赤ちゃんの指しゃぶり理由と影響

赤ちゃんが指しゃぶりする理由・たこや傷など困り事の対処法

赤ちゃんが指しゃぶりをする理由や歯並びへの影響を解説。指しゃぶりの原因は愛情無足とは無関係で、発達の一段階に過ぎませんから心配無用です。しかし、指しゃぶりをしないと寝ない、指にたこや傷ができる、口元が肌荒れするなどの困りごともあるので、防止策も覚えておきましょう。

赤ちゃんが指しゃぶりする理由・たこや傷など困り事の対処法

赤ちゃんの指しゃぶりによる影響は?

赤ちゃんの指しゃぶりは可愛い仕草ですが、一緒にいるママは「お腹が空いたのかな?」「癖になったら歯並びに影響するのでは?」「指しゃぶりは愛情不足ともいわれるけど関係ある?」と不安になることもありますよね。

ママが不安に思う気持ちを軽くして、赤ちゃんの指しゃぶりを温かく見守れるように、赤ちゃんの指しゃぶりの影響について詳しく紹介します。

赤ちゃんが指しゃぶりをする理由

指しゃぶりから足しゃぶりに変わった赤ちゃん

新生児や生後1~2ヶ月の指しゃぶりは吸啜反射の可能性あり

赤ちゃんが指しゃぶりをしているのを見ていると「何考えているのかなぁ?」と思うこともありますが、新生児の場合は意識して指を吸っているというより、たまたま手が口元にあたったので、反射的に吸っているだけの可能性もあります。

生まれたばかりの赤ちゃんは、それが自分の手だと認識してしゃぶるわけではなく、吸啜反射という原始反射で指をしゃぶっているのです。お腹の中にいるころのエコーで指しゃぶりをしている赤ちゃんを見たことがあるママもいるでしょう。
これは口に触れたものに無意識に吸い付く行動で、母乳やミルクを飲むために必要な行動です。

吸啜反射とは?赤ちゃんの原始反射「吸てつ反射」時期と意味
吸啜反射とは?赤ちゃんの原始反射「吸てつ反射」時期と意味
吸啜反射とは赤ちゃんが生きていくために必要な原始反射の1つです。この吸啜反射はいつから始まりいつまでに消失するのか具体的な時期を解説します。またおしゃぶりのメリットとデメリットも解説します。

少し空腹を感じている・なんとなく口元が寂しいのをごまかしたい

赤ちゃんが泣いたら、「母乳やミルクをあげなくては」と真っ先に思いつきますが、泣くほどお腹がすいていない場合に指しゃぶりをすることがあります。

不安を感じたときに、「安心したい」という気持ちの表れ

天使の笑顔で指しゃぶりをする赤ちゃん

赤ちゃんは母乳やミルクを飲んでいるときに安らぎを感じていると言われています。その感覚に似ているのが指しゃぶりで、自分の指を代用してその安心感を得ようとしていると考えられています。

ちなみに筆者の上の娘はこの安心を感じたい意味での指しゃぶり(といっても拳まで入れるようなダイナミックな指しゃぶりでした)が非常に多く、幼稚園入園時、初めての場所へ行くとき、初めての人に会うときなどに、今でも口の中に手を入れます。

「これはなんだろう?」という好奇心からの遊び

最初は反射の一種で指しゃぶりをしていた赤ちゃんが、口の周りに触れたものを気にし始め、“指”を意識しだし、動く指を不思議に思いだします。
そしてこの好奇心が指の感触を確かめたい!となって指しゃぶりにつながっていきます。

歯が生えてきて、歯茎がむずがゆい

歯が生えるころの赤ちゃんは歯茎がむずがゆかったり、その不快感を指しゃぶりで解消しようとしたりします。

指しゃぶりする手は利き手?

赤ちゃんの様子を見ていると、いつも同じ手の指ばかりしゃぶっている、もしかして利き手なのかしら?そう考えるママは少なくないと思います。
近年では海外の発表で、妊娠中の胎児の指しゃぶりが利き手に関係している可能性が高い、という報告もされていますが、こればかりはもうちょっと成長してみないとわからないですね。
体験談でいえば、筆者の家では左手ばかり口に入れていた娘は左利きになっています。

赤ちゃんの指しゃぶりはいつから始まるの?開始のサイン

指だけでなく拳まで口に入れようとする赤ちゃん

赤ちゃんにそれぞれ性格や個性があるように、指しゃぶりはすべての赤ちゃんが同時期に始めるものではありません。
しかし指しゃぶりが始まる前にいくつかサインが見られる場合があります。

こぶしを上につきだす

ねんねの時期の赤ちゃんは天井ばかりを見つめていると思いますが、両手を下に下げた状態で、ばたばたさせるだけだった赤ちゃんが、こぶしを上に突き出すことがあります。
これはハンドリガードといって、自分の意志で動く腕を認識し始めたというサインです。

ハンドリガード、赤ちゃんが手をじっと見つめるその意味は?
ハンドリガード、赤ちゃんが手をじっと見つめるその意味は?

