい子症候群」にしないために出来ること

結果だけではなく過程も褒める

結果が全てではないので、例え親の望み通りの結果が出なくても頑張ったことに対して褒めてあげる必要があります。成功したことを褒めるのではなく頑張ったことを褒めれば、親からの評価に対するプレッシャーから解放してあげることができます。

例えば絵を描いて賞をもらった時に「上手だね」「賞が取れて良かったね」と成果を褒めるのではなく「最後まで諦めずに頑張って描いたね」「この部分難しそうだけど上手に描けてるね」など、プロセスを褒められた方が子供は「賞を取れなくても頑張った自分を褒めてくれている」と感じるでしょう。

子供の心の拠り所になる

赤ちゃんの頃からずっと手のかからない子であっても、親はその本意を汲み取ってあげる必要があります。幼少期の子どもにとって親は心の拠り所です。困った時や悲しい時は絶対的に守ってくれるという安心感が、子供の精神的な健康に繋がります。

明るく元気な時は少し距離を置いて見守るだけで良いですが、弱っている時は子供に寄り添い十分に甘えさせてあげましょう。

手のかからない赤ちゃんもしっかり見守って!

手のかからない赤ちゃんを育てていくのも、それなりの苦労や悩みはありますし、「手がかからないから」と放っておくことが赤ちゃんや子供にとってプラスかといえば疑問が残ります。

そういった意味で、「手がかからないけれど、大丈夫かな?」と心配している親御さんは、しっかりと赤ちゃんの方を向いて子育てをしているといえるでしょう。

赤ちゃんには、生まれ持った性格があります。一方で、「赤ちゃんの頃は大人しかったけれど、2~3歳で自己主張が大爆発!」など、成長して変わっていくのも珍しくないことです。あまり心配せず、今しかない子育ての時間を楽しんでください。