母乳はいつまで?理想と現実

母乳はいつまであげる?理想の授乳期間&現実【体験談】

母乳はいつまで続けるべきでしょう?そろそろ母乳をやめたい人も、だらだらとやめられない人も必見!先輩ママの体験談、WHOやお医者さんが勧める母乳育児期間、母乳を続けるメリットと母乳をやめたほうがいいときについて詳しく解説しています。ママと赤ちゃんに合ったタイミングを見極めましょう。

母乳はいつまであげる?理想の授乳期間&現実【体験談】

そろそろ卒乳?母乳はいつまであげるべき?

母乳をいつまで与えるべきなのか、疑問に思いながら母乳育児をしているママはいませんか?赤ちゃんが1歳前後になると離乳食もどんどん進み、「母乳はいつまであげたらいいのかな?」と考えるママが多くなってきます。

頻繁な授乳がママにとって負担なので、早くやめたい!という人や、母乳を与えていれば赤ちゃんがすぐ寝てくれるし簡単に水分もとれるし、まだあげていたいかなぁ…という人もいます。

共通する疑問は、「母乳はいつまであげるのが赤ちゃんにとって一番いいのか」ということでしょう。母乳を続けるメリット、母乳の止めどきについて学んでいきましょう。

母乳はいつまであげた?先輩ママの断乳・卒乳時期

赤ちゃんのお世話をするお姉ちゃん

育児中のママ78名に聞いたあるアンケート結果によれば、1歳~1歳5ヶ月までが最も多く、42%のママがこの時期に卒乳・断乳していました。

先輩ママ78人の卒乳・断乳時期

・5ヶ月まで(6%)
・6ヶ月~11ヶ月(21%)
・1歳~1歳5ヶ月(42%)
・1歳6ヶ月~1歳11ヶ月(18%)
・2歳~2歳5ヶ月(9%)
・2歳6ヶ月以降(4%)

1歳を節目に断乳するママが多いので、周りに影響されて断乳するという人も多いようです。そのほか、離乳食を食べなくなった、夜中に起きる回数が多くてつらい、という理由で断乳する人が多いのもこの時期です。

先輩ママは、いつ、どのようなきっかけで、卒乳・断乳を行ったのでしょうか。体験談を集めました。

1歳7ヶ月女の子のママ

断乳3日目


栄養が食事でしっかりとれるようになったので断乳することにしました。旦那に協力してもらい夜の添い寝をお願いし、飲まずにねんね成功!この流れで昼間も欲しがらなくなりました。

11ヶ月赤ちゃんのママ

我が子2人とも断乳


保育園が決まったので断乳を決めました。断乳3日目からよく食べるようになり朝まで寝るようになりました。

3歳男の子のママ

断乳しなければ永遠に飲む


息子は2歳半まで飲みました。卒乳の前日までは1日5~6回飲んでいたのに、突然自分からやめました。

母乳はいつまであげるのが理想的?

母乳を飲み満足げに手をあげる赤ちゃん

先輩ママは1歳5ヶ月までに卒乳・断乳していた人が多くいましたが、理想としてはいつ頃まであげるのが良いのでしょうか?

世界的に見ても早い日本の卒乳

日本人の卒乳が早いのは、私たちの親世代で1歳までに断乳することを勧められていたことが背景の一つとして挙げられます。
1歳を過ぎて授乳をしていると、おばあちゃんから「まだ授乳しているの?もうやめたら?」なんて言われてしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。

現在でも、厚生労働省のガイドラインでは卒乳の目安を12カ月~18ヶ月頃としています。

しかし、卒乳時期の世界平均は4.2歳です。1歳代でほとんどの人が授乳をやめてしまう日本は、世界的に卒乳が早い国と言えます。

WHOや小児科医の意見は?

WHOでは、生後6ヶ月まで完全母乳で育て、2歳以降も母乳をあげ続けることを推奨しています。

昭和大学の小児科医で、20年以上にわたり数多くの赤ちゃんを診察してきた水野克己先生によれば、4歳くらいまで母乳を飲ませるのが理想的という意見です。

母乳を長くあげるメリット

周りが次々と断乳・卒乳していく中、なかなか母乳がやめられなくて悩んでいるママも多いことでしょう。

焦ることはありません。母乳を長くあげることは、メリットがたくさんあります。

1歳過ぎても栄養はたっぷり

1歳過ぎても母乳が欲しい赤ちゃん

1歳を過ぎると、「母乳なんてもう水みたいなものだよ」「栄養はないよ」などと周りから言われてしまうこともあります。

でもこれは大きな間違いです。1歳を過ぎても、母乳にはたくさんの栄養が含まれているのです。生後間もない頃と、1歳頃の母乳の栄養を比較すると、カロリー・カルシウム・マグネシウム・脂肪分はほぼ同じくらい含まれています。乳糖は1歳頃の母乳の方が多く含まれます。

