おくるみの巻き方の基本をおさえて赤ちゃんスヤスヤ
小さな赤ちゃんをおくるみで巻いてあげるのは、ポピュラーなことです。
おくるみを使うのは日本だけではありません。海外でも一般的な育児グッズです。海外では、おくるみのことをスワドル、おくるみで巻いてあげることをスワドリングといいます。
おくるみは、赤ちゃんが生まれて参院から退院する時や、お宮参りの時に包んであげるというイメージが大きいでしょう。布で巻くとふにゃふにゃの赤ちゃんでも抱きやすくなるので、そのためにおくるみで巻くのだと、年配の方に教えてもらった方もいるのではないでしょうか?また、おくるみは、赤ちゃんにとって防寒着や温度調整のアイテムとしての役割もあります。
さて、おくるみが、赤ちゃんの安眠にとても効果があることをご存知でしょうか?
今、新生児や低月齢の赤ちゃんのお世話を頑張っているママさん、おくるみは今こそ威力を発揮します。今回は、正しいおくるみの巻き方と、より効果的に赤ちゃんを巻いてあげるために、気をつけたいポイントを詳しくご紹介しましょう!
ママのおなかの中みたいに心地いい!おくるみの巻き方
おくるみに巻かれると、赤ちゃんはとても気持ちよさそうな顔をします。それまで泣いていた子でも、くるくるっと巻かれると、「あれ、この心地よさはなんだ?」と言うかのように、ピタッと泣き止むことがあります。
新生児やまだ低月齢の頃は、一日のうちに泣く回数も多いので、ちょっとでもご機嫌にしている時間が増えると、ママも助かります。
基本巻きのおくるみの巻き方
ママのお助けアイテムである「おくるみ」は、どのようにして巻いてあげるのが良いのでしょうか?おくるみの基本巻きと、有名な「おひなまき」のやり方を解説します。一見どちらも難しそうに感じるかもしれませんが、慣れてくればサッと巻いてあげることができるようになります。
■Step1
おくるみをひし形に置き、上の角を真ん中くらいまで、内側に少し折り込みましょう。もともと折り込んで縫いつけているものもあります。図1のように、赤ちゃんの頭が折り目から出るようにして、赤ちゃんをおくるみの上に置きます。折り目に赤ちゃんの肩のラインを合わせるようにすると上手にできます。
■Step2
赤ちゃんの右腕を胸の前に持ってきて、向かって左側のおくるみを持ち上げて赤ちゃんの体の右側に巻きつけます。脇の下に余ったおくるみを入れ込みましょう。
下に余ったおくるみをまとめるように軽く巻きながら、赤ちゃんの左肩まで持って行き、先端を背中の下に入れ込みます。この時、赤ちゃんの左手は、右手と同じように胸の前に持ってきます。
■Step3
次に、赤ちゃんの左側のおくるみを持ち上げて赤ちゃんに巻きます。
■Step4
おくるみの布がなくなるまで、ぐるっと1周ほど巻きつけて、完成です。
しっかりホールドおくるみの「おひなまき」の巻き方
おくるみの巻き方には、もう一つ代表的な巻き方があります。それが「おひなまき」です。
■Step1
おくるみを四角い状態に広げます。長方形のおくるみやベビー用バスタオルを使う時には、横長にして置いてください。
赤ちゃんの顔だけがおくるみから出るようにして、おくるみの上にスタンバイさせましょう。
図1のように、左側のおくるみを右側に斜めに持って行きます。その際、赤ちゃんの右腕は、真っ直ぐ伸ばしてからだに密着させておきます。おくるみの端は赤ちゃんの肩に入れ込みましょう。
■Step2
同じように、左側のおくるみを持ち上げて、右側に持って行きます。赤ちゃんの右腕は、真っ直ぐ下に伸ばしながら巻きます。おくるみの端は赤ちゃんの肩に入れ込みます。おひなまきというだけあって、赤ちゃんを包むこの工程で、おひなさまのような台形の形になるようにするのが正解です。
■Step3
台形になったおくるみの、左下の部分を持ち上げて、斜め上にある赤ちゃんの左肩まで持って行きます。端は同じように、肩の下に入れ込んでおきます。
■Step4
3と同じように、余った右側のおくるみも、左上にある赤ちゃんの肩まで持って行き、肩の下に入れ込みます。ぴったりと巻かれていることと、赤ちゃんの呼吸が妨げられていないことを確認して、完成です。
おひなまきの別バージョンも