じっと手を見つめる

上に突き上げたこぶしを開いたり、手のひらを目のごく近いところでじっと見始めることがあります。こぶしを認識し、手や指というものを認識し始めたサインです。

これらの行動が見られると、好奇心からその指を口に運んで感触を確かめてみようという、指しゃぶりへつながります。
これが癖になったり、好きになったりする子、一通り口で嘗め回したら満足してしまう子、と様々います。

指しゃぶりをしだす時期って?

赤ちゃんはお腹にいるときから指しゃぶりをします。
生まれたばかりの新生児期からその様子が見られる赤ちゃんもいますが、生後2ヶ月を過ぎたあたりから上記のようなサインが見えだし、指しゃぶりが始まって、なんでも口に運ぶ時期が始まります。

赤ちゃんの指しゃぶりと発達・歯並びへの影響

指しゃぶりと聞くと「あんまりよくないものなのでは?」「発達に影響があるって聞いたことがある…」とマイナスなイメージが多いように思います。
指しゃぶりの発達や歯並びへの影響を紹介します。

指しゃぶりによる発達面への影響は心配しなくて良い

ママを遠目で見つめながら指しゃぶりをする赤ちゃん

0歳児の指しゃぶりは、発達において自然な行動であり、無理にやめさせる必要はありません。 指しゃぶりを不安に思ってみているだけではなく、何がどう影響しているのか理屈や利点も理解しておきましょう。

指しゃぶりによって精神的な安心感を得られる

指しゃぶりは赤ちゃんの心に安心感を与える行為です。ママが忙しいときも指しゃぶりをしていると大人しくご機嫌で遊んでくれることもあります。
寂しくてかまって欲しい気持ちを指しゃぶりで解消し精神を安定させています。

オキシトシンの分泌

赤ちゃんが何かをしゃぶっているとき、脳内ではオキシトシンという精神を安定させるホルモンが分泌されるので、赤ちゃんは非常に心地の良い状態でいられます。

口と指の感覚を脳に伝え、自分の体の動かし方を認識する

しゃぶっているという口の触覚としゃぶられているという手の触覚の両方が同時に脳に伝わることにより、自分の体を認識できるようになり、どのように動かせば口へ手を運べるのか、力の入れ方などを学習しています。
口がふさがっていることにより、鼻呼吸の矯正になることもあります。

歯並びへの影響も0歳時期は気にする必要なし

気になる歯並びへの影響ですが、多くの歯科医は以下のような見解を示しています。

  • 乳児期の指しゃぶりによる歯並び等への影響は特に心配する必要はない。
  • 3歳過ぎて習慣化していると、歯並びやかみ合わせに影響が出る可能性があるので、歯科医での指導が必要。
  • 指タコができたり、著しく不都合が生じている場合は、相談も必要。

歯が生えそろっている3歳以降の指しゃぶりは、歯並びへの影響の懸念もあるようですが、0歳の乳児には特に影響がありません。指たこが深刻が場合のみ、対策を立てると考えておきましょう。

赤ちゃんの成長と共に指しゃぶりは自然となくなる

他に興味のあるものを見つけて指しゃぶりを卒業した赤ちゃん

赤ちゃんが成長し、自分でできることが増えていくと、指しゃぶりをやめておもちゃをなめたり、おもちゃで遊んだりするようになり自然としなくなっていきます。1歳前後で歩き始めるようになると、他への興味がでてきてしなくなる子が多くなるようです。

しかし普段はしないけれど不安なときだけする、など何かのときにしてしまう子は3歳前後でも少なくありません。

この年頃の子は、ある程度の意思疎通が言葉ではかれるので「指がお口に入っているよ?」などというと「あ、しまった」という顔をしてそっとやめます。子供の中でも指しゃぶりは赤ちゃんがするもの、という認識があるのでしょう。

3,4歳以降も指しゃぶりが続くのなら、なんらかの対応が必要かもしれませんが、赤ちゃんの頃は気にする必要はありません。そのうちしなくなるだろうと考え、今はおおらかに見守りましょう。

