赤ちゃんのネントレ方法
ネントレの時期は?赤ちゃんのねんねトレーニング成功術
ネントレは欧米が発祥の赤ちゃんを1人で寝かせるためのトレーニングです。いつから始められるのか、ねんねトレーニングによって赤ちゃんにどのような弊害があるのか、泣いているのに本当に必要なのか、正しいネントレの方法や成功するためのポイントです。
赤ちゃんのねんねトレーニング「ネントレ」の発祥
赤ちゃんのうちから子どもが自分の力で寝られるようにトレーニングすることを「ねんねトレーニング」略して「ネントレ」と呼びます。ネントレの発祥とメリットと言える効果、デメリットについて見ていきましょう。
ネントレは欧米の育児に対する考えが発祥
ネントレは、元々欧米における赤ちゃんとのかかわり方が基本になっています。ヨーロッパやアメリカでは、赤ちゃんには生まれたときから個室が与えられ、寝る時間になると一人でベッドに寝かせられます。
赤ちゃんが「もっと遊びたい」「お母さんに抱っこしてほしい」と泣いても、時間がきたら部屋に一人で放置されることになりますので「ネントレ」=「赤ちゃんが泣いても抱っこしないこと」と考えている人も少なくありません。
ネントレにはメリットがたくさん!
ネントレを正しく行い、赤ちゃんがトレーニングに適応すると、決まった時間に一人で眠れるようになります。具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
赤ちゃんが一人で眠れるようになる
ネントレをすると赤ちゃんが一人で眠れるようになりますので、お母さんやお父さんが忙しかったり体調が悪かったりして添い寝や寝かしつけができないときでも赤ちゃんは問題なくいつも通りの時間に眠ることができます。
下の子が生まれて、上の子にかかりきりになれないとしても、ネントレが完了しているなら、問題なく下の子のお世話に時間をとることができます。
また、もう少し大きくなって、おじいちゃんやおばあちゃんの家に子どもだけで預けたとしても、ネントレが完了しているなら「お母さんがいないから眠れない!」ということがありません。
夜中に起こされることがなくなる
眠りに入るときいつもおっぱいや抱っこをしてもらう習慣がついていると、赤ちゃんが夜中に目ましてお母さんを泣いて起こすことになりますが、ネントレができていると、一人で眠りに入ることが身についているので泣いてお母さんを起こす必要がなくなりますので、お母さんも、朝まで熟睡することができます。
お母さんも、朝まで熟睡することができますね。
虫歯のリスクが低くなる
おっぱいを飲みながらでないと眠れない・・・という習慣を身につけてしまうと、乳歯に糖分がついた状態で寝てしまうことになるので、虫歯にかかるリスクが高くなると言われています。
ですが、ネントレができていればおっぱいを飲みながら眠ると言う状況にはならないので虫歯のリスクも自然と低くなります。
ネントレのデメリットも把握しておこう
「一人で眠ってくれる」「夜泣きがなくなる」等々メリットの多いネントレですが、いくつかデメリットや弊害があります。
眠い以外の赤ちゃんの要求が分かり難くなる
赤ちゃんが泣くのは、眠いからだけではありません。お腹が空いていたり抱っこしてほしかったり、おむつが汚れていたり等の生理的欲求を「泣く」ことで訴えます。
お腹が痛かったり、吐きそうだったりする体調の異変も「泣く」ことで訴えます。ネントレのために赤ちゃんが眠る時間に泣いているのを放置すると体調異変のために泣いていたとしても気付き難くなります。
また、眠る時間以外でも赤ちゃんが「泣く」ことで自分の感情を訴えなくなってしまうこともあります。このような状態になってしまうと、高熱や痛みなどの急ぎの処置を要する変化に気付いてあげることが難しくなってしまうでしょう。
ネントレを実行することで罪悪感を覚える
ネントレを実行している間は、赤ちゃんが泣いても放置することになってしまいます。周囲がとがめなかったとしても、泣いているのを放置すると言うことは、お母さんやお父さんにとって非常につらい経験となるでしょう。
「自分がゆっくりと寝たいと言うわがままのために、赤ちゃんに無理をさせているのでは?」「生活リズムがついて喜ぶのは、赤ちゃんでなく自分なのでは?」と考えて、罪悪感にさいなまれてしまう可能性があります。
住宅環境によってはネントレの実施が難しい
