ハンドリガードとは「手をじっと見つめる」赤ちゃんの発達サイン!
ハンドリガードという言葉を聞いたことはありますか?
ハンドリガードとは握った自分の手を顔にかざして見つめること。英語で「hand-regard」と表記し、直訳すると「手をじっと見つめること」です。赤ちゃんが自分の手をポーッと観察したり、ときにはゆらゆらとかざしながら見つめている様子は、なんとも赤ちゃんらしくて癒される瞬間です。
ハンドリガードはいつからいつまで?開始時期は生後2~3カ月が多い!
ハンドリガードは生後2~3ヶ月頃に始まり、生後4ヶ月頃には頻度が減ります。そうして生後6ヶ月頃までにはほとんどの赤ちゃんにハンドリガードが見られなくなります。
赤ちゃんは生後5ヶ月頃に、自分の意志で手を動かしたり、握ったり、伸ばしたりできることを理解しはじめます。この身体感覚をつかんだことが自分を認知するひとつの指標となり、ハンドリガードを終える合図になります。
中には生後6ヶ月を過ぎても続ける赤ちゃんもいますが、ハンドリガードをするのはごくわずかな期間だけなので、かわいい姿を目に焼き付けておきたいですね。
ハンドリガードは成長のサイン
ハンドリガードをするのに必要な能力は、目でものを見る力と、手や指を見ながら動かす力。この2つの能力が備わったときにハンドリガードができるようになると言われています。赤ちゃんが自分の意思で手を動かせるようになったことは、両方の能力が発達した証拠でもあります。
視力が向上し、ものの位置や距離が測れるようになった証
ハンドリガードを始めたことは、ものが見えるようになっただけではなく、位置や距離に合わせてものを捉える力が備わった証です。まずは自分の手を認識することから始まり、徐々に自分の意思で動かす動作につながります。
「これは自分の手だ!」という赤ちゃんにとっての大発見
ハンドリガードは手を見ながら、自分の意思で動かしてみるという成長を経て初めて成り立ちます。
私たちは特に意識することなく当たり前に動かせる手ですが、赤ちゃんは自分の体の一部だということを理解するために、偶然動かせることを気付いたり、口で吸ってみたりするなど、いろいろと試してみる過程が必要です。
ハンドリガードを行い、指しゃぶりやこぶししゃぶりなどの行為も一緒に繰り返すことで、赤ちゃんは「これはなんだろう?」「あれっ?動くぞ」「自分の好きな場所に持って行ける!」と気づき、それが自分の手であり、自分の意志で好きに動かせることを認識します。
一見、当たり前のことのように思えますが、赤ちゃんにとっては生まれて以降、最大の大発見ともいえるもので、「自分の意志=脳から指令を出し、体(筋肉)を動かす」というのは、生きていくうえで欠かせない行為です。
ハンドリガードによって赤ちゃんが自分の手を認識するまでの流れ
ハンドリガードを経て手を使えるようになるのは、おすわりやはいはいができたときと同じように、赤ちゃんが少しずつ成長を遂げた結果です。手の存在に気付き、そして動かせることに気付き、最終的に自分の意思で動かせるようになるという、脳の発達の順序とも深く関連した地道なステップを通ります。
ハンドリガードをはじめたばかりの赤ちゃんは、手を見つめたり、指しゃぶりをしたりなどの行為を繰り返し、自分の手を1番身近なおもちゃとして親しんでいきます。ハンドリカードをしている赤ちゃんの心(脳)の成長を追ってみましょう。
1.手の存在に気づく(最初は片手のみに気づく子も珍しくない)
赤ちゃんはまず目の前にある手の存在に気づきます。同時に両手に気づく子もいますが、最初に右手か左手のどちらかに気づいて片手ばかりをひたすら見つめたり、吸ったりした結果、ある日「あれ、同じようなものが2つある!?」と遅れて気づくこともあります。
そのうち、それが「よく動いているな」という発見があります。赤ちゃんは生まれてすぐに自分の体を周りの環境と区別するような自己認識を始めるため、2ヶ月頃になると積極的に自分の体を探索したくなるのです。
自分の手を発見することは、自分に体があることを赤ちゃん自身が知るきっかけです。赤ちゃんは体が存在していることを知らないという事実は、大人の感覚からすると驚きですね。
2.手が動くとき特有の感覚に気づく
手の存在を認識した後は、手が動くときに独特な感覚があることを感じ始めます。そして徐々にその不思議な感覚と、手の動きに関係があることに気づきます。これは手を動かす動作につながります。
3.手を自分の意思で自由に動かせるようになる