先ほどのおひなまきは、両方の上半身を巻いてから、下の部分を巻く方法でした。こちらは、片方ずつ、上下、上下という順序で巻いて行きます。どちらかママのやりやすい方法を選んでくださいね。
■Step1
おくるみをひし形に置き、おくるみの角を真ん中くらいまで内側に少し折り込みましょう。赤ちゃんの顔だけが出るように、折り込んだ折り目と肩を合わせるようにして、おくるみの上に置いてあげます。
■Step2
赤ちゃんの右手を真っ直ぐにして、向かって左側のおくるみで赤ちゃんの体を巻きます。赤ちゃんの胴体を覆うようにして、赤ちゃんから見て左側に入れ込みます。
■Step3
下の裾部分を持ち上げて、赤ちゃんの左わきに入れます。
■Step4
同じように、赤ちゃんの左手を真っ直ぐに伸ばし、向かって右側のおくるみを、赤ちゃんから見て右側の胴体に巻きつけます。
■Step5<
余ったおくるみの布を、赤ちゃんにぐるっと巻いて完成です。
おくるみの巻き方の注意
赤ちゃんにおくるみを使うときの注意点があります。きつく巻きすぎないことと、手足の関節を無理に伸ばしたまま固定しないよう、注意が必要です。
程よいホールド感を心がけて
おくるみが簡単に解けてしまっては、意味がありません。布にあまり空間を作ったり、たぶらせたりせず、きっちり巻きつけましょう。
しかし、きつすぎるとこれも問題です。赤ちゃんはとてもデリケートなので、少しきつめに巻いただけでも、呼吸がしづらくなります。
また、きつく巻きすぎると、おくるみの中で熱がこもって、体温が上がってしまいます。通気性の面でも配慮をしてあげましょう。
赤ちゃんの両足はカエル足をキープ
おくるみの中の足は、赤ちゃんの基本姿勢であるカエル足をキープできるように、セットしてあげてください。無理に真っ直ぐ伸ばしたり、ねじれた状態で巻いてしまったりすると、股関節脱臼の恐れがあります。
足の部分には少しだけ余裕をもたせて巻いてあげると、赤ちゃんの足もラクでいられます。
おくるみとSIDS(乳幼児突然死症候群)との関係性
海外では、おくるみをSIDS(乳幼児突然死症候群)の予防策として考えられていることもあります。
確かに、うつ伏せ寝はSIDSを引き起こす一つの要因になっているのではないかと指摘されるようになったため、仰向け寝の状態が保たれるおくるみの使用が、SIDSを防げる安全策のではないかというイメージを持ってしまいがちです。
しかし、SIDSとおくるみの関係性についてはまだ詳しくはわかっていないところが多く、仰向け寝の子やおくるみを巻いた子にもSIDSは発生しているのも現状です。また、おくるみで赤ちゃんを巻くことでSIDSを引き金となる100%うつ伏せ寝を防止できるかといえば、そうではなく、何らかの拍子で寝返りを打ってしまう場合も、もちろんあります。そのとき、おくるみで巻かれて身動きを取れないことが逆にうつぶせ寝による窒息事故を招いてしまうという状況も否定はできません。
おくるみの使用がSIDSのリスクを軽減するというデータもありましたが、現在は真逆の指摘もあることから、データはおくるみを日常的に使用している赤ちゃんのケースであると考えられます。
おくるみで巻くと赤ちゃんは安心してすやすや眠る!という声は多いものの、おくるみの使用は必ずしも全員に100%安全というわけではないことから、おくるみを使用する際には次のようなこともぜひ念頭に入れておくようにしましょう。
SIDSや事故を防ぎたい…おくるみを使うときは
おくるみを使っているときは赤ちゃんが温まりすぎないよう気を付けましょう
おくるみ使用中や使い始めは特に十分な注意を払い、赤ちゃんの様子に異常がないかどうか、体温チェックを含めこまめに確認しましょう。
■SIDSは窒息事故ではい
SIDSは、様々な因子や赤ちゃんの性質、その時の環境などが複雑に重なりあって起こる病気と考えられています。ちなみにうつぶせ寝による窒息事故等は「事故」と原因がはっきりしているためSIDSには含まれません。
■SIDSを引き起こすと言われる危険因子
- 喫煙
- ミルク育児
- うつ伏せ寝
- 突然の環境の変化(おくるみの急な仕様に注意)
