離乳食に味付けは必要?

離乳食の味付けはいつから?調味料に頼らずに旨味を出す方法

離乳食の味付けはいつからする?できるだけ薄味が良いのはもちろんですが、レパートリーを増やしたり、赤ちゃんが離乳食を食べてくれないときは、味噌や醤油などの調味料を使っても構いません。中期・後期以降に使える調味料と、出汁や食材を上手に活用した味付けのポイントを紹介します。

離乳食の味付けはいつから?調味料に頼らずに旨味を出す方法

離乳食の味付けはいつから?初期に味付けしなくて良い理由

離乳食は、基本的に味付けの必要はありません。赤ちゃんが食材のみの味を好んで食べてくれるなら、できるだけ調味料の使用は控えて、薄味を続けるのが理想的です。健康的にも調味料は少ない方が良いですし、素材そのものの味を教えられます。

特に離乳食を食べさせはじめたばかりの生後5ヶ月・6ヶ月頃は、まず食べることを覚える時期なので、味付けはやめておきましょう。

離乳食の味付けは中期(7ヶ月・8カ月)から少しずつ薄味で!

リンゴがはいっている離乳食

離乳食を開始して1ヶ月、2ヶ月が経過した、生後7・8カ月頃(離乳食中期)からは、風味付け程度なら砂糖やバターなどを使用した味付けが可能です(注1)。

赤ちゃんの味覚も発達し、味がしないメニューを嫌がったり、離乳食に飽きているようなときに上手に取り入れましょう。ただし、大人が使う調味料すべてを使えるわけではないので、使用時期や量には注意してください。

なぜ初期は味付けしない?赤ちゃんの味覚はとっても敏感!

人間の味覚は「甘味」「酸味」「うま味」「苦味」「塩味」の5つですが、これらを感じ取るのは舌にある「味蕾(みらい)」という感覚器官です。実は赤ちゃんにはこの「味蕾」が大人の1.3倍も存在しているので、味覚が非常に敏感です。

まったく味付けをしない離乳食は、大人にとっては薄味でも、赤ちゃんはその敏感な味覚でしっかりと味を感じ取っています。

離乳食の味付けに使える調味料

離乳食中期からは、少量の調味料で味付けをしても構いません。赤ちゃんが離乳食に飽きてきているとき、食べムラがあるときなどに上手に活用していきましょう。食材の持つ味を活かしながら、おいしく仕上げてください!

※初期は5・6ヶ月、中期は7・8カ月、後期は9-11ヶ月、完了期は1歳~1歳半。※△は使用できるが、注意が必要。

バター|無塩タイプを中期から風味付け程度に!

普通のバターは塩分が多いので、無塩タイプを選びましょう。中期から風味付け程度になら使用できます。

砂糖|食材の旨味を引き出すのに使える!少量を中期から使用する

初期から食べている野菜や果物にも糖分は含まれているので、中期以降、控えめに使用すること自体に問題はありません。食べ物の旨味を引き出したり、コクをプラスします。黒砂糖は、はちみつ同様に乳児ボツリヌス症の恐れがあるため、1歳までは使用しないでください。

塩|塩分の取りすぎは体の負担になるので後期以降に!

塩分は腎臓に負担がかかる可能性があるので、食塩を使用できるのは離乳食後期の9ヶ月過ぎからです。日本人は世界的に見て塩分を摂りすぎているので、他の調味料に比べても、使用に関しては慎重に、極力少な目が望ましいでしょう。大人が食べてみて物足りないくらいで十分です。

醤油|後期からOKだがアレルギーには注意

塩と同様、塩分が高いので後期から使用し始める調味料です。大豆アレルギーの症状が出る可能性もあるので、風味をつける程度にします。塩を使用した場合は使うのを控えましょう。

味噌|後期からだし入りではなく無添加が良い

離乳食後期から使えますが、だし入りタイプの使用は控え、無添加の味噌が望ましいです。大人用のお味噌汁を離乳食として取り分ける時は、うわずみをすくって2~4倍に薄めてから与えます。

マヨネーズ|中期後半~後期に全卵を食べられるようになってから!