赤ちゃんの指しゃぶりで困ることとその対策

赤ちゃんの指しゃぶりは、精神的な発達や心理的な発達という成長過程の問題だけでなく、現状赤ちゃんに目に見えて現れる不安もありますよね。
ママが困っている事やその対策を紹介します。

指たこや傷ができた!口周りの肌荒れがひどい

爪を綺麗に整えられた赤ちゃん

いつも同じ指、拳などをしゃぶっていると、吸いだこができたり、よだれで口周りをベタベタにした結果、肌荒れが起こることもあります。「痛そうなのに、赤ちゃんはやめる様子がない!」とやきもきしてしまうこともあるでしょう。

小児科・皮膚科を受診し化膿を防止!ミトンやおしゃぶりを与える

そのままにしておくと、ばい菌が入って化膿したりと、さらにかわいそうなことになる可能性もあるので、1度小児科か皮膚科を受診し、塗り薬などをもらいましょう。

さらに指を保護するために、以下のような防止策があります。

  • ミトンをする
  • おしゃぶりを与えてみる
  • 靴下を手に履かせる

筆者の子供たちは、赤ちゃん用のミトンをなぜだか器用に外してしまうので、赤ちゃん用靴下を腕の方まで履かせていました。こうすると簡単に取れなくなります。更に荒れていない指だけでも自由にさせてあげたいというときは穴をあけてそこから指を出したりもできるのでおすすめです。

爪が変形している。ぼこぼこになってしまった!

不安な表情をしてうつむく赤ちゃん

ずっと同じ指を長時間しゃぶっていると、爪の形が変形してくることがあります。少し斜めになったりでこぼこになったりと心配になりますよね。

指しゃぶりをしそうなら気をそらす・症状がひどいならマネキュアも検討

これらを予防するのには、以下のような防止策があります。

  • 指しゃぶりそのものをできないようにする。(上記で述べたミトンなど)
  • 指しゃぶりをしているときにそっと指を外して気を反らしてみる、を繰り返す。
  • バイターストップなど子供が口に入れても安心な成分でできた爪に塗る苦いマニキュアなどを試す。

本来、赤ちゃんの指しゃぶりは問題のない行動ですから、無理にやめさせる必要はありません。しかし、爪がボロボロになっている、指先がひどく荒れてしまい炎症が起きている、吸いだこを通り越して血豆ができているような場合は、医師と相談のうえで、爪に塗るマニキュアなどを最終手段として検討してみましょう。

ずっと指しゃぶりをしていて、外すと泣いて怒る

指しゃぶりを止められ泣いて抗議する赤ちゃん

特に理由がなく、指しゃぶりが習慣化していてずっと指しゃぶりをしている赤ちゃんに、なんとなく指を外すと大泣きされる、これではママも参ってしまいます。

指たこや爪の変形がないなら、成長を待ちつつ他の遊びに誘う

指に傷があったり、爪が変形しているなどのトラブルがなければ、もう少し大きくなるまで見守るのも一つの手です。
またおしゃぶりに変えたり、おもちゃを与えてみたり、とにかくママがかまってみると改善する可能性もあります。

指しゃぶりをしないと寝ない

寝られなくておもちゃをかじる赤ちゃん

抱っこしていないと眠れない、添い乳じゃないと眠れない、というのと同じように、指しゃぶりが赤ちゃんの入眠儀式の一つになっていることもあります。

0歳は見守ってOK!少しずつ他の入眠儀式を試そう

抱っこしていないと眠れない赤ちゃんなら、ママは頑張って抱っこして寝かしつけますよね。それと同じことなので、しばらくは見守ってあげましょう。月齢が進むにつれて、指しゃぶりをしなくなることもあります。

また、「寝る前に音楽を聴く」「ママやパパと手をつなぐ」など、今後のために指しゃぶりとは違う別の入眠儀式も取り入れていきましょう。

赤ちゃんの指しゃぶりを見守るときの注意点

指しゃぶりは見守ってOKですが、赤ちゃんは力の加減ができないので、時には顔をひっかいたり、「おえっ」と吐くこともあります。赤ちゃんの快適な指しゃぶりタイムを見守るために、注意してあげたいポイントをまとめました。

爪は短く切り揃え、顔や口の中を傷つけないようにする

赤ちゃんの爪は非常に柔らかいとはいえ、肌に触れると傷をつけてしまうこともあります。
指を口に運ぶ過程で、ほっぺや目の周りを傷つけてしまったり、口の中を切ってしまう可能性もあるので、赤ちゃんの爪は常に清潔に短く切っておきましょう。