ミネラルやアミノ酸量は半分程度に減少しますが、1歳では一度に飲める量も多くなっているので結果的にたくさんの栄養を摂れていると考えられます。

赤ちゃんにとって最高のスキンシップ

お気に入りの帽子をかぶって赤ちゃんと写真を取る家族

赤ちゃんとのスキンシップは授乳だけではありませんが、母乳を飲んでいるときの赤ちゃんの安心しきった表情は他では見られません。

赤ちゃんの時代に充分にママからの愛情を得て、安心して過ごすことで自立心が強まるという研究結果もあります。

日中保育園に行っていて、ママと過ごす時間が少ない赤ちゃんであれば、濃密なスキンシップとして母乳をあげることは赤ちゃんの寂しい気持ちを満たす方法としてとっても効果的です。

赤ちゃんの免疫力が向上する

川の水が顔にかかる赤ちゃん

母乳には、「免疫グロブリン」といって体内で細菌や異物と闘う成分が含まれています。免疫グロブリンにはたくさんの種類がありますが、母乳に含まれる免疫グロブリンは次の種類です。

  • IgA:粘膜を守る。母乳の中で最も多く含まれている免疫グロブリン。
  • IgM、IgG:微生物や異物と闘う。

特にIgGは、生後1年程度たった母乳の方が生まれてすぐの母乳よりも多く含まれています。IgGは細菌や微生物と闘う免疫グロブリンなので、母乳を長く飲むことによって感染症にかかりにくくなります。

ママの身体にもうれしい効果が

卒乳して一息つくママ

ママが実感として持ちやすいのは、「たくさん食べても太らない」ことではないでしょうか。

生後1年ほどたっても、母乳のカロリーは100ミリリットル当たり60~65キロカロリー程度あります。赤ちゃんが1歳過ぎても頻回授乳が続くママは、授乳だけで1日500~600キロカロリー程度消費している場合も。

軽く1食分相当のカロリーを消費しているので、食べすぎかな?と思うぐらい食べても太りにくいのです。

母乳をいつまでも与えない!やめたほうがいいのはこんなとき

母乳を長く続けることに様々なメリットがあると聞くと、「母乳をそろそろやめたい…」と思っている人は後ろめたく感じることもあるでしょう。

母乳を長く続けることは確かにメリットが大きいですが、ママが無理をしてまで続ける必要はありません。やめたほうがいいのは次のようなケースです。

ママの身体に負担がかかりすぎている

卒乳が長引き少し体調がすぐれないママ

授乳中に、ママの身体に負担がかかる要因として多いものが「乳腺炎」「夜間授乳」です。

治療してもダメな場合は断乳を

生後5ヶ月頃までは乳腺炎にかかりやすい時期です。おっぱいに母乳が残ってしまうことも、乳腺炎にかかりやすい要因の一つです。この時期は頻回授乳や抗生剤・消炎剤の服用で乗り切れる場合があるのでできれば授乳をやめずに続けてみましょう。

離乳食も軌道に乗った頃で、頻回授乳や治療でも乳腺炎が治らない場合は断乳してもOK。ただし、急に授乳をやめると乳腺炎が悪化する場合もあるので、助産師や医師の指示を仰ぎながら断乳を進めましょう。

夜間断乳で朝まで寝られるようになるケースも

夜中の授乳がつらくなり、断乳を考えるママも多くいます。完全な断乳をしなくても、夜間だけの断乳でも赤ちゃんがぐっすり眠れるようになったというケースもあります。

夜間断乳の目安は、赤ちゃんが3食しっかり離乳食を食べられるようになった頃。夜間断乳のポイントは次の通りです。

  • 生活リズムを整え、昼間にたくさん疲れさせる
  • 寝る前にしっかり母乳を飲ませてから寝かせる
  • 夜中に起きてしまった場合はトントンや麦茶で乗り切る
  • まずは1週間頑張ってみる

夜間断乳がさらにうまくいくと、2番目の「寝る前の母乳」もいらなくなってくるケースもあります。また、夜間断乳がきっかけで、昼間の母乳も欲しがらなくなったという子供もいます。

ママが薬を飲むことになった

母乳についての悩みを本で解決したママ

授乳中でも飲める薬は多くあり、薬を飲むからといって授乳をやめなければいけないケースはそれほど多くありませんが、ホルモン剤・抗がん剤・抗不整脈薬を使用する場合は授乳を中止する必要があります。

授乳中に注意が必要な薬は次のものがあります。

  • カフェインが配合されている市販の風邪薬:赤ちゃんの寝つきが悪くなることがあります。
  • アスピリン(鎮痛剤):赤ちゃんへの副作用事例が報告されています。
  • センナ、センノシド(下剤):赤ちゃんのうんちが緩くなることがあります。
  • ブスコバン(胃薬):母乳の分泌が悪くなる可能性があります。
  • 塩化リゾチーム(痰・鼻水の薬):卵白でできているので卵アレルギーの赤ちゃんは注意が必要です。

授乳中に飲んでも良い薬については国立成育医療研究センターのホームページに成分一覧が掲載されていますので、お薬を処方された場合は念のため確認すると安心です。

2人目の妊娠経過が順調ではない

ママのお腹の赤ちゃんとコミュニケーションを取る赤ちゃん

授乳中でも、排卵や生理が再開することはあります。2人目ができても授乳を続け、兄弟合わせて授乳する「タンデム授乳」を実現させられるママもいますが、授乳は子宮の収縮を誘発します。

切迫早産の兆候があるようなときは授乳をやめたほうが安心です。医師によっては、妊娠したら授乳をやめるよう指導する先生もいます。

授乳中に妊娠した場合は、かかりつけの産婦人科医の指導をあおぎましょう。

離乳食を食べないときは?