マヨネーズ

マヨネーズの主原料は卵ですから、マヨネーズを与えて良いのは、全卵を食べられた赤ちゃんのみです。離乳食の時期としては、油分も多いので、少量から試すようにしましょう。

トマトピューレ(トマトペースト)|中期以降に薄めて加熱した食材に混ぜる

トマトピューレは、トマトを煮詰めて、裏ごしした食材です。食塩を含まないものなら、薄めて中期から使用できます。赤ちゃんには少々酸っぱいかもしれないので、お粥やじゃがいもなどと混ぜて使いましょう

ケチャップ|砂糖の含有量が多いため離乳食完了期1歳過ぎから

子供には大人気のケチャップですが、味が濃く、使えるのは離乳食完了期の1歳以降になります。ケチャップには多量の砂糖も含まれています。ケチャップの代用品として、砂糖や塩の含まれていないトマトピューレやトマトジュースで味付けをする方がおすすめです。

サラダ油|7ヶ月から薄くのばしてフライパン調理

生後7ヶ月以降は、多少ならサラダ油を使った調理もOKです。ただし、消化器官が未熟な9ヶ月未満は控えめにし、できるだけテフロン加工のフライパンなどで火を通しましょう。

離乳食にはおすすめできない調味料

  • 酢…少量の使用なら問題はないが、離乳食の味付けには不向き・
  • みりん…アルコールが入っているので、離乳食期は原則使用不可・
  • カレー粉…1歳以降、耳かき1/2程度を風味づけ程度に留める。
  • はちみつ・黒砂糖…乳児ボツリヌス菌の恐れがあるため、使用不可。

離乳食の味付けのポイント

「あまり食べてくれない…」「レパートリーが少なくて飽きてしまうのでは?」など、離乳食を作る方の悩みは尽きません。しかし、調味料を使う以外にも、赤ちゃんの食を進ませる方法はあります。

出汁(だし)を上手く利用する

出汁

味つけで大活躍するのがお出汁(だし)です。昆布、かつお煮干しなど出汁自体の味を変えても、赤ちゃんの敏感な味覚なら違いがわかります。大量に作って、製氷機で冷凍しておけば、少量から便利に使えます。

  • 昆布だし…5ヶ月からOK
  • 野菜だし…5ヶ月からOK
  • かつおだし…7ヶ月からOK
  • 煮干しだし…7ヶ月からOK

※「植物性のだしは5ヶ月から」、「動物性のだしは7ヶ月から」と覚えましょう。

植物性食材と動物性食材を合わせることでうま味がでるので「野菜+かつおだし」「肉・魚+昆布だし」と使い分けると、おいしい味付けに仕上がりやすいでしょう。

離乳食は「だし」で格段においしくなる!だしの簡単活用術
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ベビーフードの出汁も活用OK!

時間がないという方は、市販されている離乳食用の出汁を利用しても大丈夫です。大人用の顆粒だしには添加物や塩分が含まれているので使用できません。

最近のベビーフードの出汁の種類は豊富で、和風だしや野菜スープ以外にも、コンソメやホワイトソース、味噌汁のもとやあんかけなども存在します。

野菜スープで洋風の味付けも簡単

出汁と同様に。野菜から作るスープも離乳食では大活躍します。大きめの鍋で野菜を柔らかくなるまで茹でて、そのスープを小分けにして冷凍しておきます。新鮮なものや旬の野菜を使用するのがおすすめです。

野菜スープでお粥を作っていつもと違う味にしたり、柔らかくしたパスタを入れたり、パンを浸したりと、簡単に洋風の味も楽しめます。

旬の食材を使用する

旬の野菜とフルーツ

赤ちゃんには、ぜひ旬の野菜や果物、魚などを与えてください。

現代では、季節関係なく、野菜や果物、魚などを手に入れることができますが、旬の食材は最も生育条件が整った環境で収穫されています。そのため、味も良く、栄養価も高いというメリットがあります。また、一般的には旬の時期の方が、販売価格も安いはずです。

食材が良いのなら、味付けは薄くても、おいしく食べられるものです。マンネリ化を防ぐためにも、季節に応じてさまざまな食材を使用することを意識しましょう。

風味や旨味が強い食材を活用しよう

味付け=調味料ではありません。風味が強い食材や旨味がある食材を利用することで、しっかりとした、満足度の高い1品に仕上げることは可能です。

1.焼き海苔【中期からOK】

焼きのり

栄養価の高い海苔は離乳食に最適な食材です。お粥に混ぜたり、ふりかけにすると、香ばしい風味がプラスされて食欲を刺激します。

味付け海苔は塩分が高いので、焼き海苔を使用します。また、大きいまま与えると喉に張り付いて危険です。必ず小さくちぎり、中期は温かいお粥に混ぜる、煮るなどしてふやかしてから与えてください。