毎日、自分の手を観察することで自分が思った通りに手を動かすという動作につながります。
自分の意思で手が動かせることを知る体験を通して、赤ちゃんは自分の体全体を動かしたり、物を掴むことができるようになります。
指しゃぶり・こぶししゃぶりも大事!月齢でみる赤ちゃんの「手の発達」
ハンドリガードはもちろん、それ以外にも赤ちゃんの手や指の発達を促す動作や成長が感じられる行動があります。月齢別に見せてくれる赤ちゃんの動作をご紹介します。
新生児期のグーパーの動きは反射によるもの
生まれたばかりの赤ちゃんはまだ自分の手を認識していないので、もちろん意思を持って手を動かすことはできません。しかし大きな音などにびっくりしたときはパッと両腕を開く動作などをします。これをモロー反射と呼びます。
2ヶ月頃になると、ハンドリガードや指しゃぶりがはじまる
生後2ヶ月頃になると、自分の手の存在に気付き始めます。まだまだ自分の意思で手を動かすことはできませんが、目の前にある手の存在に気付き、不思議そうに見つめたり、両手を交互に見つめたりします。偶然口のそばに来た手を、しゃぶって確認することもあります。
■手をじっと見つめる
手をじっと見つめている段階は、まだ自分の手だということには気づいていません。たまたま自分の視界に入ってきた面白いもの、という認識で自分の手を見ていると言われています。
片手をじっと見つめる赤ちゃんもいれば、両手を交互に見る赤ちゃんもいます。
■手を口に入れる
偶然顔の近くに来た手を口に入れて確認する動作をします。そのうち手を認識し始めると、自分の意思で手を口に入れ始めます。
こぶしを無理やり突っ込んだり、豪快の両手で指しゃぶりをする赤ちゃんもいるので心配になりますが、そっと見守ってあげてください。
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3〜4ヶ月になると、ひらひらしたり、握ったりなどの動作も可能
生後3ヶ月を過ぎると、意思通りに手を動かせ始めるようになります。この時期は手のひらの感覚がどんどんと発達するので、おもちゃや布など様々な質感を感じ、学んでいます。
■手を前に組む
自分の意思で手を動かせるようになってくると、顔の前で両手を合わせる動作をする赤ちゃんが多いです。サラリーマンがもみ手をしているようにも見えるので、くすりと笑える仕草です。
■ひらひらと手を動かす
手のひらを交互に表や裏にして、ひらひらと動かす赤ちゃんもいます。発達に問題を持つ子供の特徴に手をひらひらさせる行動があげられますが、この時期はこの動作をする赤ちゃんが多いので心配しすぎないように気をつけましょう。
■手をにぎにぎ
手をにぎにぎする動作は、赤ちゃんの意思に基づいてものを握る練習をしていると言われています。手をにぎにぎし始めたら、赤ちゃんが握れるような小さめのおもちゃを与えてあげると興味を示すことも。この時期の赤ちゃんは音が鳴るおもちゃが大好きなので、マスカラのように振ると音がなったり、鈴が付いていたりするおもちゃをチョイスしてあげるといいでしょう。
■フットリガードもあります
赤ちゃんによっては足を眺めたり掴んだりすることもあり、これをフットリガードを呼びます。メカニズムはハンドリガードと同じですが、足の方が手よりも離れているため、フットリガードをする赤ちゃんはハンドリガードに比べて少なめです。足を伸ばしてつかんだり、足の指を口の中に入れて遊びます。
フットリガードを始めたときの注意点は、窒息を防ぐために靴下を履かせないことです。
5〜6ヶ月にハンドリガードはしなくなるが、手遊びなどが可能に!
この時期の赤ちゃんは体全体のイメージをつかめるようになり、寝返りが始まります。手や足は自分の体の一部だということをしっかり認識し、自由に動かせるようになるため、少しずつハンドリガードをしなくなります。
ハンドリガードを通じて自分を認識することで、同時に「他者」の存在も理解し始めるので、パパやママの手が楽しそうに手を動かす手遊びを積極的に見せてあげたいですね。
ハンドリガードでよく動かす手が「利き手」なのか?
ハンドリガードで赤ちゃんが頻繁に動かす手は利き手かな、と思いがちですが、ハンドリガードと利き手の関連性ははっきりとわかっていません。赤ちゃんはその時々の気分で左右の手を動かしているだけの可能性が高いです。
利き手が決まるのは3〜4歳過ぎた頃だと言われているので、一喜一憂することなく見守ってあげましょう。
ハンドリガードは短い間だけ!かわいい姿を写真におさめておきましょう!