- 温めすぎ(おくるみによる温めすぎに注意)
SIDSには様々な原因が指摘されますが、これらは危険因子であってどれも直接の原因ではありません。
低月齢の赤ちゃんは、本当にか弱い存在であることも忘れてはいけません。おくるみは温かいので体温が上昇してしまいやすいですし、良かれと思って使い始めたおくるみにすぐに順応できないことも考えられます。
おくるみの使用が危険因子であるかどうかは、今はわかりません。しかし、100%の安全因子ではないということは、確実に言えること。
「おくるみを使えば必ず赤ちゃんの安全を守れるわけではない」という認識はしっかり持っておきたいですね。
月齢別に適したおくるみの巻き方と使い方
赤ちゃんは生まれた直後からものすごいスピードで成長を続けます。体の大きさも体重もあっという間に増えますので、おくるみも成長に合わせて使い方を変えていきましょう。
生後すぐ〜2ヶ月
おくるみは、生後すぐに使えます。産院でも、新生児室で赤ちゃんがおくるみにくるまってスヤスヤ寝ているのを見たことがあるでしょう。
赤ちゃんがぐずっているとき、おっぱいやミルクを飲んで寝かけているときに巻いてあげましょう。
授乳した後に抱っこでゆらゆらして寝る赤ちゃんなら、抱っこの前に巻いてあげると、ママの方も抱きやすくなります。この月齢なら、基本巻きでもおひなまきでもどちらでも構いません。
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生後3ヶ月〜4ヶ月くらい
産まれた頃よりも体が随分としっかりしてきて、首が据わってくる赤ちゃんも出てきます。手足の動きが活発になってきますので、周囲のものを触って遊んでみたい気持ちが強くなります。
特に好奇心旺盛な赤ちゃんは、首が据わる頃には、おくるみを嫌がるようになることもあります。もし嫌がったり、抜け出したりするようになったら、そろそろおくるみは卒業です。
この頃には、モロー反射もほとんど消失していますので、ねんね中にビクッと起きてしまうことも少なくなっているかと思います。卒業しても、大丈夫。
おくるみに巻かれるのが好きな赤ちゃんならば、お腹から下だけを巻いてあげる半巻きという巻き方がおすすめです。基本巻きやおひなまきからの変形バージョンで、腕を固定せず外に出して巻いてあげます。
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5ヶ月以降〜
おひなまきを卒業した後のおくるみは、ブランケットとして、お昼寝やお出かけの時に使いましょう。
また、これまでおくるみを布団代わりにしていたのなら、今度はスリーパーを使うのがおすすめです。お布団を蹴飛ばしがちな赤ちゃんでも、寝冷えすることなく過ごすことができます。夜はお疲れモードのママには、助かるアイテムでしょう。
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心地よいねんねを促す上手なおくるみの巻き方のポイント
おくるみを巻くと赤ちゃんがおとなしく気持ちよさそうにしてくれるのは、ママのお腹の中を思い出すからだといわれています。おくるみは、赤ちゃんが持つ不安な気持ちを丸ごと受け止めてくれるアイテムだったのです。
胎内環境を思わせるCカーブが心地よい
赤ちゃんは、ママの胎内で過ごしてきた10ヶ月間、こんな環境で過ごしてきました。
ママの子宮の中
・暗い
・静か
・ママの心音や消化の音が聞こえている
・プカプカと羊水に浮かんでいる
・体が子宮に密着していてちょっと狭い
・背骨を丸めた姿勢
ところが、いざ外の世界に出てみると、まるで守られたような、何かが肌に常に触れている状況はなく、平らなお布団の上で仰向けになっている…よくよく考えてみると、環境が違いすぎて、当然赤ちゃんは不安になってしまいます。
赤ちゃんがわけもなく泣いてしまうのには、こういう不安感も関係しているのです。
おくるみは、ある意味ママの胎内を再現しているとも言われます。おくるみできっちり体を包み込むことで、子宮の狭さのような環境を作ってあげられます。