ネントレの期間中は、赤ちゃんが少々泣いても放っておかなくてはならないこともあります。隣の家と距離が離れている場合は問題ないですが、隣接している場合や集合住宅の場合は、近所に迷惑をかけてしまうことになります。
あまりに赤ちゃんや子どもを泣かせていると、近隣の人々から通報されてしまうなど、正しくネントレを理解してもらえないこともあるでしょう。
ネントレにより家族間がぎくしゃくする原因になることもある
育児の方法は時代とともに変わっていくのは自然なことです。ですが「赤ちゃんが泣いているのに放っておくなんて!」「赤ちゃんが寝るまでは抱っこするのが母親でしょう?」「自分が楽をしたいから赤ちゃんを泣かせておくのでは?」などの固定観念を持って、ネントレを実施するお母さんやお父さんに、おじいちゃんやおばあちゃんなどが意見をしてくることもあるでしょう。
「赤ちゃんのためにねんねのトレーニングをしているんですよ」と説明しても、理解してもらえず、それが元で家族の関係がぎくしゃくしてしまうこともあります。
また、もっとも身近なはずの夫からも理解を得られずに、夫婦間に亀裂が入ってしまう可能性もあるでしょう。
ネントレを始めるのに適している時期
一般的に、ネントレは夜から朝まで授乳なしで眠れるようになってから実施しますので、生後6ヶ月以降が適切なタイミングと言われています。
生後6ヶ月ころに、赤ちゃんは昼夜の区別が付いてくるようになることも、ネントレを始めるには最適なタイミングになる理由の1つです。
ですが、お母さんやお父さんによっては赤ちゃんが保育園にデビューする時期に合わせて生後1ヶ月や2ヶ月で始めることもあるようです。
開始に適している時期は赤ちゃんによって異なる
ネントレについて書かれた書籍を読むと、ほとんどの方法で生後6ヶ月ごろにトレーニングを始めることが推奨されています。
ですが、何日経っても赤ちゃんが何時間も泣き続ける場合はその赤ちゃんにとっては、まだネントレをするタイミングではなかったと判断する方が良いでしょう。
何時間も泣いている赤ちゃんを何日も放置しておくことは、お母さんにとっても大きな罪悪感しか生まれません。
また赤ちゃんにとっても「お母さんやお父さんには自分の気持ちを伝えることができない」という辛い経験になりますので、早めに切り上げ、数週間後にネントレを再チャレンジして下さい。
赤ちゃんが寝られない理由と夜泣く理由を把握しておく
ネントレを始める前に、赤ちゃんが眠れない理由や夜に泣く理由を知っておくと、ただぐずって泣いているのか、何かお母さんやお父さんに伝えたい事があるのかを理解する助けになります。
睡眠のリズムが完成していないから
人間は、就寝中は深い眠りと浅い眠りを繰り返しています。ですがこのリズムは生まれたばかりの赤ちゃんは身についていないため、浅い眠りの途中で目が覚めてしまうと、寝付けなくて泣いてしまうことがあるのです。
睡眠のリズムは、生後4ヶ月ごろから6ヶ月ごろにかけて完成していきます。成長過程の1つですので、夜泣きするのは正常なことと言えるでしょう。
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夢を見て目が覚めたから
赤ちゃんの知能も日々発達しています。昼間に経験したことが夢となって現れることもあり、赤ちゃんがびっくりして目を覚ましてしまうこともあるのです。
夢を見て目が覚めてしまったり、夢による刺激が大きくて興奮して眠れなくなったりすることも、正常な発育過程の1つと言えます。
昼間たくさん寝たから
お昼寝をたくさんしてしまったので、眠りたいけれど眠れなくなってしまい、泣いてしまうと言うこともあります。
風邪などで体調を崩してしまい、なんとなくしんどくて寝付きが悪くなり、泣いてしまうこともあるでしょう。
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一般的なねんねトレーニングの方法
では、実際にネントレを実施する方法について見ていきましょう。ネントレには2つの方法がありますので、どちらの方法が赤ちゃんに合っているのか見極めましょう。
ジーナ式ネントレ
ネントレの中でも有名な方法として、イギリスのジーナ・フォード氏が提唱している「ジーナ式ネントレ」が挙げられます。ジーナ式ネントレは1日のタイムスケジュールが細かく決められており、きちんとマスターすると、赤ちゃんが朝までぐっすりと眠るようになると言われています。