ハンドリガードは生後2カ月~6カ月未満、多くは低月齢の赤ちゃん特有の仕草であり、する時期はほんのわずかです。グーをあげてガッツポーズをしているような姿や、コブシを小さな口の中に入れようとする姿など、後から見返すと思わず顔がほころぶようなポーズを見せてくれます。
ハンドリガードをかわいいポーズをしたときにはカメラをすぐに構えられるように準備しておき、かわいい赤ちゃんの様子を写真に残しておいてください。癒し効果のあるハンドリガードの写真は、インスタグラムなどのSNSでも人気テーマのひとつです。
赤ちゃんがハンドリガードをしない・やめないのは異常?
ハンドリガードをなかなか始めなかったり、いつまでも続けていると、我が子の成長スピードに問題があるのではと不安になってしまいますよね。そんなパパやママの不安を解消します!
生後6ヶ月を過ぎたのにハンドリガードをしなかった
いつまでたってもハンドリガードをしないと心配になってしまいますが、ハンドリガードをするかどうかは赤ちゃんの個性によるものだと考えられているため、不安に思う必要はありません!
赤ちゃんにとって手の動きにあまり興味が湧かなかったのかもしれませんし、実はハンドリガードをしていたけどパパやママが気づいていなかった可能性も高いです。赤ちゃんが成長する過程でおもちゃを握ったり、指しゃぶりをしたりするなど、他の方法で手の使い方を覚える子もいます。
同じ月齢のお友達がハンドリガードを始めていても、「うちの子は成長が遅れている!」と思う必要ないのです。
ハンドリガードをさせたいときは、手遊びで促そう
赤ちゃんとのコミュニケーションの一つとして、手遊びを見せてあげるのは有効です。手遊び歌を歌って赤ちゃんとスキンシップを取りながら、笑顔で接することで、手に興味を持ち始めることもあります。自分で動かすことのできる「自分の手」と、自分では動かせない「他人の手」の区別も徐々に着くようになります。
しかし一生懸命になりすぎて強制的にやらせてしまうと、赤ちゃんがプレッシャーを感じて逆効果になることも。笑顔を絶やさずに一緒に遊ぶ感覚で行うようにしましょう。
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オススメの手遊び歌3選
歌を歌いながら赤ちゃんとコミュニケーションをとれば、赤ちゃんも大人も楽しい気持ちになって自然と笑顔が出てきますよね。パパやママの手を見たり、赤ちゃん自身の体を触ったり動かしたりすることで、ハンドリガードを促す効果もあると言われています。
生後2〜3ヶ月でも寝たままでできる「きらきら星」や「きゅうりができた」、1歳を過ぎても赤ちゃんが真似っこ遊びとして長く楽しめる「げんこつやまのたぬきさん」の手遊び歌3種類をご紹介します。
■きらきら星
赤ちゃんの手や足を持って、揺らしたり両手を合わせたりします。きらきら星は馴染みのある曲なので、子育てビギナーのパパやママでも聞き覚えがあるのではないでしょうか。一緒に歌ってあげながら、楽しく手遊びをしましょう。
■きゅうりができた
赤ちゃんが寝ている状態でできる手遊び歌です。「きゅうりができた きゅうりができた」というテンポのいい音楽にあわせて赤ちゃんの体をさすったり、優しくたたいたりしながら、スキンシップを取ります。曲の最後に行うくすぐる動作に、赤ちゃんは満面の笑みを見せてくれるでしょう。
■げんこつやまのたぬきさん
「げんこつやまのたぬきさん」は一度は聞いたことのある曲ではないでしょうか。パパやママが手をトントンしたり、ほっぺの横に持ってくる姿を興味深く眺めてくれるでしょう。今動いているのは自分の手ではなく「他人の手」という認識にもつながります。
1歳なのにハンドリガードをやめないけど大丈夫?
生後7ヶ月や8ヶ月、中には1歳までハンドリガードが続いたお子さんもいます。通常は生後6ヶ月までには終わると言われていますが、大きくなっても手をグーパーしてじっと見つめたり、両手をモミモミしていると心配になりますよね。
ハンドリガードが終わる時期に差が出るのは赤ちゃんの個性で、月齢によらず単に手を身近なおもちゃと気に入っているだけなことが多く、特に発達に問題はないと言われているので神経質になる必要はありません。
しかし、ハンドリガードが続くこと以外にも赤ちゃんの発達に心配があるときには、1度かかりつけの小児科などで相談してみましょう。
ハンドリガードは個性が出るもの。赤ちゃんの成長を見守って。
慣れない子育ての中、ハンドリガードの仕方が人と違っていたり、ハンドリガードをしなかったりすると、不安になってしまいますが、ハンドリガードは個人差が大きく、しない場合も発達に特に影響はないと言われているので心配しすぎないように気をつけましょう。
日々のコミュニケーションの一つとして手遊びを楽しんだり、スキンシップを楽しんだりして、赤ちゃんの成長をゆったりとした気持ちで見守ってあげましょう。