2.青のり【中期からOK】

青のりも風味づけに便利な海藻類です。おかゆやうどんなどの炭水化物に軽くふると、豊かな磯の香りが広がります。実は鉄分含有量が多いので、赤ちゃんの貧血が心配な生後9ヶ月以降には、積極的に使いたい食材の1つです。

3.きな粉【中期からOK】

お粥やパン粥、ヨーグルトなどと混ぜて、幅広く使用できます。たんぱく質が豊富なので、単なる風味づけだけでなく、栄養面にもメリットがあります。

パサつき、むせやすいので、必ずとろみのあるものと混ぜるようにしましょう。大豆原料なので、アレルギーには注意しながら与えてください。

4.トマト【初期からOK】

トマトは、旨味成分であるグルタミン酸が非常に多く含まれた食べ物です。グルタミン酸は、昆布などにも多く含まれており、50度~60度で最も増加します(注2)。日本食では昆布の出汁を料理に活用するように、イタリアなどの国ではトマトを加熱して作るトマトソースが食生活に欠かせません。

トマト出汁を作ってみよう

  • 鍋にトマトと水を1:2の割合で入れる
  • 弱火でじっくり温め、沸騰後5~10分に立たせる
  • キッチンペーパーなどで濾す

トマトそのものを離乳食に使う際には、皮をむき、口当たりが悪いときには種も取り除いてあげましょう。安全性を高めるためにも、グルタミン酸を増加させるためにも、加熱が基本です。昆布出汁との相性も良いので、スープなどに積極的に使ってください。

5.粉チーズ【中期からOK】

チーズも、トマト同様に旨味グルタミン酸を多く含む食品の1つです。ただし、塩分は高いので、使用料には気を付け、軽く振りかける程度にしましょう。野菜スープとの相性も良いので、グラタンやリゾットなど洋風の離乳食にはとてもよく合います。

6.豆腐【初期からOK】

豆腐は、しっかり水を切ってから食べると、はっきりとした大豆の風味を感じます。赤ちゃんの敏感な味覚なら尚更のことでしょう。お出汁で柔らかく似た野菜と和えれば、調味料を使わなくても、赤ちゃん用の白和えが完成します。

離乳食の味付けを薄くした方が良い理由

薄めの味の離乳食

離乳食の味付けには時期によって調味料を使うことも可能ではありますが、極力薄味に仕上げることが望ましいです。もちろん赤ちゃんの健康のためですが、他にも味付けを薄くした方が良い理由がいくつかあります。

味覚形成に影響する

これまで母乳やミルクでしか飲んでこなかった赤ちゃんにとって、離乳食ははじめての食事です。一度濃い味に慣れてしまうと、薄味での食事を「おいしい」と感じにくくなってしまい、今後の食生活に影響を及ぼす可能性があります。

消化器官に負担がかかる

赤ちゃんの消化器官は、まだまだ未発達です。塩分や脂肪分、糖分が多い食事を食べた場合、赤ちゃんの消化器官には大きな負担がかかります。

大人が食べて「おいしい」と感じる料理は、赤ちゃんにとっては多すぎる塩分や糖分が入っている可能性が高いです。基本的に「物足りない」と思う程度の薄味にして、消化を促してあげましょう。

生活習慣病になりやすくなる

濃く味付けた料理には、塩分や糖分が多量に含まれていますから、健康面が心配です。

最近では、子供の肥満(小児肥満)が増加傾向にあり、高度の小児肥満は、そのまま高血圧・糖尿病などの生活習慣病を合併する可能性も高くなります(注3)。

濃い味付けになれてしまっている子供は、野菜などの素材の味を嫌がったり、塩分・油分が多い高カロリーのものを好むようになりやすい傾向があります。

赤ちゃんへは、まずは素材の味を覚えさせることを優先させましょう。離乳食だけでなく、家庭全体として、薄味を心がけることが健康には良いはずです。

離乳食の味付けは控えめに!

健康的な赤ちゃん

「おいしい離乳食を食べさせてあげたい!」という気持ちはわかりますが、赤ちゃんの味覚は私たち大人よりも繊細で敏感なので、薄味でも問題ありません。出汁を上手に活用し、旬のおいしい食材を使えば、調味料の使用量を減らすことができるでしょう。

ママやパパも、赤ちゃんの離乳食をきっかけに薄味に慣れて、家族みんなで健康的な食生活を送りましょう!