首が据わるまでの赤ちゃんの姿勢は、Cカーブの背中を丸めた姿勢です。おくるみで巻く時には、足をカエル足にしますので、自然とこのCカーブが再現できるというわけです。赤ちゃんがおくるみで泣きやむのも納得がいくでしょう。
モロー反射泣きを予防でぐっすり
生後すぐ〜4ヶ月くらいまでに見られるのがモロー反射です。赤ちゃんが持って生まれる原始反射の一つで、音や風に反応して、両手や両足をビクッと硬直させます。
モロー反射は、赤ちゃんがママから落ちてしまわないように備わった反射と言われていて、生物的にはとても優れた反射なのですが、何かの拍子に起きた自分のモロー反射に驚いて飛び起きてしまうと、赤ちゃんは大泣きしてしまうこともあります。
手も足もグルグル巻きにしてしまうおくるみは、このモロー反射による大泣きの予防にもなります。
くるくると巻いてあげることで、体が固定され、大きな音が鳴っても手が動きません。新生児の頃は、ほんの少しのことがきっかけで目覚めてしまいますので、その原因を一つでも防いであげると赤ちゃんもぐっすり眠れます。
- モロー反射とは?時期と赤ちゃんがビクッと起きるときの対策
モロー反射の消失時期や正常な反応と異常な反応、赤ちゃんの原始反射のひとつモロー反射と良く似た点頭転換との違いなどモロー反射について解説し、モロー反射対策の赤ちゃんを安心させるおくるみの巻き方も紹介。
春夏・秋冬シーズンに合わせて調整しよう
お布団を季節によって調整するように、おくるみを購入する際には素材を考慮し、実際に使う時には、気温や室温を踏まえて、格好を調節してあげましょう。
ただしおくるみをおくるみとして使える時期は短期間ですので、産まれた季節に合わせたものを購入するのが良いでしょう。
夏のおくるみ
春夏の暑い時期には、ガーゼ素材の吸水力の良いものやひんやり感を持たせた素材もおすすめです。
真夏は服の上におくるみを巻くと、暑すぎるので、肌着の上に通気性の良いガーゼのおくるみを服の代わりとして巻くママもいますし、それでも暑そうな時には、裸の上にくるくる巻いてあげるのでも良いでしょう。
- おくるみって夏はどう使う?快適な使い方&夏におすすめ5選
赤ちゃんをおくるみでぎゅっとくるむと、夏は何だか暑そう…。赤ちゃんが安心してねんねできるおくるみですが夏もそのメリットを活かす使い方を探ります!夏のおくるみの素材選び&あせもを回避し快適に!
冬のおくるみ
秋冬の寒い時期は、ブランケットの役目もできるような、あったか素材のものを選んであげましょう。タオル素材だけでなくフリースの素材のおくるみも保温機能面でも良さそうです。
真冬は、下着と服の上に、毛布やブランケット代わりとしておくるみを着せます。寝る時は温かくなりすぎないように注意してあげましょう。
夜中や明け方など気温が下がる時間帯には、その上にお布団を着せてあげると温かく過ごせますが、基本的に赤ちゃんは大人よりも暑がりで汗っかきです。いくら冬場といえども、重ねすぎはNGです。冬場も夏場と同じくらいこまめに調整してあげましょう。
おくるみの巻き方は意外と簡単!赤ちゃんの泣きにお困りのママは是非!
「赤ちゃんの仕事は泣くこと」だと言われますが、24時間体制のママにとっは、可愛いだけではしんどいこともあります。赤ちゃんの性格には個人差が大きく、よく泣く子ならママはほぼ一日起きていた…なんてことも、何度もあるのではないでしょうか。
月齢が低い頃は、お腹が減ったり、オムツが濡れたりというような生理的なことで泣くだけではなく、この世界に慣れない不安感や、もともと備わる原始反射が原因で泣いてしまうことも多いものです。大きくなってくれば、あやしたり笑かしたりして赤ちゃんのご機嫌をとることができますが、低月齢の頃にはそれもまだ難しく、泣く原因があれこれあるのに、泣きやます方法や泣くことの予防があまりない…というのが、ママが大変に感じる理由理由でしょう。
そんなときにおくるみを使用して、もし、泣いてばっかりの赤ちゃんがスヤスヤと眠ってくれたなら…ママの顔もホッと緩みます。もちろん、反り返りが強い子や、包まれるの自体が嫌いな子もいますから、すべての子がおくるみを気に入ってくれるとは限りませんが、ちょっとだけおくるみの力を借りてみてはいかがでしょうか。