生後3ヶ月~4ヶ月の間のタイムスケジュール
ジーナ式ネントレでは、授乳の時間と睡眠の時間が細かく決められています。きっちりと実践する場合は、赤ちゃんが泣いたとしても、決められた授乳の時間以外におっぱいやミルクをあげてはいけません。
ジーナ式ネントレのタイムスケジュール
- 7:00 起床と授乳
- 9:00~9:45 朝寝
- 11:00 授乳
- 12:00~14:00 昼寝
- 14:15 授乳
- 17:45 入浴
- 18:15 授乳
- 19:00~22:00 睡眠
- 22:30 授乳
- 23:00~7:00 睡眠
ネントレ中の約束事
ジーナ式ネントレでは、授乳と睡眠の時間が決まっているだけではありません。ネントレ中に守らなくてはいけない約束事がたくさんあります。
ジーナ式ネントレの決まり
- 朝の起床時には部屋を明るくする。
- お昼寝は3時間以上させない。
- お昼寝はカーテンを閉めた暗い部屋でさせる。
- 昼間の授乳は、赤ちゃんがしっかりと目覚めた状態で実施する。
- 19:00以降の授乳は、暗い部屋で実施する。
- 寝る前の時間は、できるだけ静かな状態で過ごす。
- 眠るときは、おくるみで赤ちゃんを「おひなまき」にする。
- 寝かせるときは、抱っこをするのではなく、ベッドや布団に一人で寝かせる。
なお、「おひなまき」とは、バスタオルなどの大きめの布で、赤ちゃんの体をしっかりと包むこと(かぐや姫が竹の中で眠っているイメージ)です。
赤ちゃんは体が包まれていると安心感を覚え、入眠しやすくなります。また、赤ちゃんは寝ているときにぴくっと動く「モロー反射」によって目覚めてしまうことがありますが、おひなまきにしておくと手が動かせませんので、モロー反射によって目覚めることもなくなります。
- モロー反射の消失時期や正常な反応と異常な反応、赤ちゃんの原始反射のひとつモロー反射と良く似た点頭転換との違いなどモロー反射について解説し、モロー反射対策の赤ちゃんを安心させるおくるみの巻き方も紹介。
泣かせないネントレ方法
ジーナ式ネントレでは、赤ちゃんが寝るまで一人にしておきますが、「泣かせないネントレ」では、赤ちゃんが眠るまでお母さんやお父さんがそばについて赤ちゃんを見守ります。抱っこをしたり肩をとんとんと叩いたりして赤ちゃんを落ち着かせますが、どんなに泣いてもおっぱいはあげないことだけは守らなくてはなりません。
タイムスケジュール
基本的にはジーナ式ネントレと同じですが、赤ちゃんやお母さんの体調や用事によって、時間を少し前後させても構いません。ですが、毎日時間がまちまちになってしまうと、いつまで経っても入眠に時間がかかってしまったり、赤ちゃんがぐずる時間が長くなってしまったりしてしまいます。
ネントレを行う際に注意すべきこと
ジーナ式ネントレを行う場合も、泣かせないネントレを行う場合も、ネントレを行うときは、「失敗しても構わない」ということを常に念頭におくべきです。
タイムスケジュール通りにきっちりとネントレを行おうとしても、赤ちゃんですからどうしてもうまく眠れないときやぐずってしまうときがあります。
そんなときに、「どうしても今眠らなくてはならないのに!」とお母さんやお父さんがイライラしてしまうと、赤ちゃんはますます眠れなくなってしまいますし、ネントレが成功するまでの時間も延びてしまいます。
また、泣かせないネントレは、集合住宅に住んでいる方にとっては理想的なネントレと言えますが、いつまでも親が隣についていますので、赤ちゃんがなかなか眠れなくなってしまい、ネントレが完成するまでの時間もジーナ式の泣かせるネントレと比べる、とかなり長くなってしまいます。
泣かせるネントレと泣かせないネントレのどちらが良いかは、お母さんとお父さんがきちんと話し合って決めるようにしましょう。
ネントレは、赤ちゃんとお母さんが楽しく暮らせることが基本
「赤ちゃんは何時から何時まで寝るべき」「朝まで熟睡するべき」などの厳格なルールを作ってしまうと、赤ちゃんだけでなくお母さんやお父さんも辛い思いをしてしまいます。
もちろん、決まった時間に寝てくれると助かりますがルールを決めることよりも、お母さんとお父さんと赤ちゃんが楽しく暮らせることが何より大切です。
自分で定めたルールに縛られるのではなく、お互いが心地よく暮らせる妥協点を見つけていくようにしましょう。