指やおもちゃは清潔に保っておく

消毒された清潔なおもちゃで遊ぶ赤ちゃん

口の中に手を運ぶということは、外のばい菌を口の中に持ち込むということです。
指しゃぶりをしている赤ちゃんは、手を動かしたり何かをつかんだりすると、ほこりや髪の毛も一緒につかんで口に入れてしまうことがあります。

ママがこまめに、手やおもちゃを清潔にしておいてあげるとよいでしょう。まだまだ手を洗うというのは難しいと思うので、除菌シートなどでさっとふくだけでも違います。
おもちゃは煮沸消毒、もしくは哺乳瓶の消毒液を使い、キレイな状態に保ちましょう。

赤ちゃんの口内炎に注意!筆者の子供が発症した「鵞口瘡」

筆者の上の娘は初めての子供というのもあって、手はこまめに拭いていたものの、おもちゃは煮沸消毒などをあまりせず除菌ナップでさっと拭くだけにしていたら、ある日突然、口の中に白い塊ができて、焦って病院へ行きました。ミルクかすなどとは明らかに違うのですぐわかると思います。

ミルクかすなら、清潔なガーゼでさっとぬぐうととれますが、このとき娘の口の中は、拭っても取れないカビが繁殖していました。カンジダ菌という多くの人が持つ菌が原因でおこるで、抵抗力の弱っている人や乳児によくみられる鵞口瘡(がこうそう)と呼ばれる口内炎です。

出産時の産道での感染以外に、こういったおもちゃやおしゃぶりなどの雑菌から症状が現れます。
ちなみに、同じ環境よりも少し雑な環境で育った下の息子は、鵞口瘡にはならなかったので、個人差や免疫力による違いがあります。
神経質になることはありませんが、気を付けてあげるに越したことはありませんね。

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指しゃぶりが直らなかった‥‥子供が指しゃぶりをしているときにやらない方がいいNG対策

もし仮に赤ちゃんが1歳を過ぎ、2歳以降になっても指しゃぶりをやめられないとしても、以下のような対策はオススメできません。

昔はそういわれていて「こうするといいわよ!」なんて、おばあちゃん世代からも言われることもあるかもしれませんが、ママがよく考えてみてください。

爪にわさびやからしなどの刺激物を塗る

嫌なことがあり不機嫌になる赤ちゃん

からしやわさびなど、大人でも思わず驚いてしまうような刺激物の代表です。
これらを指に塗って、しゃぶったところで嫌な思いをさせて指しゃぶりをやめさせようという対策の一つですが、嫌な思いだけではなく小さな子供の胃にも負担になるので、やめておいたほうが良いでしょう。

どうしてする場合は前述したように、苦い味のする専用のマニキュアなどを検討してみてください。

怖い話やたとえ話で脅かす

大人が子供に何かをやめさせたいときについつい使いがちな、「おばけ」や「おに」という単語がありますね。しかし、指しゃぶりのように癖になりがちなものをやめさせたいときに、このような怖い話で脅かすのは効果的とは言えません。

いたずらに怖い思いをさせると、「やめたいのにやめられない。なのに怖い話をされる」と子供に心理的な負担を与えます。

また「やめないとママ、○○ちゃんのこと嫌いになるよ!」なども、子供にはとてもショックな言葉なので、NGです。

諭してやめる方向にもっていくのであれば、指しゃぶりしていないタイミングで「○○ちゃん、指しゃぶりしなくなったね!お姉さんになったね!」「○○ちゃんすごいなぁ、赤ちゃんとは違うなぁ!」などポジティブな言葉をかけてあげましょう。

赤ちゃんの指しゃぶりは愛情不足とは無関係!

「指しゃぶりは愛情不足やストレスのサイン」と言われることもありますが、赤ちゃんの指しゃぶりは低月齢の場合は吸啜反射、それ以降もあくまで自分の手や指を確認している発達上の行為に過ぎません。

また、3歳、4歳で指しゃぶりが出ている場合、確かに心理的な不安などが原因のこともありますが、単なる癖という可能性も十分にあります。赤ちゃんの指しゃぶりはもちろん、幼児期の指しゃぶりに関して憶測であれこれ言う人とは近づかないようにしておきましょう。

成長とともに指しゃぶりは治まるケースが大半ですし、少しぐらい吸いだこができても、赤ちゃんは自分で痛くないように、別の指を吸ったりなど工夫するものです。

神経質になりすぎず、赤ちゃんが何を思って今指しゃぶりをしているのか考えながら大らかな気持ちで見守ってあげてください。