離乳食を催促する赤ちゃん

赤ちゃんが離乳食を食べないことで悩んでいるママの中には、「母乳をやめたら食べるようになった!」と言う人がいます。それを聞いて、断乳を考える人も多いのではないでしょうか。また、離乳食を食べない孫を見て、「母乳をやめたら?」とおばあちゃんが勧めてくる場合もあるでしょう。

確かに、母乳をやめたら食べるようになる赤ちゃんもいますが、必ずそうなるとは限りません。

離乳食を食べさせるための断乳はおすすめしない

赤ちゃんがしっかりと食事から栄養を摂ることができるようになる前に母乳を取り上げてしまうと、栄養不足になってしまうことも考えられます。

前の章で書いたように、母乳には乳糖・カルシウム・ミネラルなどたくさんの栄養価が含まれており、
少ない食事や偏食の状態で母乳に匹敵する栄養価をとるのは難しいのです。

1歳4ヶ月の男の子のママ

うちの子は離乳食を食べないけれど…


知り合いのあるお子さんは、離乳食を食べさせるために11ヶ月頃母乳をやめましたが、非常に偏食でうどんしか食べなかったそうです。
その結果、2歳の時点では成長曲線のぎりぎり下あたり。母乳ばかりで離乳食を食べない1歳4ヶ月の我が子とほぼ同じくらいの大きさでした。

卒乳に向けたステップ

理想的なのは、赤ちゃんとママの両方が納得しておっぱいをやめられること。しっかりとステップを踏んで卒乳することでママのおっぱいトラブルも防げます。

卒乳の目安・見極めるべき3つのポイント

自分で歯磨きができる赤ちゃん

卒乳には、ママが赤ちゃんに働きかけて行うものと、赤ちゃんが自然に欲しがらなくなる自然卒乳の2つがあります。

自然卒乳は赤ちゃんにとって最も負担の少ない方法ですが、赤ちゃんが欲しがらなくなる時期には個人差が大きく、中には3歳頃までかかる場合もあります。

ママが赤ちゃんに働きかけて卒乳する場合は、赤ちゃんが次の状態になっていることを目安にしましょう。

  • ヨチヨチ歩きではなく、しっかりと歩くことができる
  • 色々な食材を取り入れた離乳食を3食食べることができる
  • ストローやコップで水分を摂ることができる

卒乳の方法・急にやめるとおっぱいに負担がかかる

ママの手を引っ張り散歩するお姉ちゃん

まずは卒乳する目標日を決めましょう。赤ちゃんの気をおっぱいからそらすため、家族の協力が必要になる場合もあるので、家族と相談して時期を決められるとなお安心です。

1ヶ月~2ヶ月程度かけて、日中の授乳回数を徐々に減らしていきます。暇だと赤ちゃんは母乳を頻繁に飲みに来ることが多いので、おっぱい以外のことに興味を持てるよう、いつもより工夫して遊びに付き合ってあげる必要があります。

言葉が通じる赤ちゃんの場合は、カレンダーに卒乳の日にちを書いておいて、「この日になったらおっぱいバイバイだよ」と毎日伝えることも有効です。赤ちゃんに少しずつ、おっぱいとさよならすることを理解させてあげましょう。

ママの身体の変化は?母乳はいつまで出る?

母乳を終えた時の体調変化を調べるママ

卒乳を始めると、授乳回数が減ったママのおっぱいはパンパンになってしまうこともあります。張って痛みが出る場合もあるので、痛みがひどいときは少しだけ絞りましょう。痛いときには冷やすのも有効です。

絞りすぎると、いつまでも母乳量が減らないので注意しましょう。母乳が完全に出なくなるまでは、1年程度かかります。

卒乳後6ヶ月程度たったら、乳がん検査を受けることもおすすめです。

母乳はいつまで?決めるのはママ!周りに惑わされないで

母乳をいつまで飲ませるかについては、周りから色々言われたり、ママ友の断乳・卒乳の様子を見て悩んだりすることがとっても多いです。

断乳・卒乳が早ければ「かわいそう」と言われ、遅ければ「まだ飲ませているの?」と言われ、「じゃあ一体いつならいいの!」と思ってしまいます。

ママの身体のことも、赤ちゃんのことも、一番良く知っているのはママ自身。周りに何を言われても気にせず、自分のペースでおっぱい卒業の時期を決めましょう。